
愛は私の檻、救いではなかった。
章 3
藤堂美月 POV:
暗いパーカーとジーンズに身を包んだ私は、本来なら私のものだったはずの人生の縁を彷徨う亡霊のようだった。
農園に隣接する森に身を隠す。松と湿った土の匂いが肺を満たし、私が何年も吸い込んできた無菌の嘘とは対照的だった。
木々の間から、彼らが見えた。
私の両親、藤堂正臣と佳乃がそこにいた。
彼らは失われた養女を悼んでいるのではなく、秘密の孫を溺愛していた。
母は、私が生涯を通じて切望してきた優しい喜びを顔に浮かべ、大和くんをブランコで押していた。
鋭く痛みを伴う記憶が蘇る。
去年、私は母に、裏庭に小さなバラ園を作るのを手伝ってくれないかと頼んだ。ずっと夢見ていたことだった。
母はため息をつきながら、私をあしらった。
「ああ、美月、財団の仕事で忙しすぎるの。来年にしましょう」
でも、大和くんのためなら忙しくないのだ。彼のためなら、時間はいくらでもある。
できないのではなかった。したくなかったのだ。私のためには。
農園の家政婦がレモネードの盆を持って出てきて、その陽気な声が風に乗って聞こえてきた。
「奥様、お子様の扱いに慣れていらっしゃいますね!大和坊っちゃまも、おばあ様が大好きで」
「この子は正真正銘の藤堂家の人間よ。あの子の頃の圭介にそっくり」
母は誇りに満ちた声で答えた。
その言葉は、物理的な打撃のような力で私を襲った。
正真正銘の藤堂家の人間。
では、私は何?
代用品?
本当の跡継ぎが十分に成長するまで、会社を経営できる便利で有能な娘?
その瞬間、私は理解した。
私は部外者だった。
見つけ出され、家に連れ戻され、名前を与えられたが、本当に仲間に入れてもらえたことは一度もなかった。
これが彼らの家族。私はただの一時的な客だった。
圭介さんが到着し、玲奈の唇にキスをしてから大和くんを腕に抱き上げるのを見た。
彼は「緊急の出張」のために、私たちの記念日や誕生日を何度も欠席した。
今、私は真実を見た。彼は私の人生を欠席していたのではなく、彼の人生を生きていたのだ。彼らと。
彼のノートパソコンのデジタルファイルは決定的だったが、私の頭の中の冷たく現実的な声――児童養護施設というシステムを生き抜いた少女の声――が、それだけでは不十分だと囁いた。
デジタル証拠は削除され、否定され、捏造だと一蹴される可能性がある。
もっと何かが必要だった。
もっと具体的なもの。彼らが絶対に否定できない、リアルタイムで起こっている何か。
喉の奥から叫び声がこみ上げてきた。生の、原始的な苦痛の音。
私は両手で口を覆い、それを抑えるために指の関節を噛んだ。
崩れるわけにはいかない。ここで。まだ。
突然、私道を走るトラックの音が私を驚かせた。ヘッドライトが木々を照らす。
私は大きな樫の木の陰に身をかがめた。心臓が喉まで飛び上がりそうだった。
トラックは農園の作業員のものだった。
差し迫った物理的な脅威が、私の感情的な渦から私を叩き起こし、冷たく鋭い集中力を強制した。
新しい隠れ場所から、私はより近くにいた。近すぎた。
圭介さんが玲奈に微笑むときの目じりのしわが見えた。
彼女が彼の腕に手を置く様子が見えた。気楽で、慣れ親しんだ親密さの仕草。
彼らは、何年も一緒に過ごしたカップルが持つ無意識の優雅さで、互いの周りを動いていた。
そして、彼らの声が聞こえた。低く、共謀者のような声。
「来週は取締役会だ」
玲奈が言っていた。
「それが終われば、新しい農業契約が確保されれば、ようやく前に進める」
「わかってる」
圭介さんはため息をついた。
「ただ……美月だ。彼女がどう受け止めるか……」
「彼女はあなたが思うより強いわ」
玲奈は、見下すような口調で言った。
「動揺はするでしょうけど、受け入れるしかない。私たち、こんな風に永遠に生きることはできないのよ、圭介さん。大和には、フルタイムの父親が必要なの」
私の血が凍った。
彼らは私の処分を計画していた。
私は、彼らがハッピーエンドを迎える前に処理すべき障害物、解決すべき問題だった。
そして、私の心の最後の破片を粉々にする言葉が続いた。
圭介さんは玲奈を近くに引き寄せ、彼女にだけ聞こえるように低い声で囁いた。
「心配するな」
彼は彼女の髪を撫でながら言った。
「美月のことは僕が何とかする。僕たちが準備できるまで、彼女が知ることは絶対にない。約束する」
それが、それだった。
恋人の囁きで届けられた、最後の裏切り。
私の視線は、必死に周りを見回した。何かが必要だ。具体的な何か。
圭介さんが忘れたレモネードのグラスの隣、パティオのテーブルの上にそれを見つけた。
彼のスマートフォン。彼の*もう一台の*スマートフォン。
私の心は、その一つの目標以外、すべてが空白になった。
彼らが家の中に入り、笑い声が後ろに響くのを待った。
心臓が耳元で激しく鳴り響く中、私は木々から滑り出て、影のように芝生を横切った。
私の指が、スマートフォンの冷たい金属に触れた。
私自身のものもポケットに入っていた。同じモデルだ。
それはリスクだった。愚かなリスクだったが、どうでもよかった。
私はそれらを交換した。
逃げようと振り返ったその時、パティオのドアが開いた。
圭介さんが、家の暖かい光を背に、シルエットになって現れた。
私たちはほんの数フィートしか離れていなかった。ほとんど衝突しそうになった。
私は凍りついた。フードを深く被り、彼に背を向けた。
「誰だ?」
彼の声は鋭く、夜の静寂を切り裂いた。
彼は私の顔を見ることはできなかったが、何かがおかしいと感じ取った。
何年も私に嘘をつき続けて磨かれた彼の本能が、彼に叫んでいた。
彼は一歩近づき、その影が私を覆った。
彼の存在を背後に感じた。息が詰まるような重圧。
彼は私を見つけるだろう。すべてが終わる。
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