死罪判決は嫌なので逃亡しながらダンジョン攻略します の小説カバー

死罪判決は嫌なので逃亡しながらダンジョン攻略します

8.0 / 10.0
落雷事故で命を落とした加藤佑真は、異世界へと転移を果たす。誰もが憧れるチート能力を駆使したハーレム生活を夢見ていたユウマだったが、現実は無情だった。身に覚えのない痴漢の冤罪から、挙句の果てには国家反逆罪という身に覚えのない大罪まで着せられてしまう。気づけばギロチン台に拘束され、死罪を待つ絶体絶命の窮地に立たされていた。そんな彼を救い出したのは、パーティー仲間の少女アリスだった。彼女の助けで九死に一生を得たユウマは、不条理な裁きを下そうとする国を捨て、敵対する隣国へと逃亡することを決意する。指名手配犯として追われる身となりながらも、再び冒険者として生きる道を選んだユウマ。行く先々では、ゴブリンからの求愛や強力な守護者との死闘、さらには身体の一部を損なうような凄惨な試練が彼を待ち受けていた。特別な能力も持たず、ステータスも平凡な一般人に過ぎないユウマは、逃亡者の証を刻まれながらも、過酷な運命に抗い真の自由を掴み取ることができるのか。波乱に満ちた逃亡劇とダンジョン攻略の旅がいま幕を開ける。

死罪判決は嫌なので逃亡しながらダンジョン攻略します 第1章

山の天気は変わりやすい。

 寝ぼけた頭で昨夜、夜更かしして読んだ本に書いて言葉がふと頭に浮かんだ。

 「特にこれからの夏場は山の天気の変動が激しいので注意してくださいね」  

大学の一限開始まで後30分。  

自宅から大学まで約1時間。  

遅刻が確定しもう吹っ切れた俺は朝食のパンを齧りながらテレビを見ていると朝の顔と呼ばれてる天気予報士のお姉さんが点と点を結ぶように言った。  

ーーーーーー

 「どうして、人は争ってしまうのでしょうね」  少女はとある世界を見ながら唐突にそんなことを言ってきた。

「そんなの俺に聞かれても」

 「同じ《《元人間》》でしょ。ちょっとは勉強してきたんじゃないんですか?」

 「それを言ったら――だって」

「わ、私はモデルやってたから仕方ないのですよ」

「はいはい。俺が考えるにその理由は数え切れない程無数に存在して星の数よりも多い気がするよ。例えば三人に林檎を1つ与えたらそれを3つにしたがる者、独占したい者、遠慮する者に別れてしまう生き物だ」

「確かに。中学の時は大体その3つに別れてたかも」  

少女は頷き肯定する。

「ただの平民が林檎で争ってるだけなら大事にはならない。が、物が変わり土地や富その権利が国に与えられ、国のトップが争いだしたらもう止められない。戦争が始まってしまう。出身地や肌の色だけでも争いを産める生物だから極自然な現象と言っても過言では無いと思うけどな」

 「ふむふむ。つまり?」

「その理由を突き止めるのは無理だ」

 「随分と釈然としない終わり方をしましたね」 「仕方ないだろ。俺は大学で文学部を先行してきたんだから知るか」

「文学部なら分かりそうなものですが……そうですよね。陰キャには無理ですよね」  

少女は仲のいい友達にする様な煽りの笑みで言った。

「陰キャは関係ないから!」

 「でも、今の姿は輝いて見えますよ」

「それはこの輪っかのお陰だろ!?」

 頭の上に浮いている輪っかを指さす。

「そうですね」  

少女はフォローする所かクスクスと笑った。

  青年は「はあ」と1つため息を付くと言った。 「けど、世界を救えるのに救わないのは違うよな」

「それもそうですね。ですが規約があるらしいので仕方が無いかもしれないですね」

  少女は自分に言い聞かせるように言った。

    ーーーーーー  

渋谷〜渋谷 「はぁッ!」  聞きなれた音声アナウンスによって意識が覚醒し、急いで席を立ち上がりホームに降りた。

  いつの間に俺は電車に乗っていたんだ?

 てかなんだったんだろ。あの夢は。

 気がついた頃には電車の車内に座っていた。  本当に天気予報士のお姉さんから今に至るまでの記憶が夢に忘れられていた。  

 当然の如く間に合わなかった一限の補習プリントを受け取りと人のほとんど居ない講義室に入りボーッとプリントと睨めっこを始めた。

 「よっ!おつかれさん」

「うわあああ!」

「うへへへ。そんなに驚いてくれるとはこっちも脅かしがいってのがあるもんだぜ」

 「もうなんだよ。お前かよ」

 「そうです!俺でした!……どうしたんユウマ?なんだか顔色死んでるけど」

  ユウマ―佐藤 優馬《《さとう ゆうま》》。

極一般的な一般人。20歳。ちょっと茶色がかった黒髪に黒目で特技なし、趣味アニメ鑑賞、平凡な見た目に特に身体的特徴も無い凡人だ。

 顔をまじまじと見るとそんなことを言死んでるのはほっておいて欲しい。

 「そうかもな。どっかの誰かさんに脅かされたせいで心臓が止まって血液が回らなくなったせいかもな」

「マ・ジ・カ!?AED取ってくるわ!」

  そう言って講義室を飛び出して行ったあのバカは更科 海斗《さらしな かいと》  19歳。

 馬鹿でノリが良く俺の数少ない友人の一人で親友。凡人の俺とは正反対で、スポーツ万能、容姿端麗のバリバリの陽キャキャラだ。

 アッシュの茶髪も似合っていてお洒落さんのイケイケ大学生だ。

  「しかし、本当に取ってくるとはお前本当に馬鹿だな」

「いや、だってお前が心臓止まったとか言うから」

「もうお前の前で冗談は言わないわ」

 「え!?それは流石につまんないわ」

 「3時間だぞ!3時間!」

「?」

「?を口に出して言うな!ぶりっ子キャラか!説教された時間だよ!この歳になってあんなに教授に怒られるとは思わなかった……」

  大学を出た頃には日は暮れスマートフォンのホーム画面には18時45分と書かれていた。

 「そう落ち込むなって。だったらお詫びにそこのファミレスでご飯食べてくか?」

「落ち込んではないが、ぼっちで食べても寂しいし、食べるか」

  そう言って、帰り道駅前のファミレスに入った。

 「そういえばさ、この前婆ちゃんから山登りの道具が届いたんだよ。頼まれてたやつって言われて」

  某有名空ラークグループのイタリアンレストランでパスタとピザをシェアして食べていると、海斗がヒョンとそんなことを言った。  

ちなみに2人ともイタリア料理が1番好きである。

 「山登りの道具?登るのか?」

 「いーや」

  海斗はだるそうに否定した。

 「ならなんで送って貰ったんだ?」

「それが覚えてないんだよ。てか頼んだ記憶すらない」

 「酔ってたとか?」

「まだピチピチの19歳だっつうの」

 「お婆ちゃんの勘違いとか」

 「それは……ある」

 「あるんかい。ならそれじゃないか?」

  思わずツッコンでしまった。

 「最近ボケてきてるのかな。結構歳いってるし」  俺は一気にアイスティーを啜った。

 「話は戻るんだけどさ、夏の山登りのシーズンが終わるまで――」

 「い、や、だ」  俺は話を割って断った。

 この後の展開は目に見えていた。

「まだ言い終わってないしお願いしますから」 「そのまま送り返せばいいじゃんかよ」

「それがさこんな手紙が一緒に入ってて」

 海斗は鞄から一通の封筒を取り出し中の手紙を開いた。  

そこには、急に山登りの道具を送ってくれなんて言うから驚いて何事かと思ったけど、何とかAmazon?を教えて貰って新品を買って送れました。  カイちゃん偶には顔見せにおいでね。  《《友達との写真》》待ってます。  とある。

 「つまり、新品で綺麗な状態だからそのまま送り返す訳にも行かないと」

「うん。それに俺の部屋って結構狭いじゃん?結構スペース取ってて、玄関に置いとくと毎回入る時に倒れてきてうざったいのよ」

 「俺の部屋もそんなに広くないだろ、だったらあのガラクタの山を捨てれば良いだろ」

  俺と海斗の家はかなり近い。

  同じ最寄り駅を利用しているが海斗は駅からの距離を取った結果、部屋が狭くよくこういったお願いをしてくる。

 「ガラクタだと……!?ゲームはパッケージとカセットがあるからこそ良いんだよ」

 「どう見てもガラクタにしか見えないけど、今はダウンロード版とかある訳だしそっちに買い替えたらどうだ?そしたら部屋も広くなるぞ」

 「凡人から見たら分からないかもしれないがどれも1級品。捨てるなんて到底出来ない」

  品行方正、容姿端麗を地で行くと言われ高校時代は風紀委員会に属し真面目振ってた男が今ではこのオタク具合だ。

 「じゃーあ、どうするんだよ」

「うーん……うーん……」  

約10秒唸って出た答えは、 「一緒に山登ってれ」  

ーーーーーー  

ファミレスを後にし信号待ちをしていると駅前の電光掲示板から流れていた音楽が止み、緊急ニュースがながれた。

 「速報です。本日の18時頃《《再び》》人が突如として消える事件が発生した模様です。

人気若手女優の霧山サイレンさんや国際映画祭の為来日していたアメリカの俳優アーロン·ビターさんも併せ合計15人目になります。

未だ犯人、原因は共に不明だとの事なので国民の皆様十分ご注意ください」

 「へー。怖いねぇ」

「人が消えるのは怖いけど俺達には関係無いだろ」

「確かにな」

 青信号になりこの話は打ち切られた。

 ーーーーー

 「折角の日曜になんで…こんな足場の悪い急斜面なんか登らなきゃ行けないんだろうな」

 「それは俺も聞きたい。けど、嘆いても足は進まない。とりあえず頂上行って写真撮るぞ」

  俺と海斗は本当に山登りに来ていた。

 レポートを写させてくれるという条件付きだ。 「おい、山だ。山が見えたぞ。ヤッホー」

  登山道で少し開放的なスペースに付くと海斗は声を上げた。

  普段なら「ここも山だろ」とツッコミを入れていたが、その圧倒的な景色を目にそんな野暮は消え、気づいたら俺も「ヤッホー」と海斗にならっていた。  

ーーーーーー

 「あの世界なにか起きてる」

  顔の見えない少女が水の畔を覗き指さし言った。

 「ふーん。……ほんとだ。アレは悪魔か?いや、人間か?どっちだ?」

 「多分、悪魔を精霊分解して身に宿したヒューマンデーモン」

 「よく分かるな」

 「あの世界は私と貴方の2人の家系が担当の世界。最低限の勉強はすべき」

 「はいはい。あの私は元モデルだから〜見たいなのはもう見れないのね。……そんな事より、アレは流石に不味くないか!?」

「ですね……相当量の魔力と精霊たちが吸い込まれていってる」

「アレは……赤子か!?それも相当な負と邪悪なオーラを放っている」

「アレを放っておいたらあの世界はどうなりますか?」

 「確実に100%断言出来る。世界―いや星そのそもそもが消えるね」

  ーーーーーー

 「はあっ、、!」

「よ、目覚めたか?」

「俺は一体どれだけ眠ったんだ?それよりここは……」  

少し身体が重いし足腰が痛い。

 「5分くらいじゃないか?疲れたから一瞬横になるって言ったらすぐ眠ってた」

「そ、そうか。ありがとう。もう行けるよ」

 またあの夢を見た。

 夢と夢が繋がった気もするしその前後の記憶がまた完全に無かった。  

なんなんだ。あの夢は。  

疑問に思ったが、これ以上待たせる訳には行かないので足を進めた。

 「そこのお二人さん!今日はもう引き返した方がいい。もうすぐここは豪雨になるぞ。生きて帰りたかったら今すぐ引き返な」  

山頂まであと少しと言った所で、上から降りて来たおじさんはこんな事を言って、返事を聞くまもなく足速に去っていった。

 「どうするよ海斗」

 「山頂まで5分あれば着くしそこで写真撮ったら帰ろうぜ」

 「そうだな」  

俺達はおじさんの注意を大して聞かずに山頂をめざした。

 「なーんだ。まだ結構人居るじゃん」

  俺たちが登っている山は人気の山で休日なのでかなりの数の人が居た。

 「ほんとだ。まあいい、とっととやること終わらせちまおうぜ」

 「そうだな。此処でいいか。ハイチーズ」

  写真の確認をし、カメラをバックパックにしまうと、先ほどまでの青空は黒みがかった雨雲に覆われていた。

 「ほんとに、これは急いだ方が良いかもな」

 「かもな。けどあの混み具合だ」

 俺が指さした方向には来た道にごった返す人の山ができていた。

 「まじかよ…おいおい、もう降ってきたぞ」

「混んでは居るがとりあえずあっちに行くぞ」 「わかっ――」  

忽然と姿を消した海斗。  

心霊現象か何かのドッキリか。

はたまた目の錯覚か。

 自分を疑い目を擦り360度回し辺りを見渡すがどこにも居ない。  

その直後、戦鎚が落ちたような地鳴りが地中から込み上げて立っていられない程に山を揺らした。  ポツポツと降っていた雨は、既に豪雨となり地鳴りが弱くなり、立ち上がると雷雨に変わった。  雷神は怒り狂ったように辺りに雷を撒き散らすように落とし、山を焼いていく。

 どう考えても異常気象だ。

 異常気象って言葉だけで片付けて良いのかすら分からない。  

まるで魔法のある世界で戦争が起きたらこうなるのだろうと思わせてしまうこの戦場とも言える場所に尻もちを付くと、不思議な感覚に襲われた。  目の前を刹那の速度で駆け抜けた光の柱は胸に直撃した。

 あまりの出来事に漠然としていると落雷の爆音が轟くと同時に身体が宙を舞った。

 意識が朦朧とする中標高約800mの山頂から山の斜面へ投げ飛ばされた。

  ーーーーーーーー

 「父上!考え直してください!俺達が今この支援をやめたらあの世界は大変な事になりますよ!」  父上と呼ばれる男は激昂した様子で青年の襟元を掴みあげていた。

「そんなこと知った事か。人類なんて争ってこそなんぼだろ」

 「ンだと?くそオヤジ!テメェそれでも本当に神様やってるのか?自覚持って生きろよ」

父上の言葉に怒った少年は尊敬心の欠片もない掃き溜めの様な言葉を使った。

 「何だと貴様!?偉大なる親に対して何たる無礼な」

「違います!」

 醜い親子喧嘩に割り込んだのは一人の少女。  少女は水の畔に手を翳しながら話した。

 「この子は私が操ってます。処罰の対象ならこの私だけが」  

割り込んだ少女の苦しい言い訳は聞き通るはずもなく耳にすら届かなかった。

 「何を言っているこの戯けが!それに目上の人と話しているというのに未だ魔法を下界に送り続けるとは……!」

 「何を言ってるんだ俺達は一緒にやってた。そうだろ?」

 「もういい……!戯言は辞めだ。

そんなにその世界が好きならとっとと言ってしまえこのウジ虫共が」

  激昂した男は少女を水の畔に投げ捨て、続けて青年も投げ入れた。

 まるでなんの感情も抱かずゴミを捨てるように投げ入れた。

「チッ…。350年程かあのウジ虫どもがあのクソみたいな世界を支援していたのは。まあ良いか。規約違反を理由に目障りな奴を消すことが出来たしな」  

 ーーーーーーーー  

長い夢を見ている気分で俺は死んだ。

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