舞台の女神さま! の小説カバー

舞台の女神さま!

9.3 / 10.0
さいたま学院演劇部のスターとして脚光を浴びる松本梓は、華やかな舞台姿とは裏腹に、過去の壮絶ないじめが原因で男性恐怖症と自身の同性愛傾向に深く苦しんでいた。その弱みに付け込んだのが、学院に多額の融資を行う銀行頭取の娘である生徒会長・城ケ崎茜だ。父がその銀行に勤める梓は抗うことができず、部活動を守るために茜との歪な「偽りの愛」を強いられていた。そんな中、演劇部はかつて部員の不祥事で潰えかけた全国大会への再挑戦を決意する。梓にとってその舞台は、自分を救って自死した恩師・青井春香への想いを刻む場所でもあった。脚本家不在という苦境に立たされた時、梓の前に現れたのは、春香の面影を持つ転校生の妹・美咲だった。ラノベ作家としての才能を持つ彼女との出会いが、停滞していた運命を動かし始める。しかし、部が全国制覇という目標に向かって結束を強める一方で、梓を独占しようと執着する茜と生徒会による卑劣な陰謀が静かに、そして確実に牙を剥こうとしていた。過去の傷と禁断の束縛を抱えた少女たちの、光と影が交錯する青春群像劇が幕を開ける。

舞台の女神さま! 第1章

「ねえ松本さん。良かったら今度の日曜日に公演を観に来ない? 」

誘い(デート)は彗星の様に突然やってきた。大好きだった春香先生から言われた一言で小学4年のボクの人生が大きく変化した。

担任の春香先生はボクに笑顔で優しく手を差し伸べてきた。

開演当日

ボクは不安な気持ちを抑えて一人で席に座って待っていると暗闇の中、ゆっくりと緞帳が上がり照明が灯るとそこは感動の異世界だった。

初めて誘われた演劇にボクの心は奪われていた。スポットライトに照らされて光り輝く舞台上で幸せに満ち溢れた笑顔で華麗に演技をする先生はまさに「舞台(ステージ)の女神さま」だった。

「ボクがこんなに胸を躍らせながら釘付けになる気持ちは初めてだ……」

抑えきれない興奮はまさに快感だ。自分に自信がないボクが初めて瞳と心を輝かせることが出来たんだ。そして今、目の前で華麗な演技を披露する先生の事が大好きだ!

例えボクが女子でも先生に胸をときめかせながら最高の一時間を味わった。この時舞台上を華麗に舞う春香先生の姿とボクの姿を重ね合わせていた。

学校で誰にも相手にされない自分、居場所に悩むボク…… いじめを受けて死にたい事だってあった。この世界からボクがいなくなればいいと何度も思っていた。だけど先生がボクを救ってくれた。

あっという間に公演は終わりボクが先生の元に駆け寄ると、鮮やかな照明に照らされた先生は、光る汗を軽くぬぐいながらボクに優しく微笑みながら右手を差し出してきた。

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舞台の女神さま! 目次一覧

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