
高校デビューの卓球初心者vs.告白100人斬りの女子マネコーチ
章 3
他の部活を覗く気分にもなれず、そのまま僕は帰宅した。
30年ローンで二階建ての一軒家‥‥一人っ子。
二階の自室で入学資料の入ったカバンを放り出し、学ランをハンガーにかけて、セミダブルのベッドに大の字で寝転がる。
ほとんど使っていない勉強机と古いノートパソコン、高校教材。
漫画やラノベ中心の小さい本棚‥‥中学の教科書は捨てた。
あとはテレビ、ブルーレイレコーダー、ゲーム機、将棋盤、囲碁、エアコン。
壁紙は白で、グリーンの遮光カーテン。
スマホを確認してSNSやメールの返事を出す。
そのまま、ウトウトし始めた所で。
「真和ー、御飯よー」
母さんの呼び声に目を覚ます。
「はーい」
階段を降りてダイニングへ。
「おう、真和。これ、入学祝いだ」
「親父、今日は早いな‥‥ありがとう。開けてもいい?」
「もちろんだ」
プレゼントの包装紙を剥がすと‥‥。
「あー‥‥卓球の‥‥ラケット、だよね。これ」
「おう。ペンとシェーク両方買ってきたから、使いやすい方を使うといい。ラバーも結構イイヤツなんだぞ」
「お母さんからは‥‥はい、これ」
ニコニコ笑顔の両親に嫌な予感しかしない‥‥。
「あ、開けるね‥‥」
恐る恐る包装紙を剥がすと‥‥卓球のラケットの絵が描かれた箱。
中身は‥‥やっぱりピンポン球だった。
「ピン球ってのは消耗品だが、1個100円前後するんだぞ」
10ダース=120個‥‥1万2千円!?
「試合用の球になると300円以上するな」
マジかよ!?
めっちゃ言い出しにくいじゃねーか。
‥‥でも、ここは、キッパリ言わないとな。
「親父、母さん‥‥ごめん。僕、卓球部には入らない事にしたんだ‥‥」
「なんでだ!? 入るって約束してくれたじゃないか」
「そうよ。お母さんも真和と卓球するの楽しみなのよ?」
「なんか仮入部の受付で、丸坊主にして来いって言われてさ‥‥せっかく美容院に行って髪型キメたんだぜ? ごめんな」
椅子に座ったままだけど、テーブルに手をついて頭を下げた。
「うーん、そういう事なら仕方ないかしらねぇ‥‥?」
困ったように親父を見る母さん。
「いや、そんな理由じゃ納得できんな。俺が抗議に行ってやる!」
「貴方、短気を起こして喧嘩はしないでね?」
親父は気が短い所があって、怒ると怖い。
基本的には所謂『いい人』なんだけどな。
「分かってる。明日は早退して、学校に抗議に行ってやるから、真和は校門で待ってろ、な?」
「ん‥‥うん」
とりあえず、頷くと。
「さあさ、御飯が冷めちゃうわ。頂きましょう♪」
「おう!」
「いただきます」
こうして、僕の高校生活が始まった。
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