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婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 の小説カバー

婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。

名家とは名ばかりの富豪一家から一方的に婚約を破棄され、世間の冷笑を浴びた雲居美月。しかし、彼女は悲嘆に暮れるどころか、首都最強の権力を持つ美貌の財界人と電撃入籍を果たし、周囲を驚愕させる。当初、夫となった男は「二年後には関係を断つ」と冷徹に契約結婚を宣言していた。だが、いざ生活が始まると彼は美月に執着し、片時も離そうとしないほど彼女を深く溺愛し始める。周囲がその変貌に困惑する中、美月の隠された素顔が次々と露見していく。世界最高峰のハッカー、伝統絵画の巨匠、そして先端企業の黒幕。各界の重鎮を友人に持つ彼女の正体は、誰もがひれ伏すチート級の才能の塊だったのだ。さらに、世界的な宝飾グループが「本物の令嬢」の発見を公表すると、その正体が他ならぬ美月であることが判明する。かつて彼女を嘲笑った人々は、あまりに規格外な彼女の真実に震撼することになる。冷徹な神に捕らわれた美しき天才令嬢が、その圧倒的な実力で運命を切り拓いていく極上のシンデレラストーリー。
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3

「あの子のお父さんは、少なくともおじい様を助けてくれた恩人よ。私たちもあんまりな真似はできないわ。あんな子、相手にする必要はないわ。あなたの品位を落とすだけよ」 藤堂夫人は言った。

妃奈:「でも、うちの大学のお金持ちの男の子たちが、何人もあの子に気があるみたいなの。もし万が一、名家の御曹司でも籠絡されたらどうするの?」

「それは夢物語ね!あの子の身分じゃ、数日でもお金持ちの遊び相手になれれば御の字よ」 藤堂夫人の口調には軽蔑が満ちている。

妃奈は唇を噛み締め、それ以上は何も言わなかったが、心の中では依然として不満が渦巻いている。(遅かれ早かれ、あの女を京帝から追い出してやる!)

VIPルーム。

長谷川亮はソファに深く寄りかかり、相変わらずの冷たく整った顔立ちで、切れ長の双眸で虚空の一点を見つめ、思索に耽っている。

向かいのソファで談笑している2人の男の存在など、完全に無視している。

その時、少し顔色を悪くした高木拓海が入ってきた。亮のそばまで歩み寄ると、身を屈めて小声で報告した。「長谷川社長、例の女ですが……。捕まえられませんでした。逃げられました」

それを聞き、亮の顔色が沈んだ。わずかに視線を向けた。「なんだと?」

拓海は緊張した面持ちで答えた。「私の不手際です!」一呼吸置き、彼は続けた。「向かわせた者の報告によりますと、あの女はとてつもなく素早く、一瞬で姿を消したそうです。熟練のボディーガード二人を撒くとは、なかなかの手練れのようです」

「本当にあいつが腕が立つのか、それともお前が送った部下が無能なだけか?」

拓海は言葉に詰まった。あの2人は傭兵出身のボディガードだ。それが小娘1人捕まえられなかったとは、彼自身も正直驚いたのだ。

「近くの監視カメラは調べたのか?」亮は再び尋ねた。

「調べましたが、映っていませんでした。意図的に監視カメラの死角を突いたようです」

ボディガードを振り切り、さらに監視カメラまで避けるとは。

亮の瞳の色がわずかに深まり、その口元にふと微かな笑みが浮かんだ。さすがは京帝大学コンピューターサイエンス学部の秀才だ。なかなかの食わせ物だな。

美月はマネージャーの後について個室の前まで来た。マネージャーがドアを押し開け、「どうぞ」と促した。

「ありがとうございます」 美月は足を踏み入れた。

マネージャーも一緒に中へ入り、告げた。「榊様、美月お嬢様がいらっしゃいました」

ソファに座っている榊悠人はすぐにこちらへ視線を向け、立ち上がった。「美月、来てくれたんだね」

悠人は蘭亭倶楽部の若きオーナーだが、現在はまだ倶楽部の経営を引き継いでおらず、IT企業を経営している。

仕事では敏腕を振るうが、普段は温和で非常に紳士的だ。

2人は坂本教授を通じて知り合った。悠人は美月の能力を高く評価しており、自分の会社へ入るよう誘ったのだ。

技術での出資で、労働時間は自由。ただ、現時点ではまだ正式に入社してはいない。

その時、傍らにいた3人の視線もこちらに向けられた。

クリスタルシャンデリアの下、華奢なシルエットが歩み寄ってくる。絹のような長い髪、雪のような肌。ぱっちりとした瞳に白い歯が、光を浴びてきらきらと輝き、この世のものとは思えないほど美しい。

「榊社長」 美月はかすかに微笑んだ。しかし、ふと亮と視線がぶつかり、その笑顔が一瞬で凍りついた。

(昨夜のあの男!)

(どうして彼がここにいるの?どうして悠人と一緒にいるの?)

拓海も一瞬驚いた表情を見せ、すぐに小声で囁いた。「長谷川社長、あの女です!」

亮はもちろん気づいた。深い瞳で女を見つめるが、その暗い瞳の奥からはどんな感情も読み取れなかった。

美月は平静を装い、悠人の元へ歩み寄ると、手に持っていたUSBメモリを差し出した。「データはすべて復元しました。確認してください」

悠人はUSBメモリを受け取り、感謝の意を露わにした。「ありがとう。お疲れ様」

「榊社長、お気になさらず」

桐山大輝はだらしない姿勢でソファに寄りかかり、遊び人風の態度で美月を見つめながら興味津々に尋ねた。「榊社長、こちらの可愛らしいお嬢さんは?」

「京帝大学コンピューターサイエンス学部の学生で、我が社の未来のエンジニアである雲居美月さんだよ」 悠人が答え、すぐさま紹介を続けた。「美月、こちらは桐山宝飾グループの次男、桐山若様。 そしてこちらは桐山若様のご友人で、GEグループの社長である長谷川社長だ」

亮と大輝といえば、京帝で有名な二大財閥のトップだ。

美月の心に驚愕が走った。

(彼が、亮!)

(昨夜、あろうことか自分が手を出した挙句、小切手を叩きつけた相手が長谷川亮だったなんて!)

(ということは、先ほど自分を捕まえようとしていた2人は、彼の手の者だということになる)

(なんという皮肉な偶然だろう。これではまるで、自ら飛んで火に入る夏の虫ではないか)

再び亮の視線と絡み合い、美月はさすがに少し後ろめたさを覚えた。だが、表面上はあくまで平静を装い、淡々とした声で挨拶した。「桐山若様、長谷川社長」

大輝は面白そうに笑って頷いた。

短い沈黙の後、亮が不意に口を開いた。「雲居さん、またお会いしましたね」

この『また』という言葉の響きには、深い意味が込められている。

その言葉に、悠人は少し驚いたように眉を上げた。「美月、長谷川社長とお知り合いだったのかい?」

亮が何か言おうとする前に、美月はすかさず口を挟んだ。「いえ、知り合いというわけでは。以前、一度だけお見かけしたことがある程度です。その時はどなたか存じ上げなかったのですが、まさか長谷川社長だったとは」

悠人は納得したように頷いた。「なるほど、そういうことか」

亮がそれ以上追及してくることはなく、美月は密かに安堵の息を吐いた。

大輝は胡散臭げな視線を2人の顔へ走らせた。ただの一度会っただけ、という単純な関係ではないと薄々感じ取っている。そもそも、亮が見知らぬ女に自ら話しかけるなど、彼にとっても初めて見る光景だ。

驚きを禁じ得ない。

彼は面白がるように笑みを深め、尋ねた。「美月さん、一杯どう?」

美月は愛想笑いを作って断った。「申し訳ありませんが、お酒は飲めないんです」

(もう二度とお酒なんて飲むものか!)

「飲めないだと?」亮が冷淡に言い放った。

昨夜は明らかに酒の匂いをぷんぷんさせて彼の部屋に転がり込んできたというのに! 今になって、随分と猫を被るものだ。

美月は顔色1つ変えずにしれっと言い放った。「アルコールアレルギーなものですから」

「美月、なんだか顔色が良くないね?どこか具合でも悪いのかい?」 悠人が不意に尋ねた。その温和な声には気遣いが滲んでいる。

美月は誤魔化すように小さく咳払いをした。「いいえ、少し急いで歩いてきたせいかもしれません」

亮は冷ややかな眼差しで女を睨みつけた。訓練された2人のボディガードを瞬時に振り切ったのだから、そりゃあ急ぎもしただろう。だが、結局は巡り巡って自分の手の中へ飛び込んできたのだ。今度こそ逃がしはしない。

「それなら、立ったままではなく座るといい」 悠人が言った。

美月はこれ以上、この場に留まりたくはなかった。「お気遣いなく。USBメモリはお渡ししましたし、そろそろ大学に戻ります」

悠人は頷いた。「そうか。それなら、大学に戻ったら無事だとメッセージを入れてくれ」

「はい」

美月は再び亮と大輝に視線を向け、軽く会釈をして別れの挨拶に代えると、きびすを返して部屋を出た。

大輝が口角を吊り上げ、からかうように口を開いた。「榊社長は、部下全員にそれほどお優しいのか? それとも、あの美人エンジニアにだけ特別ってわけかな?」

悠人は柔らかく微笑んだ。「桐山若様、ご冗談を。私は常に分け隔てなく、すべての仲間を気にかけているつもりですよ」

その言葉の端々からは、彼が美月を単なる部下とは見なしていないことが窺えた。

亮がふいに立ち上がった。「ゆっくり歓談してくれ。俺は用があるからこれで失礼する」

2人の返事も待たず、彼は大股で部屋を出ていった。

拓海も足早にその後を追った。

大輝は彼のそんな態度に慣れっこだったが、亮と親交の浅い悠人は、自分の気配りが足りず気を悪くさせたのではないかと案じていた……。

彼の瞳に浮かんだ懸念を見て取り、大輝が声をかけた。「彼はいつもああなんですよ。榊社長、お気になさらず。さあ、我々は続けましょう。一杯どうぞ」

そう言って、彼はグラスを持ち上げた。

悠人も視線を戻し、自身のグラスを手にして応じた。「これはご丁寧に、桐山若様」

美月が個室を出て数メートル歩いたところで、背後から近づく足音に気がついた。

「美月様、少々お待ちを」 拓海が彼女を呼び止めた。

(やはり……)

美月は足を止めて振り返った。長身で均整のとれた二つの人影が、彼女に向かって歩いてきた。

亮の正体を知ったその瞬間から、昨夜の出来事はまだ終わりを迎えていないのだと、彼女ははっきりと悟っている。

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