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偽りの罪と名ばかりの妻 の小説カバー

偽りの罪と名ばかりの妻

「お前の母親が犯した罪を一生かけて償え」という言葉を浴びせられ、紀枝は橋本家で「名ばかりの妻」兼「奴隷」として虐げられてきた。夫の久明は彼女の目の前で愛人と情事に耽り、抵抗すれば容赦ない暴力を振るう。さらに裸の写真を盾に脅迫され、紀枝は尊厳を奪われ絶望の中にいた。しかし、あるパーティーでかつての恋人・斉藤樹栄と再会したことで運命が激変する。樹栄は久明の暴力を阻止し、衝撃の事実を告げた。紀枝の母は無実であり、真の悪党は金を奪い家庭を壊した久明の父だというのだ。七年もの間、地獄のような日々に耐えてきた根拠は、すべて橋本家が仕組んだ卑劣な嘘だった。真実を知り、紀枝の心には復讐の炎が燃え上がる。彼女は樹栄の手を取り、涙を拭って立ち上がった。もはや自分は罪人の娘ではない。人生を狂わせた男たちに相応の報いを受けさせるため、彼女の逆襲が幕を開ける。
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2

久明の寝室は, 暗かった.

月明かりが, カーテンの隙間から差し込み, 部屋を薄暗く照らしていた.

私は, 震える手で, パジャマのボタンを外した.

久明の寝顔は, 普段の冷酷な表情とは違い, どこか幼く見えた.

私は, 彼の隣にそっと横たわった.

彼の体から, 微かにタバコの匂いがした.

彼の肌は, 温かかった.

私は, そっと手を伸ばし, 彼の腕に触れた.

その瞬間, 久明の目が, カッと開いた.

彼の瞳は, 暗闇の中で, 鋭く光っていた.

「何を企んでいるんだ」

久明の声は, 冷たく, 私の心を凍らせた.

私は, 彼の言葉に, 何も言い返すことができなかった.

ただ, 震える声で, 言った.

「義父様が... 」

久明は, 私の言葉を遮るように, 体を起こした.

彼は, 私を睨みつけ, 言った.

「お前なんかに, 俺の体に触れる資格はない」

彼の言葉は, 私の心を深く傷つけた.

彼は, 私の腕を掴み, ベッドから突き落とした.

私は, 床に叩きつけられ, 体を強打した.

痛みで, 息が詰まった.

「お前は, 俺の妻じゃない. ただの罪人の娘だ」

久明の言葉は, 私を人間として否定するものだった.

私は, 床にうずくまり, ただ涙を流すしかなかった.

彼は, 私を蹴りつけた.

私の腹に, 彼の靴がめり込んだ.

「お前が, 俺の家族を破滅させたんだ. お前には, 一生かけて償ってもらう」

彼の言葉は, 私の心に, 深い傷を刻んだ.

私は, 痛みと屈辱に耐えながら, 彼の言葉を聞いていた.

「お前は, 俺のモノだ. 俺が許すまで, お前は俺のそばを離れることはできない」

久明の目は, 狂気に満ちていた.

私は, 彼の言葉に, 絶望した.

私の人生は, この男によって, 永遠に縛り付けられるのだと.

その夜から, 久明は一度も私に触れることはなかった.

彼は, 私を妻として認めず, ただの家政婦のように扱った.

私は, 彼の会社の雑務と家事をこなし, 彼の浮気に耐え続けた.

義父は, 私に子供を産んでほしいと願っていた.

しかし, 久明は, 私との間に子供を作ることを拒んだ.

義父の願いは, 叶えられることはなかった.

「紀枝」

久明の声が, 私の耳元で囁いた.

私は, ハッと顔を上げた.

彼の顔には, 普段の冷酷な表情とは違う, 不気味な笑みが浮かんでいた.

私は, 彼の目に, 嘲笑の色を見た.

彼は, 私の心を弄ぶかのように, 言った.

「今夜のパーティー, 一緒に行ってもらうぞ」

私の胸が, 嫌な予感でざわついた.

パーティー当日, 私は, 久明が選んだドレスを着て, 彼の隣に立っていた.

会場は, 華やかだった.

ファッション業界の著名人たちが集まり, きらびやかな雰囲気に包まれていた.

私は, その中で, まるで置物のように, ただ立っていた.

久明は, 私に話しかけることもなく, 他の女たちと楽しそうに会話していた.

私の心は, 空っぽだった.

私は, 彼にとって, ただの飾り物にすぎないのだ.

「紀枝, お前はそこに立っていればいい」

久明の声は, 私にそう命じた.

私は, 彼の言葉に従い, 会場の隅に立っていた.

私の存在は, 誰も気に留めない.

私は, 透明人間になったかのように, そこにいた.

シャンパンの泡が, グラスの中で儚く弾ける.

私の心は, その泡のように, 消え去ってしまいたかった.

そのとき, 私の視界に, ある人物の姿が飛び込んできた.

背が高く, スマートな体型.

記憶の中の彼よりも, さらに洗練された雰囲気.

その人は, 会場の中心で, 周りの人々と楽しそうに話していた.

私は, その姿に, 吸い寄せられるように, 目を奪われた.

斉藤樹栄.

私の, 高校時代の恋人.

彼の瞳が, 私を捉えた.

その瞬間, 私の心臓が, 激しく高鳴った.

彼は, 私に気づいた.

彼の顔に, 驚きと, 喜びの色が浮かんだ.

私は, 彼に会うことを, ずっと恐れていた.

しかし, 彼の優しい瞳を見た瞬間, 私の心の中に, 温かい光が差し込んだ.

私は, 彼の元へと, ゆっくりと歩み寄った.

私の足は, 震えていた.

しかし, 私の心は, 彼の存在に, 強く惹きつけられていた.

彼もまた, 私に向かって歩み寄ってきた.

私たちの距離が, 少しずつ縮まっていく.

私の心臓が, 耳元で激しく鳴り響いていた.

「樹栄... 」

私の声は, 震えていた.

樹栄の顔には, 優しい笑みが浮かんでいた.

彼は, 私の名前を呼ぶと, 私の手を握りしめた.

その手は, 温かかった.

私の心の中に, 凍り付いていた何かが, ゆっくりと溶けていくのを感じた.

私は, 彼の存在に, 救われた気がした.

この地獄のような日々の中で, 初めて, 救いの手を見つけたのだと.

私の目から, 再び涙が溢れ出した.

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