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君を奪う計画は、3年前から始まっていた の小説カバー

君を奪う計画は、3年前から始まっていた

清水瑠衣は三年間、立川蒼空へ献身的な愛を捧げてきた。しかし、命懸けで撮影した野生動物の写真は、蒼空が自身の愛人をコンテストで優勝させるための道具として奪われてしまう。彼の非情な裏切りを目の当たりにし、瑠衣は愛の終焉を悟った。彼女は離婚届を残して去り、奪われた名誉を自らの手で取り戻すことを決意する。そんな失意の彼女の前に現れたのは、元夫の宿敵である男だった。「才能ある者が正当に評価されるべきだ」と語る彼は、卑劣な手段で貶められた瑠衣に救いの手を差し伸べる。突然の接近に戸惑い拒絶しようとする瑠衣だったが、男は逃げ場を塞ぐように距離を詰め、執着を露わにしていく。彼が差し出した手は単なる慈悲か、それとも別の意図があるのか。追い詰められた彼女に、男は静かに告げる。この出会いは偶然ではなく、三年前から彼女を奪うために仕組まれた計画だったのだと。復讐と執着が交錯するなか、瑠衣の新たな運命が動き出す。
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家に戻った彼女が最初にしたのは、陽菜が作品を盗用した証拠をすべて整理することだった。

撮影のために移動した時に使った航空券。数え切れないネガフィルム。

それらは紛れもない証拠だった。

瑠衣はそれらを一つにまとめ、迷うことなくネットへ投稿した。

一瞬でネット中が騒然となった。そして画面のコメント欄には、瑠衣の胸を抉るような言葉が並んだ。

だが、投稿から10分も経たないうちに、すべてが削除され、アカウントごと凍結された。

404のエラー画面を見つめながら、瑠衣は拳をぎゅっと握りしめた。

蒼空は、ついに、あの女のためにここまでやるのか。

凍結されたIDを凝視しながら、思考は真っ白になった。

だが、すぐに理解した。今日は、陽菜が写真界の最高峰の賞を受け取る祝賀の日。蒼空が、自分に邪魔をさせるわけがない。

その時、外から突然エンジン音が響き、玄関のドアが乱暴に開いた。

振り返ると、 蒼空が険しい表情でまっすぐに歩み寄り、瑠衣の手首を掴んだ。

嵐の前の海のような彼の威圧感が、瞬時に室内を支配した。

「俺の言ったことを忘れたのか」

もしアシスタントがすぐ知らせてくれなかったら、今頃ネットは炎上して、陽菜の始まったばかりのキャリアは大きな傷を負っていたはずだ。

それでも瑠衣は一歩も退かなかった。「言ったでしょ。私の命を削って作り上げた作品を、あなたが他人に渡すなんて、絶対に許さないって!」

それが、彼女にとって初めての反撃だった。

蒼空は思わず目を見張った。

(いつもは俺を気遣う優しい女なのに。どうしてこんなふうに変わった?)

瑠衣は袖をぐいっとまくり上げ、並んだ傷跡と消えきらない注射痕を見せつけた。

「見える?この写真のために、私がどれほど犠牲を払ったか。

蒼空、私はあなたに対等な愛なんて求めてない。でも、最低限の尊重くらいはしてくれてもいいでしょ!」

長い間押し込めてきた感情、恨み、悔しさ――そのすべてが堰を切ったようにあふれ出した。

目元は赤く染まっていたが、涙はこぼれない。ただ燃えるような怒りだけが宿っていた。

蒼空の視線はさらに鋭くなり、静かに彼女を見下ろした。その瞳には、ほのかな嘲りが浮かんでいた。 「それは、お前が自分で招いた結果だろ。嘘から始まった結婚に、幸せな結末なんてあると思ったか?」

その瞬間、瑠衣の力は一気に抜け落ちた。

彼女は目を固く閉じる。「好きに言いなさい。でも、私の目的は一つ。離婚よ!」

蒼空は見下ろしたまま、皮肉を滲ませて言った。

「本気なんだな?」

瑠衣の手はすでに固く握りしめられていた。爪が手のひらに深く食い込んでいた。

実家が破産した時、救ってくれたのは蒼空だった。母の高額な医療費を肩代わりしてくれたのも彼だ。

その感謝が、彼への愛をより強くしていた。

だから数年もの間、彼のどんな要求にも応えようと努力してきた。

――ただ、今回だけは限界だった。自分の作品を譲れと言われたのだ。

蒼空は表情一つ変えずに電話をかけた。『瑠衣の母親の治療措置を、すべて停止しろ』

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