婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる の小説カバー

婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる

8.4 / 10.0
婚約破棄され行き場を失った桐谷ひなたは、冷酷な男・神木に付き従い家へ入る。亡き人の面影を追う彼との奇妙な共同生活が始まるが、それは執着と欲望が渦巻く日々の幕開けだった。自分を身代わりとしか見ていないはずの彼を、ひなたは持ち前の大胆さで骨抜きにしようと試みる。『婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる』は、愛と裏切りが交差するmodernなromance novel。人気のwebnovelで描かれる、孤独な二人の駆け引きと逃れられない運命の結末とは。依存し合う関係の果てに、彼女が手にするのは復讐か真実の愛か。
「婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる」のあらすじ
酔った勢いで冷徹な神木に絡んだ桐谷ひなた。鋭い眼差しで「後悔するぞ」と警告されるが、婚約破棄され居場所を失った彼女は彼の家へ向かう。結婚後、義母が育てていたのは亡き想い人の子だった。彼はひなたの顔に、かつて愛した人の面影を重ねていたのだ。従順な身代わりに過ぎない。そう悟った彼女が離婚を告げると、彼は豹変して背後から抱きしめる。「……離さない」と縋るような掠れた声。自分なしではいられなくなった彼の姿に、ひなたは口角を上げ、静かに微笑む。「神木さん、私を必要とするなんて……ずるい人」愛憎と執着が交錯する、二人の歪な関係の行方は。
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婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる 第1章

桐谷ひなたが小室海斗を好きだということは、誰もが知っていた。

ただ、五年間も婚約していながら、彼が一度も彼女に触れたことがないという事実は、誰も知らなかった。

「海斗、今日は私たちの婚約五周年の記念日よ。 いつ来てくれるの?」

ホテルの最上階にある個室は、風船とバラのイルミネーションで飾り付けられていた。 ひなたは約束の七時から九時過ぎまで待ち続け、ようやく電話をかけた。

「忙しい」

「何を?」 ひなたが尋ねた途端、 電話の向こうから柔らかな女の声が聞こえてきた。

「海斗、痛いの」

ひなたの心臓が締め付けられる。 探るように尋ねた。 「もしかして、神木さやかと一緒にいるの?」

「彼女が少しトラブルに巻き込まれてね」

「彼女がトラブルに巻き込まれたからって、 どうしてあなたが処理しなきゃいけないの?」 ひなたは自分の声が震えているのを感じた。 「それとも、 彼女が私より大事だって言うの?」

「こんな時に駄々をこねるのか」

ひなたの頭の中で何かが弾けたような衝撃が走り、目が赤く染まる。 心は少しずつ沈み込み、全身に冷たい感覚が広がった。

彼女は口を開き、しばらくしてからようやく言葉を絞り出した。 「そういうことなら、婚約を解消しましょう」

せめて慰めの言葉の一つでもかけてくれると思っていた。

だが、相手は一方的に電話を切った。

ひなたは自嘲気味に笑ったが、その瞳は赤く潤んでいた。 自分は一体何を期待していたのだろう。

彼女は開封済みの赤ワインを手に取り、瓶の口から直接、勢いよく数口を呷った。

……

個室を出たのは、すでに夜の十一時を過ぎていた。

ひなたがエレベーターに乗り込み、振り返ると、外に一人の男が立っているのが見えた。

男は黒いスーツを身につけ、背が高く引き締まった体つきをしている。彫りの深い顔立ちに、伏せがちな目元が、彼のただでさえ強い存在感をより威圧的なものにしていた。

男も彼女を見つめていた。

彼女は体にフィットした黒いロングドレスを着て、頬を赤らめている。 切れ長の目に細い眉、しなやかな腰。 スカートのスリットは太ももの半ばまで入り、動くたびに白い脚のラインが覗く。

清艶さと妖艶さが入り混じった、蠱惑的な雰囲気だった。

ただ、彼女はほろ酔い気味で、頬には上気が見て取れた。男の瞳が暗く沈む。 すぐにエレベーターには入らなかった。 だが、 中の女が突然二歩前に進み、

彼のネクタイを掴んでエレベーターの中に引きずり込んだ。

次の瞬間、 熱を帯びた体が彼の胸に飛び込んできた。

この不意の行動に、男の全身の筋肉が瞬間的に緊張し、 体が硬直する。

その一瞬の隙に、腕の中の女はつま先立ちになり、彼にキスを仕掛けてきた。

彼女の唇は柔らかく、熱い。

しかし、彼女は体を支えきれず、今にも彼の腕から滑り落ちそうになる。

男はとっさに彼女の腰に腕を回し、がっしりと抱き止めた。

身体が密着し、ひなたの全身に甘い戦慄が走った。

彼女が正気を取り戻した時には、すでに男にエレベーターの壁に押し付けられていた。背中には冷たい壁、しかし目の前の男は彼女の体に火をつけるように、強引かつ支配的に唇を貪っている。

冷たさと熱さが交錯し、彼女は耐えきれず、子猫のようにか細い声を漏らす。

その声は柔らかく、艶めかしい。

エレベーターがゆっくりと下降するにつれて、彼女の体は欲望の深淵へと引きずり込まれていくようだった。

『チーン』エレベーターが一階に到着した。

キスが止まる。

ひなたの指はまだ彼のネクタイに絡まったままで、低い声で言った。 「私を連れて行って」

彼女はぐったりと彼の体に寄りかかり、吐息が彼の顔にかかる。

それはあからさまな挑発であり、誘惑だった。

男の瞳がさらに暗くなり、喉仏が軽く上下する。

大人の間では、ある種のことは視線一つで通じ合う。 ましてや、彼女がこれほどまでに積極的なのだから。

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婚約破棄?構わない。神木さんを骨抜きにしてみせる 目次一覧

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