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彼の望まれない番、彼女の禁断の魔法 の小説カバー

彼の望まれない番、彼女の禁断の魔法

狼族の頭領である夫・大和の「番」として五年の月日を過ごした私。しかし、彼の心は常に別の女、玲奈に向けられていた。そんな仮面夫婦の終焉は、華やかなパーティーの最中に突如として訪れる。天井から巨大なシャンデリアが落下したその瞬間、大和が選んだのは私を救うことではなく、玲奈を身を挺して守り、私を破片が降り注ぐ危険な場所へと突き飛ばすことだった。一命を取り留めたものの、私の心身と内なる狼との絆は修復不可能なほどに傷ついてしまう。追い打ちをかけるように、見舞いに訪れた大和は後悔の念も見せず、神聖な番の契りを断ち切る「離縁の儀」を冷酷に宣告した。魂を引き裂く激痛に私の心臓は停止し、死の淵へと追いやられる。しかし、静止したモニターを前に、駆けつけた医師の絶叫が響き渡った。大和が冷酷に切り捨てた私の体には、彼との間に宿した新たな命が息づいていたのだ。あまりにも残酷な裏切りの果てに、隠されていた真実が暴かれる。
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2

白銀ギルドの舞踏室は、光と音の息をのむようなスペクタクルだった。翠明会の、素朴で木の温もりがある広間とは別世界だ。

ここでは、小さな馬車ほどの大きさもあるクリスタルのシャンデリアが、凍った星のように光を滴らせ、その輝きは磨き上げられた大理石の床に反射していた。

空気は感じ取れるほどの力で満ち、百種類もの異なる魔術の気配が混じり合った、 intoxicating な香りがした。高価な香水、シャンパン、そして野心。弦楽四重奏の優しいメロディーが、洗練されたゲストたちの会話の間を縫うように流れていた。

生まれて初めて、私は…注目されていると感じた。

美咲は、彼女自身の魔法を私にかけてくれた。彼女が見つけてくれたドレスは夜空の色。深く、きらめく藍色が私の体の曲線に沿い、床に向かって広がっている。肩は大胆に露わになり、髪は優雅にまとめ上げられ、長く白い首筋を見せていた。シンプルな銀のイヤリング以外、アクセサリーは何もつけていない。私はエレガントで、力強く、そして心底怯えていた。

でも、私がパーティー会場に足を踏み入れると、ドアに最も近かったグループが静まり返った。囁き声が、ドレスの裾のように私についてくる。

「あれが彼女だ…翠明会の元素使い」

「炎を凍らせることができるって聞いたわ」

「頭領の番が参加するなんて、前代未聞だ」

その囁きには、同情や軽蔑ではなく、不本意ながらも好奇心に満ちた敬意が込められていた。

『星辰の集い』への参加が認められたことで、私は自分の会では決して得られなかった地位を手に入れたのだ。それは intoxicating だった。

私は小さく、自信に満ちた笑みを唇に浮かべ、背筋を伸ばした。今夜、私はただの大和の番ではない。私は詩織、挑戦者なのだ。

部屋の向こうに、厳めしい顔つきの頭領たちの一団と立つ彼が見えた。大和。

仕立ての良い黒のスーツに身を包んだ彼は、まさに力と権威の象徴だった。彼の目が私を捉え、ほんの一瞬、もう何年も見ていなかったものが見えた。所有欲の閃き。

溶けた黄金のような瞳をした別の頭領が私に微笑みかけ、軽く会釈するのを見て、彼の顎が引き締まる。

*今になって私に気づくの?* 私は思った。苦い満足感が腹の底で渦巻く。*他の男たちが私を見るようになって?あなた以外の価値を私が手に入れたから?*

彼は私に向かって歩き始めた。その進路は、群衆を切り裂く、まっすぐで妥協のない一本の線。人々は、いつものように彼のために道を開けた。

心臓が、肋骨に対して狂ったように、神経質なリズムを刻み始める。彼が何を言うのか、何を要求するのかわからなかった。怒るだろうか?この公の場で私を自分のものだと主張し、支配権を再び示そうとするだろうか?その考えは恐ろしくもあり、恥ずかしながら、少しスリリングでもあった。

彼が部屋を半分ほど横切った時、それは起こった。

低く、激しい揺れが、この古い建物の基礎そのものを揺るがした。それは地震ではなかった。もっと深く、もっと魔術的な、まるで世界そのものが抗議の呻きを上げているような感じだった。

驚きの声が群衆に広がる。銀のトレイの上でシャンパングラスがガタガタと音を立て、弦楽四重奏は不協和音を立てて途切れた。

私の目は上を向いた。はるか頭上で、古代の、魔力を帯びたクリスタルがふんだんに使われた巨大なシャンデリアの一つが、激しく揺れていた。何世紀も前の留め具が天井から引きちぎれ始める、吐き気を催すような軋む音が広間に響き渡った。

それは、私たちの真上にあった。

私だけではない。残酷な運命のいたずらで、シャンデリアの死の軌道は、大和、まるで呼び出されたかのように彼の隣に現れた玲奈、そして私が立っている、まさにその大理石の上に中心を定めていた。

*

時間はスローモーションにならなかった。粉々に砕け散った。

私の心は、たった一回の、恐ろしい心拍の間に、千もの詳細を処理した。

玲奈の喉から引き裂かれるように上がった悲鳴。天井から降り注ぐ埃と漆喰のシャワー。舞踏室全体の、息を呑む音。落下するクリスタルからの光が屈折し、床に千ものパニックに満ちた虹を投げかける様。

大和は私たちの間に立っていた。彼の番である私と、彼の執着の対象である玲奈の間に。

私の狼が心の中で絶叫した。原始的な恐怖の叫びと、必死で本能的な嘆願。*番が私たちを救ってくれる。彼が私たちを守ってくれる。*

でも、私は彼の目を見た。一瞬の計算、選択の閃きを見た。そこには躊躇はなかった。葛藤もなかった。ただ、本能だけがあった。

彼の本能は、私のためではなかった。

残酷なほど速く、そして devastatingly clear な動きで、彼は動いた。しかし、私の方へではない。

彼は私を突き飛ばした。強く。かつて私の手をあんなにも優しく握ったその手が、私の肩に叩きつけられた。

それは、メインのシャンデリアから私を逃がすための突き飛ばしではなかった。それは暴力的で、無思慮な排除だった。彼は私を脇へ放り投げた。最初の衝撃で降り注ぐ、重いクリスタル混じりの破片と裂けた木材の二次的なシャワーの、まさにその進路へと。

彼は私を救うためにそうしたのではない。彼は自分の道を切り開くためにそうしたのだ。

世界は痛みと裏切りの万華鏡になった。私が後ろによろめき、足首が捻じれる中、私の最後の意識が見たのは大和の姿だった。

彼は跳躍し、その体は力強い保護の盾となり、玲奈を包み込んだ。彼は彼女を胸に抱きしめ、私に完全に背を向け、落下する漆喰の小さな衝撃を吸収して、彼が本当に価値を置く女性を守った。

彼は一度も、振り返らなかった。

彼の唇が、私の名を呼ぶことはなかった。私の安全は、彼の思考の中にはなかった。私は障害物。彼が precious なものを救うために必死になる中で、脇に追いやられるべき家具の一部だった。

そして、世界が爆発した。墓石のように重い、装飾的な天井の一部が私の脇腹に激突した。痛みは白熱した超新星のようで、目をくらませ、絶対的だった。

砕け散るクリスタルの音、悲鳴、そして私自身の骨が折れる音が、世界が果てしない、静かな闇に溶けていく前に聞いた最後のものだった。

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