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俺本当に邪神の猟犬じゃないから! の小説カバー

俺本当に邪神の猟犬じゃないから!

異世界へと転移した林介は、静かな街の片隅で古本屋を営み、平穏な日々を送っていた。彼は持ち前の誠実さと慈愛に満ちた性格で、人生の壁にぶつかり絶望の淵に立たされた客たちを温かく迎え入れる。林介は彼らの傷ついた心に寄り添い、癒やしを与える一冊を勧めたり、時には自作の物語を披露したりして、客たちの孤独な魂を救い続けてきた。救われた人々は林介に深い敬意を抱き、感謝の印としてささやかな贈り物を届けたり、新たな客を紹介したりするようになる。しかし、人々の間で彼の存在が神格化され、広まっていくうちに、林介の意図とは裏腹に不穏な二つ名が定着していく。「邪神の猟犬」「血肉福音書の伝道者」「屍食教典儀の執筆者」そして「群星の羊飼い」――。ただ親切に本を売っていただけのはずが、いつの間にか恐るべき異形の存在として崇拝の対象となっていたのだ。周囲からの過剰なまでの心酔と、自身の認識とのあまりに巨大な乖離に、林介はただ困惑するばかり。勘違いが加速させる、奇妙で恐ろしい異世界ファンタジーが幕を開ける。
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2

そして、彼らは海を制覇するサメのようにこの大雨の中、すばやくこっちに移動してきているだろう。

完全に回復するまでどこかに隠れなければとキは考えていた。

「カサッ!」

手に握った長刀を折りたたむと、背骨のような刃が内側にねじ込まれ、瞬く間に黒くて表面が粗い金属の杖に変わった。

大雨はざあざあと降り続いた。

キは本屋のドアを開けた。

店内はとても静かだった。

杖が地面に当たる音がすると同時に、本屋の主人の姿が目に入った。

カウンターの後ろで本を読んでいるのは一人の若い男だった。

シャツとズボンはすべて黒色で、

少し乱れた黒い髪と青白い肌を持つその男は、細長い指で茶碗を取り、角ばった手で本をめくっていた。

カウンター前の高い椅子には誰もいないのに、

一杯のお茶が用意され、湯気が立っていた。

しかし、この瞬間、キは、そのお茶と椅子が自分のためのものだと何となく思った。

彼女は本屋全体を見渡した。

狭くて物でいっぱいだった。

本棚は本だらけで、地面にもたくさんの本が積み上げられており、2階への階段は本棚で半分塞がっている。窓は厚いほこりで覆われ、室内をより一層暗くしていた。

唯一の光に照らされたカウンターと青年は、暗闇の中で何とも言えない神秘的な雰囲気を放っていた。

なんとカウンターにはタオルまで...

「ポタ! ポタ!」

びしょ濡れになったキの体からは水が滴り落ちた。そして、短く切った黒髪は首に張り付いており、ローカットのドレスから白い肌がのぞいていた。

「いらっしゃいませ」

リンは頭を上げ、黒い瞳に暖かい橙色の光を映した。

彼は微笑んで、カウンターに置いておいたお茶をキに押し付け、「こんなにきれいなお嬢さんが雨宿りに来るなんて、長く待ったかいがありましたね」と言った。

お客様を褒めるようにするのは美徳でリンがいつもすることである。

しかし、目の前に立っている女性は確かに誰もが認める美人で、雨に濡れていても光に照らされた顔は申し分もなく美しかった。そして白い肌は、丁寧に彫られた古代の石像のように光沢がを放ち滑らかだった。

だから、待っていたかいがあったとリンは思ったのだ。

この客は何か悩みを抱いているようだし、今日は新しい友人...ひょっとしたら、 常連客を獲得できるかもしれない!

いやいや、これは商売人の卑怯な考えなどではなく、親切心から気にかけているだけなのだ!

キは押し付けられた茶碗を見て、瞳孔が縮んだ。

「長く待っていた」、つまり、この人はこちらの事情を知る者で、ここで待っていたというのか?

それとも別に目的が?

しかし、どちらにせよ、どう見ても怪しいこの本屋、ぴったりのタイミング、この男のゆったりとした表情、明らかに偶々だとは思えない。

シークレットタワーの手下か? それとも真理会? それとも、ワプキスナイトのあの人?

とにかく、この男がただの書店のオーナーなわけがない!

心の中で警報が鳴りだし、キはそっと杖を回した。何かあったら、この杖はすぐに男の眼窩を突き刺す長刀となる。

「私を待っていた?」 警戒心を微塵も感じさせず問いかけた。

そして、リンは優しい微笑みを浮かべた。「そうです。運命って本当に不思議ですね。会ったこともない二人を引き合わせるなんて」

続いてカウンターを指さし、「そこにタオルをかけておきました。新しいものなので、遠慮なく体をふいてください。暖房をつけましょうか?」と声をかけた。

キはためらいながらタオルを取り、「結構」と首を横に振った。

リンはじっと相手を観察した。彼女は眉をひそめているが、過去の経験からして、おそらく生活が困窮しているのだろうと思い、こほんと咳ばらいをして、

「お困りのようですが、何かあったのですか?」と尋ねた。

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