
愛憎の果てに:彼の没落
章 3
浩斗の顔に、混乱、あるいは傷心ともとれるような、読み取れない感情が一瞬よぎったが、すぐにいつもの自信に満ちた仮面で覆い隠された。
「そうか、よかった」
彼は無理に笑顔を作って言った。
「じゃあ、スタッフにハイリの部屋を準備させよう」
彼は彼女の方を向き、彼女の好みをうんざりするほど詳細に挙げ始めた。
「彼女はシルクのシーツが好きで、香りはラベンダー、水はイタリアの特定の湧水から採れたスパークリングウォーターしか飲まない。キッチンに必ずストックしておくように」
私は聞いていた。心臓が冷たく重い石のように胸に沈んでいく。彼は彼女の馬鹿げた好みを一つ残らず知っているのに、私が朝、コーヒーと紅茶のどちらを好むかすら、おそらく覚えていないだろう。
「仕事があるから」
私は部屋を出ようと背を向けた。この嘘だらけの家で、私自身の建築スタジオだけが唯一の聖域だった。
「楓さん!」
ハイリの声は、甘ったるく、まとわりつくようだった。
「行かないで。私とお話ししましょうよ」
浩斗は彼女を腕で抱き寄せ、慰めた。
「気にするな、ハイリ。彼女はいつも仕事に没頭しているんだ」
そして彼は私を見て、口調を硬くした。
「楓、もてなしの心を忘れるな。ハイリは我々の客だ」
彼はまるで、見知らぬ他人について話しているかのように言った。密かに彼の妻である女、彼のベッドで眠る女のことではなく。彼は、身代わりである私に、本物が快適に過ごせるよう丁重にもてなすことを期待していた。
その苦々しさに、窒息しそうになった。この家に初めて引っ越してきた時のことを思い出す。彼は私を抱きかかえて玄関をまたぎ、永遠の愛と保護を囁いた。誰も君を傷つけさせないと誓った。
なんて嘘つき。
「そうね」
私は危険なほど穏やかな声で言った。
「ハイリは『あなた』の客よ。部屋の準備は、あなたがしてあげたら?」
私は返事を待たずに歩き去った。
ハイリは小さく、傷ついたような声を出した。
「浩斗、彼女、私にすごく意地悪よ」
「一時のことさ」
彼の声が聞こえた。甘やかすような愛情に満ちている。
「僕が甘やかしすぎただけだ。心配するな、僕から話しておく。今夜は僕の部屋で一緒に泊まればいい」
私はスタジオに着くとドアを閉めた。彼らの楽しげな笑い声が廊下に響く。冷たい木製のドアに寄りかかると、目に涙が滲んだが、決してこぼしはしなかった。
私は妻ではなかった。愛人ですらなかった。ハイリこそが妻で、何年も前から信託財産に登録されていた。私の方が後から来て、利用された側。
この物語において、私こそが愛人だったのだ。
私は目を拭い、肩を張った。彼のために泣くものか。もう二度と。
その後、私はメインライブラリーの脇にある静かな一角に設えた、小さな家族の祭壇の前にいた。今日は、祖母の命日だった。彼女は私が知る唯一の家族で、私を育て、建築への情熱を応援してくれた人だった。
廊下から鋭い破壊音が聞こえ、私は飛び上がった。
急いで駆けつけると、そこにハイリが立っていた。その顔には、嘲笑が浮かんでいる。彼女の足元には、祖母の遺灰を納めた磁器の骨壺が粉々に砕け散っていた。ざらざらとした灰色の粉が、磨き上げられた床に散らばっている。
わざとだ。彼女の目が私を捉え、嘲笑は勝ち誇ったような蔑みの笑みへと変わった。
今まで感じたことのない、白熱した怒りが全身を駆け巡った。考えるより先に、私は前に飛び出し、私の平手打ちが彼女の頬に乾いた鋭い音を立てて炸裂した。
「なんてことを!」
私は痛みと怒りでかすれた声で叫んだ。
「おばあちゃんはもういないのよ!あなたに何をしたっていうの!」
物音を聞きつけて、浩斗が走ってきた。彼は、頬に赤い跡が浮かび上がり、涙を流しているハイリの姿を見た。
「楓さん、ごめんなさい!」
ハイリは哀れな鳴き声で叫んだ。
「ちょっと見ていただけなのに、手が滑っちゃって。弁償します!新しいのを買いますから!」
浩斗は私を一瞥もせず、ハイリの元へ駆け寄った。その顔は、完全に私に向けられた怒りの仮面だった。彼は私を強く突き飛ばした。
「一体どうしたんだ、お前は!」
彼はハイリを庇うように抱きしめながら、怒鳴った。
「彼女がわざとやったのよ!」
私は床の惨状を震える指で指差しながら叫んだ。
「おばあちゃんの遺灰なのよ!」
浩斗は床を一瞥し、それから私に冷たい視線を戻した。
「花瓶が割れただけだろう、楓。大げさに騒ぐな」
彼は忘れていた。今日が祖母の命日であることを。彼は祖母の葬儀で私の手を握り、彼女の墓前で、永遠に私を守ると誓ったのだ。また一つ、嘘が暴かれた。
「謝れって言うの?」
私は危険なほど低い声で尋ねた。
「何に対して?祖母の思い出を守ろうとしたことに対して?」
「面倒な女だな」
彼は苛立ちを隠さずに言い放った。彼は私を、彼の真の愛を慰めるための障害物、管理すべき問題としか見ていなかった。
彼は私を罰することに決めた。私の腕を掴み、地下にある窓のない小さな物置部屋へと引きずっていった。
「お前が従順になるまで、ここにいろ」
彼の声は氷のようだった。
彼は私が閉所恐怖症であることを知っていた。弱みを見せた瞬間に、私が打ち明けた子供時代のトラウマ。彼は私の最も深い恐怖を、私を罰するために利用したのだ。
彼が私を暗闇に突き飛ばした時、私はようやく理解した。私は彼の家族の一員ではない。客ですらない。この家で、彼の人生において、私は囚人なのだ。彼の気まぐれで罰せられ、捨てられる、ただの部外者。
重いドアが閉まり、錠がカチリと音を立てた。私は息苦しい暗闇の中に、閉じ込められた。
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