財産狙いの裏切り婚約者 の小説カバー

財産狙いの裏切り婚約者

7.9 / 10.0
資産家の令嬢である私は、遺伝性の持病を抱えながらも、亡き両親が将来を託した婚約者・海翔を信じ抜いていた。しかし、同僚の結実と彼が密会する写真が届いたことで、幸福な日常は崩壊する。帰宅した私を待っていたのは、我が物顔で抱き合う二人の裏切りだった。海翔は豹変し、母の形見である大切なオルゴールを無残に破壊すると、発作に苦しむ私に不動産譲渡の契約を迫る。さらに結実は、妊娠していると嘘をつき、自ら転倒して流産を装うことで、私を殺人犯に仕立て上げようと画策した。愛した男の目的は私の財産だけであり、信頼した同僚は偽りの罪で私を社会的に抹殺しようとしている。母の遺品さえ粉々に打ち砕かれ、絶望の淵に立たされた私だったが、彼らはまだ致命的なミスに気づいていない。私がサインした書類は法的な効力を持たない無価値な紙切れであり、守るべき全財産はすでに海外の口座へと移されているのだ。欲に溺れた裏切り者たちへの、静かな反撃が今ここから始まる。

財産狙いの裏切り婚約者 第1章

私は遺伝性の持病を抱える資産家の娘. 婚約者の海翔は, 両親が亡くなる前に私の将来を託した唯一の頼りだった.

しかし, ある日, 見知らぬ番号から一枚の写真が送られてきた. そこには, 私の同僚である結実と親密に抱き合う海翔の姿が写っていた.

その夜, 自宅に帰ると, 二人は私の留守をいいことにソファで抱き合っていた.

問い詰めると, 彼は母の形見であるオルゴールを床に叩きつけ, 持病の発作で苦しむ私に, 不動産の譲渡契約書へのサインを強要した.

さらに, 結実は妊娠を告げ, 私を突き飛ばして流産したと偽り, 病院で私を殺人犯に仕立て上げようとした.

愛した男は私の財産だけを狙い, 同僚は偽りの妊娠で私を陥れようとする. 母が遺したたった一つの形見さえ, 彼の怒りで粉々に砕け散った.

だが, 彼らはまだ知らない. 私がサインした契約書がただの紙切れであり, 私の全財産がすでに海外へ送金済みだということを.

第1章

浅田梓紗 POV:

目の前の書類は, 私が長年築き上げてきた全てを終わらせるものだった. 指先が震える. この一筆が, 私と海翔の関係を完全に断ち切る.

しかし, もう引き返せない.

私の人生は, この書類によって新しい章を開くのだ.

「梓紗さん, 本当にこれでよろしいのですか? 」

秘書の森山さんが, 心配そうに尋ねた.

彼の声には, 私への同情と, この行動への困惑が混じっていた.

私は顔を上げず, ただ書類の空白を見つめていた.

「ええ, これでいいの」

私の声は, 驚くほど冷静だった.

まるで, 他人のことのように.

森山さんは, もう一度私に確認した.

「関口さんの説得も聞かずに? 」

私は冷たい笑みを浮かべた.

「彼はこの財産が欲しくてたまらないでしょう? 」

「え, それは…」

森山さんは言葉に詰まった.

その沈黙が, 私の推測を肯定していた.

私はペンを手に取った.

「彼が本当に大切なのは, この書類に書かれた数字だけよ」

ペン先が紙に触れる.

サラサラと, 自分の名前を書き記した.

「これで, 全て終わり」

私の心には, 奇妙な解放感が広がった.

重い鎖が外れたような, そんな感覚.

森山さんの驚いた顔が, 私の視界の端に映った.

彼はまだ, 私が何をしたのか理解していないだろう.

私がサインした瞬間, 私の携帯が震えた.

メッセージアプリの通知.

差出人は, 見知らぬ番号.

しかし, 添付された写真を見た瞬間, 私の息は止まった.

それは, 海翔と, 私の同僚である本間結実が, 親密そうに抱き合っている写真だった.

場所は, 私が彼にプレゼントしたばかりの, あの高級レストランの個室.

「ああ, そう」

私の口から, 乾いた声が漏れた.

心臓が, まるで氷に覆われたかのように冷たくなった.

「彼は, 最初から…」

私は悟った.

海翔は, 私を愛していたわけではなかった.

彼が欲しかったのは, 私の財産だけ.

そして, 本間結実もまた, その片棒を担いでいたのだ.

私は携帯を握りしめた.

指先が, 怒りで白くなる.

「こんな茶番, もうたくさんだわ」

過去5年間, 私は彼に全てを捧げてきた.

私の時間, 私の心, 私の夢.

しかし, 全ては無駄だった.

「これからは, 自分のために生きる」

私は立ち上がった.

部屋の空気が, 一瞬にして変わったように感じた.

その夜, 私は自宅のドアを開けた.

リビングからは, 聞き覚えのある声が聞こえてくる.

海翔と, 結実の声だ.

彼らは, 私が留守だと思っていたのだろう.

私は静かにリビングに入った.

二人は, ソファで抱き合っていた.

私の姿に気づいた瞬間, 彼らの顔から血の気が引いた.

特に海翔の顔は, 驚きと恐怖で歪んでいた.

しかし, 私の心は, 驚くほど平静だった.

「お邪魔だったかしら? 」

私の声は, 氷のように冷たかった.

海翔は, すぐに結実を突き飛ばした.

「あ, 梓紗! これは違うんだ! 」

彼はしどろもどろに言い訳を始めた.

私は, 彼の虚言癖をよく知っていた.

以前の私なら, 彼の言葉を信じていたかもしれない.

しかし, もう違う.

「違うって, 何が? 」

私は冷笑した.

海翔は, 私の質問に答えられない.

彼は, 以前から私を軽んじていた.

私が病弱で, 彼なしでは生きていけないとでも思っていたのだろう.

「あなたが欲しいのは, 私の会社の株式だけでしょう? 」

私は核心を突いた.

彼の顔が, さらに青ざめる.

結実が, 海翔の腕にしがみついた.

「違うわ! 海翔は私を愛してる! 」

彼女はヒステリックに叫んだ.

私は, 結実を一瞥した.

「あなたが彼に与えられるのは, あなたの体と, せいぜい慰めだけでしょうね」

私の言葉に, 海翔の体が硬直した.

結実の顔は, 怒りで真っ赤になった.

「あなたなんて, 病気のくせに! 」

彼女は私を罵倒した.

私は, この女に嫉妬する価値もないと悟っていた.

海翔は, 結実の口を塞いだ.

「梓紗, お願いだ. もう一度チャンスをくれないか? 」

彼の声には, 焦りが混じっていた.

しかし, その焦りは, 私への未練からくるものではない.

私の財産を失うことへの恐怖だ.

「チャンス? 何のだと? 」

私は尋ねた.

彼の目には, 欲望の色がはっきりと見て取れた.

「私に, あなたの会社の株を譲渡してほしい」

彼は, 何の躊躇もなく言い放った.

私は, 心底うんざりした.

「残念だけど, もう遅いわ」

私は言った.

「私が持っていた株は, 全て売却済みよ」

海翔の顔が, さらに驚愕に染まった.

彼は, 私の言葉の意味を理解できないようだった.

「そんなはずは…」

彼は呟いた.

私は, 冷笑した.

「あなたが, 自分の手で調べ上げた会社の財務状況, 覚えているかしら? 」

海翔の顔から, 血の気が完全に引いた.

彼は, 私が彼の裏をかいたことに気づいたのだ.

「私がどれだけ愚かだったか, 今ならよくわかる」

私は, 自嘲気味に笑った.

海翔は, 怒りで顔を歪めた.

「嫉妬するな! お前には関係ない! 」

彼は叫んだ.

彼の醜い本性が, 今, 目の前に晒されていた.

続きを読む

財産狙いの裏切り婚約者 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

清水さん、お元気でしたか。元夫の天敵に三年越しで溺愛されています の小説カバー
8.0
結婚生活を送った三年間、清水瑠衣は冷徹な夫・立川蒼空の心を愛で溶かせると信じていた。しかし、その期待は土砂降りの夜に打ち砕かれる。彼女が命懸けで撮影したユキヒョウの写真は、夫が新恋人を写真界の頂点へ導くための道具に利用されたのだ。夫が別の女を抱き表彰台に立つ影で、瑠衣はアフリカの病院で生死の境を彷徨っていた。絶望した彼女は離婚届を残して失踪し、自らの力で栄光を掴むと誓う。月日が流れ、セレンゲティでカメラを構える彼女の前に現れたのは、元夫の宿敵であり、巨大資本を操る極東グループの支配者だった。彼は瑠衣を車との間に追い詰め、独占欲を孕んだ声で囁く。「同情ではない。立川が手放した至宝を愛おしんでいるだけだ」と。逃げ場を失った彼女は、その掠れた告白から真実を知る。彼は三年前から、密かに彼女を我が物にしたいという情熱を燃やし続けていたのだ。元夫の天敵による、執着と溺愛に満ちた逆転劇が幕を開ける。
婚約破棄当日、彼女は帝都の御曹司の禁断の花嫁となった の小説カバー
9.4
結婚式を目前に控えた宮沢沙織は、婚約者と実姉の不貞を映した映像を突きつけられ、残酷な破局を迎える。参列者からの嘲笑を浴び、ワインで汚れたドレスを脱ぎ捨てて激しい雨の中へ飛び出した彼女は、偶然通りかかった高級車を止め、車内にいた見知らぬ男に復讐心から強引なキスを仕掛けた。その場限りの過ちで終わるはずだったが、相手は帝都で強大な権力を誇る上田家の御曹司、上田拓海であった。翌朝、沙織のアパートを訪れた元婚約者は、冷酷無慈悲と恐れられる拓海がエプロンを纏い、献身的に朝食を作る姿を目撃し愕然とする。拓海は沙織の腰を力強く引き寄せ、逃がさないと言わんばかりにその首筋に顔を埋めた。そして独占欲に満ちた瞳で、冷徹かつ官能的に囁く。「選べ、俺かあいつか。もし選択を間違えれば……一生檻に閉じ込めて、俺だけを見続けることになるぞ」。最悪の裏切りから始まった運命は、帝都の支配者による執着と狂愛に満ちた新生活へと塗り替えられていく。
見捨てられし愛玩、マフィアの女帝 の小説カバー
9.7
8歳の冬、燃え盛る炎の中から私を救い出した黒崎龍司は、絶大な権力を握る裏社会の支配者だった。それから10年、私は彼を唯一無二の守護者として、神のごとく崇めて生きてきた。しかし、二つの組織を統一するという野望のため、彼は他家との婚約を一方的に発表する。家に連れてこられた婚約者は、周囲の目の前で私に安物の金属製首輪をはめ、「ペット」と呼び捨てて嘲笑った。龍司は私が金属アレルギーであることを知りながら、冷徹な視線でそれを受け入れるよう命じる。その夜、壁越しに聞こえてくる二人の情事の気配に、私は幼い日の約束がすべて偽りだったことを悟った。私は家族ではなく、ただの所有物に過ぎなかったのだ。10年に及ぶ献身的な愛は、絶望の中で完全に灰へと帰した。彼の誕生日、新たな門出を祝う宴の裏で、私は黄金の鳥籠を抜け出す決意をする。用意されたプライベートジェットは、私を真の父親のもとへと運んでいく。それは、龍司にとって最大の宿敵である男だった。
彼女の犠牲、彼の盲目の憎悪 の小説カバー
9.7
上司である神宮寺朔は、私の幼馴染でもあった。しかし、今の彼に宿るのは私への深い憎悪だけだ。彼は婚約者の姫川玲奈が体に傷がつくのを嫌がったという理由で、私に骨髄提供を強要する。さらに玲奈は私の存在そのものを消そうと画策し、高額な贈答品を破壊した罪や暴行の濡れ衣を次々と着せていく。朔はその言葉を鵜呑みにし、割れた破片の上で私を跪かせ、警察に突き出しては留置場で暴行を受ける私を冷酷に見捨てた。追い打ちをかけるように、彼は私の両親を誘拐し、建設中の超高層ビルから吊るし上げるという蛮行に及ぶ。電話越しに朔の勝ち誇った声が響く中、無慈悲にもロープは切れ、両親は暗闇の底へと消えていった。絶望の淵に立たされた私の口内には、彼が知る由もない病の血の味が広がる。朔は嘲笑いながら「そこから飛び降りればいい」と自害を促した。その言葉を受け、私は静かに「わかった」と囁く。心も体も限界を迎えた私は、愛した男の言葉に従い、何もない空へとその身を投げ出した。
ゴミ扱いされた私が、実は世界的権力者だなんて言えない の小説カバー
8.8
幼い頃に全てを奪われ、孤独の中で育った池田新奈。彼女はかつて自分から母や居場所を奪った者たちへ復讐し、本来あるべき権利を取り戻すため、再び上京市へと足を踏み入れる。しかし、世間は彼女を「落ちこぼれの不良娘」と蔑み、冷酷な視線を向けるばかりだった。そんな中、街を牛耳る権力者・横山宴之介が彼女を妻に迎えると宣言し、周囲は「正気か」と騒然となる。だが、宴之介だけは新奈の真の姿を見抜いていた。彼女は伝説の神医、世界屈指のハッカー、そして王室すら畏敬する天才調香師という、世界を揺るがす複数の顔を持つ実力者だったのだ。夫の執拗なまでの溺愛に戸惑いながらも、新奈は彼の手を借りずとも圧倒的な力で敵を追い詰めていく。会議中であっても彼女を離そうとしない宴之介の過保護ぶりに周囲が呆れる中、新奈の隠された正体が次々と暴かれていく。かつて彼女をゴミのように扱った人々は、そのあまりに強大な真実に直面し、絶望と後悔に震えながら跪くことになる。愛と復讐が交錯する中、最強の令嬢による華麗なる逆襲劇が今、幕を開ける。
夫の歪んだ二重生活 の小説カバー
8.9
夫・健斗との結婚生活は、すべて巧妙に仕組まれた偽りの演劇だった。五年前、死んだはずの義妹・杏奈の命日を弔うために訪れた軽井沢の別荘。そこで私が目撃したのは、死んだはずの杏奈と、私の両親、そして夫に生き写しの幼い子供が睦まじく笑い合う光景だった。家族の愛情を一身に受ける義妹の姿と、私を「騙しやすい女」と嘲笑う夫の冷酷な本性。実の両親さえも私を裏切り、彼らは真実の家庭を隠れて築いていたのだ。健斗は私をただの「都合のいい道具」として扱い、用済みとなった今、私を精神病院へ永久に監禁しようと画策していた。すべてを失い、逃亡の末に火を放った私は、燃え盛る絶望の中で一つの決断を下す。それは、夫が唯一恐れる最大の宿敵に助けを求めることだった。奈落の底に突き落とされた私は、奪われた人生を取り戻すため、危険な男の手を取り復讐へと踏み出す。
今すぐ読む
共有