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七年の歳月、四年の嘘 の小説カバー

七年の歳月、四年の嘘

結婚七年目を迎えた私の日常は、寝室から漏れ聞こえる艶めかしい吐息によって音を立てて崩れ去った。そこにいたのは、愛する夫の涼介と、私が才能を信じて学費まで支援していたインターンの希亜だった。二人の裏切りは四年に及び、献身的に尽くしてきた私の信頼は無残に踏みにじられる。翌朝、涼介は平然と朝食を準備しながら私への永遠の愛を口にするが、その傍らには彼のシャツを纏った希亜が、彼の子を宿して座っていた。私との間には決して望まなかった子供を、裏切り相手との間に作っていたのだ。世界で最も信じていた二人による残酷な共謀を知り、私の心は再生不能なほどに破壊された。復讐という名の執着すら捨て去りたい私は、ある脳科学者に連絡を入れる。目的は、彼が研究する不可逆的な記憶消去手術の被験者になること。夫に関するすべての記憶を脳から抹消し、この地獄のような現実から完全に逃避するために、私は未知の領域へと足を踏み入れる決断を下す。
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3

エラリ POV:

涼介は笑った。

豊かで、自信に満ちた声がキッチンに響き渡る。

彼は私が冗談を言っている、大げさに振る舞っていると思っているのだ。

その傲慢さは、驚くべきものだった。

「俺から離れられるわけないだろ、エラリ」

彼は私の肩を握りながら言った。

「俺たちは、運命の相手なんだ。君と、俺は」

彼は私を抱きしめようとしたが、私は抵抗した。

筋肉がかすかにこわばる。

その変化に、彼は珍しく気づいたようだった。

苛立ちか、それとも疑念か、何かが彼の顔をよぎったが、すぐにそれを消し去った。

彼のシャツから、彼女の香水の匂いがした。

パンケーキと、古びたセックスの匂いが混じり合っている。

息が詰まりそうだった。

「会議に遅れるわ」

私は言った。

彼の手の下から滑り出て、ドアに向かう。

粉々に砕け散る前に、ここから出なければならなかった。

「待って、エラリ」

彼は私を呼び止めた。

「ウォーターフロントプロジェクトのデザインはどうするんだ?市役所に提出しなきゃって言ってただろ。俺が代わりに持って行ってやろうか」

全身の血が凍りついた。

彼は私を試している。

私の日常が変わっていないか、彼の世界がまだしっかりと軌道に乗っているかを確認しているのだ。

「大丈夫よ」

私は振り向かずに言った。

「自分でできるから」

「本当に?」

「ええ」

私は言った。

ドアを押し開け、冷たい朝の空気の中に足を踏み出す。

まるで水中に押し込められていたかのように、息を吸い込んだ。

私は事務所には行かなかった。

市役所にも行かなかった。

最初はあてもなく車を走らせた。

私がその形を作る手助けをした、この街の、ガラスと鋼鉄でできた美しいタワーが、窓の外を流れていく。

私の街。

私の人生。

嘘の土台の上に築かれた、美しく、複雑な見せかけ。

車を走らせ、めったに訪れない地区にたどり着いた。

質屋や消費者金融が並ぶ、ざらついた、匿名の界隈。

「書類と複製」と書かれた、小さく、目立たないオフィスの前に車を停めた。

中に入ると、疲れた目をした、無関心を装うのがうまい男が、コンピューターから顔を上げた。

「新しい身分が欲しいの」

私は言った。

その言葉は、舌の上で異質で、力強い響きを持っていた。

彼は瞬きもしなかった。

ただ、椅子を指差した。

「金はかかる。急ぎなら、もっとだ」

「費用は気にしないわ」

私は言った。

ハンドバッグから現金の束を取り出しながら。

それは、私が常に持っていた緊急用の資金だった。

本当に頼れるのは自分だけだと知っていた、養護施設時代の名残だ。

一時間後、私は真新しい運転免許証、出生証明書、そして社会保障カードを持って外に出た。

写真の顔は私だったが、名前は違っていた。

ベネット・ジュン。

車の中で、その名前を声に出してみた。

清潔で、重荷のない感じがした。

その日の午後、私はエヴァンズの研究室で彼に会った。

そこは無菌の、白い空間で、最先端技術の静かなエネルギーで満ちていた。

彼は私の青白い顔と目の下の隈を見て、その専門家としての態度を和らげた。

「エラリ」

彼は優しく言った。

「話してごらん」

だから、私は話した。

すべてを。

夜中の物音、聞こえてきた名前、吐き気のするような発見。

希亜を四年間指導してきたこと、私が支払った学費、彼女に寄せた信頼について話した。

涼介の嘘について、彼の愛人が彼のTシャツを着て数フィート先に座っている間、まるで私が彼の宇宙の中心であるかのように、その朝、彼が私を見た様子について話した。

私は泣かなかった。

涙は枯れ果てていた。

私の声は平坦なモノトーンで、事実を列挙していく。

一つ一つの事実が、私の古い人生の墓に、また一匙の土をかけるようだった。

私が話し終えると、彼は黙っていた。

その表情には、哀れみと恐怖が混じり合っていた。

「手術は…」

私が口火を切った。

彼は手を挙げた。

「記憶を消すのは、比較的簡単な部分だ。血清、つまり『特別な要素』こそが、真の白紙状態を可能にする。それは一時的で、高められた神経可塑性の状態を作り出す。脳が、通常なら起こるであろう心理的な分裂なしに、新しい物語、新しいアイデンティティを受け入れるのを助ける。本質的に…自己意識を再起動させるんだ」

彼は私を見た。

その目には、恐ろしい重みが宿っていた。

「人間で試されたことは一度もない。リスクは天文学的だ。我々が話しているのは、君の意識の根幹そのものなんだ、エラリ」

「そのリスクは私が負うわ」

私はためらうことなく言った。

彼はゆっくりと頷いた。

まるで、こうなることを予期していたかのように。

彼は私を知っている。

私が一度決心したら、それは石のように固いことを。

「血清を合成して、発送させることができる。国際的なルートを通じて、慎重に行わなければならない。数日かかるだろう」

「何日?」

「三日だ」

彼は言った。

「二十四日に届く」

涼介の誕生日。

宇宙は、たちの悪いユーモアのセンスを持っている。

「わかったわ」

私は言った。

「フライトを予約する」

その夜、家に帰ると、涼介が待っていた。

その顔は、不安げな安堵の仮面をかぶっていた。

「エラリ!どこに行ってたんだ!」

彼は叫び、私に駆け寄って、息が詰まるようなハグをした。

「電話は切れてるし、事務所にもいないし…警察に電話するところだったんだぞ!」

私は彼の腕の中で硬直していた。

彼の匂いが、胃をむかつかせる。

「携帯の電池が切れたの」

私は平坦な声で言った。

「ドライブに行ってた」

彼は身を引いた。

その手はまだ私の腕を掴んでいる。

彼の目が私の顔を探る。

「ドライブ?一日中?でも…クローゼットの箱を見たんだ。君が服を詰めていたやつ」

鋭く、突然の恐怖が、私の無感覚を突き破った。

彼は、探っていたのだ。

「寄付するのよ」

私は素早く言った。

嘘は簡単に出てきた。

「女性シェルターに。もう、整理する時期だから」

彼の顔に広がった安堵は、瞬時にして絶対的なものだった。

彼は私を信じた。

彼は、信じたかったのだ。

「ああ」

彼は言った。

握る力が緩む。

「ああ、よかった。エラリ、心配したんだぞ。二度とこんなことしないでくれ。絶対に、絶対に、俺を置いていかないでくれ」

彼の声は感情で厚く、恐怖に怯える、愛情深い夫の見事な演技だった。

私はただ彼を見ていた。

私の心は、胸の中で死んだ、重い石のようだった。

「しないわ」

私は約束した。

彼は二日後、希亜との「出張」に出かける。

それまでに、一ノ瀬エラリを消し去る作業を終えなければならない。

翌日、私は結婚指輪を、涼介が決して訪れないような地区にある、オーダーメイドのジュエリーショップに持って行った。

それは、彼自身がデザインした、シンプルでエレガントなプラチナのバンドに、完璧な三カラットのダイヤモンドがあしらわれた指輪だった。

私は指からそれを滑り落とした。

奇妙な感じがした。

私の手は、突然、軽く、自由になった。

「これを溶かしてほしいの」

私は宝石商に言った。

ベルベットのマットの上に指輪を置きながら。

彼は私を見つめ、それから指輪を見た。

その目は大きく見開かれていた。

「溶かす?奥様、これは美しい品ですよ。プラチナに、少なくともVVS1のダイヤモンド…なぜ溶かしたいのですか?」

「やってちょうだい」

私は言った。

私の声は、議論の余地を残さなかった。

「プラチナのバンドを、原型がわからない塊に溶かして。ダイヤモンドは別にして返して」

彼は、まるで殺人を依頼されたかのような顔をした。

しかし、私の目の光と、私がカウンター越しに滑らせた現金が、彼を納得させた。

私は小さな、黒いベルベットの箱を持って店を出た。

中には、一つの完璧なダイヤモンドと、かつて永遠を象徴していた、小さく、醜い灰色の金属の塊が入っていた。

家に車で乗り付けると、そこは混沌とした光景だった。

二台のパトカーが私道に停まり、ライトを点滅させている。

涼介は前庭で、必死の形相で警官と熱心に話していた。

彼は私の車を見て、その顔は深い安堵で崩れた。

私が車から降りると、彼は私に駆け寄り、押しつぶすような、必死の抱擁で私を抱きしめた。

「エラリ!ああ、神様、エラリ!」

彼は叫んだ。

その声は途切れていた。

警察官たちと、私たちの家政婦が、同情的な表情で見守っていた。

「何があったの?」

私は尋ねた。

彼の腕の中で、私の体は硬直していた。

「家に帰ったら、君がいなくて、車もなくて…俺は…」

彼は私の首に顔をうずめた。

その体は震えていた。

またしても、見事な演技だ。

「言ったでしょ、携帯の電池が切れたの」

私は身を引きながら言った。

「用事を済ませに行ってたのよ」

「一日中?一言もなしに?」

警官の一人が尋ねた。

その口調は懐疑的だった。

私が答える前に、涼介が私の弁護に飛びついた。

「俺のせいなんです。彼女を束縛しすぎていた。少し、一人の時間が必要だったんでしょう」

彼は私に向き直った。

その目は懇願していた。

「でも、お願いだ、エラリ。次に行く時は、どこに行くか教えてくれ。君を失うわけにはいかない。君を失ったら、俺は死んでしまう」

彼は、驚異的な役者だった。

その献身ぶりには、ほとんど感心せざるを得なかった。

その時、彼の目が、私の手の中にある小さな黒い箱に落ちた。

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