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命の淵で愛は終わる の小説カバー

命の淵で愛は終わる

アルファであるカールの手によって私の腹部が切り裂かれ、まさに手術が始まろうとしていたその時、彼の携帯電話が激しく震えだした。通話の相手は彼の義妹。彼女は自殺を図り、死に際にもう一度だけ彼に会いたいと告げたのだ。その知らせを耳にした瞬間、カールは迷うことなくメスを放り投げ、私の執刀をアルファ・アーサーへと託して、背を向けて走り去ってしまう。手術台の上で無惨に切り開かれたまま、遠ざかっていくカールの後ろ姿を見つめる私の心臓は、まるで見えない手に握り潰されたかのような激痛に襲われた。絶望に打ちひしがれ、目から溢れ出す涙を止めることができない。そんな私の肌を、再び冷徹なメスの感触が貫いた。代わって執刀を始めたアーサーは、感情を押し殺した冷ややかな声で私に言い放つ。「何を泣いている。俺がここにいる。お前を死なせはしない」。最愛の男に見捨てられた極限の状況下で、命を繋ぐための過酷な時間が刻一刻と過ぎていく。愛が潰えた命の淵で、運命の歯車が静かに、そして残酷に回り始めた。
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アルファであるカールのメスが私の肉を切り裂き、手術が始まろうとしていた。

その時、ポケットの中の電話が狂ったように震えだし、彼はたまらずそれに応答した。

「カール、死ぬ前にもう一度だけあなたに会いたい」

彼の義妹が、自殺を図ったのだ。

その知らせを聞いた時、私は手術台の上で、すでに腹部を切り開かれていた。

カールはメスを投げ捨て、アルファのアーサーに言った。

「私のルナの手術を頼む」

そう言うと、彼は背を向けて去っていった。

カールの後ろ姿を見つめながら、私の心臓は目に見えない手に鷲掴みにされたかのように、耐え難い痛みに襲われた。

私はこらえきれず、涙を流した。

次の瞬間、冷たいメスが再び私の皮膚に突き立てられた。

アルファのアーサーが冷ややかに口を開く。

「何を泣いている? 俺がいる、死にはしない」

…………

カシャン!

アルファのカールは、無言でメスを投げ捨てた。

突然、彼は手袋を脱ぎ捨て、ゴミ箱に放り込んだ。

「この手術は私にはできない。アーサーを呼んできてくれ」

彼の義妹ビアンカが自殺騒ぎを起こしてから二十分、常に沈着冷静だった私の伴侶は、ついに動揺を露わにした。

「カール、行かないで……」

私は弱々しく、懇願するように叫んだ。

傷口からは絶えず血が溢れ出している。

引き裂かれるような痛みも、心の痛みの万分の一にも及ばず、悲しみが頭の中を埋め尽くしていた。

彼は私の手術を緊急停止させ、皆に背を向け、冷静を装って「装備を解除」し始めた。

しかし、微かに震える手が彼の本心を露わにしていた。

彼はわずかに横を向き、複雑な眼差しで私を一瞥した。

彼の内にいる狼もまた、彼を慰留しようとしているようであった。

だが、眠ったふりをしている者を起こすことはできない。

カールが私を見捨てる決意を固めたことを、私は悟った。

私の伴侶は、私が最も彼を必要としている時に、彼の義妹を選んだのだ。

ビアンカに何かあれば、彼は狂わんばかりに心配する。

次の瞬間には彼女のそばへ飛んでいきたいと願うほどに。

それなのに、私は死にかけているというのに、彼は微塵も心配していない。

「アルファ、ルナ様の心拍数が非常に速く、緊張されています」

「このタイミングで離れても、本当によろしいのですか」

看護師の言葉も、カールを引き留めることはできなかった。

彼の去っていく後ろ姿を見つめていると、胸の奥にちりちりとした痛みが広がった。

私の内にいる狼も、絶えずくんくんと鳴いている。

カールの離脱は、目に見えない刃のように、彼に対する私のすべての信頼を断ち切った。

私は静かに看護師に言った。「大丈夫。手術は誰が執刀しても同じだから」

たとえ手術が成功したとしても、私とカールの関係が元に戻ることはないと分かっていた。

私の伴侶、私の愛する人は、私が最も助けを必要とした時に、去ることを選んだのだ。

手術室にいる誰もが、同情的な眼差しで私を見ていた。

私は無理に笑みを作るしかなかった。

ビアンカの存在が、遅かれ早かれ私とカールの関係を終わりへと導くことは、とっくに分かっていたはずだった。

瀕死のビアンカを放っておいて、私のために手術をすること。

そのような行為を、彼は受け入れられない。

そして私も、そのような人物の手に自分の命を委ねたいとは思わなかった。

手術室のドアが、音もなく開いた。

マスクをした長身の影が入ってくる。

彼は深い緑色の瞳を持ち、清潔な手術着を身にまとっていた。

彼はメスを受け取ると、冷酷で断固とした眼差しで私を見つめた。

銀光部族のアルファ、アーサーである。

手術室の外からカールの叫び声が聞こえた。「私のルナの手術を、頼んだぞ」

「もし今ビアンカのところへ行かなければ、私は一生後悔することになる」

「すまない、エリザベス。 アーサーの腕があれば、君の手術は問題なく成功するはずだ」

彼の言葉を聞きながら、私の涙は音もなく流れ落ちた。

私は目を開け、アーサーを見た。

彼は黙って私を見つめ、その瞳には確固たる意志が宿っていた。

私の心は次第に落ち着いていった。

おそらく、これは全て月の女神の采配なのだろう。

カールの正体を見極めさせてくれたのだ。

なんて情けないのだろう。

伴侶に見捨てられたくらいで、どうして泣いてしまうのか。

不意に、目の前に影が落ちた。

一本の冷たいメスが、私の皮膚に当てられる。

いつもは無口で冷たいアーサーが、淡々と口を開いた。

「何を泣いている。俺がいる、死にはしない」

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