禁忌の森、共食いの山 の小説カバー

禁忌の森、共食いの山

8.4 / 10.0
人々が互いの肉を喰らい合う異常事態が発生。新聞社の一行は真相を追うべく、死者の日記を頼りに長白山の奥深くへと足を踏み入れる。そこは禁忌に触れた者が報いを受ける恐怖の地だった。『禁忌の森、共食いの山』が描く、極限のサバイバルと謎に満ちたhorror。このmysteryを解き明かすadventureの果てに、彼らを待ち受ける運命とは。読み応えのあるfiction booksとして、未知の恐怖が読者を圧倒する。
「禁忌の森、共食いの山」のあらすじ
平和な街を突如として襲ったのは、人々が互いの肉を切り裂き、貪り食うという正気とは思えない凄惨な光景だった。この異常事態の真相を解明するため、新聞社の調査チームは一冊の死者の日記を頼りに、伝説と恐怖が渦巻く長白山の深部へと足を踏み入れる。そこは、人間が決して立ち入ってはならない禁忌の地であった。日記に記されていたのは「彼らは、喰らうべきでないものを喰らい、見るべきでないものを見た。その報いを受けねばならない」という不吉な警告。一行が山の奥深くで目撃したのは、人知を超えた恐怖と、逃れられない因果の連鎖だった。なぜ人々は理性を失い、獣へと成り果てたのか。禁断の地で待ち受けるのは、血塗られた罪への断罪か、それともさらなる絶望か。極限の状況下で、彼らは隠された真実へと迫っていく。アドベンチャーとミステリーが交錯する、戦慄のホラー長編。山に潜む古き呪いと、食人に取り憑かれた者たちの末路が、読者を逃げ場のない恐怖へと引き摺り込む。
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禁忌の森、共食いの山 第1章

街頭で突如、互いの肉を切り裂いて食べ合う人々が現れた。

真相を突き止めるため、

新聞社の一行は死者の日記を頼りに、

長白山の奥深くへと足を踏み入れる。

「彼らは、食うべきでないものを食らい、

見るべきでないものを見た。

その代償は、支払わねばならないのだ」

【1】

最近、あるニュースが世間を騒がせていた。

繁華街の路上、屋台で二人の男が果物ナイフを取り出し、自らの肉を切り取っては相手に分け与えていたという。

最終的に二人は全身の肉を失い、出血多量で死亡した。

屋台の主人の話では、二人が店に来たときは、ごく普通の様子だったという。

死に様があまりに凄惨であったため、警察は現場に急行し、これ以上の騒ぎになるのを避けるため、迅速に二人の遺体を収容した。

この事件は瞬く間に世間の注目の的となり、当時の様子を撮影した通行人もいたが、その動画や画像がネットに投稿されるやいなや、アカウントごと凍結された。

調査の結果、二人はそれぞれ科学研究者と写真家であることが判明した。

両者の間に面識はなかった。

ただ一つの接点を除いては。ごく最近、二人とも長白山の奥地探検に参加していたのだ。

この事件から間もなく、またしても街頭で互いの肉を切り取って与え合う事件が発生した。その場面はあまりに凄惨で、誰もが詳細を語ろうとはしなかった。

二人は、前回と同じように全身の肉を失い、出血多量で死亡した。

彼らの正体は探検家と投資家。

先の二人と同様、長白山の探検に参加したという以外、何一つ共通点はなかった。

この一件で、当局もついに先の長白山探検に注目せざるを得なくなった。

この探検活動は公に行われたもので、何ら問題はなく、地元の観光局にも届け出が出されている、ごく普通の探検旅行だった。

一行は広く呼びかけて集まった、作家、記者、科学研究者、その助手である学生、写真家、探検家、そして投資家の計七名で構成されていた。

帰還後も、彼らの様子に変わった点はなかったという。

だが今や、一行の生存者はわずか三人。

記者と作家。

そして、科学研究者の学生である周。

しかし、彼は探検中に行方不明となり、今も生死が分かっていない。

警察はただちに生き残った二人を厳重に保護し、先の犠牲者たちのような行動に出ないか監視した。

だが、二人は驚くほど正常だった。会話も食事も、常人と何ら変わりない。

専門家による精神鑑定でも、何ら異常は見られなかった。

本部から派遣された専門の捜査官が、彼らに一体何があったのかを尋問した。

しかし、二人は長白山での出来事については固く口を閉ざし、それは一種のタブーと化していた。

ただ、長白山の名を口にするときだけ、二人の瞳には崇拝の光が宿り、「あそこは神聖な場所だ」と繰り返すばかりだった。

警察の監視下に置かれていた二人だったが、ある日突然、部屋から姿を消した。

次に発見されたのは、とある大衆食堂の屋台だった。作家はすでに肉尽き果てて絶命しており、記者の蔡円だけが、太っていたおかげか、かろうじて一命をとりとめていた。

【2】

私が最後に蔡円に会ったのは、病院だった。

新聞社を代表して、彼の見舞いに行ったのだ。

ベッドに横たわる彼はひどく衰弱しており、もはや虫の息だった。

彼がゆっくりと目を開けて私を見たが、その動き一つで全身の力を使い果たしたように見えた。

もともと丸々としていた体は、今や服の下ががらんどうで、骨だけがその形を支えているようだった。

頬の肉は削げ落ち、ぽっかりと空いた穴からは歯が剥き出しになり、浅い呼吸のたびにカチカチと震えている。

以前は彼と仲が良く、よくコンビを組んで取材に出かけたものだ。

今回の探検も、本来なら私が行くはずだった。

編集長が特別に手配してくれた、各界の著名人と共に行動できる絶好の機会。道中の見聞を記事にすれば、素晴らしい連載になるはずだった。

だが、その矢先に父が病で倒れ、私は実家で看病せざるを得なくなった。

その仕事が、蔡に回ってきたのだ。

まさか、こんな結果になろうとは。

彼の言葉は不明瞭だったが、その中で一文だけはっきりと聞き取れた。「彼らは、食うべきでないものを食らい、見るべきでないものを見た。その代償は、支払わねばならないのだ」

それ以上問いかけても、彼は何も答えようとしなかった。

やがて、彼は震える手で何かを私の手に握らせた。

石のような塊だった。

他の誰にも知られたくない、という彼の意志が伝わってきた。

私がそれをポケットに仕舞うのを見届けると、彼は安心したように静かに目を閉じた。

その日の夜、会社に蔡が亡くなったと連絡が入った。

私は悲しみを押し殺し、昼間受け取ったものを取り出して、注意深く観察した。

それは、石ではなかった。

骨のかけらだった。

表面には紋様が刻まれていたが、それが何を意味するのかは分からなかった。

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