ぞうさん転生 の小説カバー

ぞうさん転生

8.4 / 10.0
幼女を救い命を落としたロリコン紳士が、異世界で一頭のゾウに転生?『ぞうさん転生』は、森で出会った3人の幼女たちと共に歩む異色のfantasy作品です。転生したゾウとして彼女たちを守り抜く、新たな冒険と日常が幕を開けます。本作はwebnovelで人気の高いadventure要素に加え、ほのぼのとした交流の中に時折シリアスな展開も。この異世界転生ストーリーは、読者が無料で楽しめるfree web novelとしても注目です。
「ぞうさん転生」のあらすじ
「ロリータこそ至高、だが手出しは無用」という確固たる信念を抱き、幼女を慈しんできた一人の紳士。彼はある日、幼い少女を交通事故の危機から救い出す代わりに、自らの命を散らしてしまう。しかし、その純粋な願いが天に届いたのか、彼は異世界で一頭のゾウとして新たな生を受けることとなった。巨大なゾウへと転生を果たした彼は、偶然迷い込んだ森の中で三人の幼女たちと運命的な出会いを果たす。こうして、巨体ながらも心優しいゾウと、愛らしい少女たちによる異世界でのセカンドライフが幕を開けた。言葉は通じずとも、種族を超えた絆を育みながら、彼らは広大な異世界を共に歩んでいく。基本的には穏やかで心温まる日常が描かれるが、時には異世界ならではの厳しい試練やシリアスな局面が彼らを待ち受けることも。一頭と三人による、不思議で賑やかな冒険の日々が今始まる。紳士としての魂を宿したゾウは、異世界の地で大切な少女たちを守り抜き、どのような幸せを見つけるのだろうか。
もっと見る

ぞうさん転生 第1章

この日の朝も僕は、耳元で騒ぎ立てる目覚まし時計に起こされる。

 時刻は七時。今日も時間どおりだ。

 簡単に朝食を済ませて着替えた僕は、腕時計に目をやる。

 朝七時三十分、これも時間どおり。

 本当はもう少しゆっくり出ても大学に間に合うのだけど、僕には唯一無二の楽しみがあった。

 駅へ向かう途中、小学校の通学路を通りかかる。

 すると今日も一列で登校する小学生たちが、後ろから僕に向かって天真爛漫な挨拶をしてくれた。

「おにーさんおはよーございまーす!」

「おはよう」

 元気な声での挨拶に、僕も笑顔で振り向いて返事をする。

 やっぱり小学生は元気で可愛いなぁ。特に小さい女の子、幼女がいい。

 小さな背中に背負った、真っ赤につやめくランドセル。

 化粧なんてなくても眩しいくらいに輝く、幼女の笑顔。

 十人十色の髪型で、世の汚れを知らない純粋な黒髪。

 ハキハキと繰り出される、未発育ながらも健康的な肢体。

 まさに幼女は僕にとって最高の癒しであり極上の宝だね。

 同じ方向に並列して歩く健気な小学生たちに、僕の顔も自然とニンマリしてしまう。

『あのお兄さん、若いのにいつも子どもたちと挨拶してくれて感心よね~』

『ほんと。彼みたいな若者がたくさんいるといいのに』

 周りから耳に届くお母さん方の声、ご評価ありがとうございます。

 この健全な関係を築くのに欠かせないモットーが、僕の中にはある。

 それはYESロリータNOタッチ。

 どんなに可愛くても小学生、特に幼女には触れてはいけない。

 それを犯したら最後、優しいお兄さんから不審者もしくは犯罪者に格下げされてしまうからだ。

 だから僕は可愛い小学生たちから少し距離を置いて見守る。

 それが正しい付き合い方だと思うから。

 ともあれYESロリータNOタッチを徹底したおかげで、僕は近所の優しいお兄さんとして小学生たちと接することができている。

 たとえ触れ合うことができなくても、このほのぼのとした日常がいつまでも続くといいな。

 だけどその平和な時間は突如破られることになってしまう。

 交差点の横断歩道を横切ろうとしたときだった、一台の車が猛スピードで突っ込もうとしてきたのだ。

 このままだと先頭の女の子が危ない!

 そう直感した僕は反射的に先頭の女の子を突き飛ばし、代わりに前へ躍り出る。

 その直後、とてつもない衝撃と共に僕の身体は宙を舞った。

 ああ、純粋無垢な小学生たちに凄惨なところを見せちゃったな……。

 恐怖に震える女の子の姿が目に浮かぶよ。

 車相手でもビクともしないくらい大きくて強い身体だったら、こんなことにならなかったのかな……?

 刹那、僕の意識はそこで途絶えた。

 暑い。まるで夏のようだ。

 周囲からは鳥や動物たちのけたたましい声が耳に入ってくる。

 あれ、僕って死んだんじゃ……?

 真っ暗だった視界が開けると、そこは見たことのない形をした木の葉が生い茂る謎の場所だった。

 ここは森なのかな……?

 天国ではなさそうだけど。

 手足で踏みしめる地面は赤くて少しぬかるんでいる。

 あれ、手足で……?

 足元に意識を向けると、丸太のように太い手足が目に飛び込む。

 これはどう見ても人間の手足じゃない。

 だけどなんでそんなのが僕の視界に?

 一度疑問を感じると、自分の感覚全てに違和感を覚え始めた。

 隣の木に並ぶ、異様に高い目線。

 そして鼻辺りにぶら下がる、重たい感覚。

 試しにその感覚に意識を向けてみると、僕の目の前に太くて長いモノがもたげてきた。

 しわだらけで先っぽに穴が二つ開いている。

 まるでゾウの鼻みたいだ。

 息をするごとにその穴から空気が出てる、ってことはこれが僕の鼻!?

 なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。

 今の僕って一体何者なんだ。

 恐る恐る足元の水たまりをのぞき込むと、そこに映り込んでいたのは紛れもなくゾウの顔だった。

 もしかして僕、ゾウになってしまったの……!?

「ブロロロロロロ……」

 信じられない光景を目の当たりにした驚きで、顔の横に付いた大きな耳がパタパタはためく。

 そして僕は叫び声を上げて森の中をがむしゃらに駆け出してしまう。

「パァン! プオオオオオオン!!」

 ここまで来ると自分の声までゾウであることにもはや驚くこともない。

 バシャバシャと地面の水をはねあげて。

 落ちていた枝も軽く踏み折り。

 僕は見知らぬ森を猛進する。

 なんで、なんで今の僕はゾウなんだーーーーーーーーー!!

 そのまま直進すると、僕は小さな泉に飛び込んでしまう。

 盛大に飛び散る水しぶき。

 うわ、冷たいっ。

 思わぬヒンヤリとした感覚に、僕の頭も少し冷えた気がした。

 おちつけ、僕。

 あの時僕は小学生の女の子を庇って車にはねられたんだ。

 そして気がつくとゾウの身体になっていた。

 思えば死ぬ間際に大きくて強い身体だったら、なんて願った気がする。

 まさかとは思うけど、それで地上最大のゾウとして生き返ったってこと?

 だけどそれにしたってゾウはそのまんますぎでしょ!?

 ――もういいや。ひとまず人間としての僕は死んだ、今のゾウとしての身体を受け入れるしかない。

 その結論に達した僕は、鼻で泉の水を吸い上げて、自分の頭にかけた。

 やっぱり冷たいっ。

 泉からあがると、僕のお腹から重低音の腹の虫が鳴り響く。

 お腹空いた。

 あれ、ゾウって草食だよね。

 草とか食べればいいの?

 何気なく鼻で地面をさすってみると、赤色の葉っぱをした草がある。

 これ、食べられるのかな?

 なんか梅干しのような酸っぱい匂いがするんだけど。

 試しに鼻で草を摘んで口に運ぶと、口の中が刺激的な酸味でいっぱいになった。

「プオン!?」

 酸っぱ!

 何これ、梅干しを百倍くらい濃縮したような酸っぱさだよ!!

 すぐに葉っぱを吐き出した僕は、続いて頭上の木の葉に鼻を伸ばした。

 これはミントのような爽やかな香りがするぞう。

 鼻で枝ごと巻き取って口に入れるとあら不思議、匂いどおりのミント味が口いっぱいに広がるじゃないですか。

 そうか。ゾウの鼻は匂いでだいたい味が分かるんだ!

 それに気づいた僕は、食べられるものを調べるべく森を探検することにした。

続きを読む

ぞうさん転生 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

『化け物』のいる家 の小説カバー
8.2
我が家の屋根裏部屋には、二十四年もの長きにわたり一人の「化け物」が幽閉されている。その正体は私の実の兄だ。両親の言葉によれば、兄は精神を病んでおり、その暴力性から周囲の安全を守るためにはこうして隔離し続けるほかないのだという。私は幼い頃からその教えを信じ、屋根裏に潜む兄の存在を恐れながら成長してきた。しかし、ある日不慮の事故から、決して足を踏み入れてはならないはずの兄の部屋へ迷い込んでしまう。そこで待ち受けていたのは、凶暴な怪物などではなく、恐怖に震えながら私の口を封じる兄の姿だった。混乱する私に対し、兄は絶望に満ちた表情で衝撃的な事実を告げる。自分たちをこの家に縛り付けているあの男女は、本当の両親ではないというのだ。家族という名の檻の中で守られてきたはずの日常は、その一言によって音を立てて崩れ去る。屋根裏に隠されていたのは狂気か、それとも残酷な真実か。閉ざされた家を舞台に、血縁と偽りに彩られた戦慄の物語が幕を開ける。
塩対応な億万長者vs独占欲全開の裏社会の帝王 の小説カバー
9.6
実の両親の元に本物の令嬢が戻ったことで、偽物として育てられた彼女は家を追放される。そればかりか、養育費という名目の法外な借金まで背負わされることになった。しかし、貧民街の実家へ戻った彼女は、隠し持っていた真の実力を解禁し、虐げられた家族と共に反撃を開始する。罠に嵌められた起業家の長兄には、一兆円規模の巨大企業を差し出し、芸能界を干された次兄のためには、ハッカーの女王として全データを書き換えスターの座を奪還。盗作の冤罪をかけられた三兄の才能も、国際的な権威を動かして証明してみせた。かつての家族である本物の令嬢が悲劇のヒロインを演じて立ちふさがる中、彼女はついに猫をかぶるのをやめ、圧倒的な力で世界長者番付の頂点へと上り詰める。全てが順調に進む一方で、彼女には一つだけ計算外の悩みがあった。それは、執拗に自分を追い詰める、狂気を孕んだ裏社会の帝王からどう逃げ切るかという問題だった。欲望と権力が渦巻く世界で、彼女の孤独な戦いと恋の行方が幕を開ける。
失われた記憶の恋人 の小説カバー
9.6
交通事故に遭い一週間の昏睡状態に陥っていた恋人の栗崎修一。彼が意識を取り戻した直後、平穏だった二人の関係は残酷な終わりを迎える。目覚めた修一は、長年秘めていた想い人の存在を思い出したと告げ、遠藤美咲に冷徹な別れを突きつけたのだ。「記憶を失っていた時期の行動はすべて本心ではない。今日から俺たちは他人だ」と言い放ち、これまでの愛の日々を無かったことにしようとする修一に対し、美咲は引き止める言葉を持たなかった。深い絶望と悲しみの淵に立たされた彼女は、ある決断を下す。それは、勤務先の研究室で開発に成功したばかりの画期的な新薬の臨床試験に参加することだった。一度服用すれば、特定の記憶を脳内から完全に消去できるというその薬。担当者から「本当に覚悟はできているのか」と最終確認を求められた美咲は、修一との思い出をすべて抹消し、彼を赤の他人として生きる道を選ぼうとする。失われた記憶が呼び覚ました残酷な真実と、苦痛を逃れるために自らの記憶を消そうとする女。科学の力が交錯する中で、二人の運命は決定的な破滅へと向かっていく。
彼に見捨てられたオメガ:国王との再起 の小説カバー
9.4
アルファである黒木魁と「運命の番」として結ばれてから七年。しかし、彼がその愛を私に注ぐことは一度もなかった。魁の心にあるのは幼馴染の一条莉央だけであり、彼女が仕組んだ卑劣な狂言にも、彼は盲目的に加担した。莉央が自ら盗んだネックレスの罪を私に着せた際、魁は一切の躊躇なく私を「汚らわしい」と罵倒し、冷酷に地下牢へと追放したのだ。莉央が彼の腕の中で偽りの涙を流す傍らで、私は銀の手錠をかけられ、引きずられていった。連行される刹那、番の絆が断たれる痛みに彼が顔をしかめるのを見たが、救いの手は差し伸べられなかった。その瞬間、長年抱き続けた淡い期待は完全に潰えた。翌日、母の助けで釈放された私の前に現れたのは、魁が率いる帝国の宿敵となる組織のアルファだった。彼から提示されたのは、魁のすべてを破壊するための首席戦略顧問という地位。裏切られた絶望を復讐の炎へと変えるため、私は迷うことなくその手を取り、かつての愛する男を破滅させる道を選んだ。
捨てたのは私の方なのに。~土下座して縋る傲慢CEOの歪んだ求愛~ の小説カバー
9.0
藤原家が直面した財政破綻を回避するため、藤原美月が西園寺颯真のもとへ嫁いでから3年の月日が流れた。この結婚はあくまで利益のための政略結婚であり、美月が10年もの間、密かに颯真へ恋心を抱き続けていた事実は誰にも知られていない。一方、颯真には忘れられない女性がいることは周知の事実であり、美月は愛のない「名ばかりの妻」として虚しい日々を過ごしてきた。しかし、彼の想い人が帰国するという知らせを機に、美月の心はついに限界を迎える。長年抱き続けた愛情が完全に枯れ果てた彼女は、自ら離婚を申し出た。執着を捨て去り、颯真を過去のものとして前を向く美月。だが、彼女を失って初めて、颯真は取り返しのつかない喪失感と激しい後悔に襲われることになる。かつての傲慢さを捨て、なりふり構わず彼女の影を追い求める颯真は、必死の思いで復縁を懇願する。「頼む、俺のそばに戻ってきてくれ」。しかし、深く傷つき、決別を選んだ美月の心に届く言葉はもうなかった。立場が逆転した二人の、歪で切ない愛の行方が描かれる。
離婚予定の妻に完全飼育される暴君 の小説カバー
9.7
欲望が鋭利な刃物のように研ぎ澄まされた世界で、二人の邂逅は男に静かな衝撃をもたらした。これまで危険と背中合わせの快楽を糧にし、無謀さを武器に裏社会を生き抜いてきた暴君。彼は、一人の女によって自らの強固な警戒心が崩されるなどとは夢にも思っていなかった。しかし、平穏な日常の裏側に潜む真実が巧妙な嘘で塗り固められていると察した時には、すでに手遅れだった。男は知らぬ間に引き返せない深淵へと足を踏み入れていたのである。女が周到に用意した駆け引きという名の遊戯に絡め取られ、支配されていたはずの彼は、いつしかその仕掛け人である妻の魅力に抗うことができなくなっていた。完全に飼い慣らされ、彼女の掌の上で翻弄される日々。冷徹な男の理性は、甘美な罠の中で次第に溶けていく。離婚を目前に控えた夫婦という歪な関係性の中で、愛と憎しみが交錯するスリリングな愛憎劇が幕を開ける。男は己の敗北を悟りながらも、彼女が支配する禁断の檻から逃げ出すことができない。
章
今すぐ読む
共有