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愛を殺した、彼の後悔 の小説カバー

愛を殺した、彼の後悔

体に時限爆弾を仕掛けられた私は、絶望の中で恋人の法医学者・久我修二に助けを求めた。しかし彼は、幼馴染の落とし物を探すことを優先し、私の必死の訴えを狂言だと切り捨てて電話を断つ。その数分後、私はお腹の子供と共に爆死した。皮肉にも、変わり果てた私の遺体を解剖したのは修二だった。彼は目の前の焼死体がかつての恋人であることに気づかず、私が大切にしていた彼からの贈り物を「身元不明者の安物」と蔑み、証拠品袋へ投げ入れる。両親の捜索願すら家出だと嘲笑う彼が真実を知ったのは、数日後のことだった。誘拐犯から「お前が解剖したのは自分の女と子供だ」と告げられ、修二は奈落の底へ突き落とされる。さらに一年後、事件の黒幕が、あの日優先した幼馴染だったことを突き止めた彼は、ある凄惨な復讐を決意する。二人の結婚式の打ち合わせの場で、修二は微笑みを浮かべながら彼女を椅子に拘束した。その胸元には、かつて私を奪ったものと同じ爆弾がセットされていた。
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体に時限爆弾を巻き付けられ, 震える手で恋人の法医・久我修二に助けを求めた.

しかし彼は「幼馴染のピアスを探すのに忙しい」と, 私の必死の懇願を「気を引くための嘘」だと断じ, 電話を一方的に切った.

数分後, 私はお腹の子と共に爆死した.

皮肉にも, 私の黒焦げの遺体を解剖したのは修二だった.

彼は目の前の肉塊が, かつて愛した女だとは露知らず, 私が大切にしていた彼からのプレゼントを「身元不明の安物」として証拠品袋に放り込んだ.

「妊娠3ヶ月. 母子ともに即死か, 気の毒に」

彼は淡々と死因を告げ, 私の両親からの捜索願いさえも「ただの家出だ」と鼻で笑い, 幼馴染の元へと急いだ.

彼が真実を知ったのは, 私が死んでから数日後.

誘拐犯が嘲笑いながら告げたのだ.

「お前が解剖したあの焼死体こそが, お前の女と子供だ」と.

そして一年後.

すべての黒幕が, 彼が優先した幼馴染だと知った修二は, 彼女との結婚式の打ち合わせの場で, ある「復讐」を実行する.

彼は微笑みながら幼馴染を椅子に縛り付け, その胸に爆弾をセットした.

第1章

奈緒 POV:

久我修二が私の必死の叫びを「またか」とばかりに切り捨てた時, 私の人生は燃え尽きる廃工場よりも早く崩れ落ちた.

私は白川奈緒, 26歳. 幼稚園の先生.

そして, 今まさに爆弾を体に巻き付けられ, 死を待つ身.

誘拐犯は沼田信和. かつて久我が逮捕に導いた放火犯だ.

彼は, 私の恋人である久我修二への復讐を誓っていた.

薄暗い廃工場.

鉄骨が絡み合い, 錆びた機械が不気味に佇んでいる.

沼田は私の胸に巻き付けられた時計仕掛けの爆弾を指差し, 歪んだ笑みを浮かべた.

「俺を刑務所送りにした久我修二のおかげで, お前も地獄行きだ」

彼の目は狂気に染まっていた.

恐怖で心臓が喉まで競り上がってくる.

沼田は私の携帯電話を奪い取った.

乱暴に久我の番号をダイヤルし, 私に押し付けた.

「聞こえるか? お前の男に助けを求めろ. 命乞いしろよ」

震える手で携帯を耳に当てた.

数回のコール音の後, 聞き慣れた, しかし今は恐ろしいほど冷たい声が聞こえた.

「もしもし」

「修二…! お願い, 助けて…! 」

私の声はか細く震えた.

涙が溢れて止まらない.

「奈緒? なんだ, こんな時間に」

久我の声はひどく不機嫌そうだった.

「今, 恵梨子と一緒なんだ. 彼女の大切なピアスが公園でなくなって, 探してあげてるんだよ. 仕事じゃないんだから, 邪魔するな」

彼の言葉に, 私の心臓が凍りついた.

「違うの…私, 誘拐されたの! 沼田信和っていう男に…爆弾も…」

言葉が途切れ途切れになる.

沼田が私の背後に立ち, 携帯を奪い返そうと手を伸ばした.

「嘘じゃない! 本当に危ないの! 修二, 聞いて…」

私は必死で叫んだ.

沼田は横から携帯を掴み, 私の言葉を遮った.

「おっと, そこまでだ」

沼田は携帯を耳から引き剥がし, 私から離れた.

久我の声は私の耳には届かなくなった.

遠くから, 久我の声が聞こえる.

「奈緒! また恵梨子のことか? いい加減にしろ. お前はいつも俺の気を引こうとする. 芝居はもうたくさんだ」

はっきりと, 彼の不満が伝わってきた.

「もし恵梨子のペットに何かあったら, お前を許さないからな! 」

ペット? 恵梨子の?

私の命がかかっているのに, 彼は恵梨子のペットの心配をしているのか.

沼田が私の胸の爆弾を指差した.

残り9分50秒.

冷たい汗が背中を伝った.

その時, 久我の携帯から, 恵梨子の甘ったるい声が聞こえた.

「修二, 早く戻ってきてよ. もうピアスは見つかったみたい. 早くこっち来て, 私を安心させて」

その声は, 私の命の終わりを告げる鐘のように響いた.

「分かった, 恵梨子. すぐ行く」

久我の声は, 一瞬で優しいものに変わっていた.

そして, ブツン, と通話が切れた.

私の世界は, 音を失った.

沼田は私を見て, 嘲るように口元を歪ませた.

「おいおい, お前の男, つまんねぇな. 人を間違えたかと思ったぜ」

沼田は携帯を床に投げ捨て, 倉庫の奥へと消えていった.

私は独り, 爆弾を抱えて取り残された.

涙がとめどなく溢れ, 視界が滲む.

爆弾のデジタル表示が, 無情にもカウントダウンを続ける.

残り8分.

修二.

私は, 死の間際になってようやく気付いた.

貴方にとって, 私は一体何だったのだろう.

私が恵梨子の存在を修二に尋ねた時, 彼は「恵梨子は幼馴染で, 妹みたいなものだ」と笑った.

その言葉を, 私はあの時信じた.

信じようとした.

でも, 違った.

恵梨子は, 修二にとって, ただの妹ではなかった.

いつも恵梨子からの呼び出しを優先した.

私が熱を出して寝込んでいても, 私の両親との食事をキャンセルしても, 恵梨子の「ストーカー被害」と「なくしたピアス」の電話一本で, 彼は飛んでいった.

私が寂しいと訴えれば, 「そんなことだから, 恵梨子にまで心配されるんだ」と呆れた顔をした.

結婚の話を切り出した時もそうだ.

「もし奈緒が嫌なら, 結婚しなくてもいい. 恵梨子が隣にいてくれれば, 俺はそれでいい」

そう言った修二の横顔は, 本気だった.

それでも, 私は彼を愛していた.

彼が私を愛していると, どこかで信じていた.

愚かだった.

恵梨子の声が, 修二の優しい声が, 今も耳に残っている.

彼にとって, 本当に大切なのは恵梨子だった.

私は震える指で, 久我にメッセージを送った.

「修二, さようなら. この世界で, あなたと二度と会いたくない」

これが, 私の最後の言葉.

私の魂は, 炎の中で, ようやく解放されるだろう.

さようなら, 修二.

どうか, 来世では私を見つけないで.

私の心は, 本当に死んだのだから.

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