
生まれ変わりの暴れん坊お嬢様は甘くて激辛で、御曹司が腰を砕けるまで甘やかす
章 3
受話器の向こうから響いた奏真の声は、まるで盗人をとがめるように厳しかった。
「どこにいる? 「雪織があのネックレスをつける約束なんだ。 今すぐ持って帰ってこい!」
会場の入り口で招待状をスタッフに渡しながらも、南音は電話口で氷のように冷ややかな声で言い返した。 「このネックレスは白川家から持ってきた私の嫁入り道具よ。 いつから他人がその使い道に口出しできるようになったのかしら? それとも、 朝倉家は妻の嫁入り道具を当てにしなければならないほど落ちぶれたの?」
奏真は一瞬、言葉を失った。
いつもは黙って耐えるだけの南音が、これほど鋭く反論してくるのは初めてのことだったからだ。
やがて、彼は氷のような声色で凄んだ。 「白川南音、最後通告だ。 今すぐネックレスを返せ。 さもないと、俺を本気で怒らせたことを後悔させてやる!」
これまでの経験上、奏真がこの冷たい口調になるのは、忍耐が限界に達した紛れもない合図だった。
その後に続くのは、決まって連絡先のブロックと、少なくとも一ヶ月は続く冷戦。 南音がどれだけへりくだろうと、彼が顔をほころばせることは二度となかった。
奏真のわずかな機嫌を取るため、まるで犬のように媚びへつらっていた前世の自分。 その記憶が蘇り、南音は胃の腑からせりあがってくるような強烈な嫌悪感に襲われた。
「なら、私からも最後に言わせてもらうわ。 妻の嫁入り道具で他の女のご機嫌取りとは。 朝倉奏真、あなたは代表取締役?それともただのヒモかしら?」 南音はそう冷たく言い放つと、「好きに怒ればいいわ。 もう私には関係ない」
と続け、 一方的に通話を断ち切った。
いつも電話を先に切るのは奏真の方で、南音から切ったことなど、ただの一度もなかった。
その隣で、 雪織が不安そうに眉を寄せた。 「奏真さん…… 南音さん、 私がオークションに行くから怒っているの? だからネックレスを貸してくれないのかしら?」
その言葉は、奏真の怒りの火に油を注ぐだけだった。
彼は鼻を鳴らし、吐き捨てる。 「俺の気を引こうと、駆け引きしているだけだ。 うちに来てたった一年で、嫉妬深く計算高い女になり果てたな!」
南音が頑なにネックレスを渡さないことに内心で焦りと苛立ちを募らせながらも、雪織はあくまで悲しげに、深く傷ついたという表情を繕った。
「もういいわ、私、オークションには行かない。 ネックレス一つのことで南音さんがあれほど怒るなら、私があなたのパートナーとして行ったら、どうなってしまうか……」
「発狂したいならさせておけ。 恥をかくのは白川家で、俺たちじゃない」 奏真は怒って言った。
奏真は怒りをぶちまけた後、一転して優しい手つきで雪織の髪を撫で、囁いた。 「心配するな。 お前があのエメラルドのネックレスをつけ、今夜の主役になるんだ」
その言葉に、雪織はぱっと瞳を輝かせ、奏真の胸に飛び込んだ。 「奏真さん、大好き!」
南音がオークション会場に足を踏み入れると、専門のスタッフが彼女のもとへ歩み寄り、丁重に尋ねてきた。
「朝倉様、今回オークションにご出品されるお品物について、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
南音は足を止め、静かに答えた。 「朝倉家としてではなく、私個人の名で寄付をしたいのです。 可能でしょうか?」
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