再婚相手は元婚約者の宿敵 の小説カバー

再婚相手は元婚約者の宿敵

9.8 / 10.0
7年間尽くした婚約者の清彦に裏切られ、レシピも命も奪われかけた主人公。絶望の淵に立たされた彼女に手を差し伸べたのは、清彦の最大のライバルである小田切真也だった。本作は、裏切りへの復讐と再生を描くmodernジャンルのromance novelです。愛と才能を道具として扱った元婚約者を見返すため、宿敵との再婚という大胆な選択をした彼女の運命は?web novelで話題の、愛と野心が交錯するドラマチックな物語。
「再婚相手は元婚約者の宿敵」のあらすじ
婚約者の清彦を支え続けてきた七年間。私は彼を救いたい一心で、自らの骨髄を提供することさえ厭わなかった。しかし、その献身的な愛は無残に裏切られる。清彦は私の情熱の結晶であるウェディングケーキのレシピを盗み出し、あろうことか親友である栞代の手へと渡したのだ。さらに彼は私を欺いて入院させただけでなく、交通事故に遭い生死を彷徨う私を冷酷に見捨て、栞代のもとへと走り去った。私という存在は、彼にとって成功を掴むための便利な道具に過ぎなかった。愛も、才能も、そして命さえも利用され、私は深い絶望の淵へと突き落とされる。すべてを失い、心身ともに傷ついた私の前に現れたのは、清彦が最大の宿敵と目する男、小田切真也だった。彼から唐突に告げられたのは、予想だにしない「婚約」の申し出。裏切りによって地獄を見た女と、元婚約者のライバル。奇妙な縁から始まる新たな関係が、止まっていた私の運命を再び動かし始める。どん底にいた私は、この手を取り、かつての愛への復讐と再生を誓う。
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再婚相手は元婚約者の宿敵 第1章

7年間, 私は婚約者の清彦に尽くし, 彼の命を救うために骨髄まで提供した.

しかし彼は, 私の最高傑作であるウェディングケーキのレシピを盗み, 親友の栞代に渡していた.

私を騙して入院させ, 事故に遭った私を置き去りにして, 彼は栞代の元へ駆けつけた.

私の愛も, 才能も, 命さえも, 彼の成功のための道具に過ぎなかったのだ.

絶望の淵にいた私のもとに, 彼の最大のライバルである小田切真也から, 突然の婚約の申し出が届く.

第1章

芦田結菜 POV:

私は病室の白い壁をぼんやりと見ていた. 数日前, 清彦に「少し疲れているようだ. 検査入院した方が安心だ」と言われ, 半ば強引に入院させられたのだ. 彼の提案なら間違いない, と信じていた. だが, その信頼は, 病室のドア越しに聞こえてきた声によって, 粉々に砕け散った.

「清彦, 一体どういうつもりなの? 」姉の裕子の声が響いた. 怒りに震えているようだった.

清彦の声は, いつもの落ち着きを装っていた. 「裕子姉さん, 何のことで? 」彼の声は, 私の心を安堵させるはずだったが, 今はただ, 薄気味悪く聞こえた.

「とぼけないで! 結菜のレシピのことよ! 」裕子は息を荒げた.

私の心臓が冷たい氷の塊になった. レシピ? 私のウェディングケーキのレシピのことだろうか. なぜ裕子姉さんがそれを?

「あのウェディングケーキのレシピ, 栞代に渡したそうじゃない. 結菜から聞いてないわよ! 」裕子の声が続いた.

清彦は沈黙した. その沈黙が, 私にとって何よりも雄弁な答えだった. 胃のあたりが締め付けられるような痛みを感じた.

「あのウェディングケーキは, 結菜が世界的なコンクールのために七年間も心血を注いできた最高傑作よ! それを…なぜ! 」

清彦はゆっくりと口を開いた. 「あれは, ハセ・スイーツの未来のためだ. 栞代のバックには有力なスポンサーがいる. 彼女の力が必要だった. 」

「会社の利益のため? それなら, なぜ結菜を騙して入院させたの? 正々堂々と言えばよかったじゃない! 」裕子の声は怒りというより, 深い悲しみに満ちていた.

清彦はため息をついた. 「結菜は感情的になる. きっと反対しただろうから…」

私の喉の奥から, 乾いた笑いが漏れそうになった. 感情的? 彼の成功のために, 私はどれほどの感情を押し殺してきただろう. どれほどの夜を徹して, 彼の夢を自分の夢として追いかけてきただろう.

「あなたは知っているはずよ. 結菜がどれほどあのレシピを大切にしていたか. それは単なるケーキじゃない. あなたへの, 私たちの未来への, 彼女の愛の結晶だったのよ! 」裕子の言葉が, 私の耳朶を打った.

愛の結晶. そう, その通りだった. 彼が疲れて帰ってきた夜, 何度も試作を繰り返した. 彼の好みに合うように, 甘さのバランスを調整した. ウェディングケーキのデザインは, 私たちの初めてのデートの思い出である, 二人が手をつないで歩いた海辺の風景をイメージしたものだった.

私の脳裏に, 七年間の思い出が走馬灯のように駆け巡った. 彼が会社の経営で苦悩していた時, 私はいつも隣にいた. 彼のアイデアをスイーツで形にし, 彼の言葉を私が甘い香りの物語に変えた. 毎晩, 彼の肩をマッサージし, 励ましの言葉をかけ続けた. 私のパティシエとしての才能は, 彼の会社の成功のために惜しみなく捧げられた.

「あのウェディングケーキのスケッチ, 栞代が自分の作品として発表しているのを見たわ. 清彦, どう説明するの? 」裕子の声が, 再び現実へと引き戻した.

清彦は口ごもった. 「それは…栞代が見栄を張っただけだ. いずれは結菜の名前を発表するつもりだった. 」

嘘だ. 全てが嘘だ. 私は彼の言葉の裏に隠された冷酷な計算を感じていた. 彼は私を騙し, 利用し, そして捨てたのだ. 私の心臓は, まるで深い海の底に沈んでいくかのように, 重く, 冷たくなっていった.

「あなたの言う『いずれ』は来ないわ. 私は栞代と話した. 彼女は結菜のレシピを『自分の才能の結晶』だと言っていたわ. 清彦, あなたは結菜を, どれほど深く傷つけたかわかっているの? 」裕子の声が震えた.

私は呼吸することさえ苦しかった. 七年間の愛と献身が, たった一瞬で, こんなにも残酷な裏切りに変わるなんて. この痛みは, 心臓を直接抉られるようなものだった.

「裕子姉さん, 結菜にはまだ言わないでくれ. 彼女には…まだこの真実を知ってほしくない. 」清彦の言葉は, まるで自分の罪を隠蔽しようとする薄汚い策略にしか聞こえなかった.

私は病室のドアを強く睨んだ. 憎しみと絶望が, 私の全身を支配していた. この男は, 私を本当に愛していたのだろうか? それとも, 最初から, 私の才能だけが目的だったのだろうか? 私のウェディングケーキのレシピだけでなく, 私のパティシエとしての人生そのものが, 彼のビジネスの道具だったのか. 私の心は, その疑問の重さに押しつぶされそうになっていた.

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再婚相手は元婚約者の宿敵 目次一覧

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