フォローする
共有
略奪婚した妹が絶望する横で、私は極上夫に激しく蹂躙される。 の小説カバー

略奪婚した妹が絶望する横で、私は極上夫に激しく蹂躙される。

前世で神代家の次男・蓮也に嫁いだ佐倉澄音は、学者としての功績を夫に奪われ続けた末、悲劇的な転落死を遂げた。一方、長男の真彦と結婚した義妹の詩織もまた、夫の不実により孤独な最期を迎えていた。時を経て、姉妹は過去の記憶を保持したまま運命の分岐点へと回帰する。前世で姉が浴びた脚光を渇望する詩織は、自ら望んで蓮也との結婚を選ぶが、それは澄音が味わった地獄のような搾取の日々を身代わりとして引き受ける選択に他ならなかった。対照的に、澄音は利害の一致から真彦との契約結婚に踏み切る。冷徹な関係かと思われたが、危機が迫るたびに真彦は「私の妻に手を出すことは許さない」と断固たる態度で彼女を守り抜く。嫁ぎ先が入れ替わったことで、二人の運命は前世とは真逆の方向へと動き出す。執着と支配に満ちた一族の中で、澄音は真彦の庇護を受けながら、かつての悲劇を覆すことができるのか。復讐と愛執が交錯するなかで、死に戻りから始まる新たな人生の幕が上がる。
共有

3

気づけば、結婚式はもう目の前だった。

婚約してからというもの、詩織と蓮也は人目もはばからず愛情を見せつけ、何度もデートを重ねて――バレンタインも、当然のように一緒に過ごしていた。

それに対して澄音は、書斎で真彦と話し合って以来、互いに連絡を取ることもなく、ひたすら自分の研究に打ち込んでいた。

神代家と佐倉家の話し合いの結果、二組の結婚式は合同で執り行われることに決まった。

結婚式の前日、澄音のもとへ真彦が手配したウェディングドレスと装飾品が届けられた。

彼の言葉通り、人前ではきちんと体裁を整え、澄音にふさわしい格式を保ってくれていた。

「佐倉様、こちらのドレスはフランスのオートクチュールでございまして、神代社長が三ヶ月前から特注でお仕立てになったものです」 届けに来たのは真彦の秘書、小林佐介だった。「アクセサリーも大変貴重なブルーダイヤモンドで、社長自らイタリアへ赴き、百年の歴史を誇る職人にお作りいただいた品だそうです」

ウェディングドレスもネックレスも、目を奪われるほどの輝きを放っていた。

しかし澄音の心は揺れず、穏やかに微笑んで言った。「ありがとうございます」

佐介の説明には多少の誇張もあるのだろうが、真彦の態度は誠実だった。約束を守る限り、彼女を粗末に扱うつもりはない――そんな意思の表れなのだろう。

佐介を見送った澄音が振り返ると、リビングに詩織が立っていた。

「さすがね」 詩織の目に一瞬、悔しさがよぎる。「神代家の次期当主と結婚するって、やっぱり格が違うわね」

澄音は前世での彼女の所業を知っているだけに、これ以上関わりたくなかった。ただ静かに言葉を返す。「あなたと蓮也さんはとても仲がいいんだから、彼があなたを軽く扱うはずがないでしょう。ドレスもアクセサリーも、きっと心を込めて選んでくれたはずよ」

前世では、蓮也はずっと仮面をかぶり続け、結婚から三ヶ月経ってようやく本性を見せた。

結婚式で彼女のために用意されたドレスや装飾品は、今世で真彦が用意したものには及ばないものの、決して見劣りするようなものではない。

だが、その何気ない一言が詩織の神経を逆撫でしたことを、澄音は知らなかった。

蓮也の言い分では、合同式であっても真彦が神代家の後継者である以上、格式の面で彼を上回る演出は避けるべきだということだった。

詩織のために用意されたドレスとアクセサリーも決して粗末ではないが、澄音のものと並べれば、その差は一目瞭然だった。

「ずいぶん得意げね」 詩織は冷ややかに笑い、その目の奥に暗い光を宿す。「そんな顔でいられるのも今だけよ!」

前世では真彦の顔を傷つけ、再起不能にまで追い込んだのだ。今世だって同じようにしてやる!

蓮也が自分を愛してさえいれば、彼を跡継ぎの座へ押し上げることもできる。

澄音は軽く頷くだけで、それ以上は何も言わず、そのまま彼女の横を通り過ぎた。

翌朝四時、神代家から派遣されたヘアメイクチームが到着し、二人は別々の部屋で準備を始めた。

澄音は前夜、研究資料に目を通していたせいで、ほとんど眠れていなかった。

それでもなお、頭の中ではある情報を繰り返し思い巡らせていた。

「あれ?」ヘアメイク担当者がふいに首を傾げた。「この口紅、なんだか変ですね。 傷んでいるのかしら?」

「いえ、そんなことは」アシスタントはどこか歯切れ悪く答える。「もともとこういう仕様みたいです。時間もないですし、別の口紅で仕上げましょう」

ヘアメイク担当者も深く考えず、別の口紅を手に取り、澄音に塗ろうと近づいた。

「少し待ってください」澄音は手を伸ばしてそれを止めた。 「その口紅、見せていただけますか?」

横目でアシスタントをちらりと見ると、その表情に一瞬の動揺が走った。

ヘアメイク担当者は特に気にした様子もなく、そのまま澄音に渡した。「少し変わった口紅ですね。でも、このブランドはこういう仕様なのかもしれません。まだ替えもございますので」

横からアシスタントが口を挟む。「そうですね、こちらは予備として置いておいて、後でお直しにも使えますし」

澄音は目を伏せたままキャップを開け、じっくりと観察し、そっと香りを確かめた。そしてわずかに口元を緩めた。

中にはピーナッツの粉末が混ぜられている。そして澄音はピーナッツアレルギーなのだ。

こんな手口を思いつく人物は、詩織以外にいない。

なにしろ前世では、同じような陰湿なやり方を、もっと数多く使っていたのだから。

澄音は微笑みながら口紅を返し、ヘアメイク担当者を手招きした。

担当者が近づくと、彼女は小声で何かを耳打ちした。

アシスタントには聞こえず、ただ不安そうに様子をうかがうしかなかった。

ヘアメイク担当者の目つきが変わり、静かに頷いた。「承知いたしました」

準備が整うと、ブライズメイドが部屋に入ってきた。

澄音のブライズメイドは夏川鈴蘭ただ一人。幼い頃からの親友だ。

部屋に入るなり、鈴蘭は澄音にウィンクを送り、耳元で囁いた。「頼まれてた件、ちゃんと手配しておいたわよ。 でも、どうして優月があんなことを言うって分かったの? 本当に式に来ると思う?」

藤原優月とは、真彦が心に抱き続ける忘れられない存在だ。前世では、詩織は真彦の心を手に入れようと、優月に執拗な嫌がらせを繰り返していた。

挙句の果てに外部の人間と結託して真彦を罠に嵌め、 彼は顔に大きな傷を負い、両脚の自由を失って車椅子の身となった。

命を懸けて守った優月は、三ヶ月ほど介護した後、もう利用価値がないと見るや、あっさり彼のもとを去ったのだった。

「分からないわ。ただの保険よ」 澄音は静かに微笑んだ。

前世の結婚式で優月が現れ、詩織に恥をかかせたことがあったからだ。

鈴蘭は頷く。「それもそうね。あなたと真彦さんは契約結婚だし、二人の仲を邪魔するつもりはないんでしょうけど、優月がそう考えるとは限らないものね。用心しておくに越したことはないわ」

この件について、澄音は彼女に何も隠していなかった。

前世では、鈴蘭は蓮也の手から彼女を救うために命を落としている。

だからこそ今世では、必ず鈴蘭を守ると決めていた。

やがて新郎たちが迎えに来て、煩雑な式次第は省かれ、一行はそのまま式場へ向かった。

四人はチャペルの扉の前に並ぶ。

先頭に澄音と真彦、その後ろに詩織と蓮也が続く。

内側から扉が開かれた。

割れんばかりの拍手が響き渡る。

真彦が紳士的に腕を差し出し、澄音はその腕に手を添える。二人はバージンロードを歩き始めた。

誰の目にも、美しく釣り合いの取れた理想のカップルに映った。

そのすぐ後ろを詩織が続く。

入場直前、彼女は口紅を塗り直して問題がないことを確かめると、親しげに蓮也の腕に絡みつき、バージンロードを進んだ。

しかし、祭壇の前に立ち、スポットライトを浴びたその瞬間だった。

会場が一瞬で静まり返った。

詩織は胸騒ぎを覚え、異変に気づく。まず唇が、続いて頬が、じわじわと熱を帯びていった。

慌てて蓮也へ顔を向けた。 「蓮也さん、私の顔……何かおかしい?」

「少しアレルギーが出ているようだ」 蓮也は眉を寄せた。「大したことはない。すぐに薬を持ってこさせる」

詩織は言葉を失った。

アレルギー!?

そんなはずがない!

計画通りなら、アレルギーを起こすのは澄音のはずだったのに。

彼女の目に、どす黒い光が宿る。

澄音だわ。あいつが何か細工したに違いない。

あの女、いつからこんなに抜け目なくなったの!?

続けて視聴する!
物語はいよいよ佳境へ!アプリに切り替えて続きを読む
全エピソードをロック解除
公式サイトを開く

おすすめの作品

輸血袋の嫁 の小説カバー
8.4
稀少な血液型「RHマイナス」を持つ看護師の彼女は、3年前、瀕死の重傷を負った裏社会の帝王を自らの血で救い出した。しかし、命の恩人となった彼女を待っていたのは、彼からの冷徹な婚姻契約だった。借りを返すという名目で始まった結婚生活は、彼女を3年にわたり縛り付ける孤独な牢獄へと変わる。夫となった男は、妻である彼女には冷淡な視線と疑念しか向けず、その偏愛のすべてを別の天真爛漫な少女へと注いでいた。少女が怯えれば嵐の夜でも駆けつけ、望むものは何でも買い与える一方で、少女に降りかかる不幸はすべて彼女の罪として残酷に責め立てた。彼の盾となり銃弾に倒れた際も、男は彼女を一瞥もせず少女を抱いて立ち去る。その心根すら反吐が出ると蔑まれ、彼女はようやくこの愛が滑稽な茶番であったと悟り、ボロボロの体で彼の元を去る決意を固めた。だが、愛などないと突き放していたはずの男は、彼女の姿が消えた途端、血眼になって世界中を狂ったように探し始めるのだった。
冷酷な夫に見切りをつけた天才妻の華麗なる逆襲 の小説カバー
7.9
会社の機密を守るため火災現場へ飛び込んだ私は、その代償に妊娠二ヶ月の命を失った。激痛の中で夫に助けを求めるも、彼は同じ病院で愛人の指の擦り傷を過剰に心配し、付き添っていた。流産の事実を伝えようとする私を、夫は冷酷な言葉で突き放す。さらに絶望は続き、五歳の実の息子までもが愛人に心酔し、私を拒絶。愛人が与えた食べ物で息子がアレルギー発作を起こした際も、息子は彼女を庇い、夫は「母親失格だ」と私を罵った。命を懸けて尽くしてきた五年間、得られたのは家族からの残酷な裏切りだけだった。絶望の淵で心が死んだ私は、鷹司家の妻という立場を捨てる決意を固める。目の前で離婚協議書を引き裂き、反吐が出るような家との決別を宣言した。私はかつて封印した、世界が渇望する天才エンジニアとしての真の姿を取り戻す。自分を蔑んだ者たちから全てを奪い返すため、華麗なる逆襲の幕が今、上がる。
あの人の未来に、私はいない の小説カバー
8.0
神崎夕凪が布川グループの御曹司、布川和馬と夫婦の契りを交わした日、一族からの祝福は皆無だった。唯一、布川家の老婦人から届いたのは、冷徹な賭けの提案だった。「三年の月日が流れても二人の愛が変わらぬなら、一族に君を認めさせよう。だが、もし愛が潰えたなら、潔く和馬の前から姿を消しなさい。その時は、私が彼に相応しい家柄の伴侶を改めて選ぶ」という過酷な条件だ。和馬は家族との縁を切り、命を懸けてまで夕凪への愛を貫いてくれた恩人でもある。そんな彼を支え続け、添い遂げる決意を固めた夕凪は、その挑戦を毅然と受け入れた。彼との絆があれば、三年の歳月など容易に乗り越えられると信じて疑わなかった。しかし、運命は残酷な結末を用意していた。約束の三年目を迎えたその時、あろうことか最も信頼していた布川和馬自身が彼女を裏切ったのである。家柄の壁を越えた純愛の末に待ち受けていたのは、あまりにも切ない裏切りの真実だった。
腹の中の子供ごと捨てられたので、世界最強のパパを召喚しました。 の小説カバー
8.7
高橋美咲は妊娠が発覚した矢先、恋人の裏切りに遭い絶望の淵に立たされる。周囲からは「才能ある偽の令嬢」の優月と比較され、無能な「真の令嬢」と蔑まれていた。しかし、高橋家が手にしたデザイナーやアイドルとしての栄光は、すべて影で采配を振るった美咲の実力によるものだった。真実を知らぬ家族は、私利私欲のために美咲を植物状態の男性へ嫁がせようと画策する。やがて彼女の隠された正体が明らかになると、家族は己の愚かさを後悔し、元恋人も涙ながらに復縁を迫る。そこへ、圧倒的な権力を持ち、数多の令嬢を平伏させる鈴木家の頂点・鈴木翔太が現れた。彼は冷徹な声で元恋人を一蹴すると、美咲の腰を引き寄せ、親密な様子で帰宅を促す。捨てられた妊婦から一転、世界最強の男に守られる美咲の逆転劇が幕を開ける。実力者でありながら虐げられてきた彼女が、真の居場所を見つけるまでの物語。
修復期間 の小説カバー
9.0
最愛の恋人である美咲から、唐突に別れを突きつけられた玲。これまでの日常は常に美咲を中心に回っており、彼女を失った喪失感から玲は何をする気力も起きないほどの深い絶望に打ちひしがれてしまう。自堕落な日々を過ごす彼だったが、幼なじみから届いた一通のメッセージが、止まっていた彼の心を動かすきっかけとなった。美咲との絆を取り戻すため、玲は再び彼女の隣に立つことを固く決意し、復縁に向けて持てる力のすべてを注ぎ込んでいく。ひたむきに自分を想い、がむしゃらに行動し続ける玲の姿に、一度は心を閉ざした美咲の感情も次第に揺れ動き、かつて抱いていた愛情を少しずつ取り戻していく。本作は、深い喪失を経験した青年が、失った愛を修復するために奔走する姿を描いた現代恋愛物語である。二人の関係が再び重なり合い、新たな形へと変化していくまでの軌跡を丁寧に描き出す。
月島璃子、その正体、すべて伝説 の小説カバー
9.4
二十年間、家族だと信じていた人々から「実の娘ではない」と非情な宣告を受け、家を追い出された月島璃子。悪意ある罠に嵌められ、金儲けの道具にされかけた彼女は、命からがら逃げ出し、辺境の田舎へと追いやられてしまう。しかし、そこで璃子を待っていたのは、日本屈指の資産家である鳳城家の真の令嬢という、衝撃的な立場と輝かしい生活だった。実は彼女には、世間を揺るがす秘密があった。絵画界に名を馳せる幻の巨匠、神の如き腕を持つ医術の天才、音楽界に革命をもたらした寵児、そしてIT業界に君臨する伝説の人物。これら全ての顔こそが、彼女の正体だったのだ。かつて彼女を見下していた義妹や、冷遇したことを悔やむ元家族を余所に、璃子の才能は圧倒的な輝きを放ち始める。そんな中、彼女の真実にいち早く気づいた京城一の御曹司が、熱烈な求愛と共に甘く囁いた。「もう君を奥様と呼ばせてほしい。俺が生涯の伴侶として選ぶのは、世界でただ一人、君だけなのだから」。隠された素顔が次々と明かされる、逆転のロマンスが今幕を開ける。