~愛·裏切り·復讐~元妻の甘い誘惑 の小説カバー

~愛·裏切り·復讐~元妻の甘い誘惑

9.4 / 10.0
かつて、愛する夫ジェームズの裏切りによって、マリアは公衆の面前で殺人者の汚名を着せられた。憎しみの炎を胸に抱いた彼女は、すべてを捨てて離婚し、住み慣れた街を去る。それから6年の歳月が流れ、彼女はかつての面影を捨て去り、元夫の宿敵である男性を伴って再び姿を現した。その姿は、絶望の淵から這い上がり、美しく力強く蘇った鳳凰のようであった。マリアの目的はただ一つ、自分を陥れた者たちに相応の報いを受けさせること。復讐を果たすための手段として、彼女は協力者である彼の手を取ることを決める。しかし、マリアはまだ気づいていなかった。復讐のために彼を利用しているつもりが、自分自身がすでに彼の甘い罠に囚われた獲物になっているということに。愛と欲望が複雑に絡み合う復讐劇の幕が上がる。執着と策略が渦巻くこのゲームの果てに、最後に微笑むのは果たして誰なのか。裏切りから始まった再会が、予測不能な愛憎の物語を紡ぎ出す。

~愛·裏切り·復讐~元妻の甘い誘惑 第1章

H市のゴールデンライオンホテル。今日ここでは、ディナーパーティーが開催される予定だ。

そしてこのパーティーにはノーマン・シェンも 参加することになっていた。 会場内では早くも、ノーマン・シェンの彼女の話題で持ち切りだった。

その噂は世界中で有名になっていた。 彼女はこの上なく美しい女性として知られていた。

パーティーは既に始まっていた。するとその時、会場の扉が開いた。 あるカップルが入ってくると、会場の空気が一気に変わった。

その2人がゆっくりと会場に足を踏み入れると、会場は急にざわめきだした。 話題の的となっていた本人たちが登場したからだ。

それは 噂のノーマン・シェンだった。 彼は黒いシャドーストライプのスーツを身にまとい、濃いブラウンの革靴を履いていた。 そして彼の腕の中には、美しい1人の女性がいた。

その女性は足首まで真っ黒なドレス姿で、サファイアのジュエリーを輝かせていた。 そして綺麗な卵型の顔には、とても上品な化粧を施していた。 その息をのむほど美しい姿は、一際目立っていて、 誰もが彼女を見ずにはいられなかった。

2人は、今夜の誕生日パーティーの主役であるアリーナ・タンとその隣にいる男性、 ジェームズ・シーをちらっと見た。

突然会場に現れた女性を見て、人々は小声で話し始めた。 「あの女性を見た? あれ、マリア・ソンじゃないか?」 と誰かが言った。

すると、「確かにそうだ!

マリアだ!」 ともう1人が共感した。

「どういうことだ! 彼女は死んだんじゃなかったのか? なぜまだ生きてるんだ。 彼女は殺人者だぞ! なんて恥知らずな奴だ。よく人前に出て来れるな」 また別の1人が便乗して話し出した。

「あの顔は整形したんじゃない? いつからあんなに綺麗になったのかしら」

「シェン様の 彼女だなんて 知らなかったよ。 これはきっと面白くなるぞ」

そうやって各々が思い思いに楽しんでいた。 確かにこの状況は、誰がどう見ても面白くなるにちがいなかった。

会場を驚かせたのは、マリア・ソンの突然の復活だけではなかった。彼女の隣にいるノーマン・シェンはジェームズ・シーにとっては仕事のライバルなのだ。

しかもそれだけではない。マリア・ソンは、HLグループのCEOであるジェームズ・シーの元妻なのだ。それには恐怖さえ覚える人もいた。

ジェームズ・シーもノーマン・ショーも普段はあまり公の場に姿を現さず、目立たないように過ごしている。 そのため、このようなパーティーにはめったに参加しないはずだった。 しかし、ジェームズ・シーがこの場にいる理由は誰もが知っている。 ジェームズ・シーがアリーナ・タンと婚約する予定だという噂が広まっていたのだ。 一方、ノーマン・シェンがここにいる理由は?彼は単にアリーナ・タンの誕生日を祝うためだけに来たのだろうか。

ジェームズ・シーは、金融界の大物だ。 けれども、今、彼の元妻が仕事のライバルと一緒にいるとは。。。 会場が盛り上がって、誰もがこれからどうなるかを楽しみにしていた。 この夜、何が起こるのかを知る者は誰もいなかった。

マリア・ソンは終始、優雅な笑みを浮かべていた。 彼女はノーマン・シェンの腕に手を掛けながら、7センチの高さがあるガラスのハイヒールでアリーナ・タンの元へと向かった。

実は、アリーナ・タンはマリア・ソンの年上のいとこなのだ。 なのに、6年前、彼女の声帯を壊し、声さえ出せなくさせた。

そして、6年後の今、ようやく2人は再会を果たそうとしているのだった。

アリーナ・タンは、マリア・ソンの劇的な変化に驚いた。 彼女は胸の鼓動が速くなるのを感じた。 一方の手でジェームズ・シーの腕をしっかりと掴み、もう一方の手でワイングラスを割ってしまいそうなほど強く握りしめていた。

人々の注目を集めながら、ノーマン・シェンはウェイターから赤ワインを2杯分、受け取った。 そのうち1杯はマリア・ソンに渡し、もう1杯は自分にした。

シェンは、自分の隣にいる笑顔の女性を一目見てから、目の前にいる仏頂面の男へと向きを変えた。 そしてかすかに微笑みを浮かべながら、 「シーさん、お久しぶりです! 俺の彼女に見覚えはありますか?」 と挑戦的な光が宿っている目でジェームズ・シーを見つめて挨拶をした。

2人の男はお互いに不満を抱えていたが、公の場では仲良さそうに会話をしていた。 嫌な顔を一切見せない紳士ぶりだ。 ビジネスの世界では利益が全てだ。そのためには敵も友になれるんだ。

しかし、ジェームズ・シーはそれに乗らずに、 一切表情を変えなかった。 しかも、ノーマン・シェンの横にいる女性には一度も目をやらず、 ただグラスを持ち上げ、ノーマン・シェンと乾杯して、 「見知らぬ人だ」と冷たく答えた。

ジェームズ・シーは、法人部門で数年間働いており、しばらくの間CEOも務めていた。 彼が威厳のある人間であることは、誰もが知っていた。

6年が経った今でも、マリア・ソングはジェームズ・シーを目の前にすると胸が高鳴る。 彼は一段と魅力的になっていた。それにその瞳は、奥ゆかしさを増していた。

H市の人々にとってノーマン・シェンは尊敬の的だった。 彼はH市ではジェームズ・シーほど力を持っているわけではなかったが、かなりの権利を持っているのだ。

ジェームズ・シーが冷酷で自己中心的な人とであるなら、ノーマン・シェンは薄情で手強く横柄な人だった。 2人の男は確かに似ている部分もある。

しかしジェームズ・シーは高貴で近寄りがたい雰囲気を出している一方、ノーマン・シェンは表に見えるのは優しく穏やかな性格だった。

「見知らぬだと?」 ノーマン・シェンはワインを一口飲みながらジェームズ・シーの言葉を笑いながら繰り返した。 その目には悪戯な笑みを含ませていたが、彼はそれ以上何も言なかった。

ジェームズ・シーの言葉を聞いたマリア・ソンは一切笑顔を崩さなかった。 彼女は彼の言葉を気にしなかったからだ。 何しろ、早かれ遅かれこの男を手に入れるつもりなのだ。

「タンさんへの誕生日プレゼントを持ってきてくれ」ノーマン・シェンは彼の後ろにいるアシスタントに向かってそう言った。

「はい、わかりました! シェン様!」

そのアシスタントはすぐにプレゼントの箱を持って来て、アリーナ・タンに渡した。 「タンさん、お誕生日おめでとうございます」

アリーナ・タンは上品に微笑んで、 「ありがとう、シェンさん」 と感謝した。

ノーマン・シェンは何も言わずに彼女に向かって会釈をした。

アリーナ・タンはもらったプレゼントを後ろにいるメイドに渡すと、ずっと無言のマリアへ向かった。 「マリア、ようやく戻ってきたのね! この前はどこにいたのよ! 皆、あなたのことを心配してたのよ! 元気だったの?」と聞いた。

マリア・ソンは笑顔でアリーナ・タンの目を見つめた。 「心配してくれてありがとう、アリーナ。 私は大丈夫よ。 気分転換でちょっと旅行に行ってきただけ」

その穏やかな声から、 どんな感情も感じられなかった。

マリアの声を聞いて、アリーナは驚いた。 マリアは話せるようになったの?

しかし、アリーナはその驚きを表に見せなかった。 一応見聞が広い有名人だから。

「シェンさんのおかげで 元気だよ」 マリア・ソンは優しい口調で答えた。その目は涙で少しかすんでいた。 まるでアリーナ・タンが心配してくれていた事に感動したようだ。

しかし、実はそうではなかった。 彼女たちは昔のような関係に戻るのかと思いきや、どうやらお互いそこまでの感情はないようだった。 彼女たちは社交辞令しか話さず、気持ちのこもっていない会話をしていた。

アリーナ・タンは頷いて、ジェームズ・シーの方に向きを変え、ためらいながら切り出した。 「せっかくマリアが戻ってきたんだから、私、少し席を外しましょうか?」

ジェームズ・シーの細い眉の間に、しわが寄った。 その目からは、嫌悪感伝わってくる。 「結構だ」と彼はアリーナ・タンの提案を考えもせずに断った。 その声は一段と冷たくぶっきらぼうだった。

彼の反応を見た アリーナ・タンはいっきに気分が良くなった。 「じゃ、そうしよう。 私もずいぶんマリアに会ってないから、話したいことがたくさんあるわ」 シェンさん、 ちょっとマリアを借りていい?」

そう言うと、アリーナ・タンはマリア・ソンの同意も得ずに、彼女の腕をそっとつかんだ。

ノーマン・シェンは「どうぞ」と言ってマリア・ソンを放した。

アリーナ・タンに連れ出されながらマリア・ソンは ノーマン・シェンの方へ振り返った。 彼女の瞳は、力強く輝いていて 楽しんでいるようだった。

ノーマン・シェンはマリアに手を振りながら、安心してという風に目配せした。

それを見たマリア・ソンは向きを戻し、アリーナ・タンに追いつくために早歩きをした。 「ねえ、アリーナ、 ハイヒールだからそんなに早く歩かないでくれない?」 と彼女はおそるおそる尋ねてみたが、返事はなかった。

二人が立ち去った姿を見て、残った2人の男は違う考えを持っていた。 ジェームズ・シーは一方の手をポケットに入れ、もう一方の手で赤ワインのグラスを回していた。

ノーマン・シェンはジェームズ・シーに笑顔で尋ねた。 「マリアはだいぶ変わったと思わないのか?」

ジェームズ・シーはノーマン・シェンに冷ややかな視線を投げてから、こう言った。 「シェンさん、最近退屈しているのか? 俺はあなたと雑談する暇がない」 彼らは決して仲が良いわけではなかった。 しかも、ジェームズ・シーは世間話をするのが嫌い人間だ。

「そんなことないよ」 ノーマン・シェンはジェームズ・シーと乾杯してから、ワインを飲んだ。 「あっ、そうだ、シーさんはタンさんと婚約するだと聞いたぞ!」

最近H市では、ジェームズ・シーとアリーナ・タンが婚約するという噂が広まっていた。 ジェームズ・シーがアリーナ・タンのパーティーまで付き合ったから見れば、噂は本当のようだ。

「そうだけど」 ジェームズ・シーは正直に言った。

それを聞いたノーマン・シェンは相槌を打った。 それからしばらくして、「もし俺が マリアと結婚したらどうだ?」とノーマンは悪戯な笑みを含めて言った。

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