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ラストドラゴン の小説カバー

ラストドラゴン

現代社会の片隅で、ただ絶望に染まったまま命を落とした男。しかし、彼が再び目を覚ましたのは、見たこともない異世界の冷たい牢獄の中だった。死んだはずの男は、そこでレイリアと名乗る竜人のシャーマンと運命的な出会いを果たす。彼女と協力して決死の脱獄を果たした男を待ち受けていたのは、あまりにも残酷な世界の真実だった。かつて彼が過ごした地球はすでに滅び去り、今いる場所こそが、人々が恐れる「地獄」そのものであるということ。そして何より、自分自身の正体が戦うために造られた人造人間「ホムンクルス」であるという衝撃の事実。過酷な運命に翻弄されながらも、何も持たなかった男は、滅びゆく世界を救うために立ち上がる。これは、かつて人生に絶望し、すべてを諦めていた一人の男が、異世界の戦乱の中で己の存在意義を見出し、やがて伝説の英雄王へと至るまでの軌跡を描いた壮大なファンタジー戦記である。男の新たな歩みが、今ここから始まる。
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ここ、地獄で、そして地球で、天国で、混沌の海の底で、大いなる戦いがあった。後に黙示録戦役と呼ばれる大戦は、地球を壊滅させ、人類にも、人類家畜化作戦のために地上に現れた地獄の軍団にも、悪魔根絶と神聖エルサレム王国の建国を目指した天使の軍勢にも、多大な犠牲を産み、総戦死者は数え切れぬほどの犠牲者を出し、勝者亡きまま互いに罫線能力を失い、黙示録戦役は終わった。

 アフターアポリカプス暦、二五三年ーー

 勇者王アイオロスら八英雄と後に呼ばれることになる八人の人類解放を目指す勢力が、人類を奴隷とした魔王ルシェールと竜王ヴァイデスの軍勢を退け、今、正に最後の決戦を迎えようとしていた。竜王ヴァイデスの眠る地下九十九階の大聖堂への階段を下りながら、アイオロスは人類王国ハイランドの王、ベルナンド・ファーディガンに言った。

「お前たちは、もう手を出さなくていい」

 ファーディガン王はアイオロスの真意を計りかねてこう答えた。

「手を出さなくていい? どういうことだ?」

「言ったとおりの意味だが? ここで無駄に死んでもらっては困る、だろう?」

 アイオロスは大聖堂の中央で眠る巨大な竜王、ヴァイデスを親の仇のように睨めつけながら言った。そして彼は一人で階段から飛び下りで大聖堂に降り立つ。その鎧は黄金色のオリハルコンで出来ており、背中には鳳凰の羽のように八本の鎖が垂れていた。そして、その左手には皮のバックラー。右腕には、神を殺した魔剣だという曰く付きの、黄金聖剣、キングスレイヤーを握りしめて。

 アイオロスは左手を翳してマジックミサイルを数発、ヴァイデスに向かって打った。が、それはヴァイデスから出る死の瘴気で掻き消えた。

「GRRRRRRUUUUUAAAAAAAAA!!」

 地鳴りのような咆哮と共にヴァイデスは目覚め、アイオロスらに火炎を吐いた。その温度実に三万度。

「いけない!」

 八英雄の一人エルテナはそう叫んで防御術式を展開させる。赤い魔法陣がアイオロス以外の八英雄、人類の王ファーディガン、アイオロスの弟アグストリア、エルフの姫、エルテナ、エルフの一小国の女王アマルテア、魔導王グリエル・ファラグリフォン、ダークエルフの魔法戦士カラス、ルシェールを裏切り人類解放軍に名を連ねる魔公爵レオナルドらを炎から守ったが、アイオロスは炎に包まれた。ローブが一瞬で焼け落ち、そこに炎の柱が立つ。だが、焼け落ちたのはローブだけで、アイオロスは無傷だった。

 ヴァイデスの芽が赤く光りを放つ。その熱線がアイオロスの頭部に飛ぶ。だがアイオロスはそれをキングスレイヤーで弾き返した。

「ドラゴンは、殺す」

 アイオロスはそう言うと、ヴァイデスの方に向かって、歩むことさながら魔王の如し。その無防備な歩みにヴァイデスは激しく尾を振り下ろす。

 だが、アイオロスはこともなげにただの皮のバックラーで受け止め、こう言った。

「おはよう、サタンの末裔、そしてサヨナラだ」

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