
Alice
章 3
鏡の向こう側は真っ暗だった。
そして今ー。
「落下してるんだけど!?」
ヒュュュュウ!!
暗くて周り見えないし、どうなってんの!?
「アハハー!!死なないから大丈夫だよー!!」 「何でアンタはそんな余裕なの!?」
「アンタじゃないよ?ボクの名前はエースだよ。ACEって書いてエース。キミの名前は?」
落下しながら流暢(りゅうちょう)に自己紹介をして居る。
すると真っ暗だった空間にオレンジ色の光が現れた。
周りに色んな形の時計が現れた。
ボクは1つの時計の上に着地した。
改めて周りを見渡した。
時計や数々の扉が浮いて居た。
「ねぇったら!!名前教えてよ!!」
目の前にエースと名乗る男が時計を飛び越えながら大声で叫んだ。
「うるさいな。ボクに名前はないよ。」
「名前がない?どうして?」
「身寄りのない子供は名前がないんだよ。皆んなボクの事はゼロって呼んでたけど。」
「そうなんだぁ。じゃあゼロって呼ぶね!!」 「分かったよ。」
「おいエース。」
男の声が空間中に響いた。
「何してんだ。アリスの代わりを見つけたんだろ?さっさと来ないと扉が閉まるぞ。」
扉?
「あ!!そうだった!!ゼロ早く行こ!!」
そう言ってボクの手を取り乗っていた時計から降りた。
ヒュュュュウ!!
再びボク達は落下した。
「さっきの声の奴は誰だよエース!!」
「ボク達の協力者だよ!つまり仲間だよ。」
「つまり信頼出来るって事か?」
「そう言う事!」
落ちて居ると1つと開いている扉があった。
「あの扉の中に入るよ!!ボク達の世界の入り口だから!!」
吸い込まれるようにボク達は扉の中に入った。
パタンッ!!
ボク達が入ると勢い良く扉が閉まった。
ガチャーンッ!!
「ぐへっ!!」
「うわっ!!」
痛った…。
凄い勢いで床にぶつかったな…。
体が痛い…。
ん? 誰だこの足?
男の足が見えた。
「お前がアリスの代わりか?」
上から声がしたので見上げて見た。
金髪ベースの黒メッシュの長い髪はポニーテールにしてあって編み込みも入っている。
金と黒のオッドアイ、キラキラ輝く沢山のピアスに、両手首には鎖のタトゥーが入っていた。
エースと同じパンクファッションが良く似合って居た。
「ロイド!!乱暴に引き寄せなくても良いじゃん!!体痛いよー。」
「お前がのんびりしてたからだろ。扉が閉まったらこの世界に来れなかっただろうが。」
「ゼロの事を丁重に扱えって事!!怪我してない?」
「う、うん…。大丈夫だ。」
部屋を見渡すとたくさんの時計が壁にぶら下がっていて少し埃臭かった。
「ここは何処なんだ?」
「俺の店だ。まぁここは物置部屋だが。」
「時計屋なのか?」
「あぁ。」
通りで時計屋が沢山あるわけだ。
「コイツはロイド。ボク達の協力者さ。それでこの子はゼロって名前だよ。」
エースがロイドにボクの事を紹介した。
「宜しく。」
「こちらこそ。」
差し出された手を握った。
「ロイド以外にも2人、協力者が居るからまた紹介するね。」
「2人も居るのか?」
「あぁ。アイツ等はあまり自由に動けない立場なんでな。」
「訳ありって事か。」
「話が早くて助かる。」
ロイドは思った以上に話が進んだので驚いた様子だった。
「ゼロにはまず、この世界の事を知ってもらわないといけないんだ。協力者以外の人達に悟られないようにね。」
エースとロイドがこの世界の事を説明してくれた。
今ボクの居る世界はハートの国と呼ばれて居て、ハートの女王と呼ばれる女が国を占めて居る事。 アリスを殺した容疑者が何名か居る事。
ざっくりとした説明だが大体分かった。
「その容疑者達は何人ぐらい絞れてるの?」
「7人だ。」
「7人か…。多いんだな。」
「ロイドの調査した結果だから確実だよ。ロイドの裏の仕事は情報屋だから。」
へぇ…以外。
チリリリッ!!!
エースが持って居る時計が鳴った。
「はぁぁー。女王のお呼び出した。ボクは行くよ。ロイド、ゼロの事宜しくね。また明日来るから!!」
そう言ってエースは窓を開けて出て行った。
「女王の呼び出し?」
「この国の女王は我が儘でな。呼びたい時に呼ぶんだ。」
「あー、面倒臭い奴ね。」
「フッ。ゼロは口が悪いのか?」
笑いながらボクに尋ねて来た。
「産まれが悪いからな。」
「そうか。」
「それで?ボクは何処で生活すれば良いの?」 「ここで生活してくれて構わない。アリスが使って居た部屋を使ってもらうが構わないか?」
「別に良いよ。」
そう言うとロイドはアリスの使って居た部屋に案内した。
「この部屋だ。」
ゆっくりと薄い水色の扉を開けた。
部屋の中はお姫様みたいにレースやフリルがあしらわれぬいぐるみが沢山置かれた部屋だった。 「すっごい趣味だな…。」
「アリスは可愛い物が好きだったからな。」 ロイドは悲しい顔をして話した。
「明日詳しい話をするから今日は休んでくれ。」 「分かった。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
そう言ってロイドは部屋を出て行った。
ボクはベットに腰掛けた。
「大切にされてたんだなアリスは。」
机の上に置かれた写真盾を取った。
写って居たのはボクと同じ顔をした女の子が花畑を走って居る所だった。
「本当に似てるなボクに。」
笑った事のないボクは笑えるのだろうか…。
写真盾を持ったままベットに横になった。
「これからどうなるんだろ…。」
瞼が重たくなりボクはいつの間にか眠りに落ちて居た。
これから起こる物語がボク自身を変える事になるとは思いもしなかった。
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