裁かれぬ凶行 の小説カバー

裁かれぬ凶行

9.1 / 10.0
5年前、凄惨な校内いじめ事件を担当した弁護士の私は、加害者家族の傲慢な態度と法の壁に直面する。凄惨な暴行の末に被害者は自ら命を絶つが、加害者は未成年であることを盾に裁きを逃れようとする。「裁かれぬ凶行」は、現代社会の歪みと少年の残酷さを描くmodernホラー。金と権力で隠蔽された真実、そして「たとえ人を殺しても刑務所には入らない」と言い放つ加害者の狂気に震えるmystery作品。話題のweb novelで、法で裁けぬ悪への追及が始まる。
「裁かれぬ凶行」のあらすじ
5年前、私はある中学校で起きた凄惨ないじめ事件を担当した。加害者はわずか13歳の少年であったが、その犯行内容は常軌を逸していた。被害者に対して排泄物の摂取を強要し、執拗な性的暴行を繰り返すという、あまりにも残忍で非人道的な手口だったのだ。心身ともに深く傷ついた被害者は、重度のうつ病を発症した末に自ら命を絶つという最悪の結末を迎えてしまった。しかし、事態が明るみに出ると、加害者の両親は反省するどころか、莫大な金に物を言わせて隠蔽工作を図った。彼らは私に対して卑劣な偽証を強要したばかりか、「息子は未成年なのだから、いじめはもちろん、たとえ殺人を犯したとしても刑務所に入る必要などない」と勝ち誇ったように言い放ったのである。法律の壁に守られ、罪から逃れようとする加害者一家。法と倫理が揺らぐ中、裁かれることのない凶行が残した傷跡は、今もなお深く暗い影を落としている。未成年という免罪符を盾に悪行を正当化する傲慢な親子と、救われなかった被害者の悲劇を描く、衝撃の現代ミステリー・ホラー。
もっと見る

裁かれぬ凶行 第1章

五年前、私はあるいじめ事件を担当したことがある。

加害者は、わずか十三歳の子供だった。

その手口は極めて残忍で、糞便を食わせ、尿を飲ませ、性的暴行を加えるなど、悪質を極めていた。

結果、被害者は重度のうつ病を患い、手首を切って自ら命を絶った。

事態が大きくなるのを見て、加害者の両親は金で解決しようと図った。

私に偽証を迫るだけでなく、こう豪語したのだ。「うちの子は未成年だ。いじめどころか、人を殺したって刑務所には入らないんだぞ!」

1.

一本の通報を受け、私は現場に急行した。

学校のグラウンド。

人だかりをかき分けると、芝生の中央に若い男子学生が意識を失って倒れていた。身体は絶え間なく痙攣し、額にはびっしりと冷や汗が浮かんでいる。

私はすぐさま彼のそばに駆け寄り、人中を強く押し、脈拍と呼吸を確認しながら、声をかけて意識を呼び戻そうと試みた。

しかし、彼は全く反応がない。明らかに重度の昏睡状態であり、一刻も早い搬送が必要だった。

ここは大学で、本物の警察官を間近で見るのが初めてだという学生も多い。

私が駆けつけると、彼らは怖がるどころか、好奇心からさらに輪を大きくした。

口々に好き勝手なことを言い始める。「周勇智が八百メートル走の体力測定で倒れただけだろ?殺人事件でもないのに、なんで警察が?」

「だよな。こんなことで警察を呼ぶなんて、大学も大袈裟だ」

その会話を耳にした私は、眉をひそめた。(こういう状況なら、まず救急車を呼ぶべきじゃないのか?なぜ先に警察に?)

とはいえ、今は人命が最優先だ。

私は救急車を要請した後、野次馬の学生たちに散るよう手を振って指示した。

彼らが壁を作っては空気の流れが妨げられ、意識不明の周勇智にとって良いことなど一つもない。

その時、けばけばしい身なりの女教師が私の前に走り寄り、悪意ありげに言った。「誰も通報なんてしてないのに、どうして来たの?」

私は彼女を一瞥した。楊暁。金持ちの男に身体を売って、今の地位を手に入れた女。そのことを思い出すと、胸にむかつきがこみ上げてくる。

口から出た言葉も、自然と皮肉を帯びた。

「おや、楊暁じゃないか。いつから中学校の国語教師が大学の指導員に昇進したんだ?」

その言葉に、彼女の顔色が一変し、慌てて手で私を制した。

私は嘲笑を浮かべ、肩をすくめる。「もういいさ。あんたのろくでもない過去は、私が言わなくても知っている人間はいくらでもいる」

その時、携帯が鳴った。急いで応答する。

電話の向こうから、泣きじゃくる女性の声が聞こえた。

「袁刑事、息子は……息子はどうなんです!?」

声の主は李艾。倒れている周勇智の母親だ。

彼女の夫、周明義はこの市で指折りの企業家である。

夫妻は日頃から市の学校建設に多額の寄付を行い、多くの福祉施設も支援していた。

そのため、皆は敬意を込めて彼女を「艾さん」と呼んでいた。

「艾さん、まだ意識が戻りません。救急車はもうすぐ到着します」

私の言葉を聞くやいなや、彼女の声が金切り声に変わった。有無を言わせぬ、ヒステリックな口調だった。

「袁刑事、これは王亜鵬の報復よ!自分の息子が死んだのはうちの息子のせいだって、逆恨みしてるの!早くあいつを捕まえて!でないと、うちの子が本当に殺されてしまうわ!」

私は呆気に取られた。まるで市場で白菜でも選ぶかのような物言いだ。これがいいから、袋に入れて持って帰るわ、とでも言うように。

彼女がこれまで何不自由なく暮らし、司法手続きに疎いことを考慮し、私は咳払いをして冷静に諭した。

「艾さん、人を逮捕するには確たる証拠が必要です。現時点で、王亜鵬がご子息に危害を加えたと証明できるものは何かお持ちですか?」

「彼に殺人の動機があったとしても、それだけで犯人と断定することはできません」

「それに、私が見た限りでは、周勇智さんはただ意識を失っているだけです。すべては病院の検査結果を待たなければ……」

そこまで言った時、救急車が到着した。

私は電話を切り、救急隊員と共に周勇智をストレッチャーに乗せて車内へ運び込む。

まさに車に乗り込もうとした、その瞬間だった。楊暁が私の腕を強く掴み、険しい表情で囁いた。「袁源、私たちは一蓮托生よ。艾さんに逆らわない方が身のためだわ。もしあなたが賄賂を受け取っていたことが明るみに出たら……あなたのキャリアは終わりよ!」

続きを読む

裁かれぬ凶行 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2
Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

アルファの偽りの番、オメガの静かなる戦い の小説カバー
8.7
最下層のオメガである私は、アルファのカイネと「運命の番」として結ばれ、幸せな物語の中にいた。彼の世継ぎを身籠って八ヶ月、その愛を疑うことなどなかった。しかし、偶然見つけた羊皮紙がすべてを覆す。彼は一年前、別の女のために世継ぎを成せぬ体となる儀式を済ませていたのだ。私との日々は、彼とその部下たちが仕組んだ残酷なゲームに過ぎなかった。お腹の子の父親が誰かを賭けの対象にされ、寒い夜には慰みものとして嘲笑われる。さらに彼は私に薬を盛り、最愛の女性であるセイラに私の膨らんだ腹を蹴らせ、意識を失った私の体を部下たちへの褒美として差し出した。信じていた未来は、吐き気を催すほど歪んだ娯楽として踏みにじられた。心も体も無残に引き裂かれた私は、絶望の淵でただ壊れたわけではない。その心は氷のように凍てつき、復讐の炎を宿した。私は禁忌の薬草を煽り、自らの手で胎内の命を断つ。これは絶望による幕引きではない。私を弄んだ者たちすべてを地獄へ引きずり戻すための、孤独で苛烈な戦争の始まりなのだ。
覚醒ヒロイン、IQはタコ超え の小説カバー
8.2
人気俳優との別離を機にダイビングへ向かった私は、巨大なタコから墨を浴びせられるという奇妙な災難に見舞われた。しかし、その瞬間から私の体質は激変する。タコが持つ九つの脳、八本の触手、そして三つの心臓という驚異的な遺伝子が私を侵食し始めたのだ。かつて私を翻弄し続けてきた「恋愛脳」は霧散し、圧倒的な知性を誇る「仕事脳」へと覚醒を遂げる。覚醒した知能は、周囲の人間の本性も残酷なほど明確に映し出した。私は裏表のあるマネージャーを即座に解雇し、自らの人生を完全に支配下に置く。ネット上の論争でも数百人を一蹴するほどの知略を手に入れたある日、元恋人の俳優から連絡が入る。既読無視を責める彼に対し、私は冷徹に、そして誠実に告げた。「今の私は、あなたという存在では満足できないほどに賢くなりすぎてしまったの」と。感情に溺れていた過去を捨て、人知を超えたIQを手にした一人の女性が、自らの意志で世界を再構築していく。
拾った子がまさか億万長者の息子だったなんて!? の小説カバー
8.0
「不妊である」という冷酷な宣告を突きつけられ、清水瞳は四年前、鈴木家を追われるように去った。絶望に打ちひしがれた彼女は、逃げるように辿り着いた地方の町で、激しい雨に打たれ捨てられていた赤ん坊を救い出す。その子を育てる決意をした瞳にとって、息子との暮らしは生きる希望そのものだった。しかし四年後、彼女の質素な住まいに高級車が列をなし、一人の男が現れる。大富豪である天草蓮は、ブラックカードを無造作に差し出し、多額の報酬と引き換えに実子である少年を連れ去ろうとした。瞳は必死に息子を庇い、命を懸けて守り抜く覚悟を鋭い眼差しで蓮にぶつける。我が子を誰にも渡さないと言い放つ彼女の強い意志と、眩しいほどの気高さに触れた蓮は、不敵な笑みを浮かべた。彼は息子を抱き上げるだけでなく、瞳の腕をも強引に引き寄せ、驚くべき宣言をする。子供だけでなく、彼女自身もまとめて自分の手中に収めるというのだ。そこから、孤独な母子と傲慢な億万長者の、新たな運命が動き出す。
砕けた心の鎮魂歌:冷徹な夫への永遠の別れ の小説カバー
7.9
結婚3周年の記念日に小松原静が目撃したのは、夫である鷹司暁が別の女性と情事に耽る衝撃的な姿だった。暁は静に贈られたネクタイを外し、静との関係をただの政略結婚だと冷酷に切り捨てる。怒りを抑えて離婚を突きつけた静だったが、鷹司グループの権力者である暁は書類を破り捨て、跡継ぎを産む義務を強要して彼女を力ずくで押さえつけた。さらに彼は静のカードを止め、職を奪うことで彼女を孤立させ、徹底的な支配を試みる。しかし、暁は知らない。4年前に彼を救うために遭った事故で、静がすでに子供を産めない体になっていることを。代わりの女のために妻としての尊厳を無惨に踏みにじる夫の傲慢さが、静の心に冷徹な復讐の炎を灯す。絶望の淵に立たされた彼女は、自分を追い詰めた夫を「死人以下」と断じ、その権力に抗うための壮絶な反撃を開始する。愛が憎しみに変わる時、静はすべてを賭けて自らの尊厳を取り戻す戦いに身を投じていく。
離婚届にサインしたら、私は元夫では手の届かない真の令嬢でした の小説カバー
9.5
交通事故で視力を失い、誰からも見捨てられた蕭明隼人を救ったのは、明石凛ただ一人だった。彼女は彼と結婚し、三年の歳月を費やしてその目を治療する。しかし、視力を取り戻した隼人が彼女に突きつけたのは、あまりに非情な離婚届だった。かつての恋人・秋子との時間を奪ったと凛を責め立てる彼は、三億円の宝飾品を贈り、彼女を冷酷に追い出す。世間からも「身の程知らず」と嘲笑され、全てを失ったかのように見えた凛。だが、彼女こそが隼人の目を治した名医であり、三億のジュエリーを手がけたデザイナー、さらにはウォール街やハッカー界を震撼させる伝説の天才にして、大統領家の真の令嬢という正体を持っていた。真実を知り、後悔に震えながら復縁を乞う元夫の前に、京の実業界に君臨する冷徹な権力者が現れる。「彼女は俺の妻だ」と宣言し、凛を抱き寄せる男。その傍らで、彼女は余裕に満ちた微笑を浮かべる。かつての献身を捨て、真の輝きを取り戻した令嬢による、華麗なる逆転劇が幕を開ける。
追放されたら、私が億万長者の万能チートだった件! の小説カバー
7.9
20年間、名家のお嬢様として育てられた清辞だったが、DNA鑑定で血縁がないと判明した途端、婚約破棄と追放の憂き目に遭う。SNSで嘲笑され実家を追い出された彼女を待っていたのは、想像を絶する「真の実家」だった。ハスキーボイスが魅力的な実父に加え、金融界の天才やトップ俳優、医学界のエースに敏腕社長という、妹を溺愛する4人の兄たちが彼女を迎え入れる。しかし、清辞自身もただ守られるだけの存在ではない。伝説のハッカー、フォーミュラカー開発者、ダンス界最年少審査員といった驚愕の裏の顔を次々と露わにし、世界を震撼させていく。かつて彼女を蔑んだ元家族が「名前を出すな」と吠えれば、電話一本でその供給網を壊滅させ、浮気した元婚約者が新しい恋人を自慢すれば、京の街を支配する絶対的権力者が彼女の夫として立ちはだかる。偽物という汚名を返上し、圧倒的なスペックと権力で敵を徹底的にねじ伏せる、最強お嬢様の逆転劇が幕を開ける。文句がある奴は全員、その実力で黙らせるのみ。
今すぐ読む
共有