天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛 の小説カバー

天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛

9.7 / 10.0
「天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛」は、母の遺品を奪還すべく冷酷な御曹司・九条怜司に嫁いだ藤原美月の物語です。無能と蔑まれる彼女の正体は、建築界の重鎮や天才医師、さらにはダークウェブの頂点に君臨する実力者。反発し合う二人が互いの裏の顔を知る時、運命は加速します。本作は人気のbillionaireジャンルで、重厚な人間ドラマが楽しめるromance novelです。名門九条家を揺るがす秘密と愛の行方を描いたこのweb novelで、究極の相互救済を目撃してください。
「天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛」のあらすじ
母の遺品を奪還するため、藤原美月は身代わりの花嫁として九条家へ嫁ぐ決意をする。その相手は、残忍な性格で車椅子生活を送り、余命いくばくもないと噂される御曹司・九条怜司だった。周囲は「無能な女と短命な男の無様な結婚だ」と嘲笑し、彼女がすぐに追い出されることを確信していた。しかし、美月の正体は世間を震撼させるものだった。建築デザイン界の巨匠、伝説の天才医師、さらには世界を裏から支配するダークウェブのトップ。幾多の顔を持つ彼女の真実が明かされるたび、首都圏は驚愕に包まれていく。一方、怜司もまた、冷酷な狂気を秘めた侮れない男であった。初めは水と油のように激しく反発し合い、互いの腹を探り合っていた二人だったが、共に過ごす中で次第に唯一無二の絆を育んでいく。そして全世界が生中継で見守る豪華な結婚式の最中、怜司は衆目の前で跪き、彼女に愛を誓う。「美月、君こそが私の人生を照らす唯一の光だ」。最強の裏の顔を持つ二人が織りなす、究極の相互救済と溺愛の物語が幕を開ける。
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天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛 第1章

「死にたくなければ動くな!」

首筋にナイフが突きつけられ、藤原美月は視線を上げ、たった今車のドアを開け、血まみれのまま乗り込んできて彼女を脅している男と目を合わせた。

2人が睨み合っていると、窓の外から騒々しい声が聞こえてきた。

「クソッ!どこだ? どこに逃げやがった!」

「さっき怪我を負わせたから、遠くへは行けないはずだ!車を1台ずつ探せ!」

隣の男のナイフを握る手が明らかに小刻みに震え出したのに気づき、美月は男の手首を掴むと、身を翻して彼の上に馬乗りになった。

九条怜司の目に殺意が走り、美月の首に当てたナイフに力を込めた。「死にたいのか!」

女の首にすぐさま血の跡がつき、血が流れ出した。

美月は脅されているという危機感を微塵も見せず、美しい目を伏せ、怜司のドクドクと血が吹き出している腹部を見た。「あなたが先に死ぬか、私が先に死ぬか、見ものね」

美月の喉に押し当てられたナイフがさらに食い込み、怜司は死人を見るような目で彼女を見た。「試してみるか!」

追手たちが車に近づいてくる足音を耳にし、美月は手早く自分の上着を脱ぎ、中のシャツのボタンを一気に引きちぎった。

ボタンが後部座席に散らばり、シャツが半ばはだけて肌の大半が露わになる中、美月は脚を開いて怜司の上に深く腰を下ろした。

怜司は美月の首を絞めていた手をパッと離し、彼女を凝視した。ーーこの狂った女は何をするつもりだ!?

怜司が動こうとした次の瞬間、美月は身を乗り出して彼の首に抱きつき、その唇にキスを落とした。

ーーこの忌々しい女、よくも……

怜司は瞳を揺らし、手を上げて彼女を突き飛ばそうとしたが、耳元で女の声が聞こえた。

「生きたいなら、私に合わせて」

長年生きてきて、見知らぬ女に強引にキスされるなど。たとえ重傷を負っていても、怜司は今すぐ自分の上で好き勝手しているこの女を殺してやりたかった。

美月はうつむいて彼の喉仏にそっと歯を立て、指で彼の襟元のボタンを外し、人差し指で男の胸の肌をそっとなぞる。男の震えを感じ取ると、彼女は満足げに唇の端を吊り上げた。

「くっ!」

怜司は眉をひそめてくぐもった声を漏らし、痛みと熱さで次第に呼吸が荒くなっていった。

突然!

後部座席のドアが、勢いよく開けられた!

「きゃっ!」美月はわざと慌てた様子で怜司の首にしがみつき、驚いたような目で外の数人を振り返った。「あなたたち、何なの!」

外の男たちは、美月の胸に顔を埋めている男を一瞥し、さらに服が乱れて怯えている美月を見ると、バンッと音を立ててドアを閉めた。

「チクショウ!ここは駐車場でいちゃついてるバカどもだ!あっちを探せ!」

声が遠ざかると、怜司は手を上げて美月を突き飛ばした。「どけ」

ちょうどその時、誰かが運転席のドアを開けて乗り込んできた。怜司の目つきが鋭さを増し、すぐにでも動けるようナイフを握り直した。

「美月さん!」

神谷拓真は男の上に座っている美月を見て、飛び上がるほど驚いた。「どうしたんですか? !」

美月は身を翻して怜司の上から降り、傷口を押さえてすっかり弱っている彼を一瞥して、ふっと笑った。「何でもないわ。とりあえず車を出して」

車が駐車場を出た後、怜司はスーツのポケットから黒い名刺を1枚取り出した。「助けてもらった礼だ、1つだけ、望みを叶えてやる」

血まみれの名刺を嫌そうに受け取ると、美月は傍らのガラス瓶から赤い錠剤を1つ取り出し、怜司に差し出した。「生き延びてから言って。飲んで」

怜司はしばらく美月を見つめた後、薬を手に取って飲み込んだ。

美月は眉を上げた。「毒殺されてもいいの?」

怜司が寄りかかったまま黙っているのを見て、美月は前で運転している拓真に目を向けた。「この辺の私立病院の前にでも、そいつを捨てといて」

「分かりました、美月さん」

厄介者が車を降りた後、拓真はバックミラー越しにメイクをしている美月を見た。「美月さん、あの人は大丈夫なんですか? 今回藤原家に戻るのは奥様の遺物を取り戻し、連中と縁を切るためなんですから、桜京市でトラブルは起こさないでくださいよ」

メイクミラーの中の自分を見つめ、美月は満足げに言った。「安心して、この姿なら誰も私だと気づかないわ」

先ほどまでの息を呑むような美女は、美月の神がかったメイク技術によって、目を背けたくなるような顔に変わっていた。

褐色のあざが美月の右顔の半分を占め、さらに無数のシミが描かれている。そこに黒縁メガネをかければ、人混みに紛れてもひどく醜く見えるだろう。

美月は上機嫌で、無意識に首元のネックレスに触れようとしたが、指先は空を切った。

彼女ははっとして首元をまさぐる。(——ない! 私のネックレスが!)

先ほど自分の首を絞めていた男を思い出し、美月の美しい瞳が冷え込んだ。「助けてやったのに、私のものをパクるなんて!」

拓真が尋ねた。「どうしました、美月さん?」

「何でもないわ」

美月は指で首元をさすった。「とりあえず藤原家に戻るわ」

使用人が美月をリビングの前に案内した時、中から言い争う声が聞こえてきた。

パシャン!

花瓶が床に叩きつけられて割れ、藤原莉乃がリビングで地団駄を踏んでいた。「嫁がないわ!お父さん!私を九条家のあのポンコツに嫁がせるくらいなら、死んだ方がマシよ!」

「何を馬鹿なことを!」藤原浩二は莉乃に腹を立てて目を剥いた。「九条家は桜京市で最も権力のある一族だ。あの九条怜司は 足は不自由でも、それでも嫁ぎたがる家は掃いて捨てるほどいるんだぞ!」

「ポンコツなだけじゃなくて、もう長くないってことも言ってよ!」 莉乃は泣き出した。「私に若後家になれっていうの?!」

バンッ!

浩二は机を強く叩いた。「この件にお前の意思は関係ない!」

莉乃は叫んだ。「絶対に嫌!嫁ぎたい奴が嫁げばいいでしょ!」

堂々と桜京市に残るチャンスが、向こうからやってきたじゃない。それを聞きながら、美月の瞳に微かな笑みが浮かんだ。

ホールに足を踏み入れ、美月は通る声で言った。「あなたたちが言っているそのポンコツ、私が嫁ぐわ!」

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