
イカした恋とイカレた妖刀の冒険譚
武芸の道に全てを捧げ、ストイックに己を磨き続けてきた傭兵時代。しかし、待っていたのは無慈悲な敗北と挫折の記憶だった。そんな過去を持つ主人公が流れ着いたのは、巨大なカイザード帝都。そこで彼は、捨て犬のような境遇からボトマーズギルド・ハニカムに拾われることになる。かつての面影はどこへやら、現在の姿は「怪人イカ男」と呼ばれるイカの姿をした異様な怪人。さらには、何事にも無気力で面倒を嫌い、金欠に喘いでは物事が裏目に出るチンピラのような男へと転生を遂げてしまっていた。本作は、そんな風変わりな主人公を中心に、物語の語り手が次々と入れ替わる独創的な構成で描かれる新感覚のファンタジー・アクションだ。イカした風貌のイカれた妖刀使いが、混沌とした帝都を舞台にどのような冒険を繰り広げるのか。先の読めない展開と独特の語り口が、読者を不思議な世界観へと引き込んでいく。かつての挫折を胸に秘めた男の、斜め上を行く新たな人生が幕を開ける。
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章 2
ゴインッと鈍い音が響いた。
「‥‥ぬぅお?!」
突然の衝撃に思わず声が漏れる。
バッと体を起す。
盆を持った幼女と目が合う‥‥睨まれた。
「それ弛んでるぞ、しっかり結んでおけ」
カウンターから声。
背刀に手を遣る。
それには、抜き身のまま、やけに古い包帯が巻かれている。
柄の結び目が解け掛けている‥‥俺は、それを結び直した。
カズ‥‥それが俺の名前だ。
高校中退した俺は、意気揚々と夢に向かって走り出した所で、交通事故に遭ったんだ。
そして、意識が戻った時には、機械の身体に生まれ変わっていた。
人体改造によって一命を取り留めた‥‥という訳では無かった。
何の冗談だか知らないが、巷で流行りの異世界転生というのを体験してしまったらしい。
事故の後遺症なのか、俺には過去の記憶が無い。
親族、交友関係も分からず、漠然と日本人だった事と、断片的なカズという名前の一部しか覚えてない。
この身体に元の持ち主が居るのかも不明だ。
意識が覚醒した時には、最初からティーンエイジャーで、この異世界での記憶も無いのだ。
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