フォローする
共有
神になる の小説カバー

神になる

雲上の高みから転落し、卑しき奴隷の身へと零落したゼン。しかし、自らの肉体を武器として錬成するという数奇な転機を経て、彼の運命は激動の渦中へと投げ込まれる。神器に匹敵する強靭な身体と、何事にも屈しない不撓不屈の信念を武器に、彼は再び頂点へと這い上がるための歩みを始めた。各地の豪傑たちが覇権を巡ってしのぎを削り、一刻一刻と情勢が変転する乱世において、ゼンの出現は巨大な抗争の幕開けを告げる。あらゆる強敵をその身一つで圧倒し、打ち破ることを誓った彼が真に目覚めたとき、比類なき伝説が静かに、そして力強く動き出す。これは、過酷な境遇から這い上がり、己の力ですべてをねじ伏せていく男の軌跡を描いた壮大な冒険譚である。神のごとき躯を持つ彼が歩む道の先には、果たしてどのような結末が待ち受けているのか。周囲の思惑をよそに、ゼンはただ己の道を突き進んでいく。新たな時代の覇者となるべく、伝説の第一章が今ここに刻まれる。
共有

2

「ルオ家には2つの秘伝の魔法薬があることを知ってるだろ? そして、少し前に俺はその1つ目を飲んだんだ」 ペリンは自慢げに言った。「この薬マジですげぇんだって。 純粋な魔法の力は俺の肉体を強化し、筋肉精錬の境地から骨精錬の境地へと進化させたんだ。 薬がたった10分の1効果を発揮しただけでそれだと! 残りも俺の身体の中で、俺の肉体を無限に強化し続けてくれるんだ。 臓器精錬の境地に到達するまであとほんのちょっとらしいから、骨髄精錬の境地もすぐそこってとこだ!」

ゼンはペリンの話を聞いて歯を食いしばった。 2つの秘伝の魔法薬は、ルオ家の最も貴重な宝物で、 ゼンの先祖が残した聖なる魔法薬だった。 家族の中でもほんの一握りの者だけが知っている神聖な場所に厳重に保管されており、 ほとんどの人は魔法薬を使用することはもちろん、見ることさえ許されていなかったのだ。

古い教義によると、16歳より前に骨精錬の境地に達した者だけに魔法薬を使用する資格があるという。

体の精錬には、肌精錬の境地から始まる5段階があり、 肌精錬を習得したものだけが、2番目の筋肉精錬に移行することができ、 骨の精錬はその次の第3境地で、 最後の2つの境地は、臓器の精錬と骨髄の精錬である。 5つの境地はそれぞれ異なり、大抵の人は一つの境地を習得するのに何十年もの修練の時を要するだろう。

なので、もし30歳になる前に第三の境地に達したのならば、それは奇跡とも言えるし、 ルオ一族全体もその才能を認めるだろう。

さっきも言ったように、教義によると、16歳になる前に第三の境地に達した者だけが魔法薬を使用する資格を有するという。

16歳未満で骨精錬の境地に達せたなら、それは間違いなく超人で、 それもC郡全域にわたり数百年もの歳月を経てやっと誕生した、たった一人のスーパー超人といえるだろう。 それが、過去300年間ルオ家の秘伝魔法薬が使用されていなかった理由でもある。

父親の生前、ゼンは有望な子供として認識されており、

14歳の若さで、第二の境地、筋肉精錬の極致にも達した 彼の才能と努力はC郡の王からも、 ゼンはルオ一族の繁栄希望であり、神に恵まれた者、そして天才の中の天才であると讃えられた。

しかし、そのような大事な時期に、お家騒動に苦しみ、遂には父親も兄弟に殺されてしまった ゼンは奴隷にされ、囚人と、サンドバッグになり、 鍛錬をすることも許されず、魔法薬を服用する機会も失った。

一方ペリンはごく普通で、とびぬけた才能など皆無だった。 ちょうど16歳で筋肉精錬の境地に達したのが精々で、 魔法薬を使用する資格が無かったはずの彼はそれでも教義を破ってまで薬を使ってしまったのだ。

当然ゼンの物になるはずだったこの魔法薬は こうして不意にこの才能のない阿保に奪われてしまった。 落ち着いて家族の運命を受け入れるのに2年も掛かったゼンだが、ぺリンに挑発された今、その心は平穏では無く、 今にも怒りを抑えられなそうになっていた。 「ペリン・ルオ、この卑劣野郎が! 先祖の教義を無視して、許可なく聖薬を服用するとは!」

「まあ、お前は隙間を這いまわる虫と同じくらいどうでも良い存在だ。 何の役にも立たない! でも俺は違う、俺はもう骨精錬の極致に達したんだ。 500キロのものでも片手で持てるんだぜ! つまり奴隷のお前を 片手で潰せるんだからな。 今日はな、練習を終えた自分への慰労のために、サンドバッグを探しに来たってわけ!」 ペリンは、ゼンの言葉は無視し、適当に誰かを指さした。 「よしお前に決めた!」

彼はゼンではなく、代わりに一人の中年男を選んだ。 男はペリンが自分を指さしているのを見て震え、 かなりの損傷に耐え得る厚い革の鎧を着てはいたが、命の危険を感じてならないのだ。 すでに骨精錬の境地に達したペリンを相手に、もはや鎧は意味をなさないだろうと思い、 男はただ震えながら失禁した。

ぺリンは深呼吸をし、両手で拳を握りしめ、 ルオ家に伝わる「シタン拳」の独特な姿勢を取り、 身体を覆う紫色の光を放出させ、内なる力を最大限に見せつけた。

「い… 命だけは… 若旦那様! お慈悲を!」 ぺリンの勢いを見て、その拳で叩き潰されたら自分は死ぬだろうと思い、 奴隷は必死の表情を見せ、 憐れみを求めてうめき声を上げ続けながら、ついにひざまずいた。

「バーン!」

ペリンは奴隷の懇願に耳を貸さず、 その胸に拳をぶち込んだ。 すると革の鎧は一瞬でバラバラに引き裂かれ、 男は道場の壁にぶつかった衝撃で跳ね返り、 そして、屍となって鈍い音を立てながら地面に落ちた。

たったの一撃で奴隷は死んだ。

「なんて強力な拳! 若旦那様! ルオ家の若者の中で、あなたほど強い人はいないでしょう」

「我らが若旦那様が居ればルオ家の繁栄は約束されたようなもの!一族はきっとますます繫栄するでしょう」

感動し、恐れを抱きながら、子供たちは若旦那を崇め奉った。

ペリンはこのパンチの効果に非常に満足しながら、 振り返ってゼンを悪意のこもった眼差しで見た。

ゼンは後退した。 中年の男よりもはるかに強かったとはいえ、ペリンの一撃ではひとたまりも無かったであろう。

ペリンは笑いながら手を差し伸べ、ゼンの肩を2回激しく叩いた。 「まあ、落ち着けよ。そんなにすぐには殺さないから。 この俺、ペリン・ルオがお前などよりはるかに強いことを知らしめてやるのさ」

ペリンは話すのをやめ、立ち去ろうとしたが、 ちょうどその時、何かを思い出して振り返り、「あ、あと一つ。 あの天才の従妹が、今星雲宗でうまくやれてないようで、しかもちょっと影響力のあるやつを怒らせたらしくてな、 罰としてもう煉獄の山に送られたそうだ。 臓器精錬の境地に達したら彼女を救けに行ってくるよ。ハハハ…」

それを聞いた途端、ゼンの胸は苦しくなり、心臓が早鐘を打った。

おすすめの作品

捨て妻、伝説の弁護士となる の小説カバー
8.9
無敗の弁護士「ネメシス」としての輝かしい経歴を封印し、私は三年間、東京地検のエース検事・神宮寺圭を支える献身的な妻として生きてきた。しかし、結婚記念日の夜に彼が口にしたのは、かつての恋人の名前だった。決定的な決別はレストランで訪れる。ウェイターが熱湯をこぼした瞬間、圭は私を顧みず、元カノのほのかを身を挺して守った。重傷を負い、水ぶくれに苦しむ私に彼が投げつけたのは、一枚のカードと冷淡な言葉だけ。その冷酷な仕打ちに、愛を捧げた妻としての私は死んだ。三ヶ月後、私はかつての伝説的な弁護士として再び法廷に立つ。対峙するのは、自身のキャリアを懸けた重要事件を担当する検事の圭だ。物静かな主婦が裏の世界で恐れられる「ネメシス」本人だとは、彼は知る由もない。私は法曹界の頂点から、愛を裏切り、私を捨てた男の完璧な無敗記録を完膚なきまでに叩き潰すことを誓う。これは、すべてを失った女が、自らの知性と実力で過去を清算し、誇りを取り戻すための復讐劇である。
Alice の小説カバー
9.3
「ボクを殺したのは誰――?」鏡の向こう側で、運命の歯車が静かに回り始める。ロシア南部のクラスノダール地方に拠点を置く軍部には、最強と謳われる一人の少女がいた。コード・ゼロという名で呼ばれる彼女は、身寄りもなく、過酷な戦場をたった一人で駆け抜けてきた。感情を一切持たず、あらゆる事象に無関心なまま任務を遂行する彼女だったが、潜入捜査で訪れたある洋館で転機を迎える。巨大な鏡に映る自分と目が合った瞬間、鏡の中から白兎の耳を持つ謎の男が現れたのだ。自らを「白兎」と名乗るその男は、彼女に一つの残酷な依頼を告げる。「アリスを殺した犯人を殺してほしい」と。その言葉に導かれるように、少女は未知なる鏡の世界へと足を踏み入れる。それは、戦うことしか知らなかった孤独な兵士が、失われていた感情や「愛」という名の温もりを初めて知っていく物語。異世界の混沌と謎が交錯するなか、彼女は真実に辿り着けるのか。切なくも激しい戦いの幕が今、上がる。
イカした恋とイカレた妖刀の冒険譚 の小説カバー
9.2
武芸の道に全てを捧げ、ストイックに己を磨き続けてきた傭兵時代。しかし、待っていたのは無慈悲な敗北と挫折の記憶だった。そんな過去を持つ主人公が流れ着いたのは、巨大なカイザード帝都。そこで彼は、捨て犬のような境遇からボトマーズギルド・ハニカムに拾われることになる。かつての面影はどこへやら、現在の姿は「怪人イカ男」と呼ばれるイカの姿をした異様な怪人。さらには、何事にも無気力で面倒を嫌い、金欠に喘いでは物事が裏目に出るチンピラのような男へと転生を遂げてしまっていた。本作は、そんな風変わりな主人公を中心に、物語の語り手が次々と入れ替わる独創的な構成で描かれる新感覚のファンタジー・アクションだ。イカした風貌のイカれた妖刀使いが、混沌とした帝都を舞台にどのような冒険を繰り広げるのか。先の読めない展開と独特の語り口が、読者を不思議な世界観へと引き込んでいく。かつての挫折を胸に秘めた男の、斜め上を行く新たな人生が幕を開ける。
無双の“偽令嬢”が崩れ落ちた瞬間──彼女の真の姿が上京を震撼させる! の小説カバー
8.7
幼少期に全てを奪われ、最愛の母を殺された池田新奈。復讐と再起を胸に秘めた彼女が上京の地へ戻った時、世間は彼女を「無学で素行の悪い不良娘」と蔑んだ。名門・横山家の当主である横山宴之介が、なぜこれほどまでに彼女を溺愛し、妻として選んだのか、周囲は彼の目を疑った。しかし、宴之介だけは彼女の真の価値を見抜いていた。新奈の正体は、死の淵から人を救う伝説の名医であり、世界を翻弄する天才ハッカー、さらには皇室が認める至高の調香師という、いくつもの顔を持つ規格外の天才だったのだ。彼女がその圧倒的な実力を振るうたび、上京のパワーバランスは激しく揺れ動いていく。人々の前では冷徹な宴之介も、彼女の前では一転して深い愛情を注ぎ、会議中であっても片時も離れようとはしない。やがて隠されていた彼女の素顔が白日の下にさらされた時、かつて彼女を嘲笑った人々は驚愕し、その比類なき才能にひれ伏すことになる。愛と復讐が交錯する中、多才な偽令嬢が歩む無双の覇道が今、幕を開ける。
離婚後、偽令嬢の正体がヤバすぎた。 の小説カバー
9.2
松本星嵐が「偽の令嬢」だと露呈した瞬間、夫や両親、兄までもが彼女を冷酷に切り捨てた。婚家を追われた彼女が次に選んだのは、名門の重鎮・坂本凛斗という新たな盾だった。周囲が破滅を予見し嘲笑うなか、星嵐は隠し持っていた真の姿を次々と解放していく。その圧倒的な実力は並み居る権力者たちを戦慄させ、跪かせるほどであった。復縁を狙う愚かな元夫を地獄の底へ突き落とす一方で、彼女は凛斗に対し「私のヒモになりなさい」と微笑む。しかし、彼もまた底知れぬ正体を隠し持つ男だった。凛斗は静かな笑みを浮かべ、妻を支配せんとする本性を現す。実はこの二人、世界を揺るがす国際組織にとって最大の脅威となっていたのだ。星嵐の離婚と凛斗の結婚、そして最強の夫婦が裏社会で手を組み、縦横無尽に暴れ回ること――。無数の裏の顔を使い分け、実力を隠して暗躍する二人の規格外な物語が幕を開ける。正体を隠した最強夫婦による、痛快な逆転劇と愛の駆け引きが今、世界を震撼させる。
偽りの英雄と置き去りの花 の小説カバー
8.1
盛大な祝賀会の夜、かつての夫は私の手を握り「君こそが僕の命だ」と甘く囁いた。すでに離婚した他人同士であるにもかかわらず、彼は大勢の列席者の前で、あの命懸けの救出劇に悔いはないと宣言する。「愛する妻が巻き込まれていたのだから」と。しかし、戦場という極限状態のなかで彼が救おうとしたのは、私ではなく自身の愛人だった。皮肉な真実を隠し、輝かしい未来を確信して胸を張る彼。だが、その瞬間に授与された軍功勲章に刻まれていたのは、彼の名ではなく私の名前だった。壇上から呆然と立ち尽くす元夫を見下ろし、私は無数のフラッシュを浴びながら冷徹に告げる。人質交換という死線において、妻を捨てて愛人の安否だけを優先した平和維持軍人。その身勝手な振る舞いは、神聖な軍職に対するこの上ない冒涜であると。愛に裏切られ、戦場に置き去りにされた女が、偽りの英雄の仮面を剥ぎ取る。私を捨てた代償は、彼が渇望した名誉と地位の完全なる崩壊だった。