
愛が死ぬ時、復讐が始まる
章 2
隆弘の顔は、無表情のままだった。
かつて私への愛で満ちていた瞳は、今やぞっとするほど穏やかだ。
「それは過去のことだ、恵麻。もう終わったんだ」
「終わった?」
その言葉は、喉に詰まった喘ぎのようだった。
「私の息子は死んだのよ。私は檻の中で三年も人生を失った。何も終わってなんかない」
部屋が傾いた。
心臓が万力で締め付けられるようで、鼓動の一つ一つが新たな痛みの棘となる。
私はよろめき、手足の震えが抑えきれなくなった。
一瞬だけ、彼の目に心配の色がよぎったように見えた。
ほんの一瞬。
「恵麻」
彼は低い警告の声で言った。
私を捕まえようとするかのように、素早く一歩踏み出した。
だが、その時、彼の携帯が鳴った。
陽気で、子供っぽい、私が聞いたことのない着信音。
彼は立ち止まった。
体がこわばる。
画面を一瞥すると、彼の態度ががらりと変わった。
心配の色は消え、疲れた親の優しさに取って代わられた。
「今向かってる」
彼は電話口で、優しい声で言った。
「ああ、あの子の好きなお菓子を買っていくよ。泣かせないでくれ」
彼は電話を切った。
部屋の沈黙が、耳をつんざくようだった。
彼が蓮にどう接していたかを思い出す。
厳格で、要求が多かった。
蓮が夕食前にお菓子を欲しがって泣いた時、隆弘は夕食抜きで部屋に行かせた。
彼はいつも、人格を形成し、強くするためだと言っていた。
だが、この新しい子供、佳蓮の子供は、泣くだけでお菓子がもらえるのだ。
私は彼に崩れ落ちる姿を見せまいと、椅子の背もたれを掴んだ。
プライドだけが、私に残されたすべてだった。
彼はためらい、一瞬だけ私に視線を留めてから、去ろうと踵を返した。
「少し休め。話は明日にしよう」
彼はドアから出ようとして、立ち止まった。
「警報のコードは同じだ。また電話する」
私の家?
ここはまだ、私の家なの?
その考えが、喉の奥で苦い笑いになった。
彼は去った。
玄関のドアがカチリと閉まり、家はより深い夕闇に沈んだ。
かつてはあんなに輝いていた私の世界は、今や灰色と黒の濃淡だけになってしまった。
この家にいたくはなかったが、他に行く場所もなかった。
そして、見つけなければならないものがあった。
重い足取りで階段を上り、蓮の部屋へ向かった。
部屋は、空っぽだった。
完全に、空っぽ。
レーシングカーのベッドも、彼のお気に入りの物語でいっぱいだった本棚も、なくなっていた。
恐竜やロケットのクレヨン画で覆われていた薄青い壁は、無機質で、個性のない白に塗り替えられていた。
彼らは、蓮を消し去ったのだ。
「なんてことを、隆弘」
私は空っぽの部屋に囁いた。
「どうしてこんなに残酷なことができるの?」
膝から崩れ落ちた。
滑らかな、新しいペンキが塗られた壁が、背中に冷たく感じられた。
生の、獣のような声が喉から迸り、純粋で、希釈されていない苦痛の叫びとなった。
私は空っぽになるまで泣いた。
喉がひりひりし、目が腫れ上がるまで。
疲れ果て、主寝室へとよろめきながら入った。
私たちの寝室へ。
愚かな、ほんの小さな部分が、彼が蓮のものを何かここに残してくれているかもしれないと期待していた。
お気に入りの毛布。
一つだけ忘れられたおもちゃ。
部屋は、三年前とまったく同じだった。
同じ重厚なカーテン、同じキングサイズのベッド。
クローゼットには私の服がまだかかっていて、化粧台には私の香水瓶が並んでいた。
なぜ?
新しい家族がいるのに、なぜ私のものを残しておくの?
彼女をここに連れてきたの?
私は震える手で、ナイトスタンドの引き出しを開けた。
何を探しているのか、自分でもわからなかった。
そして、それを見つけた。
奥の方、私の古い日記の後ろに、小さな、未開封のランジェリーの箱があった。
高価なもの。シルクとレース。
まったく私の趣味ではない。
佳蓮の趣味だ。
その胸が張り裂けるような瞬間に、私はそれが何であるかを正確に理解した。
そして、彼がなぜ私のものを残しておいたのかも。
この家は、私たちの死んだ結婚生活の聖域ではなかった。
彼らのプライベートな遊び場だったのだ。
彼らはここへ、私たちのベッドへ、私の亡霊に囲まれながらやってきて、歪んだゲームを楽しんでいたのだ。
その考えだけで、吐き気がした。
私はバスルームに駆け込み、トイレに吐いた。
苦い胆汁しか出なくなるまで、何度もえずいた。
体は弱り、魂は砕け散っていた。
冷たいタイルの床に崩れ落ち、世界は闇に消えていった。
窓から差し込む薄明かりで目が覚めた。
私はベッドにいた。
誰かが私をバスルームの床から運び、寝かせてくれたのだ。
隆弘が窓際に立ち、私を見下ろしていた。
彼の表情は、何年も見ていなかったものだった。
柔らかく、苦痛に満ちていた。
恐ろしいことに、一瞬、彼の目に愛が見えた気がした。
その考えだけで、また吐き気がした。
私の声は、しゃがれていた。
「どうして私のものを捨てなかったの?」
私はシーツを鎧のように体に巻きつけ、身を起こした。
「どうして私を完全に消し去ってくれなかったの、隆弘?あなたと佳蓮が私のベッドでいちゃつくのは、私が独房で腐っていくのを知っていた方が楽しかったから?」
彼の顔が硬くなった。
束の間の柔らかさは消え去った。
「知っていたのか」
それは質問ではなかった。
「見たわ。墓地で。彼女と。そして、あなたの息子と」
彼は否定しなかった。
ただそこに立っていた。野心と嘘で彫られた像のように。
「我々には子供がいる、そうだ」
彼の声は平坦だった。
すでに破壊されたと思っていた私の世界が、さらに細かい塵へと崩れ落ちた。
彼の愛、彼の約束、彼の甘い囁きの記憶すべてが、心の中で灰と化した。
遠い昔、私を守ると約束してくれた彼を思い出す。
蓮が生まれた時、喜びで泣いていた彼を思い出す。
「どうして離婚してくれなかったの?」
私はかろうじて聞こえる声で尋ねた。
「どうして私にこんな仕打ちを?」
彼は顎を食いしばった。
「都知事選の最中に泥沼の離婚劇を演じるのは、見栄えが悪い、恵麻。悲しみに暮れる男やもめの方が、ずっと同情的な人物像だ」
彼は蓮のことを話していた。
まるで政治的な資産のように。
「だが、私が指名を受け」
彼は、ぞっとするほど理性的な声で続けた。
「選挙が確実になったら、佳蓮とは離婚する。君と私は、また一緒になれる」
私は彼を見つめた。
その言葉の、途方もなく、怪物的な厚かましさを、私の心は処理しようともがいていた。
彼は私をキープしていたのだ。
クローゼットの奥にある予備のスーツのように。
財閥令嬢との情事がその目的を果たした時に戻る、都合のいい選択肢として。
彼はまったく変わっていなかった。
彼はまだ、スラム街から来たあの冷酷な少年のままだった。
欲しいものを手に入れるためなら、何でもする、誰でも犠牲にする。
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