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破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む の小説カバー

破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む

高校時代から10年、私の世界のすべてだった婚約者の藤堂蓮。自らデザインした祭壇で誓いの時を迎えたが、彼は司会の早坂玲奈からの求婚に「はい」と答え、私を置き去りにした。これが地獄の始まりだった。蓮は脳腫瘍を患う玲奈を救うため、希少血液を持つ私に献血を強要し、彼女の気まぐれで私の愛猫を殺処分させた。さらには溺れる私を見捨てて彼女を救い、最後には彼女が仕込んだアレルゲンで私がアナフィラキシーを起こし、床で窒息しかけている時さえ、彼は仮病の彼女を抱えて病院へ向かった。彼は私を裏切っただけでなく、彼女のために私を殺すことすら厭わないのだ。絶望の中、一人病院で目覚めた私に、父から驚くべき提案が届く。それは謎に包まれたIT界の巨頭、有栖川暁との政略結婚だった。愛などという幻想に裏切られ、心が空っぽになった私は、復讐と再生を胸に誓う。父の「新郎を代えるのはどうだ?」という問いに、私は迷うことなく頷いた。偽りの愛を捨て、新たな運命へと踏み出すために。
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2

蓮の顔は恐怖に歪んでいた。

「玲奈が病院に。出血が始まった。血が必要なんだ。大量に」

彼は電話を切ると、万力のような力で詩織の腕を掴んだ。

「行かなきゃ。今すぐ」

「何?どうして私が?」

詩織は腕を振りほどこうとした。彼の突然の暴力的な握力にショックを受けた。

これはさっきまでの、悲しみに暮れ、謝罪していた男ではない。

絶望的で、冷酷な誰かだ。

「彼女の血液型だ」

彼は詩織をドアの方へ引きずりながら言った。

「珍しいんだ。AB型Rhマイナス。君と同じだ。病院の血液バンクの在庫が少ない。時間内に提供できるのは君だけだ。彼女を助けてくれ、詩織」

彼の要求の、そのあまりの厚かましさに、言葉を失った。

彼は、自分の人生を破壊したばかりの女を救えと言うのだ。

彼は頼んでいるのではない。命令していた。

「嫌よ」

詩織は、かかとを食い込ませて抵抗した。

「離して、蓮。どこにも行かない」

「わがまま言うな!」

彼は、顔を怒りで歪ませて怒鳴った。

「人の命がかかってるんだぞ!俺たちの間に何があったにせよ、彼女を死なせるわけにはいかない!」

彼は今や彼女を家から引きずり出していた。彼の指が痛々しく彼女の肌に食い込む。

彼の指にはめられた重厚な結婚指輪、彼女への永遠の愛を象徴するはずだったものが、彼女の肉に食い込んだ。

「彼女は死にかけてるんだぞ、詩織!お前はそんなに冷酷なのか、意地で人が死ぬのを見殺しにするのか!」

彼は、半ば突き飛ばし、半ば引きずるようにして彼女を車に乗せながら叫んだ。

その言葉は、残酷な道徳的脅迫だった。

彼は彼女自身の思いやりを、彼女に対する武器に変えていた。

痛みと混乱の混沌とした渦の中で、彼女の心の片隅で、疲れ果てた小さな部分が譲歩した。

命は命だ。

たとえ玲奈のものであっても。

病院は、蛍光灯の光と、消毒液の恐怖の匂いでぼんやりとしていた。

蓮は一瞬たりとも彼女の腕を離さず、輸血センターに着くまで廊下を引きずり回した。

「今すぐ血が必要なんだ!」

彼は驚いた看護師に叫んだ。

「名前は早坂玲奈。これがドナーだ」

看護師が手早く詩織の腕を準備した。

冷たい椅子に座っていると、詩織の心は混乱していた。

彼女は、自分の婚約者を奪い、知り合い全員の前で自分を辱めた女に、自分の血、自分の生命力を与えようとしていた。

その不条理さは、狂気に近いほど深かった。

彼女は最後にもう一度、腕を引こうとした。

「蓮、私にはできない」

「やるんだ」

彼は、低く、威嚇するような声で言った。

彼は彼女の椅子の後ろに回り、彼女の肩にしっかりと手を置き、彼女をその場に釘付けにした。

「やれ」

彼は看護師に命じた。

針は冷たく、鋭い痛みだった。

詩織は身をすくめ、純粋で、希釈されていない屈辱の涙が頬を伝った。

彼女は、自分の真っ赤な血が透明なチューブを通って流れ、ライバルを救うために自分の体から出ていくのを、無感覚に見つめていた。

蓮の手は彼女の肩から離れず、それは慰めというよりは檻のような、重く、所有欲に満ちた重圧だった。

血液バッグが満たされるにつれて、世界が揺らぎ始めた。

450ミリリットル。

標準的な献血量だが、その日の精神的な打撃の後、彼女の体は消耗し、空っぽに感じられた。

目の前に黒い点がちらついた。

「終わりました」

看護師が、腕に脱脂綿をテープで貼りながら言った。

針が抜かれた瞬間、蓮は彼女を解放した。

「よかった」

彼は、安堵の息を漏らした。

その時、近くの手術室から医師が飛び出してきた。

「藤堂さん!彼女は安定しましたが、あなたを呼んでいます」

蓮はためらわなかった。

彼は詩織を振り返りさえしなかった。

彼は手術室に向かって走り、その意識は完全に玲奈に向けられていた。

彼が走っていく中、詩織は立ち上がろうとした。

足ががくっと崩れた。

世界が横に傾き、彼女は倒れ、頭を金属製の医療用具カートの角に強く打ち付けた。

カートが揺れ、ステンレス製の器具が乗った重いトレイが滝のように落ちてきて、彼女の頭と肩を直撃した。

目の奥で鋭く、目がくらむような痛みが爆発し、そして、すべてが真っ暗になった。

彼女が最後に見たのは、手術室のドアを通って消えていく蓮の後ろ姿だった。

最後の、決定的な、見捨てられた行為。

詩織が目を覚ました時、最初に感じたのは、頭の鈍く、ずきずきする痛みだった。

彼女は個室の病室にいた。

蓮がベッドのそばの椅子に座り、頭を抱えていた。

彼女が身じろぎすると、彼は顔を上げた。その目は赤く縁取られ、疲れたような罪悪感に満ちていた。

「詩織、目が覚めたのか」

彼は、かすれた声で言った。

「本当にすまない。君が倒れたのに気づかなかった。玲奈のことが心配で…」

彼女はただ、空虚な目で彼を見つめた。

謝罪の言葉は、無菌室の中で空虚な響きに感じられた。

彼女が傷ついたのを見なかったことを謝っているのであって、その原因であったことを謝っているのではない。

「話さないで」

彼女は、乾いたかすれた声で言った。喉が痛かった。

「君に乱暴で、馬鹿なことをした」

彼は彼女を無視して続けた。

彼は手を伸ばして彼女の手を取ろうとしたが、彼女はそれを振り払った。

「約束する、詩織。二度と、二度とあんな風には扱わない。玲奈が…いなくなったら…すべてが元通りになる。君と俺。約束する」

冷たく、苦い笑いが胸からこみ上げてきそうだった。

元通りに?

彼は二人の世界を粉々に打ち砕き、今、空虚な言葉でその破片を接着しようと約束している。

彼は玲奈の高潔な救世主という役割に夢中で、自分の後に残した残骸が見えていない。

彼は彼女の世話をしようとした。

食事を運び、枕を整え、なだめるような優しい口調で話しかけた。

しかし、彼の注意は散漫だった。

彼のスマホは、玲奈の病室からの最新情報で絶えず鳴っていた。

彼は詩織にスープを一口食べさせている最中に、画面に目をやり、その表情はもはや彼女のためではない優しさで和らいだ。

ある午後、彼女が起き上がるのを手伝っている最中に、彼の電話が鳴った。

彼はそれに出て、すぐに意識を切り替えた。

「彼女は起きてる?何か欲しがってる?」

注意が散漫になり、彼は詩織の腕を早く離しすぎた。

彼女はずるりと滑り、負傷した肩がベッドの柵にぶつかって捻れた。

鋭い痛みの叫びが彼女の唇から漏れた。

蓮は突然電話を切り、その顔は罪悪感と苛立ちでぐちゃぐちゃだった。

「ごめん、本当にごめん、詩織」

「出て行って」

彼女は、危険なほど静かな声で言った。

「出て行って、蓮。彼女のところに行って。あなたはここにいても何の役にも立たない」

「詩織、埋め合わせはできる」

彼は、声が割れるほど懇願した。

「残りの人生をかけて、君に償う」

しかし、彼の約束は口の中の灰のようだった。

彼女は目を閉じ、彼を締め出した。

もう言うことは何もなかった。

彼は今や見知らぬ人、他の誰かのために心臓が鼓動する男だった。

彼女が丹念に設計した二人の未来は破壊され、彼は瓦礫の中に立ち、彼女にその景色を賞賛するように求めていた。

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