利用し合う関係だったのに、彼が壊れていく の小説カバー

利用し合う関係だったのに、彼が壊れていく

9.2 / 10.0
裏切りへの復讐を誓った西園寺芽衣は、冷徹な実業家・篠原颯真に接近する。目的を果たすために彼を利用しようと画策し、颯真もまた芽衣の美貌と身体を渇望するのみで、二人の間に愛など介在しないはずだった。しかし、彼の傍らには芽衣と生き写しの令嬢がいた。颯真の心に深く刻まれている「奥様」という存在が自分ではないという残酷な事実に気づいた芽衣は、彼との決別を決意する。莫大な手切れ金を受け取り、彼女は颯真の前から姿を消した。時は流れ、芽衣が別の男性と結ばれるはずの結婚式当日。そこには、かつての冷酷さを失い、なりふり構わず芽衣の足元に跪く颯真の姿があった。「頼む、他の男と結婚しないでくれ」と、崩れ落ちるように懇願する彼。利用し合うだけの関係だったはずの二人の運命は、執着と絶望が入り混じる中で大きく狂い始めていく。愛を知らなかった実業家が、失ったものの大きさに気づき、壊れていく様を描く現代ロマンス。

利用し合う関係だったのに、彼が壊れていく 第1章

暗いホテルの部屋、窓の外から差し込む夕焼けが篠原颯真の体を照らし、低くて曖昧な息遣いが微かに聞こえてくる。

篠原は男性の首に腕を絡め、その薄い唇に軽く噛みついた。 柔らかい手が男性の体を滑り、彼の浴衣の帯を引っかけた。

「感じてるよね。 」と篠原は微笑みながら囁いた。 その唇の端や眉の動きには、誘惑の香りが漂い、彼女は力を込めて男性の最後の防御を取り払った。

篠原は西園寺芽衣に窓際に押し付けられ、彼の熱い息遣いが彼女の肌を覆い尽くす。 彼の声は低く、抑えきれない欲望が滲んでいた。

「颯真、危ない遊びをしてるんだぞ!」西園寺は片手で窓を支え、もう片方の手で彼女の足を高く持ち上げた。 「これ以上続ければ、君と庭琛の間に戻る道はなくなる!」

「分かってる。 」と篠原は目を伏せ、細い腕で彼の腰を引き寄せた。 「芽衣、私は決めたの。 私に……」

元婚約者の庭琛が浮気しているのを目撃したときから、彼女は決めていた。 部屋に閉じこもって酒に溺れるか、庭琛への復讐を貫くかのどちらかだと。

だからこそ彼女は慎重に選び、西園寺芽衣を選んだ。 彼は28歳で、身長187センチ、未婚のままたくましい体格を持つ。 そして何よりも重要なのは……彼の立場だ!

庭琛が彼女の妹と浮気するなら、なぜ彼女は芽衣を誘惑してはいけないのか? 「君がやったことに対して、私はこれをやる。 それでおあいこだ!」

芽衣の目は複雑で、皮肉を込めて言った。 「颯真、君が何を考えているか分からないと思うか?私を使って庭琛に復讐しようとしているのか?ふん、来る者拒まず?私を何だと思っているんだ?」

さらに言えば、篠原は彼の甥、庭琛の元婚約者だった。 もし庭琛が浮気していなければ、来月には結婚式が行われる予定だった。

篠原の美しいネイルが彼の胸をかすめ、腹筋を下って彼の硬い部分を握った。

「少なくとも、あなたの体は正直よね?」 「芽衣、ただの一夜の関係よ。 お互いの同意のもと。 もし私を望まないなら、どうしてこのラブホテルの部屋に来たの?」

篠原は彼の胸に顔を埋め、舌で彼の胸筋をなめた。 「もし望まないなら、今すぐ私を押しのければいいわ。 私はA市で指折りの名家の娘よ。 私を求める男はたくさんいるの。

」 「あなた一人くらいどうってことないわ!」

彼女が芽衣を誘惑したのは、彼を利用したかったからだ。

芽衣はどうだ? 最初から純粋な目的で来たのか?彼女に言わせないで欲しい。 芽衣が彼女を正しい道に戻そうとしたなんてことは。

芽衣はもう篠原の誘惑に耐えられず、彼女を抱きしめる力を強め、息を荒くし、彼女の顎を掴んで強くキスをした。 まるで怒りをぶつけるかのように彼女の口紅を乱した。

彼の声には深い意味が込められ、強い欲望があった。 「まさか、篠原家の名家の娘が服を脱ぐとこんなに大胆だとは思わなかった!」

彼女の大胆さは芽衣を狂わせるほどだ。

両家の見合いの宴で、芽衣は篠原を見た。 彼女はおとなしく、特に年配者に好かれるタイプの良い娘だった。

しかし、誰が想像できただろうか。 そんな良い娘が婚約者の浮気を見つけた後、泣きもせず騒ぎもせず、静かに去り、婚約者と妹の婚約パーティーで、彼女はこの男の叔父をホテルの特別室に招いた。

自ら婚約者の叔父のネクタイを外し、シャツを脱がせ、大きな窓の前で大人の情熱を解放するとは?

芽衣は篠原の細い腰を掴みながら低い声で言った。 「颯真、君が私を誘惑するのは、ただ庭琛に復讐するためなのか? それとも別の目的があるのか?」

「私は……」と篠原が答えようとした瞬間、彼の荒い手が彼女の柔らかさをしっかりと掴んだ。

芽衣は彼女を自分に引き寄せ、彼女を飲み込むかのように言った。 「答える前に、よく考えろ!」

続きを読む

利用し合う関係だったのに、彼が壊れていく 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

戻れない約束、離れられない心 の小説カバー
8.2
家族から見放され、冷酷な悪党の手に堕ちていた彼を、私はただ同情心から救い出した。地獄から抜け出した彼は、一生をかけて私を大切にすると誓ってくれたはずだった。しかし、彼が本来の家族に受け入れられ、かつての地位を取り戻したとき、現実は無情に崩れ去る。私は偶然にも、彼が友人の前で放った本心を聞いてしまったのだ。「あんな女は愛に飢えた年増に過ぎない。下心を抱いて俺に近づいたんだ。もし命の恩人でなければ、そばに置く価値もない」と。彼にとって私は、救済者ではなく打算的な女に過ぎなかった。真実を知った私は絶望し、彼の望み通りその前から姿を消す決意をする。ところが、いざ私が離れると、彼は激しい後悔に苛まれることになる。かつての傲慢さは消え失せ、彼は充血した瞳に涙を浮かべながら、震える声で私に縋り付いてきた。「お姉さん、僕を捨てないと言ったじゃないか」と。一度壊れた約束と、冷め切った心。すれ違う二人の愛の行方は、あまりにも皮肉な結末へと向かっていく。
離婚届にサインしたら、私は元夫では手の届かない真の令嬢でした の小説カバー
9.5
交通事故で視力を失い、誰からも見捨てられた蕭明隼人を救ったのは、明石凛ただ一人だった。彼女は彼と結婚し、三年の歳月を費やしてその目を治療する。しかし、視力を取り戻した隼人が彼女に突きつけたのは、あまりに非情な離婚届だった。かつての恋人・秋子との時間を奪ったと凛を責め立てる彼は、三億円の宝飾品を贈り、彼女を冷酷に追い出す。世間からも「身の程知らず」と嘲笑され、全てを失ったかのように見えた凛。だが、彼女こそが隼人の目を治した名医であり、三億のジュエリーを手がけたデザイナー、さらにはウォール街やハッカー界を震撼させる伝説の天才にして、大統領家の真の令嬢という正体を持っていた。真実を知り、後悔に震えながら復縁を乞う元夫の前に、京の実業界に君臨する冷徹な権力者が現れる。「彼女は俺の妻だ」と宣言し、凛を抱き寄せる男。その傍らで、彼女は余裕に満ちた微笑を浮かべる。かつての献身を捨て、真の輝きを取り戻した令嬢による、華麗なる逆転劇が幕を開ける。
籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い の小説カバー
8.2
結婚三周年の記念日、織田七海は丹精込めたディナーを用意して夫の帰りを待っていた。しかし、戻ってきた夫が口にしたのは「妊娠中の恋人がいる」というあまりに非情な離婚宣告だった。元カノのために捨てられた彼女は世間の嘲笑の的にされるが、離婚を機に隠された本性を現していく。次々と明かされる裏の顔が世界を驚愕させ、彼女は圧倒的な存在へと変貌を遂げた。かつての妻の輝きを目の当たりにした元夫は、特大のダイヤを手に土下座で復縁を迫るが、もはや手遅れだった。冷徹に拒絶する七海の傍らには、彼女を独占しようとする実力者・高田宗紀の姿があった。宗紀は執着心を隠さず、馴れ馴れしく縋りつく元夫を容赦なく排除するよう命じる。愛に裏切られた女が自らの価値で世界を屈服させ、真に自分を愛する男と共に新たな人生を歩み出す。クズな元夫への痛快な復讐と、億万長者との情熱的なロマンスが交錯する現代ドラマチックな物語。
愛を欺いた男に、最後の裁きを—— の小説カバー
9.3
見知らぬ女に肉体を乗っ取られた私は、絶望の淵に立たされていた。その女は私の人生を蹂躙し、愛する両親と絶縁させただけでなく、最愛の兄を事故に遭わせ、植物状態へと追いやったのだ。すべては一人の身勝手な男を追い求めるための暴走だった。長い歳月を経てようやく自身の体を取り戻した私は、人生を狂わせた男への復讐を誓う。華やかな大スターの仮面を剥ぎ取り、社会的地位を失墜させた私に、男は涙ながらに縋りつく。だが、私の怒りは収まらない。あえて離婚を拒み、男を追い詰めると、彼は私を殺害するために刺客を放った。張り巡らされた幾重もの罠が交錯するなか、男の真の正体と罪状が暴かれ、彼は富も名誉もすべてを失って終身刑の判決を受ける。ついに私の意識を侵食し続けていた女の存在も消え去り、忌まわしい過去から解放された。奪われた時間と絆を取り戻すため、私は静かに、そして力強く新たな人生の一歩を踏み出す。愛と憎しみの果てに掴み取ったのは、真実の裁きと平穏な未来だった。
高温末世、私だけが生き延びる理由 の小説カバー
9.2
養子として育った私は、育ての親への恩義から実の両親の遺産を拒み、家族に尽くしてきた。しかし、未曾有の酷暑が世界を襲う中、私の善意は最悪の形で裏切られる。弟の妻が「跡継ぎを産むための薬」を捨てるきっかけを作ったとして、家族から家系を絶やした元凶だと激しく非難されたのだ。灼熱の地獄へと無慈悲に追い出された私は、焼けつくような暑さの中で孤独に命を落とした。ところが、目を覚ますと終末が訪れる前の過去に遡っていた。二度目の人生では、かつて辞退した莫大な遺産をすべて受け取り、最新鋭の設備を備えた完璧なシェルターを建設。来るべき酷暑への備えを万全に整える。冷房が完璧に効いた快適な部屋で、贅を尽くした料理を堪能しながら、私はただ静かにその時を待つ。自分を死に追いやった身勝手な家族たちが、外の世界で灼熱に喘ぎ、絶望の淵に沈んでいく姿を特等席で見届けるために。今度は私が彼らを突き放し、冷徹にその最期を見送る番なのだ。
私は、億万長者の後継者を一晩で手に入れました の小説カバー
8.9
婚約者の拓海に弁当を届けに向かった先で、私が目にしたのは親友の千夕と密通する彼の姿だった。裏切りに絶望した私は、自棄になってバーで出会った見知らぬ男を一夜の相手として買い、鬱憤を晴らす。しかし、その正体は勤務先である航空会社の親会社を統べるCEOだった。彼との情事は終わらず、フライト中の機内という密室で屈辱的な行為を強いられた上、その様子を隠し撮りされてしまう。「清純派CAの機内売春」という事実無根のスキャンダルが社内に拡散され、私は弁明も叶わず無期限の乗務停止処分を下された。愛も友情も失い、三年間心血を注いだ夢の仕事さえも理不尽に奪われた私は、荷物を抱え絶望の中で会社を去ろうとする。そんな私の前に、突如として四人の黒服の男たちが立ちはだかった。彼らは、あの「悪魔」のようなCEOが地下駐車場で待っていると告げる。私の窮地を救う方法があるという彼の真意とは。全てを失ったどん底の地で、新たな運命の歯車が回り始める。
今すぐ読む
共有