フォローする
共有
天才監察医~美貌と医術を以て異世界を無双する の小説カバー

天才監察医~美貌と医術を以て異世界を無双する

21世紀の国家安全保障局で首席監察医を務めた曲蓁は、その神業とも言える医術で数々の命を救い、死者の声を代弁してきた。しかし任務中に命を落とした彼女の魂は、異世界の医家である顧家の一人娘として転生する。目覚めた直後、彼女は棺桶から赤ん坊が生まれるという怪事件に遭遇するが、卓越した解剖技術と救命術を駆使し、死の淵から生を救い出す。非業の死を遂げた両親の仇を討つため、彼女は真実を見抜く鋭い眼力と鉄筆を武器に、腐敗した役人たちが蔓延る政界の闇へと切り込んでいく。冤罪を晴らし、世に正義を問う彼女の前に立ちはだかるのは、複雑な陰謀と、心を寄せる一人の男だった。大離の皇子や王族の嫡男ら、多くの才俊が彼女の美貌と才能に惹かれる中、彼女が向き合うのは自らを廃人と称して身を引こうとする愛する男の不器用な本音だ。「そばにいてくれ」という切実な願いを受け止め、彼女は愛と正義のために、魑魅魍魎が跋扈する乱世を華麗に突き進んでいく。監察医としての誇りを胸に、彼女は異世界に新たな夜明けをもたらすだろう。
共有

3

「張姉さん、諦めないで…私がついてるから」

曲は急いで銀の針を取り出し、主要なツボに素早く押し込んだ。銀の針の刺激を受けて、女性の瞼がピクリと動きだし、朦朧としていた視線が少しずつ焦点を結び始めた。彼女は少し頭を振り、震え声で曲に呼びかけた。「きょ、曲さん…私のことはいいから。お願い、お願いだから、何としてでも、勝さん、勝さんの息子だけは助けてあげてください…お願いです...」

曲はしゃがみ込んで彼女の手を掴んだ。「どうしたんですか、一体だれがこんなこと…?」

「これは…」 女は、何かを言おうとしたが、息はどんどん荒くなり、穴の開いた風船のようにヒューヒューとした声しか出すことができなかった。

これ以上は持たないだろうことは見て取れたので、曲は、すぐに彼女の耳元に身を寄せて、「これは何?」と急いで尋ねた。

「これは…」

未亡人は興奮した様子で何かを話そうと身を起こそうとしたが、ちょうどその時、瞳孔を見開き、体をビクッとさせるとベッドに倒れこむと、全く動かなくなった。

曲は前かがみになったまま寒気で体が凍り付いた。死んだのだろうとわかっていたが、それでも手を未亡人の頸動脈に伸ばしその生死を確認せずにはいられなかった。

脈動が感じられない。

彼女はもう、死んでいる。

「こんな…あっさり?」未亡人の死を直に感じ取った曲の表情は複雑だった。

あと半月も持てば出産迎えられたのに…家族に裏切られ、こんなおんぼろ家に一人移ってきて、食べることもままならないせいで野草を食う日も少なくなかった。こんな必死に生きようとしていたのも、すべて亡き夫が残した唯一の子種を産むためだったのに。

「子供?」 そうだ! お腹にまだ赤ちゃんが!」

この赤ちゃんを救うためには、彼女の腹を切り開くしかなかった。 しかし、何千年も前の封建時代では、21世紀では当たり前のこの小さな手術が、魔術とも呼ばれ、殺人とも呼ばれ、触れてはいけないタブーとみなされているのである。

以前に試したことがなかったわけではないが、たとえ実の父親であっても、子供を取り出すためにお腹を切り開くくらいなら、一層のこと母親の腹の中で窒息死させた方がましだと思うだろう。もし、子供を取り出すために死んだ人の腹を切り開いたことがばれたら、彼女を待っているのは…

強烈な血の匂いが曲の脳を刺激し、一瞬にして彼女を正気に戻らせた。自分は医者であり、黄秀蓮とその子供の唯一の希望である。保身のために子供をみすみす死なせるわけにはいかないのだ。

もう一々構っていられない!

迷わず、彼女は腰につけていた黒い錦織の小袋を取り出して開くと、大小様々な刃をいくつも出してきた。

このメスのセットは、成人式祝いとして彼女自身が設計し、彼女の師匠が最高の職人に作らせたものなので世界中探し回っても同じものは二つとないものであった。

彼女はそれを肌身離さず持ち歩き、誰にも見せたことはなかった。

まさか死体の解剖ではなく、人の命を救うために初めてこれを使うことになるとは。

黄秀蓮のお腹の中の子供はすでに臨月だったので、たとえ母親が死んでいても、一定時間内に取り出しさえすれば、子供は生きていられる可能性があるはずだ。

間髪入れずにナイフを手にした曲は、黄秀蓮の服を切り開き、膨れ上がった妊婦の腹にメスを入れようとしたが、突然、目の前が血の色に染まり、頭がガンガンなりだし、メスを握る手もがたがたと震えた。何千年もの時間を隔ててもなお、心電図モニターが発する死亡宣告の音が耳元で響いているようだった。

まただ!

あの医療事故の後、彼女は深刻なトラウマでメスを握ることすらできなくなり、やむをえなく法医学に転向したのだ。

2回深呼吸し、気持ちを落ち着かせた後、曲は再びメスを手にした。

恥骨結合から指2本分上で、腹部の皮膚を切り、脂肪層を切り、皮下の筋膜を切り、筋肉を切り離して腹膜を露出させる。

黄秀蓮は死んだばかりで、まだ固まっていない血が、腹部の傷口に沿って噴き出し、曲の袖とスカートを赤く染めた。

彼女は瞬きもせずメスで素早く子宮を切り開くと赤ちゃんを取り出し、へその緒を切って床の上に置いた。

小さな手術だったが、終わった後は汗びっしょりになった。がたがたと震えながら肩で大きく息をして床に倒れこんだが、ちょうどその時、視界に床の隅にあるものが飛び込み、曲は固まった。

「これは…」

彼女は手を伸ばしてそれを手に取り、慎重にチェックした。「間違いない。これは私が縫ったものよ!でもどうしてここに?」

その理由もわからないうちに、鋭い叫び声と足音が近づいてくるのを聞いて、彼女は慌ててそれをしまった。

「張広!このろくでなし!出てきなさい! ずっと前からおかしいって思ったのよ!張家に入って十年、私には一回も頬紅なんか買ってくれたこのないのに一体どういうつもり! このクズ! ここに隠れていたわけね? 今日こそあんたらみたいな不倫くそ野郎を成敗してやるわ!」

曲はその場で動きを止めた。「彼女が!?」

続けて視聴する!
物語はいよいよ佳境へ!アプリに切り替えて続きを読む
全エピソードをロック解除
公式サイトを開く

おすすめの作品

イカした恋とイカレた妖刀の冒険譚 の小説カバー
9.2
武芸の道に全てを捧げ、ストイックに己を磨き続けてきた傭兵時代。しかし、待っていたのは無慈悲な敗北と挫折の記憶だった。そんな過去を持つ主人公が流れ着いたのは、巨大なカイザード帝都。そこで彼は、捨て犬のような境遇からボトマーズギルド・ハニカムに拾われることになる。かつての面影はどこへやら、現在の姿は「怪人イカ男」と呼ばれるイカの姿をした異様な怪人。さらには、何事にも無気力で面倒を嫌い、金欠に喘いでは物事が裏目に出るチンピラのような男へと転生を遂げてしまっていた。本作は、そんな風変わりな主人公を中心に、物語の語り手が次々と入れ替わる独創的な構成で描かれる新感覚のファンタジー・アクションだ。イカした風貌のイカれた妖刀使いが、混沌とした帝都を舞台にどのような冒険を繰り広げるのか。先の読めない展開と独特の語り口が、読者を不思議な世界観へと引き込んでいく。かつての挫折を胸に秘めた男の、斜め上を行く新たな人生が幕を開ける。
離婚届と黒いグローブ の小説カバー
9.3
結婚七周年を迎えた記念すべき日、子作りに対する価値観の相違から陸原湊と激しい口論になり、二人の仲に亀裂が入った。その直後、彼の幼なじみがSNSに投稿した写真には、サーキットで親密に微笑み合う湊と彼女の姿があった。周囲も二人を公認のカップルのように扱う。この七年間、危険だからという理由で一度もレース場に招かれなかった自分とは対照的に、彼の傍らには常に彼女がいたのだ。かつては優しかった湊の言葉も、今では義務的な拒絶にしか聞こえない。彼が本当に大切に想っていたのは私ではなく彼女だったのだと悟り、私は結婚指輪を外して湊に離婚を突きつけた。悲しみに暮れる暇はない。私は長年封印していたガラスケースの中の黒いグローブを再び手に取る。時速三百キロの世界を危険だと決めつけ、私を遠ざけた彼への答えは、ハンドルを握るこの手で証明する。愛を捨て去った元妻が、かつての情熱を取り戻して再起する物語。
獄中龍王の逆襲~最強の力を手にした俺、婚約者と黒幕に鉄槌を下す~ の小説カバー
8.9
四年前、最愛の婚約者を守ろうとした私は、卑劣な罠に嵌められ四年間もの獄中生活を余儀なくされた。絶望の淵に立たされたが、刑務所内で出会った伝説的な師匠に弟子入りし、過酷な修行の末に人智を超越した武術と神業のごとき医術を習得する。しかし、出所した私を待ち受けていたのは、あまりに非情な裏切りだった。かつての婚約者は、私を陥れた張本人である黒幕と手を組み、私を嘲笑っていたのだ。燃え上がる復讐心を胸に、私は手にした圧倒的な力を行使し、自分をどん底に突き落とした者たちへの鉄槌を下し始める。かつての恋人が後悔に震え、涙ながらに許しを請うが、私の心が変わることはない。そんな中、衝撃の事実が判明する。四年前、ある女社長が秘かに私の娘を出産し、育てていたのだ。最強の力を手に入れた男による、怒涛の逆襲劇と愛の物語が今、幕を開ける。失った時間を取り戻し、大切な存在を守り抜くための戦いが始まる。
THE END OF THE WORLD ー世界の果てにて…ある少年の物語ー の小説カバー
9.5
2110年、第三次世界大戦を経た大日本帝国は、4大財閥が権力を独占する極端な格差社会と化していた。戦争で両親を失い、施設で育った15歳の少年シーナは、戦争遺児への差別や暴力にさらされる過酷な日々を送っていた。ある日、暴行を受け絶望の淵にいた彼は、謎の男ヒデとの出会いを機に、世界中の若者が熱狂する仮想空間オンラインゲーム『FRONTIER』へと導かれる。端末を通して脳神経をシンクロさせる「ダイブ」により、仮想世界での戦いに身を投じるシーナ。仲間との絆や恋を知る中で、彼は自身の不遇な運命と向き合い、少年から大人へと成長を遂げていく。そして彼は仲間と共に、未だ誰も踏破したことのない最終フィールド「虐殺の門」の攻略という壮大な目標を掲げ、過酷な現実に立ち向かう。しかし、その虚構の世界の裏側には、現実をも揺るがす恐るべき秘密が隠されていた。シーナの視点から描かれる、葛藤と希望に満ちた未来型青春群像劇が幕を開ける。現実と仮想の狭間で、彼は生きる意味を見出していく。
さよならクズ彼氏、こんにちは億万長者の旦那様 の小説カバー
9.7
長年連れ添った恋人に親友との浮気を許され、絶望の淵に立たされた主人公。自暴自棄な勢いで婚活に踏み切った彼女は、初対面の男性と電撃結婚を果たす。新生活の始まりに、夫は「家計はすべて自分が担う」と宣言。当初、彼女はその言葉を傲慢な虚勢だと冷ややかに受け止めていた。しかし、実際の夫は驚くほどの愛妻家だった。外では彼女のキャリアを全力で後押しし、家では家事を分担し、彼女の意思を何より尊重してくれる。二人は対等に話し合い、甘く穏やかな日常を積み重ねていった。さらに不思議なことに、彼女が窮地に陥るたび、夫が動けばどんな難題も鮮やかに解決してしまう。理由を尋ねても、彼は「君が優秀だからだよ」と微笑むばかり。夫の献身的な支えにより、ついに彼女自身も大きな成功を掴み取る。そんなある日、彼女は世界的な経済誌を目にし、衝撃を受ける。そこには、最愛の夫と瓜二つの顔を持つ大富豪の姿が掲載されていた。甘い新婚生活から始まる、真実の愛の物語。
別れたら神崎さんの株が爆上がり!~資産千億の大逆転人生~ の小説カバー
8.5
神崎凪は、最愛の夫・藤川蓮のために家族と絶縁してまで尽くしてきた。しかし結婚二周年、彼女が手にしたのは偽造された婚姻届と、自分が別の女の身代わりでしかなかったという残酷な真実だった。報われない愛に終止符を打つべく、凪は絶縁していた父に連絡し、実家へ戻って縁談を受ける決意をする。かつて彼女を「都合のいい女」と見下し、嘲笑っていた周囲の人間たちは、その直後に驚愕することになる。表舞台に帰還した彼女の正体は、謎に包まれた天才F1レーサーであり、世界屈指の調香師、さらにはカジノを支配する女王だったのだ。圧倒的なカリスマ性で輝きを放つ凪の姿に、蓮は激しい後悔に襲われ彼女を追い縋る。だが、その隣にはすでにビジネス界の伝説と称される江原家の若様の姿があった。若様は冷徹な笑みを浮かべて蓮を突き放す。「私の妻はすでに新しい命を授かっている。いい加減、諦めたらどうだ?」かつての「負け犬」が真の女王へと覚醒し、華麗なる大逆転劇が幕を開ける。