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婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 の小説カバー

婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。

名家とは名ばかりの富豪一家から一方的に婚約を破棄され、世間の冷笑を浴びた雲居美月。しかし、彼女は悲嘆に暮れるどころか、首都最強の権力を持つ美貌の財界人と電撃入籍を果たし、周囲を驚愕させる。当初、夫となった男は「二年後には関係を断つ」と冷徹に契約結婚を宣言していた。だが、いざ生活が始まると彼は美月に執着し、片時も離そうとしないほど彼女を深く溺愛し始める。周囲がその変貌に困惑する中、美月の隠された素顔が次々と露見していく。世界最高峰のハッカー、伝統絵画の巨匠、そして先端企業の黒幕。各界の重鎮を友人に持つ彼女の正体は、誰もがひれ伏すチート級の才能の塊だったのだ。さらに、世界的な宝飾グループが「本物の令嬢」の発見を公表すると、その正体が他ならぬ美月であることが判明する。かつて彼女を嘲笑った人々は、あまりに規格外な彼女の真実に震撼することになる。冷徹な神に捕らわれた美しき天才令嬢が、その圧倒的な実力で運命を切り拓いていく極上のシンデレラストーリー。
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ホテルのスイートルームで甘く気怠い空気が静かに溶けていった。

雲居美月は目を覚まし、隣で眠っている端正な顔立ちの男を見つめた。その表情は気まずさと複雑な思いが入り乱れていた。

昨夜のパーティーで酒を飲み、ふと体の異変に気づいて足早にその場を離れた。意識が朦朧とするなか客室フロアにたどり着き、少しだけ隙間の開いていたドアを見つけて転がり込んだのだ。

そして直後、視界にスタイルがよくて、品のある男のシルエットが映り込んだ。

「出て行け!」

それが、男が彼女にかけた最初の言葉だった。氷のように冷たく、怒りを孕んだ声だった。

当時はあまりの苦しさに上手く聞き取れなかった。ただ、相手が息を呑むほど美しい男であり、彼から発せられる涼やかな気配に抗いがたく惹きつけられ、無意識のうちにすがりつき、肌を重ねてしまった……。

美月は眉をひそめ、それ以上思い返すのをやめた。

ふいに隣の男が寝返りを打ち、彼女はビクッと肩を震わせた。我に返り、後ろめたさを抱えながら、男の整った目元をじっと見つめた。

数秒が経過したが、幸いにも男は目を覚まさなかった。

彼女は密かに安堵の息を漏らすと、慎重に掛け布団をめくり、ベッドから抜け出した。体の節々に残る違和感を堪えながら、床に散乱した衣服を手早く拾い集めた。

行きずりの関係を持ってそのまま立ち去るのは、あまりにも無責任な行為に思えた。

服を整えた美月はベッドの傍らに立ち、未だ夢の中にいる男を眺めた。本当に見惚れるほどの美貌だ。これまで数多くの美男子を目にしてきた彼女でさえ、ここまで目を奪われるような存在は初めてだ。

(ただ、少しばかり強引だ。特に昨夜は……)

艶めかしい光景が不意に脳裏をよぎり、美月はカッと顔を熱くして慌てて回想を断ち切った。

少し考えた後、彼女はバッグから一枚の小切手を取り出し、ベッドサイドのテーブルにそっと置いた。それでもまだ不十分な気がして、短いメモ書きを添えておいた。

その後、彼女は部屋を後にした。

エレベーターの中でスマホが鳴った。美月はそれを取り出して応答した。『もしもし』

『ん?どうしたの? 朝からなんだか疲れてるみたいだけど』

電話越しの女は鋭く尋ねてきた。美月は軽く咳払いをして、声を潜めて答えた。『昨夜は寝付けなくて。少し寝不足なの』

『眠れなかった? どうして急に?』

『別に、大した理由じゃないわ』 美月は眉間を揉みほぐしながら、話を逸らした。『それより、朝早くから何の用?』

『ああ、長谷川亮の使いがまたギャラリーに来たのよ。あんたのあの絵、10倍の値段で買い取りたいって。少し考えてみない?』

美月は一瞬、言葉に詰まった。

彼女が断るのを恐れたのか、女はすかさず言葉を続けた。『ねえ、長谷川がどんな人物か分かってるでしょ? GEグループを率いる、絶大な権力を握った冷酷非道な男。誰も逆らえない恐ろしい人物よ!

どうしてもあの絵が欲しいみたいでさ。一度断っちゃったけど、二度も断ったら私の命が危ないかも』

噂によると、亮は16歳で当主を引き継いで内紛を収め、18歳でGEグループの事実上のトップに立ったという。現在まだ26歳だが、すでにグループの時価総額を数倍に跳ね上げている。その手腕は凄まじく、まさに名実ともにビジネス界の帝王だ。

世間の誰も彼の素顔を知らないが、彼にまつわる噂が絶えることはない。

少し考えた末、美月は承諾した。『分かった、彼に譲って』

あの絵は本来、藤堂家へ贈るはずのものだったが、今はもうその必要もない。

藤堂家は彼女の平凡な生い立ちを嫌い、亡き父との約束を反故にしたのだ。美月自身も、女遊びの激しい放蕩息子になんて嫁ぎたくはないのだ。

女はホッと息をつき、喜びを隠しきれない様子で言った。『よかった!取引が終わったら、すぐに代金を振り込むわね』

美月:『10倍の値段なんていらないわ。定価でいい』

女はくすっと笑った。『分かってるわよ。向こうが払うと言っても、恐れ多くて受け取れないわ』

今日は土曜日なんだけど、ルームメイトのみんな、出かけてていないんだ。

京帝大学の寮に戻った美月は、真っ先にバスルームに駆け込んだ。自分の体に残った痕跡を直視できず、終始目を閉じたままシャワーを浴びた。

着替えを済ませてデスクの前に座ると、パソコンを開き、手早くホテルの監視カメラシステムにハッキングを仕掛けた。

よりによって、昨夜のパーティーが開かれた個室のカメラは故障しており、映像は一切残されていない。

もちろん、そんな都合の良い偶然など信じるはずもない。少し思案した後、彼女の細い指が再びキーボードの上を舞った。数分後、動きを止めた美月の瞳は、モニターを見つめながら氷のように冷たくなった。

(やはり、彼女の仕業か)

一呼吸置き、美月は映像を客室フロアのものに切り替えた。自分が男の部屋に転がり込む姿を確認して微かに眉をひそめたが、そのデータを削除することはしなかった。小切手には彼女の印鑑が押してあるのだから、カメラの映像だけを消しても意味がない。

彼女自身、この出来事から逃げるつもりはなかった。ただ、あの状況があまりにも気まずくて逃げ出してしまっただけだ。

もし相手がこの結末に納得しないなら、話し合いに応じるつもりはある。

それでもやはり、男には小切手を受け取り、何事もなかったことにしてほしい。

一方、ホテルの室内。

亮はベッドの傍らに立ち、手の中のメモ用紙を暗い瞳で見つめている。

『ごめんなさい。昨夜は罠にはめられてしまって……。助けていただいたお礼です。この小切手で、昨夜のことはなかったことにしてください』

彼の瞳に冷たい光が宿り、手の中のメモをくしゃりと握り潰した。再び小切手へと視線を移すと、その表情はますます険しくなった。

体内に潜んでいた毒素が突然発作を起こし、一時的に理性を失っていなければ、あんな女と関係を持つことなど絶対にあり得なかった。

(利用するだけ利用して逃げ出した挙句、こんな形でコケにするとは。いい度胸だ)

亮は丸めた紙屑を冷酷に投げ捨てると、スマホを手に取りアシスタントに電話をかけた。そのふとした瞬間、シーツに残された一抹の赤い染みが目に入った……。

1時間後。

アシスタントの高木拓海が、亮のそばへ恐る恐る近づいてきた。「長谷川社長、お調べしました」

ソファに座ている亮は目を閉じたままだ。その冷徹な横顔と帝王のような威圧感は、見る者を震え上がらせる。「言え」

「雲居美月、20歳。京帝大学コンピューターサイエンス学部の3年生です。成績は優秀ですが、家庭環境は少し貧乏で……。父親はすでに他界し、母親は再婚しています。 現在は京帝で1人暮らしをしており、昨夜はクラスの集まりがあったようです。

監視カメラの映像を確認したところ、当時の彼女は確かに意識が朦朧としていました。社長の部屋のドアがしっかり閉まっていなかったため、誤って迷い込んでしまったようです」

「家庭環境が貧乏だと?」亮は不意に目を開け、怪訝そうに言った。「なら、この小切手はどういうことだ」

数千万円という金額は彼にとって大したものではないが、普通の学生が出せる額ではない。

「大学内での噂ですが、彼女の父親はかつて京帝の資産家を助けたことがあるそうです。死の間際、娘をその家に嫁がせたいと託したものの、相手側はそれを拒否し、手切れ金としてまとまったお金を渡したのではないかと」

亮はローテーブルに置かれた小切手に目を向けた。切れ長の瞳を細めたその端整な顔立ちは底知れず、何を考えているのか全く読めなかった。

拓海はちらりと小切手を一瞥した。(おそらくこれは、社長がこれまで目にした中で最も少額の小切手だろう。社長と一夜を共にしておきながら、あんな端金で侮辱するなんて。あの女、ただでは済まないな)

「社長、京帝大学へ向かって身柄を確保しますか?」

しばしの沈黙の後、亮は命じた。「大学内では手を出すな。邸宅へ連れてこい」

「承知いたしました」 少し間を置き、何かを思い出したように拓海が付け加えた。「それと、長谷川社長。飄零先生のあの絵ですが、持ち主が売却に同意したそうです。邸宅と別邸、どちらへお運びしましょうか?」

欲しい絵が手に入ると聞き、亮の表情がわずかに和らいだ。「邸宅の方だ。お前が直接出向いて額装し、応接間に飾っておけ」

高木は恭しく頷いた。「はい、ではただちに向かいます」

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