フォローする
共有
今日ノソライロ の小説カバー

今日ノソライロ

神奈川県に暮らす中学3年生の本山明日美は、突如として過酷な運命に巻き込まれる。ゾンビが蔓延し崩壊の危機に瀕した世界を救うため、未来からやってきた少女・友里亜が彼女の前に現れたのだ。明日美はこの未曾有の災厄に立ち向かうべく、個性豊かな仲間たちと共に戦いに身を投じていく。クラスメートで剣道の天才・山崎祐太とその兄である弓道の名手・一翔、さらに薙刀を操る村田里沙や杉野奈央、そして少し風変わりな幼馴染といった現代の精鋭たちが集結。それだけではなく、源平合戦の英雄・源義経やその忠臣である佐藤兄弟、伊勢三郎、さらには元寇で名を馳せた竹崎季長といった、時代を超えた伝説の戦士たちも参戦し、最強のチームが結成される。過酷な避難所生活や凄惨ないじめ、歪んだ正義感による葛藤など、一行の前には幾多の困難が立ちはだかる。明日美たちは凄まじい逆境を乗り越え、絶望に染まったこの世界の未来を取り戻すことができるのか。時空を超えた絆と勇気が試される、壮大な冒険と戦いの幕が今、切って落とされる。
共有

3

幼馴染みが帰ったあと、わたしはふと、考えた。

幼馴染みと出掛けるのって、どんな感じなのかって。もちろん、祐太たちも行く。後で確認したら、里沙と奈央も行くって。ますます楽しみだ。早く土曜日来ないかな~。

お風呂に入り、歯を磨いて、ベッドに横たわる。

 気づいたら寝ていたようだ。

「明日美~起きろ!」

階下から、父の呼ぶ声がした。しまった!!目覚まし時計をセットするのを忘れた。

あわてて、時間を確認すると、目覚まし時計の針は、7時15分を指していた。

ーーヤバいじゃんーー。

大急ぎで、ご飯を食べる。そして、歯を磨いて、セーラー服に着替えて、7時40分に家を出る。

ーー間に合ったーー。

まだまだ十分余裕があるので、ゆっくりと自転車を走らせる。

 すると、川の近くの橋に、祐太、一翔、義経、忠信、継信、義盛、季長がいた。

ーーだからその格好で出たらヤバいでしょーー。

わたしは、彼らの方を向いた。

彼らはすぐに気づいて、こちらに、手

を振ってくる。

わたしも、自転車のハンドルからてを離して、彼らにてを振り替えした。

 次の瞬間だった。そのまま、バランスを崩し、チャリごと川へダイブしたのだ。

ーーザッブーンーー。

すごい音がした。まだ四月。水に入るのはまだまだ寒い。ましてや川なんて余計に寒い。

突然の出来事で、祐太たちはキョトンとしている。

やっと状況が理解できたのか、今度はうちを助けようとする。

「さむーい。」

「おーい、上がってこれるか!?」

祐太に声を掛けられ、上がろうとするけど、セーラー服が大量の水を吸って、思うように体が動かない。

「うん、今、上がる。」

しかし、足を滑らせて、また、落ちてしまった。

ーーザブーンーー

「明日美ちゃん、大丈夫?引き上げようか?」

一翔に聞かれ、

「うん、引き上げてぇ 、、、。」

と、みっともない声で言ってしまった。

引き上げてもらい、一応お礼を言う。

でも、寒い。

スカートの水を絞りながら、ぶるぶる震えている。

ーー朝からろくなことがない。ーー

「もう、なんでわたしばっかりついてないの・・・。」

「まっ、頑張れ。」

「朝からこれだもの。頑張る気力皆無だよ。」

はぁー。風邪引いちゃうよ。

「ねぇ、祐太、タオル持ってない?」

「持ってないなー。」

「じゃあ、よっちゃん、タオル持ってる?」

「たおる?何だ、それ?」

あっまたやってしまった。義経の時代にタオルなんてないよなー。

って、誰も持ってないんだな。

だいたい、そちら様が手ぇなんかこっちに向かって振るからでしょ!?

心の中で文句を言っておいた。

「これから、どうしよう・・・。」

「とりあえず、一回、家へ帰るか?送っていくよ。」

「えっ!?祐太に一翔、学校はいいの!?」

「まっ、良い言い訳を考えるから。」

ありがとう・・・。はぁー、なんでわたしって人に迷惑ばっかり掛けちゃうのか・・・。

自分に嫌気がさす。

わたしのせいで、祐太と一翔は、学校に遅れるし、わたしは見事に風邪を引いた。

ーーだいたい、そちら様が手ぇなんかこっちに向かって振るからでしょ!?ーー

そんなことを思った自分に吐き気がする。

友達に向かって手を振るのは当たり前だ。幼馴染みなら、なおさら。

わたしって、酷い奴だな。

ベッドに横たわりながら、そんなことを思った。

熱も出てるし、土曜日は行けるのかな?

すると、コンコン、とドアがノックされた。

お母さんだ。

「明日美、奈央ちゃんと里沙ちゃん来ているよ?」

「うん。部屋に入れて。」

暫くすると、母が、奈央と里沙を連れて、やって来た。

「大丈夫?熱はない?」

里沙が聞いてくる。

「うん。微熱。」

「じゃあ、はい、これ。」

渡されたのはいかにも美味しそうな焼きたてのクッキー。見ているだけで香ばしい香りがしてきそうだ。

「美味しそう。ありがとう。」

「後ね、祐太君たちなんか言っていたよ?」

あー。そうですか。っておい!!あのときは慌てて、助けてくれたくせに…!!

「うん、明日美ちゃんらしいってみんな言ってたよ。」

はぁー。後で文句を言ってやる!!

「みんなって誰が?」

「祐太君に、一翔君に、佐藤さんに、伊勢さんに、義経さんに、季長さん、みんなそろって言っていたよ。」

まじか、。まぁなんて言っていたか容易に想像がつくよ。

祐太なんかやっぱりドジの女王とか、一翔は明日美ちゃんらしいやとか、義経とか、

やはり明日美殿は鈍いとか、季長は猪娘とか言ってたりして…。

「うん。確かにそういってた。」

里沙は可笑しそうにしていた。覚えとけよ。必ずあんたたちをからかってやるんだから。

「早く元気になってね。」

「ありがと、奈央。」

「私達、塾だからごめんね。」

「うん、じゃあね。」

幼馴染みも帰って、暇だった。今すぐ、風邪治らんかな~。

「あぁ~誰か食べ物持ってこないかなー。」

「さっきから何、独り言言ってるんだよ。」

聞き慣れた声にびっくりしてドアの方に顔を向けると、いたよ。祐太に一翔に義経に季長が。佐藤君に伊勢君はいないみたいだね。

すると、お母さんが、階下から

「いい忘れたけど、祐太君たち来てるわよ。」

でも、ナイスタイミング!!何か持ってきてくれたかなぁ~。

すると、祐太がなんでもお見通しとでも言うように

「なんだよ。さっきからニヤニヤして気持ち悪ぃ。さては、なんか食べ物持ってきてくれたとでも思ってるんだろ?」

す、鋭い。

「な、なんで分かったの!?」

「明日美殿のことだから。」

義経にしれっと言われた。

「お前、食いしん坊だもんな。」

そういって、祐太が抹茶チョコレートを差し出してくる。

「受け取りなよ。」

一翔はココアを差し出してくる。

「はい、明日美殿。」

義経は干し柿を差し出してくる。

「早く良くなれよ、明日美殿。」

季長は魚の干物を差し出してくる。

「あ、ありがとう・・・。」

どういう訳か、彼らを仕返しにからかってやろうという思いは消え失せていた。

しかも全部うちの好物を持ってくるなんて、さすが幼馴染み。他の人なんか、お見舞いに嫌いなものを持ってくるなんてこともあったし。

「あっ、もうねだったって俺たちなにも持ってねーからな。」

祐太に冷たく言われて、

「はっ!?最初な~。」

「でも、お前の表情からして、何か欲しそうにしてたけどな。」

だから、なんで分かるの!?

「そりゃ、保育からの付き合いだからね。明日美ちゃんの気持ちくらいわかるよ。」

一翔って堅物かと思ったら意外と気さくだもんね。

「あっ、そろそろ。」

「えっ!?もう帰っちゃうの?」

「あぁ。あまり長く居たら、忠信たちに心配されるからな。」

「じゃあな、明日美、早く治せよ。」

「じゃあね。」

彼らも帰って、もらった物を食べていると、

「明日美、晩御飯よ。降りてらっしゃい。」

「うん、今すぐ行く。」

晩御飯はハンバーグだった。

「もう、自転車ごと川へダイブするなんてね。」

お母さんがおもしろそうに言う。

「明日美、お前、幼馴染みとばかりじゃなくて他の子とも仲良くしろよ。」

お父さんに言われて、他の子かぁ~。まぁそこそこ仲良しの子もいるけど。

「まっそこそこ仲良しの子もいるよ。」

「そうか、ならいいが。」

そして次の朝、体調はすっかり良くなっていた。

学校について、すると、クラスメートの女子が、

「ねぇ明日美ちゃん、この前一緒にいた純和風のお兄さん誰?」

えっ!?見られていたの。

「祐太君や、一翔さんと一緒に明日美ちゃんの家を訪ねていたよね?」

彼女の名前は江本夕菜でクラスメートで中学3年になってからわたし達の通う中学校に転校して来た。女子に対しては素っ気ないのに、男子に対してはぶりっこだから彼女のことは苦手だ。

「なんか、教科書で見るような、鎌倉時代の服装だよね。格好はあれだけど結構カッコいいじゃん。」

あぁ........................。義経たちも面倒臭いのに目をつけられちゃったな。

「ねぇ、一体誰なの?」

幼馴染みですって言っても大丈夫かなぁ。

「幼馴染みだよ。」

「明日美ちゃんずる~い。あたしにも紹介してぇ~。」

なんかとんでもないことになったよ。

「ねぇ明日美ちゃん?」

「どうしたの?」

「あたしと友達になってぇ。」

夕菜と友達かぁ・・・・。

「うん・・・。いいよ・・・。」

「本当?ありがとう!!明日美ちゃんって優しいよね!!」

案の定、噂は広がっていた。みんなに和風のお兄さん誰?って聞かれまくって大変だ。

「お……幼なじみです……。彼氏じゃないよ。」

言い訳には苦労する……。

「明日美殿。」

ふと、窓の方から聞き慣れた声が聞こえた。もう……。なんなの~と思って見てみると、

直垂姿のわたしより少し歳上の青年がいた。

「ちょ、ちょっと……よっちゃん!?なんであんたが此処にいるのよ!?」

ちょうど義経達のことが噂になっていたので、みんな大騒ぎだ。

「あっ!!噂のお兄さんだ!!」

「噂すればなんちゃらっていうのは本当みたいね。」

「すげー!!本当に大河で見るような格好してるー」

「あの人、絶対女装似合うよね?」

女装か……。確かに、義経は女子、男子どちらとも取れる顔立ちだし、色白だし、髪の毛だって長いし(当時は男性でもロングヘアーは普通。)

絶対似合うよ……。

裕太や一翔だって結構似合いそうだし、別にうちが男の娘に興味があるわけじゃないけどね……。

そしたら夕菜が彼に近づいて、

「明日美ちゃんと仲良しって本当ですか?」

げ……。とんでもない事を聞いてるし……。

「あぁ、鞍馬寺にいた頃からの友だ。」

おい!!みんなの前でそんなこと言うか!!

このKY武将!!

「明日美ちゃんって4股なの!?」

て言うか、わたし彼氏いません……。

「明日美ちゃんはあなたの許嫁ですか?」

なんて質問してんだよ!!と思ったけど、

「許嫁かどうかは分からぬ……。」

曖昧な返事しないで……。しかも何を赤くなってるの……。

まあ、白い頬がほんのり赤くなってかわいいけど……。

「ねえ、なんで来たの?」

彼に小声で聞くと、

「明日美殿がどこで学問しているか気になっただけだ。」

気にならなくて結構だから……。

「お名前は?」

答えなくて結構だよ……。

「我の名は源九郎義経だ。」

素直に名乗ってるし……。

「すごーい!!明日美ちゃんのボーイフレンドってみんな豪華だよね、羨ましい!!」

うるさい……。

「ではそろそろ……。明日美殿、頑張って学問に励むんだそ。」

応援ありがとう……。

そして彼が帰ってがらがらこれまた大変で……。

「キャー、喋っちゃった!!」

と夕菜はご機嫌モード。

「えー、夕菜じゃなくてわたしが喋りたかった……。」

他の女子が夕菜に文句を言う。

「ダメダメ~美晴ちゃんなんかじゃダメだよ。

やっぱり有名人と話すのはこの夕菜じゃなきゃ!!」

「いつも夕菜ばっかり……」

やっぱり優菜ちゃんは苦手かな……?

「めっちゃ仲良しじゃん!!」

そこからわたしの好きな人詮索が始まったのでした……。

好きな人なんかいません……。

そして、授業も終わり、下校の時間になった。

「明日美、大変だな。」

祐太が心配してくれるけど、大変だってレベルじゃないし。

「何かあったらいつでも言ってね。」

理沙に奈央、本当にありがたい。

すると、建物の裏から変な物音がする。きっと気のせいだろう。

わたしは、道に落ちてる小石を蹴った。

その小石が悪夢の始まりだなんて誰も知らなかった。

カッ!!微かに音がした。すると、何かが不規則な足音をたててこっちに向かってくる。

それに、なんか臭い。まるで何かが腐ったみたいな匂いだ。

「ねえ、なんか臭い。」

「確かに臭いな。」

「うぅ、なんかくるみたい。」

するとそいつが姿を表した。それは、ワンピースを着た若い女性だった。

でも、それは生きている人間じゃなかった。

肌は腐敗して変色し、眼球は白く濁っている。明らかに腐敗臭は彼女から漂っていた。

まるで、ホラー映画で見るようなゾンビそのものだった。

「何よ!!これ!?」

「知らないよ!!なんでこんなのが横浜にいるの!?」

いつもは大人びている里沙と奈央でさえ恐怖に怯えていた。

「ねぇ、祐太、剣道の大会優勝してるよね?」

「でも、いまは木刀とか武器になるのは持ってないぞ。」

そんな............。どうしたら..........。

わめいてる間に女は近づいてくる。明らかにうちらを狙っている。

こういう時に義経や季長、佐藤兄弟や伊勢君がいてくれたなら。

でも、そんなに都合よく彼らはいない。

じゃあどうなるの?

バシッ!!気が付くと、女は倒れていて、

背後におじさんが立っていた。どうやら女を張り倒したようだ。

「大丈夫か!?怪我はないか?」

「ありがとうございます。」

助かった、と思ったのはつかの間。女はおじさんを見えているのかわからない白く濁っている眼球でおじさんを見据えていた。

女はよろよろと立ち上がり、おじさんにつかみかかった。

そして、おじさんに噛みついた。おじさんの腕から鮮血が飛び散る。

おじさんは苦悶の表情を浮かべながらも、

「お前たちは逃げろ。おじさんなんかに構うな!!」

「えっでも・・・。」

「いいから行け!!」

おじさんに強く促されて、私たちは逃げた。

誰か、助けて・・・・・・。

「明日美殿!?」

聞き慣れた声がふと聞こえた。そこには、義経と佐藤兄弟が立っていた。

思わずわたしは義経の腕を掴んでいた。

「な、なんだ?」

突然腕を掴まれて驚いている彼。

「ねぇ、怖い。助けて............。」

私たちはまだ知らなかった。これは悪夢の始まりにしか過ぎなかったのだと。

続けて視聴する!
物語はいよいよ佳境へ!アプリに切り替えて続きを読む
全エピソードをロック解除
公式サイトを開く

おすすめの作品

偽装死から始まる復讐劇 の小説カバー
8.0
誰もが憧れるような理想の家庭を築き、カリスマ建築家の夫と愛する息子に尽くすことこそが私の幸福だった。しかし、その日常は残酷な裏切りによって崩壊する。夫は不倫に溺れ、あろうことか最愛の息子までもがその愛人を新しい母親として受け入れ、私を裏切っていたのだ。結婚記念日の夜、夫が用意した見せかけのサプライズの場で不倫相手が姿を現し、公衆の面前で私との関係を嘲笑いながら暴露した。家族という絆も、信じていた愛もすべてが偽りだったと悟った時、私の心には猛烈な憎悪の火が灯る。私はすべてを捨てて復讐に生きることを決意し、失踪屋の手を借りて自らの死を偽装した。翌朝、世間には「長谷部直世、海難事故で死亡」という偽のニュースが流れる。死人となった私は姿を変え、私から居場所と尊厳を奪い去った者たちを地獄へ突き落とすための冷徹な計画を開始する。これは、絶望の淵から這い上がった女による、壮絶な復讐劇の幕開けに過ぎない。
離婚届と黒いグローブ の小説カバー
9.3
結婚七周年を迎えた記念すべき日、子作りに対する価値観の相違から陸原湊と激しい口論になり、二人の仲に亀裂が入った。その直後、彼の幼なじみがSNSに投稿した写真には、サーキットで親密に微笑み合う湊と彼女の姿があった。周囲も二人を公認のカップルのように扱う。この七年間、危険だからという理由で一度もレース場に招かれなかった自分とは対照的に、彼の傍らには常に彼女がいたのだ。かつては優しかった湊の言葉も、今では義務的な拒絶にしか聞こえない。彼が本当に大切に想っていたのは私ではなく彼女だったのだと悟り、私は結婚指輪を外して湊に離婚を突きつけた。悲しみに暮れる暇はない。私は長年封印していたガラスケースの中の黒いグローブを再び手に取る。時速三百キロの世界を危険だと決めつけ、私を遠ざけた彼への答えは、ハンドルを握るこの手で証明する。愛を捨て去った元妻が、かつての情熱を取り戻して再起する物語。
血に染まる羽衣 の小説カバー
9.6
世間では美談として語り継がれる、天上の仙女と人間の皇帝による愛の物語。しかし、その裏側に隠された凄惨な真実を、娘である阿狸だけは知っていた。母は法力の源である羽衣を奪われ、父によって無理やり人間界に繋ぎ止められていたのだ。七歳の夜、阿狸が目にしたのは、皇帝の腕の中で屈辱に耐え、心身ともに衰弱しきった母の姿だった。母は死の間際、娘の身を案じて「早く逃げなさい」と告げ、自らの命を賭して阿狸に自由を託す。血に染まりながらも、最後には呪縛から解き放たれたような晴れやかな笑みを浮かべて息を引き取った母。その冷たくなった亡骸を抱きしめ、阿狸の手には一本の小刀が固く握りしめられていた。母を苦しめ、その尊厳を蹂躙し続けた者たちへの激しい憎悪が、彼女の心に消えない復讐の火を灯す。母が命を懸けて切り拓いてくれた孤独な道の先で、阿狸は誓う。母を虐げたすべての人間に、必ずや死の報いを受けさせることを。悲劇の連鎖を断ち切るため、彼女は修羅の道へと足を踏み出す。
高温末世、私だけが生き延びる理由 の小説カバー
9.2
養子として育った私は、育ての親への恩義から実の両親の遺産を拒み、家族に尽くしてきた。しかし、未曾有の酷暑が世界を襲う中、私の善意は最悪の形で裏切られる。弟の妻が「跡継ぎを産むための薬」を捨てるきっかけを作ったとして、家族から家系を絶やした元凶だと激しく非難されたのだ。灼熱の地獄へと無慈悲に追い出された私は、焼けつくような暑さの中で孤独に命を落とした。ところが、目を覚ますと終末が訪れる前の過去に遡っていた。二度目の人生では、かつて辞退した莫大な遺産をすべて受け取り、最新鋭の設備を備えた完璧なシェルターを建設。来るべき酷暑への備えを万全に整える。冷房が完璧に効いた快適な部屋で、贅を尽くした料理を堪能しながら、私はただ静かにその時を待つ。自分を死に追いやった身勝手な家族たちが、外の世界で灼熱に喘ぎ、絶望の淵に沈んでいく姿を特等席で見届けるために。今度は私が彼らを突き放し、冷徹にその最期を見送る番なのだ。
私の富、彼の寄生家族 の小説カバー
8.6
月収5000万円を誇る脳神経外科医の私は、自衛隊幹部の夫とその家族全員を養っていた。かつて破産寸前だった彼らを5億円で救った恩返しとして、私は全額自腹でモナコへの超豪華な家族旅行を企画する。しかし出発前夜、夫は元カノの瑠璃を同行させると宣言。さらに、私のプライベートジェットの座席を勝手に彼女へ譲り、私には紛争地を経由する民間機のチケットを突きつけた。「繊細な瑠璃を優先しろ」という夫の言葉に、義家族も同調して彼女を歓迎し、私を蔑ろにする。その夜、私の寝室で私のガウンを纏う瑠璃の姿を目の当たりにするが、夫は彼女を庇い私を責め立てた。翌朝、夫は私への「罰」として大量の荷物運びを命じる。私は静かに微笑み、ある場所へ電話をかけた。「大量の汚染物質がある。すべて焼却処分してほしい」と。産業廃棄物処理業者への依頼を終えた私の反撃が、ここから始まる。
フェニックス再生ー優れた第四目奥さん の小説カバー
7.8
前世で皇太子妃として十余年もの間、後宮の頂点に君臨し権勢を振るった主人公。しかし、信頼していた実の妹に裏切られ、すべてを焼き尽くす凄惨な大火の中で非業の死を遂げることとなった。だが、彼女は絶望の炎の中から、気高く優雅なフェニックスの如く再び現世へと舞い戻る。転生を果たした彼女は、かつての屈辱を晴らすべく自らの手で運命を切り拓き、軍事の要である将軍の陣営へと足を踏み入れていく。智略を尽くして世を動かし、復讐の道を歩む彼女の凍てついた心は、果たして再び愛に震えることがあるのだろうか。戦火に追われ、血に染まった大地でさえも、彼女の眉間に宿る辰砂の美しさには決して及ばない。動乱の時代を舞台に、過酷な宿命を背負った孤独な魂が、真の伴侶を見つけ出すまでの軌跡を描く。壮大なスケールで贈る、愛と復讐のファンタジー・ロマンス。裏切りによって一度は潰えた命が、さらなる輝きを放ちながら、新たな歴史を刻み始める。