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100年越しの月下美人 の小説カバー

100年越しの月下美人

古くから続く陰陽師の名門に生まれた御子柴聖は、幼少期から類いまれなる才覚を発揮し、一族の期待を一身に背負っていた。しかし七歳の頃、伝説の大妖怪・八岐大蛇が一家を襲撃。一族は無残に惨殺され、聖自身も右脚を失うという悲劇に見舞われる。さらに彼女の身には、持ち主の命を糧として吸い尽くす「月下美人の呪い」が刻まれてしまった。絶望の淵に立たされながらも、聖は生き延びるために過酷な運命と対峙し続ける。惨劇から十年の月日が流れ、十七歳へと成長した彼女は、自らの命を蝕む呪縛を解き放つため、そして一族の仇を討つために、再び立ち上がることを決意する。彼女の前に立ちはだかるのは、闇夜を跋扈する恐るべき百鬼夜行の軍勢。失われた右脚と呪いの痛みを抱えながら、聖は凄絶な戦いの中へと身を投じていく。死と隣り合わせの激闘を繰り広げる彼女を待ち受けているのは、果たして救済か、それともさらなる絶望か。命を削る月下美人が咲き誇る時、宿命の歯車が大きく動き出す。
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二○○X年 四月四日。

「今…何て言ったの?」

 あたしは母の服を掴んだ。

 「楓を追い出したって…本当なの!?」

 「陽毬様の御命令なの。」

「な、何で…。」

「陰陽師としての能力が陽毬様に認められなかったのよ。」

「ど、何処に行ったの!?」

そう尋ねても母は答えてくれなかった。

「そんな…どうして…?」

あたしは膝から崩れ落ちた。

「これ。楓からの手紙。」

そう言ってあたしに手紙を渡して部屋に鍵を掛けた。

ガチャンッ!!

あたしは手紙を読んだ。

 [ 姉ちゃんへ お婆様から御子柴家を出るように言われちゃった。

東京に居る叔父さんの所に行く事にした。

 姉ちゃんとお別れするのはすごく嫌だけど… オレ強くなって姉ちゃんの事迎えに行くから!! 絶対迎えに行くから待っててね。   楓     ] 「楓…。」

 手紙を握り締めながら涙を流した。

「「聖様…。」」

式神のシロとクロがあたしの側を離れないで居てくれた。

「ありがとう…シロ、クロ。」

あたしは二匹の頭を撫でた。

コンコンッコンコンッコンコンッ!!

 「聖様!!!」

 使用人がドアを勢いよくノックしていた。

 「「ガルルルルッ。」」

 シロとクロが威嚇している…。

 あたしは札と妖怪退治専用の銃を持ち扉に近付いた。

「何かあったの?」

「八岐大蛇の封印が解かれました!!」

「!?」

 封印が解けた…?

「今すぐお逃げ下さい!!」

 ガチャガチャガチャ!!!

使用人が慌てた様子で鍵を開けた。

 部屋の外を見てみると廊下が沢山の血で濡れていた。

 「聖様。こちらに!!」

「お嬢、私の背中に。」

 クロがあたしの首元を噛み背中に乗せてくれた。 「ありがとうクロ。」

 あたしはシロと共に使用人に付いて行った。 「く、来るなぁぁぁ!!!」 「ギャァァァァ!!!」

 「!?」

目の前を横切ったのは使用人の頭が飛び血が噴き出している光景だった。

 そして八頭の頭を持った巨大な蛇。

 一目で分かった。

 あれが八岐大蛇の大蛇だと…。

 「お嬢!!!」

 「蓮!!」

日本刀を持った血塗れの蓮がこちらに向かって来た。

 蓮があたしの前に跪いた。

「すいません!!遅くなりましたお嬢!!」

 「沢山血が付いてるけど…平気なの?」

 「これは返り血だから平気です。八岐大蛇の下っ端の妖怪が屋敷の制圧を図ろうとしています。」 「やっぱり封印が解かれたんだね…。お母さんとお父さんは?」

「僕が本城家に避難させました。」

 ホッと息を吐いた。

 「陽毬様と大西様(たいせい)が八岐大蛇と対戦をしています。」

そう言って使用人が跪いた。

 大西とはあたしのお父さんである。

 「分かった。あたしもお婆様とお父さんの所に行くわ。」 

「お嬢!!それは駄目です。僕と一緒に本城家に行きましょう。」

「蓮…。お婆様とお父さんが…。もし殺されてしまったら八岐大蛇はどうするの?」

 「そ、それは…。」

楓が居なくて良かった…。

万が一お婆様が殺されたら八岐大蛇が暴走し京都全体を支配する可能性が高い。

 あたしはお婆様とお父さんを援護しないと…。 「お嬢。」

蓮があたしを真っ直ぐ見つめた。

 「僕はお嬢の手と足だ。お嬢が行くのなら僕も付いて行きますよ。何処までもお供します。」

 「蓮…ありがとう。一緒に来てくれる?」

 「御意。」

 そう言って蓮が頭を下げた。

あたしは使用人の方を振り返った。

「手の空いている結界師を本城家に配置して。

あたしと蓮はお婆様の所に行く。」

「かしこまりました。」

 使用人が血塗れの廊下を走って行った。

 「蓮、行くよ。」

あたしと蓮はお婆様の所に向かった。

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