フォローする
共有
From Horizon ~水天と白いレイス~ の小説カバー

From Horizon ~水天と白いレイス~

かつて世界を席巻した魔法という名の奇跡は、人々の技術革新によってその神秘性を失い、今や鉄と電気が主役となる時代へと移り変わっていた。そんな激動の最中、感情や意思をほとんど持たぬまま戦場に立つ一人の兵士、エメがいた。彼女はある時、敵国の王を殺害したという身に覚えのない不可解な罪を着せられ、辺境の地へと左遷される。騎士の称号を与えられ、村の守護を命じられた彼女を待ち受けていたのは、これまで知ることのなかった人々の想いや、平穏な日常の風景だった。慣れない地での生活を通じて、エメは自分自身の無知さと、それゆえに犯してきた過ちを痛感していく。自身の愚かさを悔やみ、心に刻まれた深い後悔と向き合いながら、彼女は失われた自分を取り戻すための贖罪の道を歩み始める。本作は、髪色による差別という過酷な現実に直面しながらも、一人の少女が人間としての心と尊厳を再発見していく過程を丁寧に描いた、再生と冒険の物語である。
共有

2

 足の底から鉄槌で打ち上げてくるような硬い響きが、車両を包みこんだ。途端、列車は景色を搔き消すような勢いで轟々と走り出す。私を見送る者はおらず、昨夜同胞達に首都を離れるという話をしたがあまり興味がないという風だった。どうでもよいのだろう。窓から望める風景が、まるで一枚絵のように忙しなく変わっていく。風を切りながら全快速で走っているそれは、煤を溶かしたようなどす黒い空気を吐きながら隣町へと向かっている。丸一日掛けて、首都から四つの町を巡らんとしているその昼汽車。人数はまばらで、これから増えたり減ったりするのだろう。閑散とした車内で、走行する鼓動を感じながら、私は終着駅へと向かうためこの列車に乗っていた。向かい合わせになった席で一人、窓際に。空いている席はいくつかあるため、家族や仲間などでなければわざわざ対面に座ろうなどと思う者はいないだろう。座られても上手い受け答えは持ち合わせていないため困るのだが、大剣を隣に座る私を見てそれでも座ってくる者がいるのなら、それはよほどの変わり者に違いない。

 列車に乗った経験がないわけではない。しかしその全てが戦場へ向かうための乗車で、窓の外を見るのは大まかな地形を把握するもので、決して風景を感じるためではなかった。なので、景色を楽しむという感覚がどういったものなのか、よく分からない。万が一に備え、見えた地形がどんなものだったのか記憶しなければならないのではないか、そんな風に思えてくる。その土地に戦意は感じられないにも関わらず、鎧すら身に着けていないのに。

 白いブラウスに、緑のロングスカート。騎士という身分で行くからにはそれ相応の華美な装いで、という私には理解出来ない言い様で着させられた服である。普段鋼鉄と肌着しか身に着けない私にはとても不釣り合いで、むずがゆい。短刀すら貫通する、布地の衣服。不安が喉元を締め付けてきて、苦しい。防具のない移動というのは、こんなに私を翳らせるのかと。マントのフードを深く被り直すくらいでは拭いきれないくらいの影が、雨雲めいて広がる。なので、別のことを考えて紛らわせることにしよう。そう考えて、列車に揺られながらゆっくりと思考を巡らせる。

 私がそれまで暮らしていたフリストレール国、その首都ルユ。大した記憶はないが、それでも二十年過ごした場所だ。去ることに何も思わないかと言えば、それは嘘になる。別に愛国者というわけではなく、戦えと命令されたから守っていた、というだけ。土地に愛着もない、と思う。ただ、この国に私は拾われた。孤児として五歳から兵士として生きることを運命づけた、私の故郷だ。生まれを誹られようが、髪の色を蔑まれようとも。私が帰る郷里はここしかない。この街しか、私は知らない。その点で、フリストレールは私の中ではある種の特別な町である。そんな場所を離れろと言われたのだから、それは魂を引き剝がされる気持ちにもなるだろう。まさか少しでも、後ろ髪を引かれる気持ちが私にあるなんて。

 兵士としては汎用だった。為すべきときに為す。やれと言われたことをやるだけの存在。大して振り返る意味はない、戦っていただけの記憶。しかし、それしか能がない。それしか知らない。

 気を紛らわすために私を振り返ったが、薄っぺらい人生だと改めて確認しただけだった。思い起こす事も然程多くはない。ただ人を殺していた。やれと言われたから。

 窓の外に見える景色のほうがよっぽど色味がある。赤か、黒か。私のこれまでに彩を付けるなら、きっとその二つのどちらかだろう。血潮に塗れた手で暗闇を彷徨う。これまでも、そしてこれからも。

 これまでを顧みることをやめた、途端。木々や草原、山々のシルエットが切り絵のようにゆき過ぎる。いま、いくつ駅を越えただろうか。気が付けば閑散としていた車内には人が幾人もいて、少なくとも最低一つは駅を通り過ぎたのは間違いない。私が記憶に浸ることをやめたのも、声が思考を遮ったからだ。

「失礼」

 という、私のすぐそばで発せられた声が。

 とはいえ、それが私に向けて言った言葉だとはそのときは思わなかった。さきほど考えた通り、わざわざ私の前に座る必要はないだろうと。そのため、反射的にその声の主を確認しただけのつもりだった。棘のように降りかかってくる、彼女の眼。もちろん彼女とは初対面で、恨みを買うような行いもしていない。そう感じたのはきっと、彼女の銀色の髪が私自身を連想させたからだろう。白銀はフリストレールの国民が持つ髪色ではない。この国にその色は私しかいない。なので一瞬私が見つめているのかと思って、思考が真っ暗になりかけたが、さっと気持ちを引き締める。私がもう一人いるなんて、あるわけない。彼女の顔は照り輝いているように綺麗で、まぶしささえ感じさせる。その点だけで、同じ系統の髪色だというのに私と彼女は大きく違っていた。

「向かいの席は空いているかしら」

 そう言われて、車両の中をぐるりと見渡す。どうやら満員というほどではないが、どのボックスシートにも人が座っているようで、なるほどこの向かい席にやって来るのにも道理である。

「はい、空いていますが」

「座っても?」

 断る理由もないため、首肯する。しかし申し訳ないことに、この席の荷物棚には既に私の大荷物が鎮座している。従ってその手に持ったアタッシュケースは隣に置いてもらう他わけだが。その旨を伝えたところ、彼女は納得したように分かったと答えた。

 改めて、目の前に座った彼女の貌を窺う。ちらりと電光のように、あくまで盗み見るように。男の兵に囲まれて生きてきたため、美に対する選定眼などなく所感ではあるが。彼女は美しい女性だと思う。涼しく刺すような切れ長の目と背中まで伸びた銀髪が、得も言われぬ存在感を放つ。ドレスを模したしっかりとした造りの水色のワンピースは、家柄なのか品の良さを感じさせる。

 なによりその髪色を何の負い目もなく晒す、光に満ちたその表情が、私には甚だ分からなかった。どこか遠くからの観光客だろうか。私を貶めるものの一つである白銀という髪色、それが彼女にとっては気にも留めない存在なのだと。

分からない。知れず、私はいつの間にか彼女のことを瞬きもしないで眺め入っていた。見つめるという意識すらしておらず、凝視していると気づいたのは直接彼女から問われたときだった。

「何か顔に付いているかしら」

 さーっと頭の中に稲妻が走る。まさか指摘されるまで、自分の行いに気付かないなんて。相手に不信感を与えたことも相まって、兵士として浅はかにもほどがある。もし上官の前であったら、即座に体罰が発生するほどの失態だ。

「いえ、そのようなことは」

 言いながら、どう躱すべきなのか分からず視線を逸らした。軍であれば顔面に一撃を貰えばそれで終わりなのだが、流石にそんなことを行う外見には見えない。

「あなたが見ていたのは、これでしょう?」

 そう後ろ髪を掻き上げる。私には決して出来ない所作。その姿はどこか花弁が散っているようで、儚さすら感じさせた。どうして、その髪色を以て堂々と振舞えるのか。羨ましい、妬ましいという感情ではなく、ただ単純に分からない。

「珍しいかしら」

「はい、フリストレールは茶色の髪色が多いです」

「ああ、それで先ほどから視線を感じるのね」

 奇異の目などどこ吹く風、という態度。ならさきほどから聞こえる吐息のような私語(ささやき)も、気にしてはいないのだろう。

「確かにあちらでも少し珍しいけど、関係ないわ。これがわたしなのだから、侮辱できる権利なんて誰にもありはしないのよ」

 分からない。まるで異世界の言語のようで、私は返せる言葉すらなかった。分からないなら暴力で解決してしまえばいいという元上官からの教えは、この場では通用しない。

 そしてもしかしたら自分の髪へ興味が出るのではないかという恐れから、私は押し黙った。フードをしているため、不自然さが彼女に生まれてもおかしくない。だから、意図的に沈黙する。いったん言葉が途切れると、まるで会話なんてなかったかのように沈黙がボックスシートに重く腰を据えた。

 彼女とはこれっきりの相対だ、蟠りが残ることなど考慮する必要はない。分からないことは考えても分からないのだから、仕方がないだろう。

 しかし沈黙が生まれたことにより、囁き声が蘆の葉に渡る風のようにどこからともなく起こる。奇異の目、彼女の銀髪を誹る声。私には最早慣れたもので空気のようなものなのだが、彼女はどうだろう。さきほどの口ぶりからして、あまり気にしてはいないだろうが。

 木の葉がざわつくような背景音楽。絶えず起きるざわめきに、飽きないないのかと呆れながら、車窓の外を眺める。飛び去る景色は何もかもが速く、詳しい地形は把握出来ない。草原が、木々が、畦道が、そしてその先に見える水平線が来ては飛び去る。そうして風景を眺め続けてどれほど経ったか、再び真横で声が聞こえた。

「おかしいな、幽霊がボックスシートを占領してる」

 白いシャツに茶色のロングベスト、短く切りそろえられた茶髪に無精ひげを生やしたその男。フリストレールの市民だろうか、彼女の髪を見るなり露骨に歪めた。白髪はこの国はおいて侮蔑の対象である。

その昔、フリストレールという国はとある北国に歴史的敗戦をした。そこから建て直し今に至るわけだが、その北国の民というのが銀色の髪を持っていたのである。かくして白銀は嫌悪され、国内においてその髪色は排他された。別にこの歴史のことを学んだわけではない。ただ私が差別される理由として学んだだけ。私がこの国にいられるのは孤児だからであり、それでも敵意は変わらずに向けられてきた。もはや私にはただの雑音に等しいが、彼女はどうだろう。

焦点を合わせるように何度か瞬きをする。

「幽霊?」

 分からないという風に彼女は聞き返した。自分のことを幽霊だと言ってくる赤の他人に、思考の針が狂わされているのだろう。幽霊だと誹ってくるということは、まだ列車は首都に近い位置を走っているのだろう。ということは、彼女は首都から一つ先の駅から乗ってきたということか。

「はっ、観光客か?」

 そう毒の針を含ませながら、彼女の長い髪を掴んだ。

「……随分と、この国の歓迎は野蛮なのね」

 その口調には、明らかに不愉快そうな心持ちが滲んでいた。

「いいか、その髪色をこの国で見せるな。無事に帰りたいのならな!」

 短刀を一突きするような大胆に物言いと共に、自分の目の前に顔を引き寄せるためぐっと力を籠める。が、彼女の頭部は動かない。それどころか、その表情には冷たい落ち着きが広がりっており涼しげですらあった。

まるで「何かしたか」 そう言わんばかりに。

「動かない……?」

 男は鳥のように目を見開いた。全く予想していなかったという面もち。私も心の内側に小さな波が立つ。淑女と思っていた彼女が、まさか男に引っ張られてなお動かない身体の持ち主だとは。

 行き場のない苛立ちに、男は手の甲に筋が出来るほど拳を作っていた。

「お待ちください。彼女は観光の方です、それ以上は……!」

 彼女が格式ある家の出身の場合、その拳は大変なことに成りかねない。さきの王殺しの経験から、思わず断句を投げ入れる。私には関係のない事、のはずだった。そのため口を挟んだのは自分でも理由が分からない。ただどうしてか、このまま見ているのだけは良くないのではと思った。

「うるさい、指図するな」

 猛火で焙りたてるような激情。

「誹るのなら、どうか私でお願いします」

 言いながら、強調するように前髪に触れる。誹謗中傷に慣れている私の存在は、この場を収めるには最適だと思った。面倒なことになる前に、私が口撃対象になればと。

 しかし、ぱきりと。薄氷を踏んだ際に鳴る音。次に男が苦悶の表情を浮かべる。何かで苦しんで、またその苦しみが全て、皺や歪みとなって顔に出たのだ。自分の髪を掴んでいる男の手首を、彼女が握っている。ただ、それだけで。小鳥でも絞め殺すように、男の手首は握り潰されそうになっていた。

 途端にあがる、本能的に救いを求めるような悲鳴。ぎしぎしと骨が砕かれようとする音。折れてはいないようだが、罅くらいは入っているだろう。脂汗がにじみ続けるような苦痛に、男は虫のように身をよじらせた。

 あの細見のどこに、そんな力強さがあるのだろう。彼女は一体、何者なのか。もしかしたら世から衰退しつつある魔法、その使い手なのかもしれない。まあ、今日限りの者のことを考えても仕方のないことだが。

 その力強さに、男は思わず髪から手を放した。それに応じて彼女も手を放したが、どう見ても男の被害のほうが大きい。握られた右手は恐らくしばらくの間使い物にならないだろう。即ち、彼女を口撃した者はこうなるのだという証明である。

「幽霊が……!」

 手首を抑えながら、言う。痛みで息が楽ではないほど、男は苦しいらしい。

「くだらないわね。あなたが侮辱しているのは、わたしではなくこの髪でしょう。この髪はわたし。わたしを蔑む権利はあなたにないわ」

 彼女の言葉は、よく分からない。自分の一部である髪の侮辱に対する憤慨だろうか。自分の身体への暴言など、それこそどうだっていいことだ。それに罵倒は待っていれば過ぎ去るというのに、わざわざ反論する必要もないだろう。

 唐突に汽車が揺れた。ほんの少しの間だったが、獣が胴を振るわせたかのような、そんな揺れだ。いつの間にか、次の駅へ到着している。それに、私たちは気づいていなかった。

 否、一人だけ。彼女だけが、車体が揺れる前に立ち上がっていた。この駅で降りるのだろう。立ち上がるという所作、その当たり前の動作すら王侯貴族のように洗練されている。

 この車両の扉が開いた。威勢の良い溜め息とでもいうような、そんな噴射音が響く。出口へと向かう彼女の背中に、誰かが「魔女だ」と誹った。先ほどの、常人離れした握力に対してのことだろう。確かに、あの力強さは魔法と言われればそれで納得できる強さではあった。

 男がどのような目に合ったか見ていたにも関わらず、性懲りもなく投げつけられる暴言。根付いた差別意識は、その程度では止まらない。力強さはこの場では意味のないものだ。戦場でしか価値がない私みたいに。

その言葉に、出口へ向かっていた彼女はぴたりと立ち止まった。

「そうやって、後ろから罵倒するだけなら。どうやっても、前を向く人間を傷つけることなんて出来ないわ」

 そう言って、列車の出口に消えていった。車窓の向こうに力強い後ろ姿が消えていく。残された乗客は呆気に取られていた。もう二度と会わない人物だろうが、まさか強い意思を以て反論してくる者はいようとは。銀髪の者でここまで言う者はきっとこれまで、そしてこれからもいないだろう。少なくとも、私はただ過ぎ去るのを待つだけだ。

 この汽車が再び動き出すのを待つように。

おすすめの作品

裏切られた令嬢の華麗なる復讐:元夫よ、もう遅い の小説カバー
8.4
結婚記念日の夜、西園寺静が目にしたのは、残業と偽り義妹や見知らぬ少女と家族同然の睦まじい時を過ごす夫の姿だった。絶望の中で交通事故に遭った彼女は、病室で夫が漏らした「技術さえ手に入ればあんな女は捨てる」という卑劣な本音を知る。退院後、家は既に義妹たちに占拠されており、母の形見を取り返そうとした静を待っていたのは夫からの無情な暴力だった。実父までもが夫の虚言を信じ、静を会社から追放しようと画策する。四年間の献身が資産奪取のための踏み台に過ぎなかったと悟った時、彼女の悲しみは冷徹な復讐心へと変貌を遂げた。「本当のショーはこれからよ」と告げた静は、父に一億円を要求して取締役を辞任。長年隠し持っていた天才研究者としての才覚を解き放ち、裏切り者たちの会社を内部から徹底的に崩壊させるための緻密なプロジェクトを開始する。全てを奪われた令嬢による、華麗で容赦のない反撃がいま幕を開ける。
偽りの寵妾、真の目的は命 の小説カバー
7.9
幼い頃から実の姉妹のように育ったお嬢様と私。名家のお嬢様には科挙を首席で突破した状元の婚約者が決まり、誰もがその幸福を信じて疑わなかった。しかし、婚礼前夜に一族を襲った突然の悲劇がすべてを奪い去る。滅門の危機を逃れ、婚約者を頼りに雨の中を彷徨う二人だったが、お嬢様は何者かに拉致され、最後は誰にも看取られることなく枯れ井戸に身を投げるという無念の最期を遂げた。生き残った私は、かつてお嬢様の夫になるはずだった男の「寵妾」として迎え入れられる。やがて彼の唯一の血を引く子を身ごもり、皇族の姫からは激しい嫉妬の矛先を向けられ、男からは掌中の珠のように深く愛される日々。しかし、その甘美な生活の裏側にある真実を、まだ誰も知らない。私の正体は、慈しみ育ててくれた家族と、尊厳を奪われたお嬢様の無念を晴らすために現れた復讐の鬼なのだ。愛に溺れる男の命を奪い、一族を滅ぼした者たちへ報復を果たすため、私は偽りの寵愛を受け入れながら、静かに刃を研ぎ澄ませていく。
マイティ·ソルジャー·キング の小説カバー
9.1
かつて軍の特殊部隊で過酷な戦場を生き抜いてきたピーター。退役した彼が新たに得た任務は、蘭州市に拠点を置く一流企業の警備員として、美貌の女性社長ベラソンを護衛することだった。軍隊での命懸けの経験に比べれば、都市部での警護など容易い仕事だと彼は高を括っていた。しかし、平穏に見えた街の裏側では、想像を絶する事態が彼を待ち受けていた。ピーターはいつの間にか邪悪なギャング組織の標的となり、激しい抗争の渦中へと放り込まれてしまう。その一方で、ミステリアスなベラや気品溢れるアメリア、愛らしいイレーヌ、活発なシェリー、そして慈愛に満ちたリサといった、個性豊かな美女たちが次々と彼の逞しさに惹かれ、心を寄せていくことになる。戦場仕込みの圧倒的な戦闘能力を持つ最強の兵士を、一体誰が屈服させられるというのか。都会の喧騒を舞台に、手に汗握るアクションと複雑に絡み合う恋模様が幕を開ける。ピーターの新たな戦いと、彼を巡る女性たちの運命がいま動き出す。
フェニックス再生ー優れた第四目奥さん の小説カバー
7.8
前世で皇太子妃として十余年もの間、後宮の頂点に君臨し権勢を振るった主人公。しかし、信頼していた実の妹に裏切られ、すべてを焼き尽くす凄惨な大火の中で非業の死を遂げることとなった。だが、彼女は絶望の炎の中から、気高く優雅なフェニックスの如く再び現世へと舞い戻る。転生を果たした彼女は、かつての屈辱を晴らすべく自らの手で運命を切り拓き、軍事の要である将軍の陣営へと足を踏み入れていく。智略を尽くして世を動かし、復讐の道を歩む彼女の凍てついた心は、果たして再び愛に震えることがあるのだろうか。戦火に追われ、血に染まった大地でさえも、彼女の眉間に宿る辰砂の美しさには決して及ばない。動乱の時代を舞台に、過酷な宿命を背負った孤独な魂が、真の伴侶を見つけ出すまでの軌跡を描く。壮大なスケールで贈る、愛と復讐のファンタジー・ロマンス。裏切りによって一度は潰えた命が、さらなる輝きを放ちながら、新たな歴史を刻み始める。
昼は無能な飾りの妻、夜は世界を牛耳るカンスト覇王。 の小説カバー
7.9
伊藤家の実娘として20年ぶりに帰還した麻衣を待っていたのは、偽の令嬢・遥香を溺愛し、実子である自分を「田舎者」と蔑む家族の冷徹な視線だった。家族の情を捨てた彼女は、遥香が狙っていた高橋宗一郎との縁談を早々に受け入れ、電撃的に入籍を済ませてしまう。夫となった宗一郎もまた、麻衣を無能な飾り妻と見なし、契約期間が過ぎれば離婚するつもりでいた。しかし、彼の知らないところで麻衣は、世界を震撼させる複数の顔を使い分けていた。神業を持つ医師、地下格闘技の覇者、伝説的ハッカー、そして宗一郎が切望する科学界の権威。その正体がすべて「無能な妻」だと判明したとき、彼の軽蔑は執着へと変貌する。契約満了の日、淡々と別れを告げる麻衣を宗一郎は力ずくで引き止め、彼女の真実を暴こうと迫る。だが、圧倒的な実力を持つ麻衣は不敵に微笑み、逆に彼を圧倒するのだった。正体を隠した最強の令嬢と、後悔に悶えるエリート社長。離婚から始まるはずの二人の関係は、予測不能な溺愛へと加速していく。痛快な逆転劇が幕を開ける!
もう誰にも媚びない——/私は私のままで、最強になる の小説カバー
8.8
名門・早乙女家に「真実の令嬢」として帰還した早乙女瑠奈。しかし、彼女を待ち受けていたのは温かな歓迎ではなく、涙を武器に家族の寵愛を独占する「偽の娘」の存在と、血の繋がった家族からの冷酷な蔑みだった。執拗ないじめや理不尽な侮辱に晒され、絶望の淵に立たされた瑠奈だったが、ある時ついに決断を下す。愛されることを望むのをやめ、圧倒的な力で周囲を屈服させる「畏怖される存在」になることを。家族の冷遇や世間の偏見を自らの糧へと変えた彼女は、独自の道を切り開き、誰の手も届かない高みへと登り詰めていく。かつて自分を虐げた者たちが決して追いつけない場所へ。過去の傷跡を問われ、「強さがすべてを黙らせる」と静かに微笑む彼女の姿に、もはや媚びる様子はない。これは、孤独な少女が己の力のみを信じ、最強の座へと駆け上がる逆転の物語である。