朝目が覚めたとき、私は魔女でした の小説カバー

朝目が覚めたとき、私は魔女でした

8.4 / 10.0
現役大学生である姫野雫の日常は、あまりにも唐突に幕を下ろした。大学での講義を終え、疲れ果てて自宅のベッドに身を投げ出した彼女は、抗いようのない眠りに落ちてしまう。しかし、次に目を覚ました彼女を待っていたのは、見慣れた自室の風景ではなかった。差し込む陽光に照らされていたのは、見たこともない調度品や見知らぬ天井。そして傍らには、黒と白が基調のワンピースと、怪しく光る黒紫の三角帽子が置かれていた。さらには、ただの木の棒とは思えない「魔法の杖」までもが彼女の手に届く場所にあったのだ。こうして、朝の目覚めとともに異世界への転生を果たした雫は、伝説に語られるような魔女としての人生を歩み始めることになる。元の世界での常識が通用しない未知の環境で、彼女は魔法の力を糧に広大な世界へと足を踏み出す。果たして、魔女となった雫の行く手にはどのような出会いと試練が待ち受けているのだろうか。新しい自分を受け入れ、一歩ずつ進む彼女の冒険が、今ここから静かに、そして鮮やかに幕を開ける。

朝目が覚めたとき、私は魔女でした 第1章

私は姫野雫《ひめのしずく》。20歳。今時の現役女子大生。

 今、大学から家に向けて夜の道をゆっくり歩いている。

 途中に大きな本屋があって、毎日そこで1時間ぐらい立ち読みをしてから帰るのが、いつもの恒例。

 今日も立ち読みをしてから家に帰ろうかなと思ったが、昨日徹夜をしてしまって流石にもう眠いから、素直に家に帰ることにした。

 授業中も眠かった。でも授業中はさすがに寝ない。

 いや、寝ないんじゃなくて寝れない。寝たくても寝られないだけ。

 昨日なぜ徹夜したかは聞かないでください。

「ただいまー」

 誰もいない部屋に向かって言う。

 私は今一人暮らしで、両親は私が19歳の時に事故により他界していて、今は一人で暮らしている。

 祖父母は私が15歳の時に亡くなっている。兄弟姉妹もいないし。

 でも、元々大学に進学するときに地方から離れて東京で一人暮らしを始めたから、家に誰もいないから毎日寂しいことはないけど、毎年実家に帰らないから、大学が長期休みのゴールデンウィークや元旦は暇だけど。

 私の家は、玄関からトイレとお風呂の戸を通過して、すぐにデスクとベッドがある部屋がある。キッチンもその部屋にある。

 家に入って、バックを置いて着ていたコートをハンガーかけて、もう眠くて仕方ない頭と体をすぐに休ませるためにベッドに飛び込む。

 夕飯を食べなきゃいけないけど、眠くて仕方ない。夕飯どうしよう。お腹が空いているけど、眠くて仕方ないし。

 そう考えている内に、睡魔に負けてベッドの上で寝てしまった。

  ・・・・・

 朝、部屋にある窓から太陽の日が差し込んできて、部屋が異様に明るくなってきて私は目を覚ました。

 よく寝た気がする。いや、よく寝た。

 ? 部屋明るすぎないか? 確かに昨日寝るときにカーテンを閉め忘れたけど、なぜか毎日鳴るはずの目覚まし時計の音も聞こえないし。なんで? 

 不思議を抱えながらベッドの上に起き上がって、閉じていた目をゆっくり開けると周りには見知らぬ壁・家具・天井・照明、そしてベッドのサイドテーブルの上に黒紫の三角帽子に黒と白が上下に別れているワンピースに、紫のローブがたたんで丁寧に置いておって、机には何やら木の棒――いや魔法の杖と金色のバッチに名前が刻まれたブローチが置いてあった。

 なにこれ。状況が把握できない。でも、パッと見た感じ、魔女の衣装っぽいけど。

 まさかハロウィンの仮装? でも今は2月だし・・・・、

 まぁ、こんなところで不思議がっていても仕方ないから、ベッドから降りて机に向かって足を進める。

 机の前に立って、置いてある金バッチを手に取って、金バッチに書かれている文字を読むと、

「アリーシャ? 私の名前?」

 机の上に置いてあるブローチに「アリーシャ」と刻まれている。

 私の名前は姫野雫だけど?

 もしかして、このバッジとブローチは魔女である証なのかも。転生したのであれば。

 そういえば、今更だけど起きて着ている服も寝た時と全然違う。私が持っているはずのない、白のワンピースを着ている。

 なんで?

 少しこの部屋から出ていろいろ見てみたけど、普通の一軒家っぽい。

 状況がわからないけど、こんなところで居座っているよりか外に出たほうが状況は把握出来るから、置いてある服に着替えて外に出てみることにしようかな。

 置いてある服に着替えて、私の身長より少し高い鏡に向かって立ってみると、いかにも「魔女!」って服装をしている。

 体系はおのずと分かっていたけど、鏡を見て分かった。すべてにおいて昨日のまま。貧乳なのもすべて。

 転生しているなら、もう少し胸が大きくなってもいいのに。

 そういえば、この世界のお金はどうなっているのかな? 杖の隣に小袋に入ったコインが、置いてあるけど。

 でも、どこを見てもそれらしきものは見当たらないから、きっとこれだと思う。

「とりあえず、この小袋と杖を持って行けばいいかな? そういえば、杖はあっても魔法の使い方がわからないから魔女と言えないな」

 そう独り言をつぶやきながら杖を手に取る。すると、机の引き出しの中がガタガタと動き始めた。

「⁉ なに?」

 ガタガタ言っている引き出しをゆっくり開けると、中には1冊の本が入っていた。

 なんの本だろう? 

 本をゆっくり持ち上げて開いてみると、魔法の使い方が書いてあった。

 よかった、魔法の教科書的なものがあって。「なかったらどうしよう」って思っていたから。

少し読んでみようかな。

 本を適当なところで開いて、少し読んでみるといろんな魔法の使い方が書いてあって、この本に書いてある魔法を全て覚えるのは少し大変そうだから、実用的に使える魔法と面白そうな魔法を覚えると楽しいだろうな。

 そう考えながら本を読んでいると、安心したからなのかお腹が空いてきた。

 そういえば、昨日帰ってきて夕飯を食べようかどうしようかで悩んで寝ちゃったんだっけ。

 外の状態が未だにわからないから、一回外に出てみたいし。

 杖と本と小袋を斜め掛けのかばんに入れて玄関ドアをゆっくり開けると、

「わぁー。綺麗!」

 外は「イギリスの町!」って感じの雰囲気で、昔からイギリスに行ってみたいなって思っていたから、テンションが上がってきた。

 そうだ私の家ってどうなっているんだろう?

 後ろに振り向くとレンガ造りの一軒家。

 玄関ドアには魔女の家であると知らせるような、丸い表札がかけられている。

 私が身に着けているブローチの大きいバージョン。こう見ると少し可愛く見える。

 てっきりどこかのホテルかマンションかと思っていたから、普通の一軒家でびっくりしている。

 自分が転生した場所が確認出来たから、何か買いに行こう。

 と言っても、この世界にはパンが主流だろうけど。

 別にパンが嫌いじゃない。むしろ好きな方。

 どんなパンがあるんだろう。楽しみだな。

 そう思いながら住宅街から抜けて、いろんなお店が並ぶ通りに出た。

 商店街を眺めながらゆっくり歩いていると、なんだかおいしそうなパンを売っているお店があった。

 さすが異世界。パンがおいしそう。

 別に日本のパンがおいしそうに見えないってわけじゃなくて、この世界の雰囲気とここに売っているパンが相まって、おいしそうに見えるってだけ。

 ゆっくり種類豊富のパンを見て、その中から私はクロワッサンを買うことにした。

「このクロワッサンをください」

 店番をやっている小太りで、とてもやさしそうなおばあさんに言う。

「はいよ! ・・・・ん? あんた魔女かい」

「はい、魔女です」

 「魔女です」って言ったけど、今日なったばっかりだし、魔法も使えない魔女だけど一様魔女だからいいでしょ。

「そうかい。じゅあ、半額にしておくね」

「ありがとうございます」

 どうやらこの街の魔女は優遇されているのか、このおばあさんだけがそういう人なのかもしれない。

 おばさんが紙袋にクロワッサンを入れてくれた。

そっか、この世界の紙袋は無料か。日本だと有料なのに。有難い。

「どこか、パンを食べられそうなところはないかな? ・・・・どこかで地図を買って探そうかな」

 あたりを見回しながら歩いていると、雑貨屋さんらしきお店があった。

「ここに地図売っているかな?」

 このお店に地図が売っているかわからないから、とりあえずお店の中を歩いてみよう。

 いろんな商品があるな。

 こんなところに地図は売っているのかな?

 そんなことを思いながら棚に並べてある雑貨を見ながら歩いていると、いかにも異世界って感じの紙が巻かれて箱の中に入っている。

 これって地図かな?

 試しに一つ手に取って開いてみる。

「お! これは地図だ」

 この巻かれた紙は地図だった。しかも詳しく書かれていて、しかもとっても見やすい。

 これを買おう。

 地図を持って、お金を払いに行く。

「これを下さい」

 地図を店員さんに渡す。

「魔女様ですね。魔女様はこちらの地図をお持ちください」

 そう言って、定員さんが後ろの棚にある紙を取った。

「これは、魔女様専用の地図です」

「魔女専用ですか」

 見た目は普通の地図に見えるけど、魔女専用ってことは何かが違うってことなのかな?

 まぁ、何が違うのかわからないから買ってみようかな。

「じゅぁ、その地図をください」

「はい。どうぞ」

「ありがとうございます。お代はいくらですか?」

「お代は結構です。魔女様は大切な存在なので」

 本当にこの街は、本当に優遇されているらしいです。

この街っていうか、もしかしたらこの国自体が魔女に対して優遇されているのかも知れない。

「ありがとうございます。また来ます」

 そう言ってお店を出る。

 お店を出て、少し歩いた所で立ち止まってさっき買った魔女専用地図を開いてみた。

 すると、地図に何か青い点がある。汚れかな? それともこの紙特有のものなのかな? どうなんだろう?

 あれ? これよく見ると今ここにいる所に点がある? 少し動いてみよう。

 青い点の謎を突き止めるために10メートルほど歩いてからもう一回地図を見てみると、地図上にある青い点がさっきと違う所から動いていた。

「これって、今私がいる所だ」

 どうやら、この魔女専用の地図はスマホの地図みたいに自分がいる現在地を示してくれるらしい。

 まさかこの世界でこんなものがあるとは。魔法の力はすごいな。

 さて、この周辺でゆっくりパンが食べられそうなところはないかな。

 そう思って地図と睨めっこしていると、なんだか良さそうな河川敷があった。

「この河川敷で食べられそう。ここに行ってみよう」

 地図を見ながら目的の河川敷に歩く。

 地図を見ながら歩くこと約10分。目的の河川敷に到着したらしい

「おー、綺麗な川」

 河川敷にある川の水はとっても透き通っていて、まるで日本の四万十川みたい。

 四万十川は高知県の西部を流れる一級河川で、本流には大規模なダムが建設されていないことで有名な川。

 河川敷に降りて、座ってパンが食べられそうなところを探していると、座りやすそうな所があった。

「ここで買ったクロワッサンを食べよ」

 優しそうなおばあさんの所で買ったクロワッサンを紙袋から出す。

「いただきます」

 紙袋から出したクロワッサンにかぶり付く。

 このクロワッサン美味しい。

 こんなおいしいクロワッサンを食べられたの久しぶりだな。

 私が一人暮らしを始めて数日後に美味しいパン屋があって、そこのクロワッサンが美味しかった。でも、半年ぐらいしてそのお店がいきなり辞めていた。

 あそこのクロワッサンは美味しかったな。また食べたいな。

 河川敷でクロワッサンを食べ終えて、まるで四万十川みたいな川を少し見て、家に帰ることにした。

 私は道を覚えるのが得意。だから、帰りは何も迷わずに家に向かって歩いて行ける。

「やっぱりこの街は綺麗でいい雰囲気だな。もっといろんなところに行ってみたいな」

 そう呟きながら家に帰る。

なんだかんだ言って、この世界に転生して魔女になって、まだ1日しか経ってないのに、すごく楽しく感じる。

 これからどんな事を体験しながら冒険していきたいな。

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