婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 の小説カバー

婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。

8.6 / 10.0
名家とは名ばかりの富豪一家から一方的に婚約を破棄され、世間の冷笑を浴びた雲居美月。しかし、彼女は悲嘆に暮れるどころか、首都最強の権力を持つ美貌の財界人と電撃入籍を果たし、周囲を驚愕させる。当初、夫となった男は「二年後には関係を断つ」と冷徹に契約結婚を宣言していた。だが、いざ生活が始まると彼は美月に執着し、片時も離そうとしないほど彼女を深く溺愛し始める。周囲がその変貌に困惑する中、美月の隠された素顔が次々と露見していく。世界最高峰のハッカー、伝統絵画の巨匠、そして先端企業の黒幕。各界の重鎮を友人に持つ彼女の正体は、誰もがひれ伏すチート級の才能の塊だったのだ。さらに、世界的な宝飾グループが「本物の令嬢」の発見を公表すると、その正体が他ならぬ美月であることが判明する。かつて彼女を嘲笑った人々は、あまりに規格外な彼女の真実に震撼することになる。冷徹な神に捕らわれた美しき天才令嬢が、その圧倒的な実力で運命を切り拓いていく極上のシンデレラストーリー。

婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 第1章

ホテルのスイートルームで甘く気怠い空気が静かに溶けていった。

雲居美月は目を覚まし、隣で眠っている端正な顔立ちの男を見つめた。その表情は気まずさと複雑な思いが入り乱れていた。

昨夜のパーティーで酒を飲み、ふと体の異変に気づいて足早にその場を離れた。意識が朦朧とするなか客室フロアにたどり着き、少しだけ隙間の開いていたドアを見つけて転がり込んだのだ。

そして直後、視界にスタイルがよくて、品のある男のシルエットが映り込んだ。

「出て行け!」

それが、男が彼女にかけた最初の言葉だった。氷のように冷たく、怒りを孕んだ声だった。

当時はあまりの苦しさに上手く聞き取れなかった。ただ、相手が息を呑むほど美しい男であり、彼から発せられる涼やかな気配に抗いがたく惹きつけられ、無意識のうちにすがりつき、肌を重ねてしまった……。

美月は眉をひそめ、それ以上思い返すのをやめた。

ふいに隣の男が寝返りを打ち、彼女はビクッと肩を震わせた。我に返り、後ろめたさを抱えながら、男の整った目元をじっと見つめた。

数秒が経過したが、幸いにも男は目を覚まさなかった。

彼女は密かに安堵の息を漏らすと、慎重に掛け布団をめくり、ベッドから抜け出した。体の節々に残る違和感を堪えながら、床に散乱した衣服を手早く拾い集めた。

行きずりの関係を持ってそのまま立ち去るのは、あまりにも無責任な行為に思えた。

服を整えた美月はベッドの傍らに立ち、未だ夢の中にいる男を眺めた。本当に見惚れるほどの美貌だ。これまで数多くの美男子を目にしてきた彼女でさえ、ここまで目を奪われるような存在は初めてだ。

(ただ、少しばかり強引だ。特に昨夜は……)

艶めかしい光景が不意に脳裏をよぎり、美月はカッと顔を熱くして慌てて回想を断ち切った。

少し考えた後、彼女はバッグから一枚の小切手を取り出し、ベッドサイドのテーブルにそっと置いた。それでもまだ不十分な気がして、短いメモ書きを添えておいた。

その後、彼女は部屋を後にした。

エレベーターの中でスマホが鳴った。美月はそれを取り出して応答した。『もしもし』

『ん?どうしたの? 朝からなんだか疲れてるみたいだけど』

電話越しの女は鋭く尋ねてきた。美月は軽く咳払いをして、声を潜めて答えた。『昨夜は寝付けなくて。少し寝不足なの』

『眠れなかった? どうして急に?』

『別に、大した理由じゃないわ』 美月は眉間を揉みほぐしながら、話を逸らした。『それより、朝早くから何の用?』

『ああ、長谷川亮の使いがまたギャラリーに来たのよ。あんたのあの絵、10倍の値段で買い取りたいって。少し考えてみない?』

美月は一瞬、言葉に詰まった。

彼女が断るのを恐れたのか、女はすかさず言葉を続けた。『ねえ、長谷川がどんな人物か分かってるでしょ? GEグループを率いる、絶大な権力を握った冷酷非道な男。誰も逆らえない恐ろしい人物よ!

どうしてもあの絵が欲しいみたいでさ。一度断っちゃったけど、二度も断ったら私の命が危ないかも』

噂によると、亮は16歳で当主を引き継いで内紛を収め、18歳でGEグループの事実上のトップに立ったという。現在まだ26歳だが、すでにグループの時価総額を数倍に跳ね上げている。その手腕は凄まじく、まさに名実ともにビジネス界の帝王だ。

世間の誰も彼の素顔を知らないが、彼にまつわる噂が絶えることはない。

少し考えた末、美月は承諾した。『分かった、彼に譲って』

あの絵は本来、藤堂家へ贈るはずのものだったが、今はもうその必要もない。

藤堂家は彼女の平凡な生い立ちを嫌い、亡き父との約束を反故にしたのだ。美月自身も、女遊びの激しい放蕩息子になんて嫁ぎたくはないのだ。

女はホッと息をつき、喜びを隠しきれない様子で言った。『よかった!取引が終わったら、すぐに代金を振り込むわね』

美月:『10倍の値段なんていらないわ。定価でいい』

女はくすっと笑った。『分かってるわよ。向こうが払うと言っても、恐れ多くて受け取れないわ』

今日は土曜日なんだけど、ルームメイトのみんな、出かけてていないんだ。

京帝大学の寮に戻った美月は、真っ先にバスルームに駆け込んだ。自分の体に残った痕跡を直視できず、終始目を閉じたままシャワーを浴びた。

着替えを済ませてデスクの前に座ると、パソコンを開き、手早くホテルの監視カメラシステムにハッキングを仕掛けた。

よりによって、昨夜のパーティーが開かれた個室のカメラは故障しており、映像は一切残されていない。

もちろん、そんな都合の良い偶然など信じるはずもない。少し思案した後、彼女の細い指が再びキーボードの上を舞った。数分後、動きを止めた美月の瞳は、モニターを見つめながら氷のように冷たくなった。

(やはり、彼女の仕業か)

一呼吸置き、美月は映像を客室フロアのものに切り替えた。自分が男の部屋に転がり込む姿を確認して微かに眉をひそめたが、そのデータを削除することはしなかった。小切手には彼女の印鑑が押してあるのだから、カメラの映像だけを消しても意味がない。

彼女自身、この出来事から逃げるつもりはなかった。ただ、あの状況があまりにも気まずくて逃げ出してしまっただけだ。

もし相手がこの結末に納得しないなら、話し合いに応じるつもりはある。

それでもやはり、男には小切手を受け取り、何事もなかったことにしてほしい。

一方、ホテルの室内。

亮はベッドの傍らに立ち、手の中のメモ用紙を暗い瞳で見つめている。

『ごめんなさい。昨夜は罠にはめられてしまって……。助けていただいたお礼です。この小切手で、昨夜のことはなかったことにしてください』

彼の瞳に冷たい光が宿り、手の中のメモをくしゃりと握り潰した。再び小切手へと視線を移すと、その表情はますます険しくなった。

体内に潜んでいた毒素が突然発作を起こし、一時的に理性を失っていなければ、あんな女と関係を持つことなど絶対にあり得なかった。

(利用するだけ利用して逃げ出した挙句、こんな形でコケにするとは。いい度胸だ)

亮は丸めた紙屑を冷酷に投げ捨てると、スマホを手に取りアシスタントに電話をかけた。そのふとした瞬間、シーツに残された一抹の赤い染みが目に入った……。

1時間後。

アシスタントの高木拓海が、亮のそばへ恐る恐る近づいてきた。「長谷川社長、お調べしました」

ソファに座ている亮は目を閉じたままだ。その冷徹な横顔と帝王のような威圧感は、見る者を震え上がらせる。「言え」

「雲居美月、20歳。京帝大学コンピューターサイエンス学部の3年生です。成績は優秀ですが、家庭環境は少し貧乏で……。父親はすでに他界し、母親は再婚しています。 現在は京帝で1人暮らしをしており、昨夜はクラスの集まりがあったようです。

監視カメラの映像を確認したところ、当時の彼女は確かに意識が朦朧としていました。社長の部屋のドアがしっかり閉まっていなかったため、誤って迷い込んでしまったようです」

「家庭環境が貧乏だと?」亮は不意に目を開け、怪訝そうに言った。「なら、この小切手はどういうことだ」

数千万円という金額は彼にとって大したものではないが、普通の学生が出せる額ではない。

「大学内での噂ですが、彼女の父親はかつて京帝の資産家を助けたことがあるそうです。死の間際、娘をその家に嫁がせたいと託したものの、相手側はそれを拒否し、手切れ金としてまとまったお金を渡したのではないかと」

亮はローテーブルに置かれた小切手に目を向けた。切れ長の瞳を細めたその端整な顔立ちは底知れず、何を考えているのか全く読めなかった。

拓海はちらりと小切手を一瞥した。(おそらくこれは、社長がこれまで目にした中で最も少額の小切手だろう。社長と一夜を共にしておきながら、あんな端金で侮辱するなんて。あの女、ただでは済まないな)

「社長、京帝大学へ向かって身柄を確保しますか?」

しばしの沈黙の後、亮は命じた。「大学内では手を出すな。邸宅へ連れてこい」

「承知いたしました」 少し間を置き、何かを思い出したように拓海が付け加えた。「それと、長谷川社長。飄零先生のあの絵ですが、持ち主が売却に同意したそうです。邸宅と別邸、どちらへお運びしましょうか?」

欲しい絵が手に入ると聞き、亮の表情がわずかに和らいだ。「邸宅の方だ。お前が直接出向いて額装し、応接間に飾っておけ」

高木は恭しく頷いた。「はい、ではただちに向かいます」

続きを読む

婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

男装17年、女帝はじめました の小説カバー
8.0
生まれた瞬間、母の野心によって性別を偽る運命を背負わされた皇太子。あるはずの「男の証」を持たぬまま、過酷な胸の締め付けと男装に耐え、十七年もの歳月を皇太子として完璧に演じ抜いてきた。文武両道で聡明な後継者として名を馳せるも、ついにその正体が露見する日が訪れる。裏切られたと感じた忠臣たちが怒りの眼差しを向け、死罪を免れない絶体絶命の窮地に立たされた時、彼女は静かに剣を抜き放ち、世の理を覆す宣言を放った。「女が皇帝になってはならぬと、誰が決めたのか」と。自らの力で帝位を掴み取った彼女を待っていたのは、かつて共に学問に励んだ文官と、武芸を叩き込んでくれた武官による、熾烈な寵愛争いだった。かつての仲間から側室候補となった彼らの肩を抱き寄せ、女帝は不敵に微笑む。後宮にさらなる新人が増える未来を見据え、嫉妬に燃える男たちを軽やかにいなしていく。男装の皇太子から前代未聞の女帝へ。彼女の歩む道には、華やかな恋の火花と波乱の治世が待ち受けていた。
後悔してももう遅い、覚醒した天才妻は輝き出す の小説カバー
9.5
結婚七周年という節目の記念日、園田理穂を待っていたのは夫からの冷酷な拒絶だった。急な会食を理由に約束を反故にされた彼女は、偶然にもデパートで衝撃的な光景を目の当たりにする。そこには、見知らぬ女性と実の息子、そして夫が、まるで理想的な家族のように睦まじく笑い合う姿があった。息子がその女性を「ママより優しい」と慕い、夫が慈愛に満ちた表情を向ける中、理穂は東大博士課程という輝かしいキャリアを捨てて尽くしてきた七年間の無意味さを悟る。さらに、夫が自宅の最新AIロボットに、理穂を侮辱し嘲笑する音声を密かに仕込んでいたという残酷な事実までもが発覚。家庭という名の監獄で精神的虐待を受けていた現実に直面し、彼女の悲しみは鋭利な怒りへと変貌を遂げる。もはや未練などない。理穂は結婚指輪を投げ捨て、自らの足で家を出ることを決意する。敏腕弁護士である親友の助力を得て、かつての天才と呼ばれた彼女は、失われた尊厳を奪還し、裏切った家族へ報いを受けさせるための静かなる反撃を開始した。
モテが止まらない、狼隊長 の小説カバー
8.1
北方の地で命を落とした一匹の狼が、現代の人間へと転生を果たした。新たな体は、あろうことか五輪選考に漏れたラグビーの補欠選手。しかし、野生の獣としての身体能力は失われていなかった。周囲が驚愕するほどの猛スピードでフィールドを駆け抜け、圧倒的な実力を見せつけた彼は、短距離コーチから種目転向を打診されるほどの逸材として注目を集める。本来ならチームを去るはずの立場から一転、親善試合での大活躍を機に連戦連勝を重ね、ついにはキャプテンの座にまで上り詰めた。その勢いは競技場に留まらず、オフシーズンのテレビ出演をきっかけに、端正な容姿と鍛え上げられた肉体で世の女性たちを虜にしていく。ネット上で熱烈な求婚が殺到し、社会現象を巻き起こすほどの人気を博すが、彼の魂は高潔な狼のままだった。世間を騒がせる人気女優に対しても、彼は臆することなく宣言する。自分たち狼族は、生涯ただ一人の伴侶のみを愛し抜く一途な存在であると。野生の強さと誠実さを併せ持つ男の、前代未聞のサクセスストーリーが幕を開ける。
四十九冊の本、ただ一つの清算 の小説カバー
9.3
夫・彰人が不貞を働くたび、私の本棚にはその代償として希少な古書が増えていく。四十九回の裏切りと、沈黙を買うための四十九冊の謝罪。そんな歪な均衡は、彼のあまりに無慈悲な嘘によって崩壊した。彰人は亡き父との約束を反故にし、高校時代の恋人・樹里にマンションを買い与えるため、父の授賞式を欠席したのだ。さらに彼は、私の母の追悼庭園を樹里の愛猫の墓で汚すことを許し、あろうことか私に「彼女への思いやりを持て」と言い放つ。私の流産という深い悲しみさえ不倫相手に漏らしていた彼に、もはや慈悲の心など残っていない。母の記憶と自らの尊厳を蹂躙された私は、彼と共に築き上げた偽りの日々をすべて解体することを決意する。私は数々のキャリアを葬ってきた選挙プランナーだ。眠る夫の端末に盗聴器を仕掛け、反撃の準備を整える。次に本棚へ並ぶのは、彼からの謝罪の品ではない。私による冷徹な清算の記録であり、彼への最後通牒となるのだ。
夫の歪んだ二重生活 の小説カバー
8.9
夫・健斗との結婚生活は、すべて巧妙に仕組まれた偽りの演劇だった。五年前、死んだはずの義妹・杏奈の命日を弔うために訪れた軽井沢の別荘。そこで私が目撃したのは、死んだはずの杏奈と、私の両親、そして夫に生き写しの幼い子供が睦まじく笑い合う光景だった。家族の愛情を一身に受ける義妹の姿と、私を「騙しやすい女」と嘲笑う夫の冷酷な本性。実の両親さえも私を裏切り、彼らは真実の家庭を隠れて築いていたのだ。健斗は私をただの「都合のいい道具」として扱い、用済みとなった今、私を精神病院へ永久に監禁しようと画策していた。すべてを失い、逃亡の末に火を放った私は、燃え盛る絶望の中で一つの決断を下す。それは、夫が唯一恐れる最大の宿敵に助けを求めることだった。奈落の底に突き落とされた私は、奪われた人生を取り戻すため、危険な男の手を取り復讐へと踏み出す。
振り向かないお嬢様は、京の大物に骨まで寵愛される の小説カバー
8.3
幼い頃から天野健吾を慕い、彼に相応しい花嫁になるため、舞踊や作法を完璧に身につけてきた新井裕美。しかし、健吾が彼女に返したのは、度重なる無視と冷酷な拒絶だった。命の危機にさらされた際にも見捨てられたことで、裕美は彼への愛が微塵もないことを悟り、決別を決意する。執着を捨て去り、本来の自分を取り戻した彼女は、没落しかけていた新井家を京都の頂点へと押し上げ、社交界で最も輝く存在へと成長を遂げた。かつての面影を失い、凛とした美しさを放つ彼女の瞳に、もう健吾の居場所はない。立場が逆転し、焦燥感に駆られた健吾は「すべてを捧げるから戻ってほしい」と縋り付くが、時すでに遅し。裕美の傍らにいたのは、京都の実権を握る健吾の叔父だった。叔父は、自らのものになった裕美を独占するように、艶やかな痕跡を刻みながら健吾を冷たく突き放す。かつての婚約者を「叔母」と呼ばざるを得ない、残酷で甘美な支配が幕を開ける。
今すぐ読む
共有