裏切りの指輪と、私のα の小説カバー

裏切りの指輪と、私のα

7.9 / 10.0
アルファの誕生日、最愛の彼が連れ帰ったのはかつてのつがいだった。『裏切りの指輪と、私のα』は、愛と復讐が交錯する人狼たちの運命を描くfantasy作品。結契の記念日に目撃した裏切りと、自分と同じ指輪を嵌めた女の嘲笑。狼の魂が苦痛に叫ぶ中、主人公は残酷な真実と向き合い、自らの居場所を懸けた決断を迫られる。web novelで人気のwerewolfストーリー。裏切りに満ちたromance novelの行方は。
「裏切りの指輪と、私のα」のあらすじ
アルファの誕生を祝う宴の夜、彼はかつての番であった女性を連れて帰還した。かつて彼を無残に捨て去ったはずのその女に対し、彼は復讐を果たすかのように振る舞う。私に世界のすべてを捧げるような素振りを見せつつ、彼女を水牢に閉じ込め、狂気的なまでの苦しみを与えていた。しかし、私たちが結契を交わした記念すべき日に、私は残酷な光景を目撃してしまう。部屋の中で、彼はあの女を抱きしめ、新たな印を刻んでいたのだ。「もし“ルナ”に見つかったらどうするつもり?」と嘲笑う女に対し、彼はただ罰を与えているだけだと突き放す。だが、女は扉の外で立ち尽くす私に気づくと、声に出さず唇の動きだけで問いかけてきた。「自分のアルファが私と睦み合っている気分はどう?」と。彼女が誇らしげに掲げた指には、私と同じ婚約指輪が鈍く光を放っていた。その瞬間、私の中に宿る狼は絶望に叫び、全身を裂くような激痛が駆け巡る。背後から聞こえる「誰と話している」という彼の声さえ、今の私には届かない。裏切りと執着が渦巻く、愛憎の物語が幕を開ける。
もっと見る

裏切りの指輪と、私のα 第1章

アルファであるデニスの誕生パーティで、彼は一人の女を連れて帰ってきた。

かつて彼を捨てた、元メイトの女を。

彼は世界のすべてを私に捧げる一方で、彼女を狂おしいほどに痛めつけ、ついには水牢へと放り込んだ。

けれど、契りの記念日である今日、私は見てしまった。

彼が部屋でヴァージニアを抱き、マーキングしているところを。

「まさかまた私の手の中に落ちるなんて思わなかったでしょ? あなたのルナに見つかったらどうするの?」

「これは罰だ。お前を罰しているにすぎない」

ヴァージニアは軽やかに笑うと、ドアの外に佇む私に視線を向けた。

「自分のアルファが私と寝てるのを見る気分はどう?」

声には出さず、唇の動きだけでそう告げてくる。

そして得意げに片手を持ち上げてみせた。

その手には、私と同じ結婚指輪が嵌められている。

その瞬間、私の中の狼が再び苦痛に呻いた。

耐え難い痛みが全身を駆け巡る。

「ヴァージニア、誰と話している?」

……

「愛しいアルファ、あなたが罰してくださっているのに、どうして私が他のことに気を取られたりするでしょう?」

ヴァージニアは笑ってデニスの首に腕を回した。

「すごく気持ちいいわ、アルファ。あなたの部屋中に、私の匂いを残してあげる」

一瞬動きを止めたデニスだったが、すぐに前にも増して激しく腰を突き上げ始めた。

「俺は罰を与えているんだぞ、何を考えている!」

「発情した雌犬みたいで反吐が出る!」

「俺のルナに謝れ!」

ヴァージニアは再び私に視線を送り、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「ええ、もちろん!ごめんなさいね、ルナ。あなたのアルファと寝るべきじゃなかったわ」

「でも、あなたのアルファは本当にすごいの。最高に気持ちいい!」

私は思わず二、三歩後ずさった。体の中で痛みが爆ぜ、その場に崩れ落ちる。

三年前、デニスと契りを交わして以来、私の中の狼は意思疎通を拒み、ただ苦しげに呻くだけになった。

そして私の身体もまた、四六時中、激しい痛みに苛まれ続けていた。

私が痛みに泣き崩れると、デニスはひどく心を痛めた。

数ヶ月後、彼は魔女に調合させたという薬を持ってきた。これを飲めば楽になる、と。

この三年間、私はその薬に頼ることで、かろうじて穏やかな生活を送れていた。

しかし、今日は私たちの契りの記念日。

彼を驚かせたくて、その準備に夢中になるあまり、薬を飲み忘れていたのだ。

まさか、こんな光景を目にすることになるなんて。

狼が呻き、身体が痛むのは、警告だったのだ。

私のアルファが、裏切っているのだと。

私は耐え難い痛みを引きずりながら、デニスから渡された薬を持って病院へ向かった。

目の前の医師は、憐れむような目で私を見つめている。

「これは……魂の繋がりを遮断する薬です」

「これを飲めば、あなたの中の狼はアルファの裏切りを感知できなくなる」

「身体の痛みも感じなくなるでしょう」

そういうことだったのか。

乾いた笑いがこみ上げた。

「つまり……私が毎日感じていた痛みは、私のアルファが毎日愛人と体を重ねていたから、ということですか?」

医師は眉をひそめ、重々しく口を開いた。

「……その通りです」

彼は一瞬ためらった後、さらに続けた。

「それに……あなたの中の狼は傷ついているわけではない」

「何者かによって……呪いをかけられているのです」

呪い。

デニスは、己の裏切りを隠すためだけに、私に呪いをかけたというのか!

私は椅子に座ったまま、虚空を見つめた。

(どうして、こんな仕打ちを……)

私はデニスにとって二人目のメイトだ。

彼がヴァージニアとの契りの儀式で捨てられたその場で、月の女神によって選ばれたのが私だった。

壇上で茫然と立ち尽くす彼に、私は歩み寄り、手を差し伸べた。

「月の女神が私を選んだのなら、私と番になってほしい」

後にデニスは言った。「君は俺の救いだ」と。

そして、心から私を愛していると囁いた。

結婚後、デニスの友人たちは決まって、あの逃げ出したメイトの話を私の前でした。

聞けば彼女は、結婚式の当日に別の強大な群れへ走り、そこのアルファと契りを交わしたらしい。

デニスには、こんな言葉を残して。

「群れで最も弱いアルファが、どうして私に相応しいと思うの?」

その言葉が、デニスを変えた。

私と契りを交わした瞬間、彼は「キング・オブ・ライカン」へと覚醒したのだ。

「君はいつも俺に幸運を運んでくれる、ジョアンナ」

誰もが、デニスは私に夢中だと言った。私自身もそう信じていた。

だが、その幸せは長くは続かなかった。

数ヶ月後のデニスの誕生パーティで、彼は一人のオメガを連れて帰ってきたのだ。

「奴らの群れを乗っ取った。俺への誕生日プレゼントだ!」

「こいつは契りの儀式で俺を捨てた女だ。そいつのアルファは、この手で殺してやった!」

「さあ、狂宴の始まりだ!」

その言葉を合図に、出席者たちが一斉に動き出す。

ヴァージニアの白いドレスは瞬く間に酒で汚され、服は引き裂かれていった。

だがその瞬間、デニスは彼女を腕の中に抱き寄せた。

「こいつは今日から俺の奴隷だ。水牢へぶち込んでおけ!」

デニスは私と体を重ねるたび、どれほどヴァージニアを憎んでいるかを語った。

けれど、彼の瞳の奥に、ヴァージニアへの未練と愛が揺らめいていることに、私は気づいていた。

彼はまだ、彼女を愛しているのだ。

それを認めようとはしなかったが。

それからというもの、彼は常軌を逸したやり方でヴァージニアをいたぶり続けた。

私たちが体を重ねている傍らで、跪いて私の足を舐めさせたり。

ならず者の狼たちに犯させながら、部屋の掃除をさせたり。

私が妊娠していた時には、ヴァージニアに手ずから私の衣服を洗わせたりもした。

ヴァージニアが抵抗するたびに、デニスはそれを口実に彼女を小部屋へ引きずり込み、激しく「罰」を与えた。

部屋からは、ヴァージニアの悲鳴が漏れ聞こえてきた。

だが少し前、二人が揉み合っているうちに、不意に私を階段から突き落としてしまった。

待ち望んでいた我が子が、私の中から消えてしまったのだ。

しかし、デニスは私を慰めるどころか、半裸に近いヴァージニアを引きずってまた小部屋へと消えた。

そして戻ってくると、ただ一言だけ言い放った。

「お前のために、罰は与えておいた」

私は彼の背中を見つめながら、静かに服の裾を握りしめた。

薬を飲んでいたせいで、身体の痛みはまったく感じなかった。

それでも、何かがおかしいという感覚は拭えなかった。

流産の後、もう一度子供が欲しいとデニスにせがんだが、彼はそのたびに私を拒んだ。

「君の身体はまだ不安定だ。妊娠は大きな負担になる」

けれど、本当は彼も子供を望んでいることを、私は知っていた。

彼の服から、ヴァージニアの写真を見つけてしまったからだ。

写真の裏には、こう書かれていた。――あなたとの子が欲しい。

——

かつての私は、デニスの行いはすべてヴァージニアへの復讐なのだと、自分に言い聞かせ続けてきた。

しかし今、残酷な真実を認めざるを得ない。

デニスは、今もヴァージニアを愛しているのだ。

そして、その裏切りを続けるために、私の中の狼に呪いをかけたのだ。

続きを読む

裏切りの指輪と、私のα 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

52回の約束、砕かれた愛の終焉 の小説カバー
9.3
大木一清と過ごした5年間、私は彼に尽くし続けてきた。しかし、その献身は52回目となる約束の反故によって無残に打ち砕かれる。店の記念パーティーという大切な日、一清は新人バイトの小野田結愛が負った軽微な擦り傷を理由に、私の前から去ることを選んだ。彼の腕の中で勝ち誇った笑みを浮かべる結愛と、私の好物すら把握せず、子供をあやすような空虚な言葉で場を凌ごうとする婚約者。親友の憤りや両親の憐れみの視線が、私の惨めさを浮き彫りにする。この日のために心血を注いできた時間は、彼にとってその程度の価値しかなかったのだ。絶望の果てに感情が消え失せた私は、完璧な作り笑顔で彼を送り出す。そして、数日かけて作り上げた特製のウェディングケーキを床へと叩きつけた。粉々に砕け散った甘い残骸は、私の愛の終焉そのものだった。もう二度と、この男に捧げる未来はない。私はすべてを捨て、思い出が染み付いたこの街を去る決意を固めた。
冷徹パイロットは契約妻を逃がさない の小説カバー
8.7
パトロンである桐谷蓮司から「本命になれると思うな」と冷酷な警告を突きつけられた宮沢凪佳。その直後、彼女は婚約者である天才パイロットの高嶺颯真のもとを訪れ、挑発的なキスと共に「今すぐ入籍する度胸はあるか」と契約結婚を迫る。颯真は冷淡な態度でそれに応じ、二人の関係は単なる便宜上の取引として始まるはずだった。しかし、新婚生活が幕を開けると、彼の「禁欲的」な仮面は無残にも崩れ去る。毎晩のように繰り返される激しい求愛。さらに、仕事場である機内のコックピットでさえ、彼は凪佳の耳元で甘く囁き、昨夜の彼女の秘めやかな声を録音したと告げて翻弄する。羞恥に震える彼女の手首を掴み、制御卓へと押し付けながら、颯真は逃げ場を奪うように言い放った。「まだ抵抗するのか? 管制塔に君の声を届けてもいいんだぞ」。冷徹なキャプテンによる執着は、もはや誰にも止められない。逃げられない契約から始まる、あまりに過激で甘美な独占愛が今、加速していく。
慰謝料で数千億貰った元妻、実は世界一の大富豪でした。 の小説カバー
9.1
結婚から二年の月日が流れたある日、桜庭海はあまりに身勝手な理由で妻に別離を突きつけた。「彼女が帰ってきたんだ。別れてほしい」という言葉。かつての恋人の出現により、海との平穏な夫婦生活はあっけなく幕を閉じることになった。元カノの涙を前にして揺らぐ夫の姿を目の当たりにし、遠坂希は取り乱すこともなく、ただ静かにその要求を受け入れる決意をする。しかし、彼女はただ無言で去るような女ではなかった。身を引く代わりの条件として希が提示したのは、常識を遥かに超える莫大な代償だった。「最高級のスーパーカーを譲ること」「郊外にある別荘を渡すこと」そして極めつけは、「この二年間で築き上げた数千億円にのぼる全資産を、きっちり半分に分けること」だった。予想だにしない巨額の要求を前に、それまで余裕を見せていた海は言葉を失い、激しく動揺する。クールで冷徹な元妻による、華麗なる逆襲劇がいま幕を開ける。実は世界一の大富豪という真の姿を隠し持っていた彼女の、正体が暴かれる日はそう遠くない。愛を捨てた男が支払うことになった慰謝料の代償は、あまりにも大きすぎたのだ。
彼の望まれない番、彼女の禁断の魔法 の小説カバー
8.4
狼族の頭領である夫・大和の「番」として五年の月日を過ごした私。しかし、彼の心は常に別の女、玲奈に向けられていた。そんな仮面夫婦の終焉は、華やかなパーティーの最中に突如として訪れる。天井から巨大なシャンデリアが落下したその瞬間、大和が選んだのは私を救うことではなく、玲奈を身を挺して守り、私を破片が降り注ぐ危険な場所へと突き飛ばすことだった。一命を取り留めたものの、私の心身と内なる狼との絆は修復不可能なほどに傷ついてしまう。追い打ちをかけるように、見舞いに訪れた大和は後悔の念も見せず、神聖な番の契りを断ち切る「離縁の儀」を冷酷に宣告した。魂を引き裂く激痛に私の心臓は停止し、死の淵へと追いやられる。しかし、静止したモニターを前に、駆けつけた医師の絶叫が響き渡った。大和が冷酷に切り捨てた私の体には、彼との間に宿した新たな命が息づいていたのだ。あまりにも残酷な裏切りの果てに、隠されていた真実が暴かれる。
奪われたルナ ― 彼の究極の後悔 の小説カバー
9.7
「血月の一族」のアルファ、遠野彰人の運命の番として、私は五年間ルナの座を守り続けてきた。しかし、彼の心は常に別の女、藤堂詩音の元にあった。運命が残酷に牙を剥いたのは、私と詩音の共通の誕生日だ。彰人が私への贈り物だと約束していた銀色のドレスを纏い、詩音は一族の前で彼に口づけを贈る。彰人は詩音を「守るべき弱き存在」と呼び、私にはルナという空虚な肩書きだけを与え、裏では彼女への愛を育んでいた。私の苦しみは無視され、絆を通じて聞こえてきたのは「番というだけで自分を縛るな」という彼の不満だった。溺れるような孤独の中で、私は悟る。彼は運命の相手などではなく、ただの臆病者であり、私は彼を閉じ込める鳥籠に過ぎなかったのだと。私は絶望の果てにホールを去り、彼との絆を自ら断ち切る決断を下した。砕け散った絆を前に、彼は初めて狼狽し、縋るような言葉を口にする。だが、自由を手に入れた私の心に、もはや彼が入り込む余地はない。五年間に及ぶ偽りの愛と後悔の物語が、今ここに幕を閉じる。
冷酷御曹司に隠し子がバレました の小説カバー
8.1
彼の「慰みもの」という立場でしかなかった彼女が、人生で一度きりの大胆な決断を下す。それは、彼との間に宿した新しい命を、密かに守り抜くことだった。愛する我が子を何としても守りたい彼女は、わざと周囲を巻き込むほどの大騒動を引き起こす。狙い通り、彼女の振る舞いに堪忍袋の緒が切れた彼から屋敷を追い出されることに成功した。彼女は即座に子供を連れて逃亡を図るが、その鮮やかすぎる失踪劇が、皮肉にも冷酷な彼の執着心に火をつけてしまう。ついに居場所を突き止められ、力ずくで連れ戻された彼女は、行き場のない怒りをぶつけた。「もう二度と、あなたの世話なんてしたくない!」と。しかし、彼女の腕の中にいる幼い娘の存在に気づいた彼の反応は、予想だにしないものだった。冷徹だったはずの彼は、愛おしそうに二人を見つめ、こう囁いた。「それなら次は、俺が女王様とお姫様のお世話をさせてもらうよ」。逃れられない運命と、隠し子の発覚から始まる新たな関係。冷酷な御曹司と逃亡した彼女の、狂おしくも甘い攻防戦が幕を開ける。
章
今すぐ読む
共有