籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い の小説カバー

籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い

8.2 / 10.0
結婚三周年に夫から離婚を宣告された織田七海。『籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い』は、捨てられた妻が投資の才能で富を築く姿を描くbillionaireジャンルのmodern novelです。裏アカの正体が露見し、世界を魅了する彼女の前に、冷徹な富豪・高田宗紀が現れます。後悔する元夫を余所に、七海は自らのレートを上げ続け、真の愛と権力を手に入れます。このromance storiesで、逆転の復讐劇が幕を開けます。
「籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い」のあらすじ
結婚三周年の記念日、織田七海は丹精込めたディナーを用意して夫の帰りを待っていた。しかし、戻ってきた夫が口にしたのは「妊娠中の恋人がいる」というあまりに非情な離婚宣告だった。元カノのために捨てられた彼女は世間の嘲笑の的にされるが、離婚を機に隠された本性を現していく。次々と明かされる裏の顔が世界を驚愕させ、彼女は圧倒的な存在へと変貌を遂げた。かつての妻の輝きを目の当たりにした元夫は、特大のダイヤを手に土下座で復縁を迫るが、もはや手遅れだった。冷徹に拒絶する七海の傍らには、彼女を独占しようとする実力者・高田宗紀の姿があった。宗紀は執着心を隠さず、馴れ馴れしく縋りつく元夫を容赦なく排除するよう命じる。愛に裏切られた女が自らの価値で世界を屈服させ、真に自分を愛する男と共に新たな人生を歩み出す。クズな元夫への痛快な復讐と、億万長者との情熱的なロマンスが交錯する現代ドラマチックな物語。
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籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い 第1章

「離婚だ」

――その無慈悲な一言が、 織田七海のすべてを奪い去った。

西永良陽に三年間尽くした日々の終着点は、 胸を抉るような、 たった一言の宣告だった。

よりによって今日は、二人の結婚三周年記念日。 七海は良陽をデートに誘おうと、心を躍らせて彼のオフィスを訪れたばかりだった。 そこに飛び込んできたのは、デスクに置かれた豪奢なネックレス。

てっきり自分への贈り物だと、淡い期待を抱いたのだが。

良陽は、七海の視線が宝石箱に注がれていることに気づくと、何の躊躇いもなくその蓋を閉じた。

「深悠が帰ってきた。 これは、あいつへのプレゼントだ」 その声は、分不相応な夢を見るなとでも言うように、冷たく響いた。

そういうことだったのか。

七海は俯き、長い睫毛が影を落とす。 分厚い黒縁眼鏡の奥で、あらゆる感情を押し殺すかのように。

良陽が焦がれるほどに愛した女性が、ついに帰ってきたのだ。

彼の心に届かぬまま三年間、ただの置物のように過ごしてきた自分は、今まさにゴミ同然に捨てられようとしている。

俯いたまま押し黙る七海に、良陽は苛立ちを隠そうともしない声で続けた。

「慰謝料は払う。 さっさと離婚に応じろ。 お前が座るべき席じゃないんだ」 言葉の端々に、棘のある警告が滲む。

正直なところ、七海という女は、容姿もスタイルも家事の腕も申し分なかった。 ただ、あまりに朴訥で面白みがない。

まさに鶏肋――捨てるには惜しいが、得るものもない存在。

良き主婦ではあっても、彼の隣に立つ女としては、あまりに物足りない。

なおも沈黙を続ける七海に、良陽は眉をひそめ、最後通牒を突きつけた。 「三日やる。 俺は気が短い。 あまり待たせるなよ」

「必要ありません。 サインすれば、それでいいのでしょう」 七海はペンを手に取ると、よどみない筆致で離婚届に名を刻んだ。 まるで、最後の未練をその一筆で断ち切るかのように。

市役所へ向かい、手続きは滞りなく受理された。

「離婚届」という三文字が、やけに目に突き刺さる。 胸の痛みとは裏腹に、心のどこかでは安堵していた。

もう、 いつか彼の心を温められるかもしれないなどと、

虚しい期待を抱き続ける必要はない。 希望と絶望の間を往復する、 あの苦しみからも解放されるのだ。

鈍い刃でじわじわと命を絶たれるより、一思いに切り裂かれる方がいい。 これで、二人は完全に終わったのだ。

そのとき、けたたましい着信音が七海の沈思を断ち切った。

良陽が慌てて電話に出る。 「なんだと? 深悠が病院に? すぐ行く!」

良陽は電話を叩き切るように終えると、七海に一瞥もくれず車に乗り込み、猛スピードで走り去った。

深悠が絡むと、良陽はいつもそうだ。 彼の意識も、その瞳も、ただ一人――彼の「白月光」である深悠で満たされてしまうのだ。

良陽が去った後、黒と赤のブガッティが静寂を破るように七海の目の前に滑り込んできた。現れたのは、親友の古市愛理。

黒のライダースーツに身を包んだ彼女は、悪戯っぽく笑いかける。 「女王様、地獄からのご帰還おめでとう」

愛理は車のキーを放り投げ、眉を上げてみせた。 「景気づけに、派手にいく?」

「乗って」 七海は思考を振り払うようにアクセルを踏み込み、市役所を後にした。

ブガッティ・ヴェイロンが浜松の道を疾走する。 その走りは、どこまでも速く、そして安定していた。

「祝杯ものでしょ? あんたが止めなきゃ、 あのクズの目の前でシャンパン開けてやったのに!」 と、 愛理が助手席で不満げに唇を尖らせる。

「そうね。 でもその前に、美容院へ寄りたい」 七海は頷いた。 確かに、少しアルコールが必要な気分だった。

「あんたが引退して三年、みんな探してるわよ。 いつ復帰して、医学界を震撼させるつもり?」

「今は、その気ないわ」 七海は淡々と応じた。 愛理は鼻で笑う。

「聞いたわよ、元旦那も探してるってね。 あの大事な深悠様とやらを治すために。 まさか自分の妻が、あの神医『キン』だなんて、あの男は死んでも気づかないでしょうけどね!」

七海は、ただ黙って前を見つめていた。

……

一方、

病院へ向かう車中で、 良陽は焦燥に駆られながら秘書に電話をかけていた。 「キンの情報はまだないのか!」

キンは世界にその名を轟かせる神医だが、 三年前、

忽然と姿を消した。 その素顔はおろか、性別さえ誰も知らない謎の人物だ。

「会長、あらゆる手を尽くしましたが、依然としてキンの消息は……」

「探し続けろ!世界中をひっくり返してでも見つけ出すんだ!」

「は、はい!」

苛立ちを募らせながら駐車場に車を滑り込ませると、良陽はドアを開けるなり建物へと駆け込んだ。

どんな代償を払ってでも、必ず神医キンを見つけ出す。 深悠の命は、もう長くはないのだから。

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