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烈しくも忍耐深き愛の抱擁 の小説カバー

烈しくも忍耐深き愛の抱擁

アルファである夫・蓮と番いになって三度目の記念日。虚弱な私を気遣うふりをして、三年間一度も向き合ってくれなかった夫は、他の女狼の香りを纏い帰宅した。彼は私が用意した料理を無視し、嘘の言い訳を残して女のもとへ向かう。数日後の祝賀会への道中、夫は同乗する私に構わず、電話越しにその女へ甘い愛の言葉を囁いた。あろうことか彼は、雨の降りしきる暗い夜道に私を置き去りにし、愛する者のもとへ走ってしまう。絶望の淵で心が砕け散り、自分はただの代用品だったのだと悟った私の前に、一台の車が急停車した。現れたのは、夫を遥かに凌駕する圧倒的な威圧感と、射抜くような銀色の瞳を持つ強大なアルファ。彼は所有欲を剥き出しにした唸り声を上げ、世界の中心を見つけたかのような眼差しで私を捉える。そして、私の人生を根底から変える一言を放った。「俺の」。それは、絶望に沈んでいた私の運命が、新たな執着と激しい愛に飲み込まれていく始まりだった。
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3

世界はその一言を中心に回転したようだった。

*俺の。*

その言葉は、絶対的な確信と、根源的な所有欲をもって語られ、私の悲しみと衝撃の霧を切り裂いた。

私が反応する前に、その力強いアルファは、非の打ちどころのないスーツのジャケットを脱いでいた。

重厚なウールの生地は、雨と高価なコロン、そしてもう一つ――松林を駆け抜ける嵐のような、野性的で清浄な香りがした。

彼はそのコートを、震える私の肩にかけた。

その温もりは即座に、そして衝撃的に私を包み込んだ。骨の髄まで私を濡らした氷のような雨とは、まったく対照的だった。

それは単なる物理的な熱ではない。

私の魂に直接染み込むような、深く、守られているという感覚の温もりだった。

*この人は、誰?*

私の心は混乱し、追いつこうと必死だった。

私は捨てられ、傷心していた。そして今、この見知らぬ男が、まるで私が彼の宇宙の中心であるかのように私を見つめている。

彼は優しく、しかし断固として私を彼の車へと導いた。片手を私の背中に当て、その安定した、地に足のついた圧力が心地よかった。

「凍えている」

彼は低い唸り声のような声で言った。

「暖かい場所へ行こう」

私はあまりの衝撃に抵抗できなかった。

彼が私を助手席に座らせるのに任せた。

車内は黒い革と磨かれたクロームで統一され、暖かく乾いた空気に満ちていた。

それは外の嵐と、私の中の嵐からの聖域だった。

彼が運転席に滑り込むと、その圧倒的な存在感が空間を満たし、そこをより小さく、そして無限に安全な場所に感じさせた。

彼は私に質問を浴びせなかった。

ただ運転し、その大きな手はハンドルを確実に握り、銀色の瞳が時折、静かで強烈な探るような視線で私に向けられた。

私たちはきらめく、雨に洗われた翠明市の通りを抜け、彼が雲を突き刺すような、洗練された近代的な超高層ビルの地下駐車場に車を停めるまで走り続けた。

ここは桐山タワー、桐山グループの本社だ。

桐山 彰人。

その名前が、頭の中でカチリとはまった。

この地域全体で最も強力で、謎めいて、そして恐れられているアルファ。

蓮が必死に感心させようとしていた男。

彼のペントハウスは最上階にあった。

ガラスと鋼鉄、そしてミニマリストな家具で構成された広大な空間。

床から天井までの窓からは、眼下に広がる街の息をのむようなパノラマが見えた。暗く嵐の空を背景にした、光の海。

この場所全体が、私が蓮と共有していた冷たく伝統的な家とは正反対だった。

この空間はモダンで、力強く、そして生きていた。

静かなエネルギーが、彼そのもののように響いていた。

彼は私を柔らかい革のソファに導き、一瞬姿を消した後、厚手のカシミアのブランケットを持って戻ってきた。

彼はそれを私にかけ、その指が私の腕に触れた。

その接触に、静電気のような衝撃が私を貫いた。

「お茶を淹れよう」

彼は、今はより柔らかな声で言った。

彼がいない間、私はブランケットにくるまり、彼のジャケットの重みがまだ肩にかかっていた。

彼の家を見回した。

男性的で整然としているが、冷たい感じはしない。

広いモダンな暖炉では火が燃え盛り、その炎が磨かれたコンクリートの床に暖かく、踊るような光を投げかけていた。

空気は燃える木と、彼の独特で酔わせるような香りがした。

三年ぶりに、私は…安全だと感じた。

見られている、と。

彼は蒸気の立つお茶を二つのマグカップに入れて戻ってきた。

一つを私に手渡し、彼の指が私の指を必要以上に長く包み込んだ。

陶器の温もりが、凍えた私の手に染み込んでいく。

彼は私の向かいのアームチェアに座った。私を圧迫することなく、しかし彼の守られているという存在感を感じられるほど近くに。

彼はただ待っていた。その銀色の視線は忍耐強い。

そして、物語は私から溢れ出した。

私は彼にすべてを話した。

記念日のディナー。絶え間ない言い訳。他の女の香り。車の中での、最後の、残酷な言葉。

完全で、徹底的な見捨てられ。

私は低い、震える単調な声で話した。

長い間抑えてきた涙が、ついに私の顔を流れ落ち、冷たい肌に熱く感じられた。

桐山 彰人は、聞いた。

彼は口を挟まなかった。

ありきたりの慰めの言葉も言わなかった。

ただ聞き、私が話す言葉ごとに、その表情は暗くなっていった。

静かで、煮えたぎるような怒りが彼の瞳に宿り始めた。それは完全に蓮に向けられた、危険な炎だった。

彼の顎は、筋肉が動くのが見えるほど固く食いしばられ、その手はアームチェアの肘掛けで白くなるほど固く握りしめられていた。

私が話し終え、声が詰まった嗚咽に消えていった時、彼は「お気の毒に」とは言わなかった。

彼は言った。

「愚かな男だ」

その言葉は、絶対的な確信をもって語られ、私の中の壊れた空間に落ち、何か新しいものを築き始めた。

彼は私を、哀れむべき虚弱な重荷とは見ていなかった。

彼は私を、捨てられた宝物として見ていた。

彼の静かで、守られているという存在感の中で、私は可能だとは思わなかったほどの明晰さを感じた。

長年の精神的虐待が剥がれ落ち、私は自分の結婚生活が何であったかを理解した。

それは、牢獄だった。

私はソファで、彼のブランケットに包まれて眠った。

そして何年かぶりに、私の眠りは深く、夢を見なかった。

翌朝、私はコーヒーの香りと、巨大な窓から差し込む新しい日の柔らかな光で目を覚ました。

嵐は過ぎ去っていた。

彰人は窓際に立ち、マグカップを手に、すでにパリッとしたシャツとダークなズボンを身に着けていた。

彼は自分の領地を見下ろす王のようだった。

私が身じろぎすると彼は振り返り、その瞳に小さく、ほとんど気づかないほどの柔らかさが浮かんだ。

「おはよう、莉央」

彼の唇から自分の名前を聞くのは、違って感じた。

それは…しっくりきた。

彼の静かな怒りの炎と、彼の保護の安全性の中で鍛えられた新しい決意が、私の骨の髄に宿っていた。

私は何をすべきか分かっていた。

蓮の犠牲者でいるのはもう終わりだ。

虚弱でいるのはもう終わりだ。

私は起き上がり、もつれた髪を顔から払った。

「あなたの電話、借りてもいい?」

彼は一言も言わずにそれを手渡した。

私は家族の弁護士の番号を見つけた。何年も話していない男だ。

私の手は震えていたが、私の目的は背骨に鋼鉄の棒が入っているかのようだった。

弁護士の古川先生は、二回目の呼び出しで出た。その声はプロフェッショナルにきびきびしていた。

「古川先生、莉央です」

私の声は、落ち着いていた。冷たかった。自分自身の耳にも馴染みのない声だった。

「蓮アルファとの離婚手続きをお願いします。理由は、番いの絆のネグレクトと不貞行為です。すぐにでもお願いします」

電話の向こうで、驚愕の沈黙があった。

「莉央さん?本気ですか?」

「これほど確信したことは、生涯ありません」

私は言った。

顔を上げると、彰人の強烈な銀色の視線とぶつかった。

彼はゆっくりと、意図的に承認の頷きをした。

それが必要なすべての励ましだった。

「彼からは何も要りません。すべてを断ち切ってください」

私は電話を切った。通話終了のクリック音が、静かな部屋で銃声のように響いた。

終わった。

私の古い人生との最後の繋がりが、断ち切られた。

私はもう後戻りできない地点を越えた。

私を拒絶した狼のもとへは、もう戻れない。

目もくらむような解放感が私を洗い流し、それはあまりにも強烈で、恐ろしかった。

しかし、アドレナリンが消えると、めまいの波がそれに取って代わった。

部屋が激しく傾く。

視界の端から、黒い闇が忍び寄ってきた。

過去十二時間、私を支えてきた力が、一気に崩れ落ちた。

「彰人さん」

私は喘ぎ、手を頭にやった。

私は倒れた。

彼は信じられない速さで動き、一瞬で部屋を横切り、私が床にぶつかる前に私を捕まえた。

彼は私を腕の中に抱き上げ、その硬い胸にしっかりと抱きしめた。

私の頭は彼の肩にもたれかかり、体はぐったりとしていた。

そして、それが起こった。

私の胸の月長石のペンダントが、それまで優しい温もりの源だったものが、突然爆発した。

眩い、天上の光、銀色で輝かしい光が石から溢れ出し、私たち二人を包み込んだ。

それは厳しい光ではなく、忘れ去られたエネルギーで響く、強力で古代の光だった。

私は肌に、心臓のすぐ上に、奇妙な、焼けるような熱を感じた。

それが始まったのと同じくらい速く、光は収まった。

彰人は私を抱きしめ、その体は緊張し、息をのんでいた。

私は弱々しく身を起こし、まぶたを震わせながら開けた。

下を見ると。

そこには、私の白い胸の肌に、輝く、複雑な紋章があった。

それは三日月が輝く星を抱く渦巻く模様で、きらめく銀色の光で私の肌に刻まれていた。

それは月光で作られたタトゥーのように見えた。

長く失われた、伝説の血筋の象徴。

その瞬間、床に落ちた彰人の携帯が激しく振動した。

画面が緊急警報で光った。すべてのセキュリティを迂回する、最優先メッセージ。

彼はそれを見下ろし、その銀色の瞳が信じられないという表情と、忍び寄る恐怖で大きく見開かれた。

彼はメッセージを読み上げた。その声は低く、厳しい囁きだった。

「『月の女帝が覚醒した。奴らは知った。彼女は、絶体絶命の危機にある』」

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