夫と上司の禁断の秘密 の小説カバー

夫と上司の禁断の秘密

8.8 / 10.0
念願の昇進を果たした夜、主人公は夫と上司の不倫を知る。10年育てた娘さえも二人の子供であり、自分はただのATMとして利用されていた。裏切りの真相を暴く『夫と上司の禁断の秘密』は、偽りの家族への壮絶な反撃を描くmodernな復讐劇。愛と信頼を失った女が地獄を見せる、スリル満点のmystery要素を含んだromance storiesです。読者は彼女の決断から目が離せません。
「夫と上司の禁断の秘密」のあらすじ
長年の努力が実を結び、部長昇進を勝ち取ったキコ。これで家族との時間を取り戻せると確信していたが、その喜びは夫・ヒデのスマホに届いた一通の通知によって打ち砕かれる。送り主はキコの上司であり、そこには彼女の不在を狙って密会を企てる二人の生々しいやり取りが記されていた。さらに衝撃的な事実に直面する。十年もの間、深い愛情を注いで育ててきた愛娘の彩葉は、夫と上司の間に生まれた子供だったのだ。これまでの献身は踏みにじられ、自分はただ家族を養うための「ATM」として利用されていただけだったと悟る。愛も信頼もすべてが周到に仕組まれた偽りであり、夫は妻を冷遇する一方で、上司を愛称で呼び溺愛していた。全てを失い絶望の淵に立たされたキコだったが、その心には静かな怒りが宿る。自分を裏切り、人生を搾取し続けた夫と上司への壮絶な報復が幕を開ける。これは、都合のいい道具であることをやめた女性が、冷徹な意志で仕掛ける反撃の記録である。
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夫と上司の禁断の秘密 第1章

長年身を粉にして働き, ついに部長に昇進した. これでやっと, 夫と娘と過ごす時間が増える. そう信じていた, その夜までは.

しかし, 夫のスマホに届いた一通のメッセージが, 私の幸せを根底から覆した. 「ねえ, ヒデ, 明日の夜は会える? キコは明日も遅いんだろ? 」送り主は, 私の会社の上司だった.

夫は私を「おい」と呼び, 上司を「ヒデちゃん」と愛しげに呼んでいた. さらに, 私が十年近く育ててきた愛娘の彩葉は, 二人の間に生まれた子供だったと知る.

私の人生は, 夫とその家族に利用されるだけの, ただのATMだったのだ. 愛も, 信頼も, 家族さえも, すべてが偽りだった.

絶望の淵で, 私は冷静に復讐を誓った. 私からすべてを奪った彼らに, 地獄を見せてやる. これは, ATMであることをやめた女の, 壮絶な反撃の物語だ.

第1章

清水希子 POV:

キャリアウーマンとして長年身を粉にして働いてきた私が, ついに部長に昇進したその夜, 愛と信じていたものが全て偽りだったと知った. その瞬間, 私の足元は音を立てて崩れ落ちた.

私はその日, 少し浮かれていた. 部長昇進の知らせは, 私の努力が報われた証拠だった. 心臓が高鳴り, 安堵と達成感が入り混じった喜びが全身を駆け巡る. これで少しは仕事の負担が減るだろう. そうすれば, もっと家庭に時間を割けるはずだ. 夫の陽介や愛娘の彩葉と, 以前よりもっと多くの時間を過ごせる. そんな温かい未来を思い描いていた.

仕事帰りに立ち寄った百貨店で, 陽介へのプレゼントを選んだ. 彼が以前から欲しがっていた万年筆だ. 陽介は「小説家志望」という夢を追いかけ, 今は専業主夫として家を守ってくれている. 私が外で働く間, きっと彩葉の相手をしてくれているだろう. 二人が仲良く遊んでいる姿を想像するだけで, 胸の奥が温かくなった.

自宅のドアを開けると, リビングのソファで陽介が眠っていた. テレビはつけっぱなしで, 彼の隣には飲みかけの缶ビールが転がっている. 彩葉はリビングの隅で, お気に入りの絵本を広げて一人で遊んでいた. 陽介はいつも疲れている. 私が稼いだお金で生活していることに負い目を感じているのかもしれない. 私はそっと陽介に近づき, 彼の肩を揺らさないように横にならせようとした.

その時, 彼のズボンのポケットからスマホが滑り落ち, 床に落ちた拍子に画面が明るくなった. 陽介のスマホのパスワードは私が知っている. 私たちの間に隠し事は何もない. そう思っていた.

画面に表示されたのは, 見慣れないメッセージアプリの通知だった. 「ねえ, ヒデ, 明日の夜は会える? キコは明日も遅いんだろ? 」差出人の名前は「松江秀恵」. 私の会社の女性役員だ.

私の頭は一瞬にして真っ白になった. 脳が情報の処理を拒否する. ヒデ? 陽介が誰かを「ヒデ」と呼ぶことなど, これまでの結婚生活で一度もなかった. 何かの間違いだろう. 陽介の友人か, 親族の誰かが, ふざけて送ったメッセージに違いない. そう自分に言い聞かせた.

しかし, メッセージに添えられた写真が, 私のわずかな希望を打ち砕いた. それは, 陽介と松江役員が親密そうに寄り添って写っているツーショットだった. 松江役員は私の会社の上司だ. なぜ, 二人がこんな写真を? そして, なぜ陽介は彼女を「ヒデ」と呼んでいる? 私の心臓が, まるで誰かに鷲掴みにされたかのように締め付けられた.

陽介との出会いは, 私がまだ孤児院を出たばかりの頃だった. 大学時代, 彼は輝くような笑顔で, 周囲の誰もが振り向くイケメンだった. 私のような孤独な人間が, 彼のような人気者の隣にいていいのか, 何度も自問自答した. でも, 彼の優しい言葉と, 私を包み込むような温かい眼差しに, 私はすぐに恋に落ちた. 彼と結婚できた時, 私は世界で一番幸せな人間だと思った. 彼のために, どんなことでもできると誓った. 彼の「小説家になりたい」という夢を応援するため, 私はがむしゃらに働いた. 残業は当たり前, 休日返上で働く日々. 彼と彩葉が不自由なく暮らせるように, 私の全てを捧げてきた.

最初の妊娠は流産に終わった. あの時, 私はどれほど自分を責めただろう. けれど, 陽介は「また頑張ればいい」と優しく言ってくれた. そして, 数年後, 彩葉が生まれた. 彼女の小さな手を握った時, 私はこの子のために生きようと心に誓った. それからも, 私は家庭のために働き続けた. 気づけば, 鏡に映る自分は, 疲労でやつれ, 肌も髪も手入れが行き届いていない, かつての面影もない女になっていた. けれど, それも家族のためならと, 私は納得していたのだ.

私は呼吸を整えようと深く息を吸い込んだが, 肺が凍りついたかのように冷たい空気しか吸い込めない. この衝撃は, 私が今まで経験したどんな苦痛よりも, 深く, 鋭く, 私の心の奥底を切り裂いた. 冷静にならなければ. 私は自分にそう言い聞かせ, 震える指先で陽介のスマホを操作した.

メッセージアプリの履歴を遡っていくと, そこには私が今まで知らなかった陽介の "裏の顔" が隠されていた. 彼は松江役員と, 信じられないほどの親密さでやり取りを続けていたのだ. さらに驚くべきことに, そのやり取りの中に, 陽介が使っているもう一つのアカウントがあることを示唆する記述を見つけた. 直感的に, 私はその隠しアカウントを探した. 陽介のスマホには, 複数のSNSアプリがインストールされていた. その中の一つ, 普段彼が使っていないはずのアイコンをタップすると, 別のアカウントにログインされていた. そのアカウントは, 彼の本当の姿を映し出していた.

その隠しアカウントの連絡先リストには, たった一人だけ登録されていた. その名前を見て, 私の心臓は止まった. それは「ヒデちゃん」と書かれていたのだ.

陽介は私を「おい」「なあ」と呼ぶことが多かった. たまに「キコ」と呼ぶこともあったが, それも事務的な時だけだ. 私を愛しい存在として呼ぶことは, この十年近くなかったはずだ. 私はかすかに, 彼が私を「ヒデ」と呼んだ記憶が二度だけあることを思い出した. 一度目は, 私たちが結婚して間もない頃, 新居を探していた時. もう一度は, 彼の実家が多額の借金を抱えたと知らされた時. どちらも, 彼が私に何かを「要求」する場面だった.

彼は, 私を愛しい「ヒデちゃん」と呼ぶように, 私を呼んだことは一度もない. この事実は, 私の胸に鉛の塊を押し込んだかのように重く, 苦しかった.

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