
百回の輪廻、奪われた愛
章 3
広瀬結歌穂 POV:
長谷部正幸と沙織璃, そして子供が, 幸せそうに食卓を囲む光景が目に焼き付いている.
「お前は, いつもそうだ. 自分のことしか考えていない. 」
正幸の声が, 私の耳に突き刺さった.
もう, これ以上聞きたくない.
私の内心は, 抑えきれないほどの苛立ちで満ちていた.
正幸は, 私がこの世界に来て, 最初に「攻略」しようとした相手だった.
彼は, 私の兄.
血の繋がりはないが, 幼い頃から私を可愛がってくれた.
システムも, 彼の私への好感度が最初から高かったと言っていた.
私は, もうすぐ元の世界に帰れると信じていた.
しかし, あの女が現れた.
大城沙織璃.
彼女は, 長谷部家の使用人の娘だった.
ある日, 些細なことで沙織璃が怪我をした.
正幸は, 私を冷たい目で見つめ, こう言ったんだ.
「お前は, どうしてそんなに意地悪なんだ. 」
「お前のような人間には, 誰も寄り付かない. 」
彼の言葉は, 私の心をズタズタにした.
システムは, 正幸の私への好感度が急降下したことを告げた.
「この対象を攻略するのは困難です. 諦めることを推奨します. 」
システムは, そう言った.
それから, 正幸は私を避けるようになった.
最終的に, 私を寄宿学校に送ることを提案した.
彼は, 沙織璃を守ろうとしていた.
「どうして, あんたがここにいるの? 」
私は, 正幸を睨みつけた.
もう「お兄様」とは呼べない.
「お前の姑息な手は, もう通用しない. 」
正幸は, 嘲るように言った.
「ここは, お前の実家じゃない. このホテルも, そうだ. 全ては私のものだ. 」
「お前は, 広瀬財閥との提携という立場を利用して, 私の親族だというだけで, 好き勝手していただけだ. 」
彼の嘲笑と軽蔑の眼差しが, 再び私の心を深く傷つけた.
でも, もう, そんな感情は無意味だと, 自分に言い聞かせた.
かつて, 正幸は優しかった.
幼い頃, 私が転んで泣くと, すぐに駆け寄って抱きしめてくれた.
あの頃の彼は, どこへ行ってしまったのだろう.
それでも, 私の心には, まだ微かな希望があった.
「正幸兄さん... 」
私は, 子供の頃のように彼の服の袖を掴んだ.
「私を, 殺して. 」
それが, 私の最後の願いだった.
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