末期癌の嘘、隠された真実 の小説カバー

末期癌の嘘、隠された真実

8.7 / 10.0
『末期癌の嘘、隠された真実』は、裏切りから始まる再生を描くmodernなromance novelです。婚約者・晴翔は恩人の娘の余命を理由に偽装結婚を強行するが、その裏には妊娠という残酷な嘘が隠されていた。「恩返し」という言葉に惑わされず、全てを捨てて海外へ旅立つ決意をした主人公の新しい人生が始まります。このweb novelで、偽りの愛に訣別を告げ、自らの手で未来を切り拓く物語の結末を見届けてください。
「末期癌の嘘、隠された真実」のあらすじ
婚約者の晴翔から告げられたのは、私たちの結婚式を単なる「パーティー」に格下げするという残酷な通告だった。彼は、恩人の娘が末期癌で余命一年しかないことを理由に、彼女の願いを叶えるための偽装結婚を承諾したという。私は彼の語る「恩返し」という言葉を信じようと葛藤したが、その裏には衝撃的な裏切りが隠されていた。実は彼女はすでに晴翔の子を身に宿しており、二人は密かに親になる喜びを分かち合っていたのだ。真実を問いただす私に対し、彼は「病人の気持ちが分からないのか」と非情な言葉を投げつけ、私を責め立てて彼女の元へと去っていく。彼の中に私への愛など、もう一欠片も残っていなかった。信じていた未来はあまりにも呆気なく崩れ去り、私は全てを失った。しかし、絶望の果てに私はある決意を固める。本来ならば彼と添い遂げるはずだった結婚式の当日、私は日本を離れ、海外へと旅立つ。それは過去の自分との決別であり、裏切りに満ちた愛に終止符を打って、自分自身の新しい人生を切り拓くための第一歩なのだ。
もっと見る

末期癌の嘘、隠された真実 第1章

婚約者の晴翔は, 私との結婚式を「ただのパーティー」に格下げすると一方的に告げた. 会社の恩人の娘が末期がんで余命一年だから, 彼女と偽装結婚するのだと.

しかし, その裏で彼はとっくに彼女を妊娠させていた. 私が彼の「恩返し」という言葉を信じようと苦しんでいる間, 二人は密かにお腹の子の父親と母親になる喜びを分かち合っていたのだ.

「君は残酷だ. 病気の人の気持ちを少しも理解してくれないのか? 」

彼は私を一方的に責め, 彼女の元へ駆けつける. 私への愛情など, とうの昔に消え失せていた.

なぜ, 私たちの未来はこんなにもあっけなく壊されてしまったのだろう?

全てを失った私は, 彼との結婚式の日に海外へ旅立つことを決意した. これは, 私の新しい人生の始まり. そして, 彼への訣別の儀式なのだ.

第1章

塚田莉結 POV:

石田晴翔は, 私との結婚を「ただのパーティー」に格下げした. それは, 彼の会社の恩人の娘, 桐山友美子が末期がんで余命一年だという理由で, 彼が彼女と偽装結婚すると一方的に告げた日から, 私を襲った悪夢の始まりだった.

「莉結, 僕を信じてくれ. これは, 会社のためなんだ. 友美子さんの会社を守るため, 恩返しなんだ」

晴翔は, 私に何度も何度もそう説明した. その言葉は, 私の耳には届かなかった. 彼の理屈を繰り返すたびに, 私の心は少しずつ冷えていった.

「恩返し, 恩返しって... . 晴翔, そんな言葉で, 私たちが築き上げてきた全てが台無しになるのよ」

私の声は震えていた.

「わかっている. でも, これしか方法がないんだ. 友美子さんの最後の願いなんだ」

彼の言葉は, まるで録音されたテープのように, いつも同じだった.

私は最初, 彼の提案を断固として拒否した.

「そんな偽りの結婚, 認められない. 私たちの結婚式はどうなるの? 」

私は彼の目を見て, 必死に訴えた. だが, 彼の瞳に映るのは, 私への罪悪感と, 友美子への義務感だけだった.

数日後, 彼は態度を変え, 私に懇願するようになった.

「莉結, 頼む. この結婚は形式的なものだ. 君との結婚は, ちゃんと行う. ただ, 友美子さんとの入籍を先に済ませるだけだ」

彼の言葉は, 私を追い詰めた. 疲弊した私は, いつしか反論する気力も失っていた.

「君は残酷だ. 病気の友美子さんの気持ちを, 少しも理解してくれないのか? 」

友美子から直接そう言われた時, 私の全身の血液が凍り付くようだった.

一体, 誰が誰に残酷だと言うのだろう?

私の心の中では, 激しい反論が渦巻いた. 私が, 晴翔と築き上げてきた未来を, 病気を盾に奪おうとしているあなたの方が, よほど残酷ではないか, と.

だが, 私は何も言えなかった. 疲れ果てていたのだ. この先の人生で, こんなにも言い争うことになるなんて, 想像もしていなかった.

「... もう, いい」

私はそう呟くと, 力なくソファに沈み込んだ.

夜, 親友の笹原光子に電話をかけた.

「ねえ, 光子. 晴翔が, 私との結婚を『ただのパーティー』だなんて言い出したの」

私の声は, 震えどころか, ほとんど息のようなかすれ声だった.

光子はすぐに電話口で息を飲んだ. 一瞬の沈黙の後, 光子の怒りに満ちた声が響き渡った.

「は? 何それ? ふざけてんの? 晴翔くん, 頭おかしいんじゃないの? 」

光子の激しい反応は, 私の心の奥底にまだ残っていた僅かな希望を揺さぶった.

「彼は, 『会社の恩返しのためだ』って. 友美子さんが末期がんで, 彼女の会社を守る最後の願いだって言うの」

彼の言葉を繰り返すたびに, 私自身が彼を正当化しているように聞こえて, 胃の底が冷たくなった.

「恩返し? それが, あんたとの婚約を一方的に破棄して, 別の女と偽装結婚する理由になるわけ? 莉結, あんた, それで納得してるの? 」

光子の声は, 私を責めているのではなく, 私のために怒ってくれているのだとわかった.

「彼曰く, これは『偽装結婚』だから, 私たちには何の影響もないって」

私は晴翔の言葉をそのまま引用した. 彼の言葉の無害性を強調することで, 自分を守ろうとしていたのかもしれない.

「馬鹿にするのもいい加減にして! 偽装だろうが何だろうが, 結婚は結婚よ! あんたの気持ちを何だと思ってるの? ! 」

光子は感情的に叫んだ.

「莉結, 晴翔くんは本当にあんたを愛しているの? 愛しているなら, そんなことできるはずないじゃない! 」

光子の言葉は, 私の心を深く抉った. 彼の行動が, 私の長年の愛への裏切りだと, 誰よりも私が知っていた.

彼の「愛している」という言葉が, まるで偽りの鎖のように私を縛り付けていることに, この時, 私は気づいた.

晴翔はすでに, 彼の心の中で決定を下していた. 私の意見や感情は, 彼の計画の中では取るに足らないものだったのだ. 私は, 彼にとって, ただの付録だった.

その時, 晴翔の携帯が鳴り響いた. 彼は慌てて通話ボタンを押す.

「うん, すぐに行く. 大丈夫だ」

受話器から漏れる声は, 焦りと, 同時に深い安堵に満ちていた.

彼は私にろくに説明もせず, スマートフォンを片手に家を飛び出していった.

「友美子さんのところに行く」

彼の背中を見送りながら, 私は苦笑いを浮かべた.

彼の, あの切羽詰まった声. あの優しい表情. 私には, もう向けられることのない表情だった.

過去の記憶が走馬灯のように駆け巡った.

私と晴翔は幼馴染で, 成長するにつれて自然と惹かれ合った. 私は彼の隣にいることが, まるで空気のように当たり前だった.

ある日, 私が彼の仕事に協力しようと, 夜遅くまで資料をまとめていた時があった.

「莉結, 君は僕を信頼していないのか? 」

私が彼に渡した資料に, 何点か疑問点を挙げただけで, 彼は不機嫌な顔をした.

「君はいつもそうだ. 僕のやること全てに口を出す」

まるで私が彼を責めているかのような言い方だった.

私はただ, 彼のために最善を尽くしたいだけだったのに.

私はいつも, 彼の言葉を自分の中で言い聞かせていた.

「晴翔は, 本当に努力家だから. 完璧主義だから, 自分にも人にも厳しいんだ」

そうやって, 彼の冷たい態度や, 時に見せる不信感を, 私は自分の中で納得させていた.

きっと, 結婚すれば変わる. そう信じて疑わなかった.

だが, 現実は違った. 彼は何も変わっていなかった.

晴翔は, 私を置き去りにして, 急ぎ足で玄関を出て行った.

彼の足取りは, 友美子の元へ向かう喜びで弾んでいるように見えた.

取り残されたリビングには, 静寂だけが広がっていた.

この静けさが, 私の心に深く沈み込んでいく.

晴翔が, 友美子の元へ急いだ理由.

まさか, そんな, と頭を振ったが, 悪寒が走った.

胸騒ぎを覚えながら, 私はスマートフォンを手に取った.

光子からのメッセージ.

「莉結, 大変なことになってるよ. あんた, これ, 見てないの? 」

添付された写真を開く.

そこに写っていたのは, 友美子の膨らんだお腹. そして, 添えられた一通の紙.

それは, まぎれもなく妊娠診断書だった.

続きを読む

末期癌の嘘、隠された真実 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

サレ妻の逆襲:夫の愛人の父と再婚しました の小説カバー
9.2
実の母親が毒蛇に噛まれるという悲劇に見舞われた主人公。その蛇の飼い主は、夫であるニコ・ロッシがかつてから想いを寄せていた女性、ジェニファー・ウォーカーだった。動転した主人公は、藁にもすがる思いでニコに電話をかけ、母の命が危険な状態であることを訴えて助けを求める。しかし、ハワイでジェニファーとのバカンスを謳歌していたニコは、精神的に不安定な彼女を優先すべきだと言い放ち、妻の切実な願いを冷酷に切り捨てて電話を切ってしまう。最愛の夫に裏切られ、あまりの無慈悲さに絶望の淵へと突き落とされた彼女。そんな極限状態のなか、目の前に一人の男が立ちはだかる。それは、ジェニファーの父親であり、裏社会で残忍かつ冷酷なマフィアのボスとして恐れられているサミュエル・ウォーカーだった。行き場を失った彼女は、唯一の希望としてこの男の裾にすがりつく。不実な夫への復讐と、マフィアの首領との予期せぬ関係がここから動き出す。愛と裏切りが交錯する、衝撃のリベンジ・ロマンスが幕を開ける。
冷徹社長の誤算、捨てた妻は国宝級の天才でした の小説カバー
9.1
結婚五周年の記念日、妻は心を込めた手料理で夫の帰りを待っていた。しかし、深夜に帰宅した冷徹な夫は、冷めきった食事を一顧だにせずシャワーへと向かう。夫の上着を片付けようとした彼女がポケットから見つけたのは、見知らぬ女性の派手な下着だった。愛人からの執拗な挑発は、これでついに九十九回目を数える。浴室から現れた夫は、動揺する素振りも見せず「相手は子供だ、気にするな」と冷淡に言い放つ。かつての面影を失った最愛の男に対し、彼女の心は完全に冷え切った。彼女には心に決めた掟があった。九十九回の裏切りを許したなら、その時はこの結婚を終わらせるというものだ。限界に達した彼女は、迷わず離婚を決意する。そして、かつての恩師へ連絡を入れた。それは、天才的な才能を持つ彼女が、すべてを捨てて三年間外部との接触を断つ極秘の研究プロジェクトへ参加することを告げるものだった。国宝級の知能を持つ妻を軽んじた夫の誤算と、自らの足で歩み始める彼女の新たな人生が、今ここから幕を開ける。
結婚の意思 の小説カバー
9.1
平穏であるはずの家庭が、いつしか底知れぬ恐怖の舞台へと変貌を遂げた。私は、愛するはずの夫が密かに自分へ薬を投与しているのではないかという、拭い去れない疑念を抱き始める。さらに衝撃的な事実に直面し、目の前の我が子が自分の血を分けた実子ではないことを知るに至った。この家で働く家政婦も、献身的な奉仕の裏で私の行動を逐一監視しており、私は逃げ場のない孤独な檻に閉じ込められたような錯覚に陥る。周囲のすべてが敵に見え、誰一人として信じることができない絶望的な状況。もはや、ただ怯えて過ごす日々は終わった。この息の詰まるような閉塞感を打ち破り、奪われた自分自身の人生を取り戻すためには、自らの手で反撃の狼煙を上げるしかない。窮地に立たされた女が、自らを救い出すために孤独な戦いに身を投じるサスペンス。張り巡らされた嘘と裏切りの網を潜り抜け、隠された真実を暴くための命懸けの抵抗が今、幕を開ける。この行き詰まった日常の先に待ち受けているのは、救済か、それともさらなる破滅か。私は生き残るために、戦う決意を固めた。
「私があなたを一生養う」と誓った相手は、世界で最もミステリアスな富豪でした の小説カバー
9.7
自身の結婚式という晴れ舞台で、神崎澄玲は妹と共に水に落ちる。しかし婚約者の藤咲修司は、澄玲を見捨てて妹だけを救い去っていった。裏切りに直面した彼女は、その場で自分を救ってくれた命の恩人と電撃結婚することを決意する。相手は無一文の自動車整備士に見えたが、澄玲は「自分が一生彼を養う」と心に誓うのだった。元婚約者は「当てつけはよせ」と復縁を迫り、妹は偽善的な言葉で嘲笑するが、澄玲は周囲の反対を押し切り夫を大切に育んでいく。誰もが彼女の選択を正気ではないと疑ったが、ある日、夫の驚愕の正体が判明する。貧しい整備士だと思われていた彼は、実は世界で最も謎に包まれた大富豪であり、名家を統べる当主だったのだ。かつて澄玲を見捨てた者たちが愕然とする中、彼は最高級のダイヤモンドを手に彼女の前で膝をつく。かつての誓いとは逆に、ミステリアスな夫は愛に満ちた瞳で「今度は俺が君を一生養う」と告げるのだった。
Playback Love ―再生される一夜― の小説カバー
7.8
部族の中でも一際高い誇りを持つ姫である私には、決して他言できない背徳的な秘密があった。それは、かつて姉の伴侶であった男性を愛し、彼と幾度も夜を共にしながら、その情事を無数の動画に収めてきたことだ。目の前でスマートフォンを構えるアルファ、ウォークリーを前に、私は戸惑いながらも「今日は撮影をやめない?」と問いかける。しかし、彼は不敵な笑みを浮かべ、大きな手で強引に私の腰を抱き寄せると、甘い声で囁いた。「この動画こそが、俺たちの愛の証なんだ」と。抗えぬまま再び彼と体を重ね、我に返ったときには、既に彼の姿は消えていた。乱れた息を整えていた私は、彼が肌身離さず大切にしていた腕時計を忘れていったことに気づく。急いで彼を追いかけ、忘れ物を届けようと個室の前に辿り着いたその瞬間、私の耳に飛び込んできたのは、つい先ほどまで私とウォークリーが交わしていた愛の睦言だった。隠された真実と歪んだ愛の記録が、静まり返った廊下に響き渡る。
箱入りお嬢様が野性すぎて、禁欲御曹司・東条様は、もはや理性を保てない。 の小説カバー
9.7
結婚から三年の月日が流れる中、成瀬寧音は献身的な妻として自分を律し続けてきた。しかし夫の桐生恒一は、初恋の女性を優先しては彼女を幾度も裏切り、姑もまた寧音を蔑んでいた。決定的な別れは、寧音が異国で拉致され死線を彷徨った日に訪れる。夫がその時も初恋の女の傍にいたことを知り、彼女の心は完全に冷め、離婚を決意したのだ。恒一は、後ろ盾のない彼女が路頭に迷うと高を括っていたが、現実は残酷だった。寧音を迎えに現れたのは、超一流財閥・神谷家が誇る百台以上の高級車列。彼女の正体は、社交界が畏怖する「女帝」だったのである。莫大な資産と権力を持つ兄たちや父に溺愛される彼女は、瞬く間に各界の頂点へと返り咲く。さらに、トップ財閥の御曹司である東条嶺央までもが彼女を熱烈に追い求め始めた。豹変した元妻の輝きに焦る恒一が復縁を願って近づこうとするが、妹を守る五人の兄たちが鉄壁の守りで立ちはだかる。もはや彼に、かつて虐げた妻へ触れる資格など残されてはいなかった。
章
今すぐ読む
共有