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禁断の愛:守護者の憤怒 の小説カバー

禁断の愛:守護者の憤怒

身寄りを失った私を救い、十年にわたり育ててくれた後見人の一条蓮。彼は私の世界の中心であり、同時に密かな恋慕の対象でもあった。しかし、十八歳の誕生日に決死の覚悟で伝えた愛の告白は、最悪の結末を迎える。蓮はかつてないほどの激昂を見せ、祝いのケーキを床に叩きつけると、私が一年を費やして描いた告白の絵までも無残に引き裂いた。「後見人である自分を何だと思っている」という冷徹な言葉が、私の心を深く突き刺す。さらに数日後、彼は婚約者の詩織を連れて帰宅し、かつての優しい約束や「一番星」と呼んでくれた日々を完全に否定した。私を守るはずだった存在は、今や誰よりも私を傷つける存在へと変わってしまった。絶望に焼かれ、十年の恋心が灰になる中、私は手元にある慶應大学の合格通知を握りしめる。この家を出て、彼への想いを断ち切るために。私は震える声で、東京にいる父に電話をかけた。彼を心から消し去り、新たな人生を歩み出すために、私は住み慣れたこの場所を去る決意を固める。
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2

蓮さんはまだ電話中で、その声は優しく、辛抱強く、詩織さんと婚約パーティーの詳細を話し合っていた。

美咲はドアのそばで静かに立ち、かつては自分の世界のすべてだったその声を聞いていた。

言おうとしていた言葉を、そっと飲み込む。

彼に伝えて、何になるというのだろう?

私はただの被後見人、彼の責任。

どの大学に行こうが、どこへ行こうが……彼は気にしないだろう。

美咲は踵を返し、中の甘い雰囲気を邪魔しないように、そっと歩き去った。

自室に戻り、十年暮らした部屋を見渡す。

あと十五日。

十五日後には、私はこの場所を完全に離れる。

視線が、ナイトスタンドの小さなランプに落ちた。

チンチラの形をした、十歳の誕生日に蓮さんからもらったプレゼント。

その光は、温かく、柔らかな黄色だった。

彼はその時、こう言った。

「美咲、これからは俺がこのチンチラみたいに、ずっと君を守ってあげる」

彼は、私の守護者だった。

でも、それもすべて過去のこと。

手を伸ばし、ランプのスイッチを切る。

部屋は、深い闇に包まれた。

荷造りを始めよう。

クローゼットの奥から埃をかぶった古いスーツケースを引き出し、飾り棚を開けた。

中には、蓮さんがこれまでくれたプレゼントがすべて入っている。

小さな有名な工房で、彼が何時間も並んで手に入れてくれたお守り。

彼が私のために特別に調合してくれた、オーダーメイドの香水。

一つ、また一つと、スーツケースに詰めていく。

物を入れるたびに、心が少しずつ空っぽになっていくような気がした。

まるで、心に穴が開いていくみたいに。

寂寥感を押し殺し、飾り棚の一番下の引き出しを開ける。

中には、色褪せて黄ばんだノートがあった。

私の日記だ。

最初の数ページは、子供っぽい字で埋め尽くされている。

両親の離婚後の荒れた子供時代や、クラスメイトからのいじめについて記録されていた。

一度、蓮さんが偶然これを見てしまったことがある。

その時は何も言わなかったけれど、その夜、彼は私の部屋に来て、ベッドのそばに座った。

彼は優しく私の髪を撫で、こう言った。

「美咲、君は俺の目には、一番輝く星だよ」

後で知ったことだが、彼は私の学校へ行き、いじめていた子たちに警告してくれたらしい。

それ以来、誰も私にちょっかいを出さなくなった。

彼は、私の子供時代を、密かに守ってくれていたのだ。

成長するにつれて、日記の字は整然となり、書かれている内容はすべて彼のことになった。

彼が大きな賞を取った時、「君は俺の勲章だ」と言ってくれたこと。

彼が私に薔薇をくれて、「大人になるまで待っている」と言ってくれたこと。

最後の一ページをめくる。

それは、私が高校二年生の時に、彼が書いてくれたメッセージだった。

『一生懸命勉強して、慶應に入れ。卒業したら、俺の会社で働けばいい。ずっと面倒を見てやるから』

一筋の涙が静かに落ち、ページのインクを滲ませた。

私は急いで目を拭い、表情を硬くする。

日記を、一枚、また一枚と破り始めた。

破るたびに、彼との過去の一部が消えていく。

最後の一枚を破り終えると、すべての破片をスーツケースに投げ込み、ジッパーを閉めた。

その時、階下から物音が聞こえた。

部屋を出ると、リビングに橘詩織さんが立っていた。

スーツケースを引いている。

蓮さんが、彼女を後ろから抱きしめていた。

「来たんだね」

蓮さんの声は、柔らかい。

詩織さんは階段の上の私に気づくと、微笑んでこちらへ歩いてきた。

「美咲ちゃん、プレゼントを持ってきたの」

彼女はスーツケースを開け、繊細な箱を取り出した。

中には、フルーツが乗った美しいマンゴームースのケーキが入っていた。

美咲の笑顔が、こわばる。

私は、マンゴーに重度のアレルギーがある。

昔、新人の家政婦さんがマンゴーピューレの入ったデザートを出して、恐ろしいアレルギー反応を起こし、救急搬送されたことがあった。

蓮さんはその場で家政婦さんを解雇し、それ以来、キッチンではマンゴーを一切禁止にしていた。

彼はかつて、私の好みも、弱点も、すべて覚えていてくれた。

「美咲」

詩織さんの後ろから、蓮さんの声がした。

その声には、わずかな不満の色が混じっている。

「詩織が君のために選んでくれたんだ。受け取りなさい」

美咲は蓮さんを見た。

彼の表情は、それが当然だと言っているようだった。

胸が、鈍い痛みに襲われる。

彼は私への愛情を取り戻しただけでなく、私の弱点さえも忘れてしまったのだ。

深呼吸をして、箱を受け取り、無理に笑顔を作る。

「ありがとうございます、詩織さん。綺麗ですね」

でも、もうどうでもよかった。

むしろ、彼らに感謝すべきかもしれない。

彼らが、私のここを去る決意を、さらに固くさせてくれたのだから。

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