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朝目が覚めたとき、私は魔女でした の小説カバー

朝目が覚めたとき、私は魔女でした

現役大学生である姫野雫の日常は、あまりにも唐突に幕を下ろした。大学での講義を終え、疲れ果てて自宅のベッドに身を投げ出した彼女は、抗いようのない眠りに落ちてしまう。しかし、次に目を覚ました彼女を待っていたのは、見慣れた自室の風景ではなかった。差し込む陽光に照らされていたのは、見たこともない調度品や見知らぬ天井。そして傍らには、黒と白が基調のワンピースと、怪しく光る黒紫の三角帽子が置かれていた。さらには、ただの木の棒とは思えない「魔法の杖」までもが彼女の手に届く場所にあったのだ。こうして、朝の目覚めとともに異世界への転生を果たした雫は、伝説に語られるような魔女としての人生を歩み始めることになる。元の世界での常識が通用しない未知の環境で、彼女は魔法の力を糧に広大な世界へと足を踏み出す。果たして、魔女となった雫の行く手にはどのような出会いと試練が待ち受けているのだろうか。新しい自分を受け入れ、一歩ずつ進む彼女の冒険が、今ここから静かに、そして鮮やかに幕を開ける。
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魔法国マーキスクロック。

ここは魔法使いのみが住める街で、特に魔女・魔女見習いが多くいる国らしい。

 なにせ、この世界の事は何もわからないから、その国に行ってみないとなにも分からない。私は転生者だから。

 魔法国マーキスクロックにリエルジーから馬車や徒歩で、約1日かけてのんびり周りの風景を見ながら来た。

 ところで、なんで私が魔法国マーキスクロックに来ているのかと言うと、昨日家に帰ったら魔法協会から木箱が届いて、中に入っている手紙に魔法協会に来るようにと言われたから。

 なんで呼ばれたかって言うと、どうやらこの世界には魔女の名簿があるらしくて、そこに私の名前が入っていないから呼ばれたらしい。でも、名前が入っていないのは私がつい4日ぐらい前にこの世界に転生したからだ。てっきりそれに対しての手続きも済んでいるものだと思った。

 まぁ、この世界に名簿というシステムがあることを転生して3日経った時に知ったんだけど。

 あれ? そういえば、日本語でもない文字がなんで読めるんだ?

 英語はそれなりに読めるけど、筆記体は読めないし。

 転生した影響かな?

 でも、そうとしか考えられない。

 魔法国マーキスクロックに到着して魔法協会を探さないと。

この国意外と大きくて、いくら魔女用の地図があっても迷っちゃいそう。

 魔法国マーキスクロックを少し歩いて分かったことがある。

この国の魔法使いは全然空を飛んでいない。禁止しているのかも。

 そういえば魔法協会の位置が分からないな。

 地図には「魔法協会」とも書かれた所がどこ見てもないから。

 そう困っていると、

「アリーシャさんですか?」

「はい。そうですが」

 だれ? 

ぱっと見魔女だけど。いや、魔女しかいないのか。この国は。

「私は魔法協会の魔女サラです。アリーシャさんを案内するために来ました」

 私に声をかけてきた人は魔女のサラさんらしい。

 見た目は魔女・・・だけど、ローブの色が赤紫色に近い色のローブを着ている。

 ローブの色ってなんでもいいの?

 私はこの色のローブしかなかったからこれだけど。

 てか、ローブの色はどうだっていいや。

「ありがとうございます。魔法協会の場所がわからなくて困っていたので助かります」

「そうだったんですか。良かったです。ご案内します」

 魔女のサラさんに案内されて、魔法国マーキスクロックの街並みを見ながら魔法協会を目指して歩く。

 ゴミが一つも落ちていない綺麗な街だし、今日は快晴で日の光でマーキスクロックの街並みが綺麗に見える。それに、ときどきいろんなところからいい匂いがしてきて、だんだんお腹が空いてきた。そういえば、朝に少し朝食を食べたっきり何も食べてないし、今ちょうど太陽が空の真ん中に来ているからお昼の時間だ。用事が済んだら、お昼食べて帰ろうかな。

サラさんに連れられて15分程度で魔法協会の門の前に着いた。魔法協会はとっても大きくて、ドイツのケルン大聖堂みたいでいかにも魔法国の象徴に相応しい建物だ。それにしても大きいな。どのくらいの高さあるんだろう。

「アリーシャさん。ご自宅に届いたバッジはありますか?」

「今付けています」

「ありがとうございます。これから魔法協会に入るのに必要となるので、無くさないようにしてください」

「分かりました」

 門の前に立つと、門を開ける人がいないのに自動で門が開いた。この世界に自動ドアは無いだろうから、おそらく魔法の力だろう。

 魔法にこんな使い方があるんだ。

 門をくぐって、魔法協会の庭に出た。

 魔法協会の庭はとっても広くて、いろんな形をした花壇がたくさんあって、いろんな花が植えてある。

 その中には私が見たことのない花が植えてあったり、私がよく知っている花もある。

 ここでお昼を食べたいな。楽しそう。

「とってもきれいですね」

「この庭はここの魔法協会の会長さんの趣味なんです。すべて魔法で管理しているのではなく、会長を含めた10人程度の魔女が手作業で管理しています」

「なんで魔法で管理しないんですか?」

「この規模を魔法で管理すると、膨大な魔法陣と魔力が必要になってしまうのです。だから魔女の手で管理をしているのです」

 確か魔法の本に「魔法を使いすぎると自身の魔力が無くなって、自身の一部分・記憶・命を代償にして魔力を補うことが出来る」って書いてあったな。

 てことは、魔法で管理するには一人分の魔力では足りないってことか。

 でも、一人だと魔力が足りないってことは、他人の魔力を使うっていうのは出来ないのかな?

「あの、サラさん。他の魔女の魔力を使って魔法を使うっていうのは出来ないんですか?」

「それをすることは出来ません。いえ、出来ますが魔法協会に定めてある法律によって禁止されているのです。もし、その行為を行った場合、させた側は死刑。した側は10年以上の懲役刑が課せられます」

「そうなんですか。それで手作業で管理しているんですか」

「そういうことです」

 魔女サラさんと魔法協会の庭を抜けて、建物の大きな扉の前に来て、一回立ち止まる。

 すると、魔法協会から送られてきたバッジと、サラさんの胸に付いているバッジが光って、大きな扉が「ゴゴゴゴ」と音を立てながらゆっくり開いた。

 これも魔法の力か。

 ここで私は一つ疑問が出た。

 もしこれが魔法で開け閉めしているのなら、この膨大な魔力はどうやって発生させているんだろうかと。

 他人の魔力を使うことが法律上出来ないのなら、この建物自体に膨大な魔力が存在していることになる。

 そしてそう考えると「さっき通った門は一体どうやって開閉しているのか」という疑問も出てくる。

「サラさん。さっきの扉は魔法ですか?」

「魔法です」

「てことは、この協会自体に魔力が存在しているのですか?」

「いえ、この協会はただの建物です。この協会自体に魔力は存在しません」

「じゅぁ、どうやって」

「協会には魔力はありませんが、あの扉と私たちが付けているバッジには魔法陣が組み込まれてて、このバッジが扉に近づくと私たちの魔力が使われて開くようになっています。外にあった門も同じ仕組みです」

 つまり、このバッチは現代でいうICカード的なものという解釈でいいのかも。

 扉の説明を聞きながら、階段で次の階に上がって行って、一つの扉の前に立ち止まった。

 会長室? 扉に付けてあるプレートにはそう書いてある。名簿に名前を入れるのに魔法協会の会長に合わないといけないのかな?

 それとも、魔法協会の名簿に名前が無い事が、会長に合わないといけないぐらいの一大事なのか。

「名簿に名前を入れに来ただけ」と思っていた思いが徐々に不安になってきた。

「アリーシャさんをお連れしました」

 サラさんがそう言って会長室の扉を開けて、手を差し伸ばした。

「どうぞ」

「し、失礼します」

 私が会長室に入ると「では」と言って扉の外に消えていった。

 う、会長と一対一。気まずい。

 てっきりサラさんもいるものだと思った。

「お座りください」

 会長室にあるソファーに手を差す。

「私はこの魔法協会会長のミールです」

「アリーシャです」

「アリーシャさんはなんて言われて魔法協会に来ました?」

 なんて言われて来たか? 魔法協会の名簿に名前が無いってあの手紙に書いてあったから来たんだけど。

 だから会長のミールさんのところに連れてこられたと思っていたけど。

「えっと、魔法協会の名簿に名前が無いと手紙に書いてあって来ました」

「あ~、サラさんはそう手紙に書いたんですね。あなたをこの魔法協会に呼んだのは、あなたが突如現れたからです」

 え? どういうこと? じゃぁ、協会の名簿に名前が無いっていうのは嘘ってこと?

「えっと、じゅぁ、名簿に名前が無いっていうのは」

「嘘ですね。サラさんにはあなたが必ず魔法協会に来るように手紙と、あなたが胸にしているバッジを送るように言ったんです。あなたの名前はちゃんと名簿に書いてあります」

「そうなんですか」

 協会の名簿に名前があることについては安心したけど、さっきミールさんが言い放った「あなたが突如現れたからです」については安心していない。

「それでは本題に入ります。あなたは転生者ではないですか?」

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