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Alice の小説カバー

Alice

「ボクを殺したのは誰――?」鏡の向こう側で、運命の歯車が静かに回り始める。ロシア南部のクラスノダール地方に拠点を置く軍部には、最強と謳われる一人の少女がいた。コード・ゼロという名で呼ばれる彼女は、身寄りもなく、過酷な戦場をたった一人で駆け抜けてきた。感情を一切持たず、あらゆる事象に無関心なまま任務を遂行する彼女だったが、潜入捜査で訪れたある洋館で転機を迎える。巨大な鏡に映る自分と目が合った瞬間、鏡の中から白兎の耳を持つ謎の男が現れたのだ。自らを「白兎」と名乗るその男は、彼女に一つの残酷な依頼を告げる。「アリスを殺した犯人を殺してほしい」と。その言葉に導かれるように、少女は未知なる鏡の世界へと足を踏み入れる。それは、戦うことしか知らなかった孤独な兵士が、失われていた感情や「愛」という名の温もりを初めて知っていく物語。異世界の混沌と謎が交錯するなか、彼女は真実に辿り着けるのか。切なくも激しい戦いの幕が今、上がる。
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2

潜入捜査当日ー

 ボクとヤオは同じヘリで屋敷に向かって居た。 「ヘマすんなよゼロ。」

ニヤニヤと笑いながらボクに話し掛けて来た。 「それボクに言ってんの?」

「俺の目の前にお前しか居ないだろ。」

「ふーん。寝言は寝て言うんだぞヤオ。」

 「寝てないわ!」

ボクに話し掛けて来るのはヤオぐらいだ。

 周りに居る連中がヤオを引いた目で見ている。 ヘリの中に居るのはザッと数えて20人。

 後から応援が来る予定だ。

隊長の人選で20人と厳選された。

今回の任務は屋敷内の調査。

屋敷の地下に兵器が眠っているらしくその調査だそうだ。

 「後30秒で上陸する。各自戦闘準備。」

無線から指示が届いた。

ボク達はすぐに戦闘準備を行った。

銃弾にショットガンにアサルトライフルを肩に掛け、太ももに巻かれた袋にナイフを入れた。

 目の前に居るヤオに視線を向けた。

さっきまでのヤオとは違った。

 顔付きが変わって居た。

 ヤオもこの部隊でかなりの戦力になっている。 「間もなく目的地に着陸する。各自着陸準備を。」 ボク達は着陸準備を完了させ、ヘリのドアを開いた。

「着陸地には到着!!5.4.3.2.1...。GO!!」 バッ!!!

ボク達はヘリから降りパラシュート開き地面に着陸した。

屋敷から約300mの距離だった。

ダダダダッ!!

ボク達は屋敷に向かって走った。

屋敷に着くとセキュリティーは頑丈で門には敵の軍隊が居た。

ヤオが指示を受け、門にいた軍人をナイフで首元を切り裂いた。

 幸い門には2人にしか居らず敵の軍隊にバレずに屋敷内に入れた。

屋敷に入ると各自1人行動をし、屋敷内を探索し始めていた。

ボクも銃を構え部屋を探索して居た。

 ここも特に無し…か。

外装からしてかなりの金持ちが所有しているようだ。

 部屋の中の家具とかもかなり高級品だ。

これぞ優雅な暮らしと言うヤツだ。

家具に埃が溜まっていないし生活している跡がある。 誰か居るのは間違いないだろう。

 ふと、赤い扉が目に入った。

 なんでここだけ赤いんだ?

ボクは恐る恐るドアノブに手を伸ばし扉を開けた。 キィィィ…。

さっきまで見て来た部屋とは違った。

 ファンシーな家具達に天井からウサギや星などがぶら下がっていた。

 そして1番目立っているのが大きな鏡だ。

 何故か分からないけど鏡に呼ばれて居る気がした。

 ボクは鏡に近付いた。

 ピタッ…。

 そっと鏡に触れてみた。

 至って普通の鏡だった。

だけど、どうしてこんなに気になるんだろう。 ジッと鏡を見ていると鏡に写っているボクの口が開いた。

 「ボクを殺したのは誰?」

 「え?」

ボクを殺した?

鏡の向こうのボクがどんどん血で赤く染まって行く。

 何がどうなってる?

鏡に映ったボクが喋った? 有り得ない。

 鏡の向こうのボクが喋る事なんてない。

すると、鏡の中が歪み白い手が伸びて来て来た。 「!?」

ボクは素早く下がり銃を構えた。

「よいっしょ…。やっと繋がった!!」

 出て来たのはうさ耳の男だった。

ツンツンとした白い髪に沢山のピアスが付いたうさ耳、真っ赤な瞳にパンクファッションを身に纏い大きな時計を首から下げて居た。

 な、なにコイツ…? 男がこちらを振り返り近付いて来た。

「見つけた。アリスの代わり!!」

 カチャッ。

銃を突き付けてるのになんで普通に喋ってるの? それにアリスの代わりって…。

 「あ、銃を突き付けるのやめてよね。ボクは君にお願いがあって来たんだ。」

 「お願い?」

カチャッ!!

扉が開き現れたのは敵の軍人達だった。

 「侵入者だ!排除する!!」

そう言って銃を構えた。

 まずい、撃たれる?!

ボクは慌てて銃を向けようとした。

 ブジャァァァァ!!

 軍人達の首から血が噴き出した。

 「ボクが話してる時に邪魔しないでよね。」

 うさ耳の男の方を見ると手にはトランプカードが握られて居た。

よく見るとカードにはベットリと血が付いていた。 まさか、コイツがこのカードで殺したの?

 パラパラッと手慣れたようにカードをシャッフルしていた。

 「今のアンタがやったの?」

「ん?あー、そうだよ♪コレでボクの話を聞いてくれる?」

下手に動かない方が良さそうだな。

「あぁ、分かった。話を聞くよ。」

「良かったぁ!!ボクはキミにアリスを殺した奴を殺して欲しいんだ。」

 「アリス?アリスって童話かなんかに出て来るアリスの事か?」

「まぁ簡単に言うとそうだね。ボクは鏡の向こうの世界の住人なんだ。アリスが何者かに殺された。それは壊れた人形のようにバラバラにされてた。」 なんとも信じられない話だ。

ボクはポケットから煙草を取り出し口に咥え火を付けた。

「それでボクとなんの関係があるの。アリスとボクは関係無い筈だが…。」

「アリスとキミは深い繋がりがある。だからこの世界に繋がったんだ。」

「繋がり?ボクとアリスが?」

「ボクはアリスの殺した奴を殺したい。だれがボクのアリスを殺したのか知りたい。その為にはアリスが死んで無かった事にする必要がある。」

「必要?」

「犯人を動揺させる事が目的。そこから犯人を炙り出し殺す。」

成る程…。

大体の話が分かった。

まとめるとこうだ。

 アリスは何者かに殺されバラバラにされた。

 その犯人を探す為にアリスは死んでなかったと思わせ、ボロを出した犯人を殺すって事か。

 「お願い!キミの力が必要なんだ!」

 そう言ってうさ耳男が頭を下げた。

この世界に未練なんてないし、悲しむ人間なんて居ないだろう。

 コイツの話に乗ってどうなったとしてもボクはどうでも良いと思うだろうな。

 アリスを殺した犯人を殺せば終わりな話。

こっちの世界に戻れない訳じゃないし。

「まぁ、別に良いよ。」

「本当!?」

「あぁ。殺したらこっちの世界に返してくれんだろ?」

 「それは勿論!キミの望むようにするよ!」

 「なら良い。」

ボクは煙草を携帯灰皿に押し付けた。

 「さぁ行こう!!」

そう言ってうさ耳男はボクの手を掴み鏡に入った。 カチャッ。

 「おーいゼロ。どこに居るん…え?」

 探索中のヤオは赤い扉を開け部屋の状態に驚いた。 敵の軍人達の死体が転がって居た事に。

そして大きな鏡が歪んでいた事にも。

 ヤオは大きな鏡に近付いた。

「どこに行ったんだよゼロ…。」

そしてゼロは朝になっても現れなかった。

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