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インターン枠を奪われて、母は修羅と化す の小説カバー

インターン枠を奪われて、母は修羅と化す

国家機密に関わる極秘任務を完遂した直後、私の元に娘から歓喜の報告が届いた。一年間の努力が実り、念願だった国連事務局のインターンに合格したというのだ。準備に勤しむ娘の姿を誇らしく思っていた矢先、事態は急転する。娘のGPSが校内で途絶えたことに胸騒ぎを覚え駆けつけると、そこには屈辱的な光景が広がっていた。娘は壁際に繋がれ、一人の少女から「身の程知らず」と嘲笑されていたのだ。傍らの教員も、少女の親が国内屈指の富豪と国家級の専門家であることを理由に、娘のポストを奪うことを当然のように肯定していた。しかし、その少女が誇示する両親の肩書きを聞いた瞬間、私は激しい違和感に襲われる。全国一の富豪と国家級の専門家——それは他ならぬ、私と私の婿養子の夫のことではないか。娘の未来を無残に踏みにじった者が、まさか身内の隠し子だというのか。私は怒りを抑え、真実を確かめるべく夫へと電話をかけた。愛する娘の尊厳と、必死に掴み取った夢を取り戻すため、修羅と化した母の反撃が今ここから始まる。
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3

それは、十年間連れ添った夫――雪村思遠だった。

「……あなた」声が震えた。

雪村思遠は、私たち母娘の姿を見て一瞬たじろいだが、すぐに無表情へと戻った。「申し訳ありませんが、あなたのことは存じ上げません」

蘇原親子の顔に、これ以上ない安堵と勝ち誇りが浮かぶ。

蘇原佳代は彼の腕にすがりつき、媚びるような笑みを浮かべた。「あなた、この母娘があなたの家族を騙って、うちのいおりを傷つけたのよ」

ざわめきが広がる。

「嘘でしょ、あれが本当に雪村社長!?」

「これは一騒動じゃすまないわね」

「やっぱりあの女、詐欺師だったのよ」

彼の声は氷のように冷たく、さっき電話口で聞いた優しく穏やかな夫のものとはまるで別人だった。

かつて私を深く愛してくれたその顔には、今や冷酷な嫌悪しか浮かんでいない。

私は彼を見つめたまま、胸の奥が裂けるような痛みに襲われた。

「雪村思遠」歯を食いしばり、血のにじむような声で問い詰めた。「もう一度言って。あなたの娘は、誰なの?」

彼の瞳孔がぎゅっと収縮し、一瞬だけ狼狽と動揺が走る。

だがすぐに目をそらし、私の血まみれの手と、瀕死の娘を見下ろして眉をひそめた。「警備員、この騒ぎを起こした二人を今すぐ外へ追い出せ」

「お父さんっ!」蘇原いおりが甲高く叫ぶ。「この人たちに殴られたのよ!ただじゃ済まさないわ!土下座して謝らせて!」

雪村思遠は短く沈黙し、やがて静かに頷いた。「……罰は必要だな」

周囲の保護者たちはすぐさま行動に移り、私の肩を押さえつけて地面に組み伏せた。

蘇原いおりは教室の鞭を手に取ると、私の背中に容赦なく振り下ろす。「このクズが!身分を偽って!私を殴った罰よ!」

打ちつけられるたびに皮膚が裂け、血が飛び散る。私は娘を守るように必死に抱きしめた。彼女の白いTシャツは、私の血で真っ赤に染まった。

雪村思遠の握り拳には青筋が浮かんでいたが、一言も発しなかった。

「やっぱり噂は本当だったのね……」

「雪村社長、愛妻家すぎて他の女なんて眼中にないんだって!」

ゴマすりのような声が四方八方から飛ぶ。

蘇原いおりは鞭を放り投げ、私を見下ろして唇を歪めた。「今すぐ犬の真似して三回鳴きなさい。そしたら許してあげる」

そのときになってようやく、雪村思遠がこちらへ歩み寄った。押し殺した声で、懇願するように囁く。「……お願いだ、歓を病院に連れて行こう。 みんな見てるんだ」

私は口の端から血を吐き、彼を睨み据えた。「――きっと、後悔するわ」

その瞬間――窓の外から、轟音が鳴り響いた。

ガラス張りの壁が砕け散り、三機の武装ヘリが空中に現れる。黒ずくめの特殊部隊がロープで室内に降下した。

「江島博士!」先頭の軍人が私に敬礼する。「国家警備庁特別行動部隊、命を受けて参上しました!季村医師率いる医療チームが、ただいま下で待機中です!」

空気が、一瞬で凍りついた。

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