雨が降っていますが、私と結婚しませんか? の小説カバー

雨が降っていますが、私と結婚しませんか?

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雨が降りしきるバス停という、日常の何気ない場所から二人の物語は動き出します。偶然の出会いを果たした「僕」と「君」が、互いの存在を通じて、自分たちの心の奥底に眠る真実の感情を模索し、解き明かしていく過程を丁寧に描いた恋愛小説です。本作は、小説投稿サイト「カクヨム」にて公開されている『雨が降っていますが、私と結婚しませんか?』をベースにしながらも、「蒼海本棚バージョン」として再構築された特別な作品となっています。既存のストーリーを単に再掲するのではなく、独自の展開やルートを盛り込むことで、既読の方にとっても未読の方にとっても新鮮な驚きがある内容に仕上げました。雨の日の静かな空気感の中で、揺れ動く二人の関係性と、本当の気持ちとは何なのかという根源的な問いに向き合う姿を追っていきます。洗練された構成で贈る、切なくも温かい現代ラブストーリーをぜひお楽しみください。物語の終着点に何が待っているのか、彼らの選択を見守っていただければ幸いです。

雨が降っていますが、私と結婚しませんか? 第1章

朝から降っていた雨は、午後の授業が終わっても止む気配はなかった。

ホームルームが終わってから、僕は、バス停を目指し、革製のカバンを傘代わりに使って、走り始めた。

何人か同じようなことをする生徒もいたが、やはり、相合傘をしているリア充共が、雨の日には湧くようだ……

爆発してしまえばいいのに……

そんな不純なことを考えている間に、裏門近くのバス停にたどり着いた。

バス停に着くと、僕よりも早く、バス停に着いている人がいた。スカートの色からして、3年生だ。

僕は、バス停の中に入り、タオルを取り出した。

『あの先輩、ビシヨビショだし、めちゃくちゃ可愛い。

シャツが透けて、目のやり場に困るな。』

と思いながら、

「あの、よかったら、タオルお貸ししますよ?」

と、尋ねた。すると、

「ありがとう、でも、あなたのものだから、あなたが使ってください。」

「もう一枚あるので、大丈夫です。」

「で、でも……」

「下着、丸見えですよ?」

「え!?そ、そういうのは、早く言ってよ〜……、じゃあ、遠慮なくかりますね。」

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

綺麗な声で、僕にお礼を言った。

僕は、バス停のベンチに座った。タオルを首にかけ、ポケットに入れていた、スマートフォンを取り出して、友達からのメールを返信していたら、

「ねぇ、君、名前なんって言うの?」

「ふぇ!?」

声の聞こえた方を見ると、彼女の顔があった。

「だから〜」

「あ、その、えっと、あ〜!!」

「ねぇ、ちゃんと聞いてるの?」

「ちょ、近くないですかああああ!!!!」

無意識的に距離をとってしまった。

「これくらい普通だよ。で、君の名前は?タオルのお礼がしたいからさ、教えてくれる?」

「は、はい。僕の名前は、冴河 裕太《さがわ ゆうた》です。でも、あなたも名乗るべきなんじゃないですか?」

「私のことは、好きなように呼んで。それでいいでしょ?」

上目遣いは、ずるい。こういう時の女子は、強いなー。

「わかりました、では、先輩と呼ぶことにします。」

「君の学年聞いてなかったね、何年生?」

「2年生です、先輩は、3年生ですよね?」

「まあ、なんでそんなことまで知ってるの?まさか、あなたストーカー?」

「ストーカーじゃないですよ。スカートの色見ればわかりますよ。」

「そうかな〜?大抵の生徒は分からないと思うけど……」

「ま、まあ、元々生徒会に所属していましたしっ、今も少し手伝いで生徒会の仕事をしていますから、そんなの当然ですよっ」

「本当かな〜?」

「嘘じゃないですよ!!別に同じ学校なんですから、スカートの色で学年が分かれているくらい常識でしょ!!」

少し焦り気味に言ってしまった。傍から見たら、俺、めちゃくちゃ怪しいな。

「ふふっ、君、とても面白いね。学校同じ人で、私に話しかける人あんまりいないから、新鮮なのかな?」

「勘弁してくださいよ……」

そこからは、ごく普通の他愛ないくだらない話をバスを待っている間、ずっとしていた。

「ところで先輩、名前、聞いていませんでしたね?」

「あ、バス来た。じゃあ、私、行くね。あと、名前は、·····雨沢 雪乃《あまさわ ゆきの》、今日は、楽しかったよ。裕太くん」

不意打ちのように、彼女は、僕の右の頬に、キスをした。

一瞬、フリーズして、手を振る先輩に、手を振り返せなかった。

「なんだったんだ、今の。」

僕は、右の頬を、触りながら、つぶやいた。

ヤバイ、頭の中が沸騰しそうなくらい熱い!!

ダメだ、思考回路が焼け切れてしまう……

「クソっ……」

俺は、雨が降っている道路に飛び出した。

「雪乃先輩っ!!あなたの事を愛します!!」

俺は、梅雨の雨の中で叫んだ。

もう、この思いは止まらない!!

私は今、うつむいている。

その理由は、あまりしゃべったことのない人に、あんなことをして、少しの羞恥心が帰ってきているからである。

「……なんで私あんなことしたんだろう。」

思い出すだけで、私は、頭の中で、何もかもが、沸騰するような感覚がした。

あぁぁぁぁぁっ‼

なんで私あんなことしてしまったんだろうっ‼

恥ずかしいっ‼

ダメダメ、私は、クールで綺麗な女性のイメージを崩さないようにしなきゃ。

「でも……」

私は指で唇に触れた。

あの感覚はまだ消えていない。

いや、この感覚は一生忘れないと思う。

「……私の、ファースト、キス」

私はボソッとつぶやいた。

熱いっ‼

空間ではなく、私の頭の中が熱いっ‼

夏が近づいてきているのに、私の頭は、夏の気温よりも熱いような気がしますっ‼

「……なんで私はこのようなことで動揺しているのでしょう。」

そう、私は人をからかうような人間であって、人に照れさせられる人間ではないのである。

「ダメだ、別のこと考えよう。」

私は、切り替えのできる女なのである。

そういえば、最初に彼に会ったのって去年だったっけ……

「うぉっ‼」

「きゃっ⁉」

去年の4月14日

あの日、私は、クラスで集めたプリントを理科準備室に運んでいた。

私は運悪く、階段から足を滑らせてしまった。

プリントもあたり一面に散らかしてしまった。

どうやら、後ろには、人がいたようで、その人にぶつかったが、倒れることはなかった。

「……大丈夫ですか?」

彼は、私の態勢を元に戻し、プリントを集め始めた。

その当時の私は、まだ眼鏡を付けていた時期で、今よりもはっきり顔を相手に見せるような人間ではなかった。

そのため、今日、彼に会った時、彼は私にあったことがあることすら知らなかった。

「はい……、大丈夫です。それより、プリントは、私が集めるので、結構ですよ……」

「いえ、俺、人を助けるのって結構好きなんです。」

この時は、まだ、一人称が『俺』だったんだよね。

「……ところで、君、名前何っていうの?」

「あ、俺は、1年の冴河裕太です。ところで、そちらは?」

「私は、2年生だよ。でも、名前は教えてあげられない。」

「俺には聞いたのにっスか……」

「それが先輩の特権ですっ‼」

「ケチだな~」

「もうっ‼そんなことより、私、早くこのプリントもって行かないとっ‼」

「この量を一人で運んでたんスね、俺も手伝います。」

「えっ、でも、これ以上迷惑かけられないよ。」

「何言ってんですか、先輩、めちゃくちゃふらついていたんですよ。だから、階段上ってるとき、倒れないか心配で、後ろつけてたんですよ。」

「……っ⁉」

私はこの時、キュンと来てしまったのである。

「す、す、す、す……」

「あの、先輩?」

「このストーカー‼」

「いや、俺ストーカーとかじゃないですよ‼確かに今のいい方的に誤解されるのは当たり前ですけど、俺は、心配で……て何笑ってるんですか‼」

「いや、冗談で言ったつもりだったんだけど、君が予想以上に、弁明するところが面白くて、ついっ‼」

「いや、「ついっ‼」じゃないですよ。聴く人が聞いたら、本当にストーカーで通報されますって。いや~、焦った~。」

「ゴメン、ゴメン。でも、思い出すだけで笑えて……」

「もういいから、行きますよ。早く持って行かなくちゃいけないんでしょ?」

「あ、そうだった。理科準備室までお願いします。」

「あいよ。先輩って面白い人っスね。クラスで人気ですか?」

「ううん、私はいつも、一人だよ。」

「……っいない」

「えっ⁉」

「先輩のクラスの人たち、もったいないっスね。」

「そうかな……」

「そうですって‼」

「いや、たぶん私から離さないだけで、みんな私に話しかけようとしてくれてるんだと思うけど私は、人と馴染めないから。」

「そんなの、関係ねぇーっスよ。」

「えっ⁉」

「先輩、何か勘違いしてるっスから、一つ、アドバイスです。」

「はい……」

「みんなと、もう少し打ち解けてみてください。きっとうまくいきますよ。」

「私そんなこと……」

「できますよ、先輩なら。だって、先輩、素敵ですもん。」

「……もうっ‼先輩はからかっちゃダメ、なんだから」

「は、はい、すみません。でも……」

「でも?」

「恥ずかしがってる先輩もめちゃくちゃ可愛いです」

「君、よくそんなことを恥ずかしげもなく言えるね」

「俺だって、表情に出ていないだけで、めちゃくちゃ恥ずかしいんですよ……」

「そ、それは、ごめん……」

「「……」」

ん〜、気まずい

「ま、まあ、人は誰しも恥ずかしい経験をすることで成長するとも言うし、いいんじゃないかな?」

「そ、そうですよね!!さすが先輩いいこと言う!!」

「で、でしょ!!じゃあ、そろそろ着いたから……」

そうこうしているうちに、私たちは、理科準備室の前に来た。

「ありがとう冴河君、手伝ってくれて。」

「いいっスよ、こんなの。困ってる人がいたら助けるのが俺のポリシーっスから。」

私は冴河君が持っていたプリントを受け取り、

「じゃあね。」

そう言って理科準備室に入った。

「遅かったね、雨沢君。」

「すみません、階段で転びそうになってしまったので。」

この人は、私のクラスの担任の野良井《やらい》先生。私の最悪の敵である。

「それは危なかったねぇ~」

「いえ、特に怪我はしていないと思うので大丈夫です。」

「いや、心配だから、先生が本当に怪我をしていないか……」

先生は椅子から立ち上がり、部屋の鍵を閉めた。

「私が調べてあげよう。」

「な、何してるんですか……」

そして、着ていたワイシャツのボタンをすべて外し、ベルトまで外していた。

「何って決まってるだろ~、検査の時間だよっ‼」

「……っ⁉」

私は、そのまま、壁に押さえつけられた。

「は、離してください‼」

「君、叫んでも無駄だって知ってるよねぇ~、この部屋、防音なんだよ。」

「嫌ぁ~」

「その表情だよっ‼私が欲しているのは、青い果実の苦しんでいる顔が見たかったんだよ‼さあ、このままお前を壊してやるよぉ‼」

「きゃっ‼」

ブレザーとワイシャツのボタンを、一気に外され、そして履いていたタイツでさえ、一気に破られてしまった。

『ダメだ、もう、私、終わるんだ……』

その時、

‶カチャッ″

部屋の鍵が開く音がした。

「お、先輩大丈夫っスか?」

「……冴河君、助け」

「なんだ君は‼私たちは今、進路相談をしてるんだ。出て行きたまえ‼」

「何言ってんスか、あんた」

「はぁ?」

「あの~、お楽しみ中悪いんスけど、野良井先生、あんた、これで積っスよ。」

「何を言っているんだ君は……」

「県警の川崎というものです。野良先生、あなたを、強制わいせつ罪の現行犯で逮捕します。一緒に来ていただきますよ。」

「バカ言うなっ、貴様ら警察が、この場にいることすらおかしい‼」

「バカはお前だ、野良井。俺がなぜ今日先輩に接触したか知らねぇだろ。」

「えっ⁉」

「川崎さん、お願いします。」

「ああ、裕太君。あなたへの被害届が14件着ていたんです。なので、ちょうど知り合いの子が入学する高校に野良井さん、あなたがいたので、協力してもらいました。」

「なん、だと。初、証拠はどこにあるんだ‼証拠を出せ‼」

「証拠ならこれだ。」

冴河君は、ポケットからスマホを取り出した。

『は、離してください』

『君、叫んでも無駄だって知ってるよねぇ~、この部屋、防音なんだよ。』

それは、さっきまでの様子の動画だった。

「そ、それの動画、どうしたんだ‼」

「撮りました」

「だからどうやって撮ったのか聞いているんだ‼」

「知らないんですか?先輩の髪にヘアピンついてるでしょ?それ、カメラですよ。」

「なん、だって……」

「あ、そうそう、これ、警察の協力ってことで、警察の備品借りてるんで、壊したりすると、公務執行妨害でさらに逮捕されますよ。」

「この、ガキが……」

「では、野良井さん……」

川崎刑事は、野良井先生に近づいていき、

「17時45分逮捕。」

「クソぉ‼」

こうして、私の処女と、ファーストキスは、一人の高校生と、刑事によって守られた。

「すみません、先輩。利用したりしてしまって。」

冴河君は、着ていたブレザーを私に渡した。

「いいよ、それよりも……」

私は眼鏡をはずし、

「助けてくれて、ありがとう。」

私のできる最高の笑顔で言った。

「さ、さっきも言ったんですけど、俺は、人助けは、好きでやってるかけですよ。」

「あ、照れてる~」

「て、照れてないっすよ。」

「ほんとかな~」

「ああ、もうっ‼先輩も、警察署、行ってくださいね。被害届と、事情聴取ですけど」

「うん、わかってるよ。」

この翌日から、私は伊達メガネをはずし、学校に登校するようになった。

「懐かしいな。なんで今更思い出してんだろう、私。」

バスに揺られながら、私はつぶやいた。

「あ、もうすぐ着く。」

私は、ボタンを押し、バス停に降り立った。

バスを降りると、雨は止んでいて、空には、虹が架かっていた。

私の心も晴れ模様、もう雨に降られたりしないんだからっ!!

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