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破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む の小説カバー

破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む

高校時代から10年、私の世界のすべてだった婚約者の藤堂蓮。自らデザインした祭壇で誓いの時を迎えたが、彼は司会の早坂玲奈からの求婚に「はい」と答え、私を置き去りにした。これが地獄の始まりだった。蓮は脳腫瘍を患う玲奈を救うため、希少血液を持つ私に献血を強要し、彼女の気まぐれで私の愛猫を殺処分させた。さらには溺れる私を見捨てて彼女を救い、最後には彼女が仕込んだアレルゲンで私がアナフィラキシーを起こし、床で窒息しかけている時さえ、彼は仮病の彼女を抱えて病院へ向かった。彼は私を裏切っただけでなく、彼女のために私を殺すことすら厭わないのだ。絶望の中、一人病院で目覚めた私に、父から驚くべき提案が届く。それは謎に包まれたIT界の巨頭、有栖川暁との政略結婚だった。愛などという幻想に裏切られ、心が空っぽになった私は、復讐と再生を胸に誓う。父の「新郎を代えるのはどうだ?」という問いに、私は迷うことなく頷いた。偽りの愛を捨て、新たな運命へと踏み出すために。
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3

蓮はついに去っていった。その足音は彼の未練を響かせていたが、玲奈のベッドサイドへの引力は、彼が詩織に対して感じていたどんな罪悪感よりも強かった。彼は私設の看護師を雇い、詩織の物質的なニーズがすべて満たされるように手配した。それは彼の存在の貧弱な代用品であり、彼の優先順位を明確に示すものだった。

詩織が退院した日、彼女は二人が一緒に建てた家に戻った。そこは異質で、冷たく感じられた。空気は、死んだ関係の亡霊で満ちていた。スタッフに一言も告げず、彼女は自分の人生から彼を排除し始めた。二人の写真を下ろし、「過ち」とラベルを貼った箱に詰めた。彼がいつも買ってくれたクチナシの香りのキャンドルを捨てた。彼の電話番号をスマホから削除したが、暗記していた。捨てられた品物一つ一つが、小さく、満足のいく断絶だった。

初めてのデートから保存していた映画の半券のコレクションを袋に詰めている最中に、玄関のドアが開いた。蓮が戻ってきた。そして、彼は一人ではなかった。

早坂玲奈が彼にもたれかかり、青白く、か弱い様子だった。彼女は繊細なシルクのローブを身につけ、髪は巧みに乱れていた。詩織が箱とゴミ袋に囲まれているのを見ると、彼女の目には、弱々しさや病的な様子はなく、隠しようのない勝利の輝きがあった。

「何してるんだ?」

蓮は、二人の人生の解体された残骸を見て、眉をひそめて尋ねた。

「掃除よ」

詩織は平坦な声で答えた。

「もういらないものを捨ててるの」

蓮はその問題を追及せず、彼の注意はすでに腕にしがみつく女に戻っていた。

「玲奈は静かな場所で回復する必要があるんだ」

彼は尋ねるのではなく、宣言した。

「医者はストレスが彼女の状態に最悪だと言っている。彼女にはここにいてもらう」

彼は玲奈をソファに導き、まるで彼女がガラス細工でできているかのようにクッションにもたれさせた。玲奈は詩織を見上げ、その表情は謝罪と無力感の完璧なブレンドだったが、その目は鋭く、挑戦的だった。それは所有権の宣言だった。ここは今や彼女の家。彼女の男。

詩織は何も感じなかった。怒りと痛みは燃え尽き、凍てついた静けさが残った。

「いいわ」

彼女は箱に向き直りながら言った。

「あなたの家だもの」

蓮は彼女の無抵抗に安堵したようだった。

「ありがとう、詩織。君なら分かってくれると思ってた」

彼はそれから家政婦に向かって言った。

「マリアさん、下の階の客室を玲奈さんのために準備してください。快適にしてあげて」

詩織は彼らを見なかった。彼女は冷静に自分の仕事を続け、まるで幽霊のように家の中を動き回り、壁から自分の存在を体系的に消し去っていった。その後の数日間は、特別な種類の拷問だった。彼女は自分の家で目に見えない傍観者となり、結婚するはずだった男が別の女に尽くすのを見ていた。

彼は玲奈のために果物の皮をむき、小さく、食べやすい大きさに切ることを確認した。彼は何時間も彼女に本を読み聞かせ、その声はかつて詩織の眠れない夜のために取っておかれた、低く、心地よいささやきだった。彼は彼女の薬を管理し、食事に気を配り、彼女が弱さを見せかけたときには抱きしめた。かつては彼女だけのものだった優しさが、今や公然と展示され、彼女の代わりの者に惜しみなく注がれていた。それは、二人が共有したすべての良い思い出を、ゆっくりと、意図的に毒殺する行為だった。

荷造りをしていると、小さな刺繍の入った枕を見つけた。「R + S Forever」。祖母からの贈り物だった。彼女はそれを一瞬持ち、そして二度と考えずにゴミ袋に投げ込んだ。永遠は十年続いた。

彼女の唯一の慰めは、マーマレードだった。蓮が五年前の彼女の誕生日にくれた、ふわふわのオレンジ色の猫。彼は彼女の影であり、冷たく、空っぽの家の中の、暖かく、喉を鳴らす存在だった。彼女が泣くと、彼は彼女の手に頭をこすりつけた。彼女が眠れない夜には、彼は彼女の胸の上で丸くなり、嵐の中の毛皮の錨となった。

ある午後、荷物が届いた。定期的な歯のクリーニングの後、獣医からようやく戻ってきたマーマレードだった。彼の見慣れた顔を見て、彼の幸せそうな鳴き声を聞いて、詩織がここ数週間で感じた最初の本物の暖かさだった。彼女は彼を腕に抱き、彼の柔らかい毛皮に顔を埋めた。一瞬、彼女はかつての自分のかけらを感じた。

マーマレードを腕に抱いて廊下を歩いていると、キッチンに向かう途中の玲奈と出くわした。玲奈の目はすぐに猫に釘付けになった。

「あら、なんて可愛い子なの」

玲奈は、病的なほど甘い声でさえずった。

「抱っこしてもいい?」

「だめ」

詩織は、マーマレードをきつく抱きしめながら、そっけなく言った。

「人見知りなの」

玲奈の顔に苛立ちがちらついたが、すぐに不満げな表情に変わった。

「お願い?私、すごく寂しくて悲しいの。小さな毛玉がいたら、元気が出るのに」

彼女は手を伸ばした。

詩織は一歩下がった。

「だめだって言ったでしょ」

玲奈の不満げな表情は、嘲笑に変わった。彼女は前に飛びかかり、詩織の腕から猫を奪おうとした。マーマレードは驚きと恐怖で、シューッと威嚇し、前足で玲奈の手を引っ掻いた。それは表面的な傷で、ほとんど皮膚を破るほどではなかった。

「痛い!」

玲奈は、まるで撃たれたかのように後ろによろめきながら叫んだ。彼女は手を握りしめ、その顔は痛みと恐怖の仮面に歪んだ。

蓮は彼女の叫び声を聞いて駆けつけた。

「どうした?玲奈、大丈夫か?」

「猫が!」

玲奈は、小さな血の点が盛り上がっている手を掲げながら、すすり泣いた。

「私を襲ったの!理由もなく、いきなり飛びかかってきたのよ!」

「嘘よ!」

詩織は叫んだ。

「あなたが彼を掴もうとしたんでしょ!」

蓮の視線は、玲奈の涙に濡れた顔から詩織の反抗的な顔へと移り、硬くなった。彼の目は玲奈の手の小さな傷に落ち着いた。

「彼女は病気なんだ、詩織」

彼は、危険なほど低い声で言った。

「彼女の免疫系は弱っている。どんな感染症も致命的になりうる」

彼は優しく玲奈の手を取り、まるで致命傷であるかのように、その微小な傷を調べた。

「この家に凶暴な動物を置いておくわけにはいかない」

「彼は凶暴じゃないわ!彼女が挑発したのよ!」

詩織は、心が沈むのを感じながら懇願した。

玲奈は再びすすり泣いた。

「ただ撫でたかっただけなの、蓮。私にはもうあまり時間がないから、彼が友達になってくれるかもしれないって思ったの」

彼女は偽りの恐怖で猫を見た。

「今は彼が怖い」

それだけで十分だった。

「ただの猫だろ、詩織」

蓮は、冷たく、見下したような口調で言った。

「玲奈の健康の方が重要だ。彼女が猫を欲しがっている。残された時間、彼女の伴侶になるだろう」

彼は手を伸ばし、詩織が反応する前に、彼女の腕からマーマレードをひったくった。

「やめて!」

詩織は、彼に向かって飛びかかりながら叫んだ。

彼は怯えて身をよじる猫を、勝ち誇った玲奈に手渡した。

「よしよし、坊や」

玲奈は、偽りの甘さに満ちた声でさえずりながら、その毛皮を撫でた。

「返して、蓮!彼は私の猫よ!」

詩織は、声が震えながら叫んだ。

「子供みたいなこと言うな」

蓮は、彼女と玲奈の間に立ちながら、ぴしゃりと言った。

「これが最善なんだ。彼女の最後の願いの一つを叶えるのは、俺たちができる最低限のことだ」

彼は背を向け、今やマーマレードをきつく抱きしめ、詩織にしか見えない残酷で勝利に満ちた笑みを浮かべている玲奈を連れて行こうとした。猫は彼女の腕の中でもがき、苦しそうな鳴き声を上げた。

詩織は冷たい恐怖に襲われた。こんなことは許せない。彼女はその夜、蓮がシャワーを浴びるのを待った。家は静かだった。彼女は心臓をドキドキさせながら、玲奈の部屋に忍び寄った。猫を取り返さなければ。

ドアは少し開いていた。彼女は中を覗き込み、そして見たものに血の気が引いた。

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