フォローする
共有
愛の任務ー元妻の復讐 の小説カバー

愛の任務ー元妻の復讐

テレンスとジョアンは、かつて将来を誓い合った婚約者同士だった。しかし三年前、酒に酔ったジョアンの姉・ジュリアがテレンスと一夜を共にするという不測の事態が発生する。この事件をきっかけにテレンスはジュリアとの結婚を余儀なくされ、最愛の人だったジョアンは失意のうちに国外へと去っていった。望まぬ結婚生活の中で、テレンスは一度もジュリアに触れることはなく、彼女への憎悪だけが募っていく日々を過ごす。そして月日が流れ、ジョアンが帰国した知らせを受けるやいなや、彼はジュリアとの離婚を断行しようとする。ジュリアがどれほど必死に愛を乞い、懇願しても、彼の冷徹な決意が揺らぐことはなかった。実の妹と最愛の夫、信じていた二人に裏切られ、すべてを奪われたジュリア。絶望の淵に立たされた彼女の心には、かつての愛情に代わって、二人に対する苛烈な復讐の炎が燃え上がる。裏切りの代償を払わせるため、彼女は孤独な戦いを始めるのだった。
共有

1

今日はジュリア・グーにとってとても重要な日だった。 彼女のエージェントのコンスエラ・シェンは、今夜賞を受け取る予定だということを彼女に知らせたばかりなのだ!

ジュリアはテレンス・チェンにこのことを知らせたくて待ちきれない思いだった。

しかし、何回ビデオ通話をかけても彼は応答しなかった。 ジュリアは気にせず、また掛け続けた。 そして、5回目、ようやく彼は電話に出て、 「どうした?」と言った。

その声は通話画面を見なければ本人かどうかわからないほど冷たかった。

「どこにいるの?」 ビデオチャットが接続された瞬間、ジュリアは目を細めた。 彼のすぐ後ろには、Hシティの悪名高いモーテルの大きな看板–ダブルQがあった。

このモーテルは、ワンナイトの相手を探している人や浮気を楽しむ人にとって有名な場所だった。 ここでは頻繁に不倫が行われていたので、不倫スタジアムとあだながついていた。

偶然にも、ジュリアが演じた新作映画はダブルQで撮影されたため、彼女は非常にその場所に詳しかった。

それを見て、彼女は血管が飛び出しそうなほどの力でスマホを強く握りしめた。

かんしゃくをこらえたジュリアは、微笑みながら、皮肉な声を出した。 「チェンさん、 モーテルに行ったのはビジネスのためなの? 素敵だわ」

彼女がそれ以上話す前に、テレンスは素早く電話を切った。

彼女は歯を食いしばって、足を踏み鳴らしてラウンジから出て行った。 「アビー、車の鍵を頂戴」

「ジュリアさん、パーティーはあと2時間で始まりますよ」アビーは困った風にジュリアを見つめながら答えた。

「私の言ったこと、聞かなかったの?」 ジュリアは問いただした。 不機嫌になった彼女を見て、アビーは凍りつき、手が小刻みに震えた。 その時、コンスエラは彼らに近づき、 アビーに立ち去るよう指示し、不満で口を尖らすジュリアの腕をつかんでラウンジに引き戻した。

「ばかなの? ここにどれだけ人がいるかわかってる? ここに立っていられるのはどれだけ大事なことかわかってるよね。 誰でもあなたのスキャンダルが書けるのよ。 こんな態度でいたら、間違いなく明日のトップ・ニュースになるでしょ!」 コンスエラは両手を挙げて憤慨した。

「もう、 そんなの、どうでもいいわ!」 ジュリアは鼻をならした。 今、この瞬間、夫がバーとかで出会った女と浮気をしているかもしれないのに。 赤の他人の反応を気にする余裕などはなかった。

「お願い、コンスエラ。 1時間だけでもいい。 夫と会わなきゃだめなんだから」彼女はエージェントの手首をつかんで懇願した。 それにしてもコンスエラの態度は変わらなかった。

「ここまでにきて、私がどれだけ工夫したか忘れたの? このイベントが終わるまでは 隕石がふってこようと外には出させないわ」

「コンスエラ...」 嘆願がエージェントに効かないことを知って、ジュリアは正直に話すことにした。 「実は、 テレンスはいま、浮気しているの。 これから2時間も何も知らないふりをしてこのまま黙っていられないのよ!」

「またこのくそ野郎!」 コンスエラは激怒して青ざめた。 そして、ジュリアのほうに向けてこう言った。 「君は素晴らしい女の子よ、ジュリア、でもこんなのばかげてるわ! あの男はあなたを愛していないのよ。 もう結婚して3年になるけど、私以外に あなたたちの結婚を知っている人なんているの? こんな関係今すぐやめるべきよ!」

「それはわかってるよ」 ジュリアは苦々しく笑った。 「私はただ... ただ、彼と一度でも話したいだけ」

ジュリアは目の前のコンスエラをちらっと見た。 「彼のことは大好きだから、別れる決心がなかなかつけなかったのよ。 私... もう13年も彼のことを.. もし他の女と一緒にいるのを見たら、私はあきらめるかも」

「ジュリア」 コンスエラは眉をひそめた。 「ほら、私ならいつでも、どんな問題でも解決できるわ。でも今は適切な時期じゃない。 今夜はおとなしくしてちょうだい」

「お願いだから」 涙が目からあふれ出しそうに、ジュリアは何度も何度も懇願した。

それでも、コンスエラは少しもその場から動くことなく 腕を組んで戸口をふさいでいた。

「君、ダイエットしたほうがいいんじゃない?」 ジュリアは不満そうに言った

しかし、コンスエラは彼女を睨み返しただけだった。

コンスエラはジュリアがどんな人かよく知っていた。 彼女は欲しいものを手に入れるためにはどんなことをやってもいとわないのだ。 「テレンスにもこういう態度だったら、こんなことにはならないでしょ」

コンスエラは時計をちらっと見た。 「ディナーパーティーまであと1時間50分残ってる。 50分よ。 何があっても絶対に戻ってきなさい」

「わかった」 ジュリアは涙をぬぐい、ドアから急いで出た。

気づかないように、彼女はゆったりとしたコート、サングラス、またマスクを身に着け、 一心不乱にダブルQに向かって走った。

ここで撮影していたことがあったから、ジュリアはすぐに受付人からテレンスの部屋番号を手に入れた。 彼女は急いで階段を駆け上がり、怒りに任せて力を込めてドアをとんとんとノックした。

テレンスが別の女性を抱いているところを想像するだけでジュリアは吐き気がこみ上げた。

誰もが何が起こったのかを見るために部屋に群がった。 ジュリアは鼻をならし、 「テレンス、隠れてないで、この臆病者! 私から隠れられると思ってるの? ドアを開けなさい!」と、怒鳴った。

ドンという音と共にドアはきしむように開き、 ジュリアは突然、自分がドアの中に引き込まれていることに気づいた。

顔を上げると同時に目にはテレンスの全く無関心な顔が飛びこんできた。 彼はまるで何も悪いことをしていないかのように彼女の前に立っていた。

「よくやったな、お前!」 彼は腕を組んだ。

「ビデオ通話にも出ずにモーテルで寝る?」 ジュリアは彼を押しのけ、彼を盗った女を見ようとした。

部屋が信じられないほど広かったので、ジュリアはその女を探すのに別の廊下を渡らなければならなかったが、誰かとぶつかった。

痛む額をこすっていると、反対側から悲鳴が聞こえ、 テレンスは急いでその女のところに行って、彼女を助け起こした。

ジュリアはその女を見てあきれた。

「君?」 ジュリアが驚きのあまりすぐには声が出なかった。

「そうよ」 女性は挑発するかのように眉を上げ、テレンスの腕に寄り添った。 「久しぶりね、姉さん」

その女性は彼女の妹、ジーン・グーに他ならなかった。

ジュリアはその女が自分の妹なんて夢にも思わなかった。

「君たち...」 いろいろな考えがジュリアの頭をよぎった。

ジーンはとてもセクシーな服を着ていた。 白いレースが彼女のなだらかな体を包み込むように首の下を飾り、ブラジャーの柄がかすかに見えた。

ジュリアは水から出た魚のように口をあんぐりと開けた。 彼女は他に何を言うべきかわからなかった。

なんといっても、3年前にジーンからテレンスを奪い取ったのはこの自分なわけだった。

おすすめの作品

永夜に捧ぐアヴェ・マリア の小説カバー
8.8
マフィアの私生児カイアスに、十年の歳月を捧げて尽くしてきたセリナ。しかし、彼が組織の実権を握った日に隣に立たせたのは、別の女性シロデだった。カイアスは「教母にふさわしいのは高貴な彼女だ」と告げ、学がなく奔放なセリナを冷酷に切り捨てる。名分がなくとも自分に付き従うだろうと高を括る彼に対し、セリナは何も語らずその場を去った。だが、彼は大きな見落としをしていた。セリナの正体は、この世界で最も強大なマフィアファミリーの王女であり、シロデが所属する楽団の第一首席という輝かしい地位に君臨する存在だったのだ。彼女の家系であるメネスヴァ家は、セリナのこれまでの献身を愚行と見なし、すでに彼女のためにふさわしい伴侶を用意していた。その相手とは、カイアスが喉から手が出るほど繋がりを求めている、泣く子も黙る武器商人である。かつての恋人が必死に取り入ろうとしている権力者は、今やセリナの婚約者の座を射止めようと躍起になっていた。裏切りを機に、彼女の真の逆襲が幕を開ける。
私を二度殺した愛する夫が、今度は私に殺されたがっている の小説カバー
7.9
結婚から2年、夫の愛人が嫌がらせで私の私生活をネットに晒すたび、私は夫の不正を通報し彼を留置場へ送るという泥沼の復讐劇を繰り返していた。転機は突然の誘拐事件だった。共に命を懸けて守り合った私たちは、九死に一生を得て和解を誓う。夫は愛人を追放し、二人は平穏な日々を取り戻したはずだった。それから3年。妊娠8ヶ月の私は夫に食事を届ける途中で何者かに突き飛ばされ、お腹の子供を失ってしまう。病院へ駆けつけた夫が真っ先に抱き寄せ、優しく守ったのは、私を突き落とした犯人――3年前に縁を切ったはずのあの愛人とその子供だった。夫は「わざとではない」と彼女を庇い、子供はまた作ればいいと私に言い放つ。彼らが裏で密かに関係を戻していた事実を知った瞬間、私の心は冷徹な決意で満たされた。私は静かに夫を見つめ、二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓う。愛と憎しみの果てに、今度は私が彼を追い詰める番だ。裏切り続けた夫への最後にして最大の報復が、静かに幕を開ける。
億万長者の夫、その嘘の網 の小説カバー
8.1
IT業界の若きカリスマとして君臨する神崎キリアン。私は彼の荒んだ心を唯一癒やすことができる「錨」のような存在だった。しかし、最愛の弟が危篤に陥った際、彼は弟の命を救うための資金を惜しげもなく愛人に差し出した。数億円もの大金が、女の望む猫の保護施設建設のために消えたのだ。弟を亡くし、失意のなかで交通事故に遭い血を流す私を置き去りにして、彼は再びその女の元へと駆けつけた。絶望の淵で離婚を決意した私を待ち受けていたのは、さらなる残酷な真実だった。私たちの結婚そのものが巧妙に仕組まれた偽造であり、私は彼が作り上げた虚飾の世界に閉じ込められていたのだ。自由も権利も奪われ、彼の手のひらで踊らされていたことを知った私は、かつて拒絶したある男に連絡を取る。すべては、キリアンが築き上げた傲慢な帝国を灰燼に帰すため。偽りの愛に縛られた女の、壮絶な復讐劇が幕を開ける。
かつての忠犬は、私をベッドに縛り付けて復讐のキスをする の小説カバー
7.8
名門の令嬢と、一族に仕えるマフィアの護衛。身分を超えて愛し合う二人の運命は、敵対組織との激しい抗争の中で深く結ばれた。命を賭して彼女を守り、銃声から耳を塞ぐ彼の献身的な姿に、彼女は心を奪われる。政略結婚を拒み、彼との駆け落ちを決意した雨の夜。しかし、待ち合わせ場所に彼は現れず、彼女は連れ戻されて愛のない結婚を強いられた。絶望の中、走行中の車から飛び降り重傷を負った彼女は、病床から幾度も彼に連絡を試みるが、返信は一度もなかった。それから5年。再出発を決めた彼女の前に現れたのは、巨大グループの総帥へと変貌を遂げたかつての恋人だった。再会した彼は冷徹な態度で彼女に皮肉をぶつけ、対立を繰り返す。しかしその裏では、彼女を襲うあらゆる危難を密かに退けていた。過去の裏切りへの疑念を抱きつつも、執拗に距離を詰めてくる彼の存在に、封印したはずの恋心が再び激しく揺さぶられていく。復讐と執着が入り混じる、再会から始まる愛憎の物語。
婚約破棄されたら、チート属性全部盛りの私が財界の神に捕獲されました。 の小説カバー
8.6
名家とは名ばかりの富豪一家から一方的に婚約を破棄され、世間の冷笑を浴びた雲居美月。しかし、彼女は悲嘆に暮れるどころか、首都最強の権力を持つ美貌の財界人と電撃入籍を果たし、周囲を驚愕させる。当初、夫となった男は「二年後には関係を断つ」と冷徹に契約結婚を宣言していた。だが、いざ生活が始まると彼は美月に執着し、片時も離そうとしないほど彼女を深く溺愛し始める。周囲がその変貌に困惑する中、美月の隠された素顔が次々と露見していく。世界最高峰のハッカー、伝統絵画の巨匠、そして先端企業の黒幕。各界の重鎮を友人に持つ彼女の正体は、誰もがひれ伏すチート級の才能の塊だったのだ。さらに、世界的な宝飾グループが「本物の令嬢」の発見を公表すると、その正体が他ならぬ美月であることが判明する。かつて彼女を嘲笑った人々は、あまりに規格外な彼女の真実に震撼することになる。冷徹な神に捕らわれた美しき天才令嬢が、その圧倒的な実力で運命を切り拓いていく極上のシンデレラストーリー。
偽装ブス妻、覚醒のち離婚 の小説カバー
9.1
分厚い前髪にそばかす、無頓着な装い。誰もが目を背ける「醜い妻」として、私は若き御曹司の妻となった。周囲から「ブス好き」と冷笑され、一族の猛烈な反対を受けながらも、彼は私を狂気的なまでに溺愛し続けてくれた。その甘い言葉を信じ、容姿ではなく魂を愛してくれる唯一無二の伴侶だと確信していた三年間。しかし、その幸せは夫の書斎で見つけた衝撃的な真実によって崩れ去る。そこにあったのは、別の女性に宛てられた九十九通のラブレターと、彼女を保護するための信託書類だった。彼の愛はすべて、本命の女性を世間の毒牙から守るための「盾」として私を利用していたに過ぎなかったのだ。夫が権力を掌握し、利用価値のなくなった私は、未練もなく離婚届を突きつける。そして長年施してきた「ブスメイク」をすべて洗い流し、真実の姿を隠したまま彼の前から永遠に姿を消すことを決意した。偽りの愛に終止符を打ち、私は本来の自分を取り戻して新たな人生を歩み始める。